今やPC/コンソール/モバイルそれぞれのプラットフォームでサバイバルジャンルの作品は定着していて、多くのプレイヤーがさまざまな世界を舞台にサバイバルを楽しんでいます。
Game*Sparkでは【クラフトサバイバル名鑑】として、同ジャンルが好きな筆者が、定番作品を中心にクラフトサバイバルジャンルの作品の魅力を紹介・解説しています。今回紹介するのは、2020年9月4日にSteam早期アクセスをスタートしたオープンワールドサバイバルアクション『クラフトピア』です。
なんでもあり?のクラフトサバイバル
『クラフトピア』は、日本のゲーム開発スタジオ・ポケットペアが手がける作品。ポケットペアは2015年に設立され、これまで『オーバーダンジョン』『パルワールド』などの作品をリリースしていることで知られています。また、近年は新たにパブリッシング事業も始めています。
本作が公式発表されたのは2020年6月のこと。最初に公開されたオフィシャル映像では、ファンタジー風の世界で冒険や戦闘などをしている一方で、バイクに乗っていたり、ベルトコンベアで運んだ牛を煮ていたり、あらゆる生物を走らせて電力を生成していたりと、あまりにインパクトの強いシーンで大きな話題となりました。
ゲームは2020年9月にSteam早期アクセスをスタート。2021年7月にはXbox Series X|S/PC(Microsoftストア)向けにリリースしています。プレイヤーは新たな世界「クラフトピア」を舞台に、時代を進化させながら狩り・農業・ハクスラ・建築・自動化などを自由に行っていくのが目的です。本作はこれまで多くのアップデートを配信してきました。
最も大きなアップデートは「世界をシームレス化する」というもの。早期アクセス開始時点では最初の島を攻略したら次の島へ、という疑似オープンフィールドだったゲームを1つのオープンワールドにするという大規模な内容で、2021年の発表から2年後の、2023年6月にSteam版を対象に配信されました。
Steam版は定期的にアップデートが続いていて、2025年6月25日には新たな時代「クラフトピアの時代」が追加されるサマーアップデート2025を配信。一方でXboxコンソールなどにはアップデートが無いため、プラットフォームで遊べる内容が異なってしまってる状況でもあります。
滅びから「クラフトピア」で新たな文明を
『クラフトピア』の物語は、主人公(プレイヤー)をきっかけに地球が滅亡するという衝撃的なシーンから始まります。当然主人公も滅亡に巻き込まれて死んだと思いきや、気がつけば謎の空間で目を覚まし、神が人類にもう一度だけチャンスを与えるため、滅亡の原因となった主人公にひとつの試練を与えます。
それは、新しい世界「クラフトピア」を繁栄させて正しい世界へと導くこと。強力な装備を整えてモンスターに立ち向かい、世界中のどこからでも見えるような偉大な碑を建て、やがて世界の秘密を解き明かす必要があるようです。そうして降り立ったクラフトピアの大地は、とてものどかな風景に見えます。





開始時は、道なりに進んだ村で出会ったNPC考古学者カミールの依頼を受け、近くにある塔を復旧させることが最初の目標となります。他にもこの村では、ゲームの基本となる戦闘や捕獲、クラフト、農業などに関する基礎を学べるチュートリアルのようなクエストが用意されているので、まずは一通りこなすのがおすすめです。
カミールから依頼された塔の復旧には、その地域で獲得できる素材やアイテムが必要です。三段階復旧させることで、その塔で「時代進化」ができるようになり、進化させることでクラフトできるアイテムの種類が増加していきます。進化には各地域の名産品が必要になり、塔を復旧させればその地域の名産品が表示されるようになります。





『クラフトピア』の基本的な流れは、各地域の塔を復旧させて時代進化を目指していくことです。次の地域に進めば当然モンスターたちも強くなっていくので、時代進化でより強力な装備品を作っていくことも大切です。もちろん、クラフトできるものが増えれば生活の幅もより広がっていきます。





