2025年7月31日、『イースX -Proud NORDICS-』がニンテンドースイッチ2向けゲームとして発売しました。本作は、日本ファルコムが38年前に世に放ったアクションRPG『イース』シリーズの最新作『イースX -NORDICS-』に大幅な追加要素を加えたタイトルです。
シリーズ38年目に出たこのゲームはシリーズだけでなく、アクションRPGの決定版。『イース』初心者や、まだオリジナル版をプレイしていない方には特にオススメです。
本稿では、オリジナル版ももちろん遊び、本作は約60時間プレイした上での数字付きレビューをお届け。改めて『イースX -NORDICS-』の良いところ、そして『イースX -Proud NORDICS-』になって増したゲーム性をお伝えします。

◆“受けゲー“的な遊び方が爽快スピーディー!ノンストップの切り替え式バトルシステム
『イースX -Proud NORDICS-』を語る上でまず紹介しておきたいこと、それはストーリー……ではなくバトルです! 本作はシリーズ共通の主人公・赤毛の冒険家「アドル・クリスティン」と、アドルと行動を常に共にすることになる少女「カージャ・バルタ」のW主人公制が敷かれています。

これまでのシリーズの多くでは複数のパーティメンバーがいたけれど、今回はアドルとカージャ、2人だけ。こう書くとキャラクター毎のアクションの幅が少なくなり、戦略性も狭まったと思ってしまいそうですが、逆に2人だからこそ全力で爽快スピーディーなアクションを楽しめるようになりました。
バトルは2人のどちらかを操作する「ソロモード」、2人が同時に同じ動きを取る「コンビモード」の2種類を切り替えて行います。2つのモードは指定のボタンを押すだけで切り替わるため、タイムラグが一切発生しません。またプレイアブルキャラクターの切り替えも、交代ボタンを押すと瞬時に行えるのでストレスフリーです。

基本的には、手数を増やせるのがソロモード、大きな攻撃を与えられるのがコンビモードといった感じ。強力な技「スキル」を発動するには「SP(スキルポイント)」が必要になるのですが、SPはアドルとカージャそれぞれで別のため、常に2人を切り替えて戦っていくと、スキルを休む暇なく連発することだってできるのです。
そしてコンビモード時は通常攻撃を集中的に2人で叩き込んだり、1人だと防げない敵の強攻撃を2人でガードできたりします。コンビモード時に攻撃を防げば防ぐほど、「リベンジゲージ」というものが上昇。ゲージが溜まった状態で2人一緒の大技「コンビスキル」を発動すると、通常の何倍ものダメージを与えられます。

一気に特大ダメージを与えられることは手強いボス戦で特に重要になるので、相手の攻撃はとにかくガードしておくことがオススメ。あまりに強い攻撃だとガードが崩れることもあるものの、ガードに制限時間はないため、敵の動きを見極めるまではずっと身を固めていてもOKです。
よくアクションゲームだと“避けるが勝ち”な避けゲーとなりがちですが、本作はいうなれば“受けゲー”でしょう。ジャンプやダッシュで回避するのも良いけれど、その場に居るだけで攻撃を防げてメリットもあるコンビガードは、アクションが苦手なプレイヤーにも遊びやすい仕様になっています。

◆1人1人に個別ドラマがある―多彩な船員たちが織りなす海洋冒険譚
爽快なバトルを語ったところで、いよいよストーリーを見ていきましょう。本作は、大海原「オベリア湾」を帆船「サンドラス号」で航海しながら島々を渡り歩いていく冒険譚です。行動を共にする船員たちは、行く先々でどんどん増えていきます。

そして筆者がストーリー面で感心しているのは、いわゆるレギュラーキャラクターである乗船メンバーたちが多いのに、その誰もに個別のドラマが用意されていること。『イース』シリーズといえばキャラクターのドラマも見どころですよね。
若者から親世代まで、幅広いキャラクターたちが親子や幼馴染の関係性を変化させていき、冒険を通じて成長した姿を見せてくれます。アドルは元々達観した面もあるので、相棒のカージャや周囲のキャラクターの成長っぷりがより際立つのかもしれません。

なお本シリーズは毎回アドルが主人公のナンバリングタイトルですが、続き物ではなく実際には“1本完結型”なので、これまでの作品を遊んでいなくても全く問題ありません。
今回のアドルは17歳で、直近の『イースVIII-Lacrimosa of DANA-』『イースIX -Monstrum NOX-』と比較するとかなり若い設定。時系列は『イースI』『イースII』の後、『イース セルセタの樹海』の直前となっています。アドルくんは若い頃から本当にしっかりしていますね!

◆大ボリュームの追加エリア「エーランド島」がアクションRPGの面白さを倍増
そしてスイッチ2になった『イースX -Proud NORDICS-』の大きな追加要素が、新規ストーリーを伴うエリア「エーランド島」です。これまで述べた内容は全てオリジナル版にもあった要素ですが、新規コンテンツこそが本作の持つアクションRPGとしての面白さを上昇させています。
エーランド島は、ストーリー中にいつ訪れても良い超巨大な新ステージ。さすが目玉の追加要素になっているだけありとにかく広大で、そこで繰り広げられるバトルやフィールド攻略の歯応え、そしてストーリーはプレイ時間をオリジナル版からプラス10時間以上は増やしてくるようなボリュームでした。

エーランド島ではフィールド攻略にパズル的なエッセンスを加える新アクション「マナホールド」や、無限に遊べるエンドコンテンツのチャレンジダンジョンなど、オリジナル版やり込みプレイヤーであればあるほど腕が鳴る追加要素が凝縮されています。もう一度プレイする価値は十分にあるでしょう。

強いて言うならば、追加キャラクター「カヌート・ガムレー」「アストリッド・ゼーレン」の掘り下げがもう少し欲しかったかなといったところでしょうか。
ちなみに若干のネタバレを含みますが、新規ストーリー中には“次回作を仄めかすワード”も飛び出します。10作目がこんなに面白いわけですし、『イースXI』にも期待が高まる一方です!

ニンテンドースイッチ2向けに装いを新たにした本作は、『イースX -NORDICS-』を遊び尽くした冒険者も、『イース』シリーズ上級者も、そしてシリーズ初プレイの方も、誰もが遊んで満足感のあるアクションRPGに仕上がっていました。そんな『イースX -Proud NORDICS-』は、ニンテンドースイッチ2向けに発売中です。
いよいよ目前となった9月19日には同じ日本ファルコムの看板タイトル『軌跡』シリーズより、第1作目のフルリメイク作『空の軌跡 the 1st』も発売するので、2025年の残り数か月は本作と共に遊び尽くしちゃいましょう!
Game*Spark レビュー 『イースX -Proud NORDICS-』ニンテンドースイッチ2 2025年7月31日
『イース』シリーズとアクションRPGの決定版はこれ!
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GOOD
- 爽快でストレスフリーなバトルシステム
- 充実したキャラクタードラマ
- 大ボリュームの追加コンテンツ
BAD
- 追加キャラクターの掘り下げは少なめ
¥8,580
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