冒険の舞台はどこまでも!
プレイヤーはゲーム中のさまざまな行動で経験値が入り、レベルアップすることで新しいスキルを獲得可能です。スキルには生活全般に関わるもの、戦闘に関わるもの、マルチプレイ向けのものなどがあります。スキルの初期化やレベルダウンなどもできるので、まずは色々と試してみるのもオススメです。
また、カミールのクエスト報酬でもらえるバイクをはじめ、おなじみのグライダーなど、本作では非常に多彩な乗り物も用意されています。広大なエリアを快適に巡るためには、乗り物やスキルによる移動補助などは必須です。世界各地にはワープゲートなどのファストトラベル先もあるので、解放を目指していきましょう。




もちろん拠点でのクラフトも重要です。本作では基本的なアイテムや武器、アクセサリー、家具、ポーションなどのアイテムはそれぞれ別の生産施設が必要となります。もちろん素材も地域ごとに異なるので、特に序盤はなるべくワープゲートや塔などの移動しやすい場所に作ることを考えましょう。
また、ゲーム内では空腹管理だけでなく、ステータス補助の意味でも料理の存在が大きいです。美味しい料理を作れば基礎能力アップだけでなく、寒さや暑さといった環境にも耐えられるようになります。料理の効果時間はかなり短いので、ボス戦や未開の地域の探索にはしっかりと準備をしておくことも大切です。




本作は、順を追って装備の強化や世界の探索を進めていくオーソドックスなクラフトサバイバルとしての要素が備わっています(シームレスアップデート以降が特に顕著です)。もちろん、それだけでは魅力を語り尽くせないのが『クラフトピア』です。





生産と拠点づくりは想像力で無限に広がる
ゲーム紹介でも触れましたが『クラフトピア』といえば「ベルトコンベアで運ばれた牛が次々と大鍋に放り込まれる」というイメージの人も多いと思います。本作は自動化や効率化を実現するための装置が非常に多く用意されていて、プレイヤーの発想次第で驚くべき世界へと変貌するのです。
例えばゲーム内の各地には石や鉄などの岩盤があり、プレイヤーが削岩機を設置することで安定して鉱石を入手できます。ただし、掘ったものは基本的に地上に放置されるので、回収のための装置を置いたり、ベルトコンベアで運ぶといった工夫も必要です。その過程で“精錬”さえできれば、冒険している最中に金属インゴットが自動的に量産されますね。




拠点での生産には労働力が欠かせません。多くの装置を作るためにも電池などのエネルギーは重要で、発電機を稼働させることで生産できるのですが、中で誰かが車輪を回さなければなりません。そこで登場するのが、ほとんどの敵やNPCを捕らえるアイテム「モンスタープリズム」です。
プリズムで捕獲した対象はペットとして一緒に冒険するほか、施設での生産や繁殖に活用できます。施設で働かせると体力が減っていずれ死んでしまうのですが、繁殖施設と組み合わせることで自動化することも可能です。繁殖させつつ死んだNPCのアイテムを回収できれば、素材も色々入手できますね。




時代を進化させることで、自動化・効率化を可能とするアイテムや施設もどんどん増えています。筆者は残念ながらほぼ力技での装置づくりしかできないのですが、上手な人は驚くほどコンパクトに洗練された装置を簡単に作り出してしまうことでしょう。想像力次第で無限に世界が広がる、それは本作の持つ大きな魅力です。



『クラフトピア』は自由なゲームです。シームレスアップデートでゲームとしての導線がわかりやすくなり、クラフトサバイバルとしてもファンタジーアクションとしても遊びやすくなりましたが、その根本には冒険も生産も自動化も、どんな非道な装置づくりもできるような、素晴らしい自由さがあるのです。
最新アップデートでは、プレイヤーがアイテムを持ち込んで好きに島を作れる「なにもない島」が追加されました。クリエイティブモードもあるので、より自由な建築やクラフト、装置づくりの実験などの楽しみも広がっています。

ただしゲームは決して安定しているとはいえず、大型アップデートで発生する不具合なども少し多めの印象を受けます。また、Steam版以外のアップデートが遅れていることなども含め、早期アクセスといえども少しもったいないな、と思うことは否めません。自由さとカオスさが生み出す面白さは間違いなく本作ならではの魅力ではあるのですが……。













