『ゴースト・オブ・ヨウテイ』開発者にインタビュー。表現したかったのは「日本の北の果てで起こる、時代の変動を迎える物語」【国内合同取材】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

『ゴースト・オブ・ヨウテイ』開発者にインタビュー。表現したかったのは「日本の北の果てで起こる、時代の変動を迎える物語」【国内合同取材】

「北海道を舞台にした日本製“西部劇リメイク”」も参考にされていたそう。

連載・特集 インタビュー
『ゴースト・オブ・ヨウテイ』開発者にインタビュー。表現したかったのは「日本の北の果てで起こる、時代の変動を迎える物語」【国内合同取材】
  • 『ゴースト・オブ・ヨウテイ』開発者にインタビュー。表現したかったのは「日本の北の果てで起こる、時代の変動を迎える物語」【国内合同取材】
  • 『ゴースト・オブ・ヨウテイ』開発者にインタビュー。表現したかったのは「日本の北の果てで起こる、時代の変動を迎える物語」【国内合同取材】
  • 『ゴースト・オブ・ヨウテイ』開発者にインタビュー。表現したかったのは「日本の北の果てで起こる、時代の変動を迎える物語」【国内合同取材】
  • 『ゴースト・オブ・ヨウテイ』開発者にインタビュー。表現したかったのは「日本の北の果てで起こる、時代の変動を迎える物語」【国内合同取材】
  • 『ゴースト・オブ・ヨウテイ』開発者にインタビュー。表現したかったのは「日本の北の果てで起こる、時代の変動を迎える物語」【国内合同取材】

PlayStation Studios傘下のSucker Punch Productionsが手がける新作アクションアドベンチャー『Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』が、2025年10月2日(木)にPS5向けに発売されます。

『Ghost of Yōtei』関連記事はこちら!

前作『Ghost of Tsushima』で圧倒的な世界観と革新的なゲームプレイを披露した同スタジオが、今度は17世紀の北海道・蝦夷地を舞台に新たな侍の物語を描きます。 時代設定も鎌倉時代から江戸時代へと大きく変化し、開拓時代の北海道という地で展開される活劇は、シリーズの新章として大きな注目を集めています。

今回の記事では、『Ghost of Yōtei』のクリエイティブディレクターを務めるジェイソン・コネル氏(以下、コネル)に実施した2メディア合同オンライン取材の様子をお届け。自然から受けたインスピレーションやアイヌ文化を尊重した表現やビジュアルについて伺いました。


―― 『Ghost of Tsushima』発売から現在に至るまで、さまざまなメーカーが「オープンワールドゲーム」や「歴史を取り扱うゲーム」を進化させてきました。『Ghost of Yōtei』を待ち望むファンには、今作の世界でどのような「進化」を感じてもらいたいと考えていますか。

コネル 『Ghost of Tsushima』は、オープンワールドを駆け巡って遊ぶ自由さが特長的であったと思います。『Ghost of Yōtei』においてもその「自由さ」は楽しんでもらいたいのですが、さまざまな新しい試みを取り入れています。例えば、メニューに「仲間」の項目を配置することで、物語に登場した仲間をすぐに確認できるようにしました。また既存のジャーナルページを削り、マップ画面で情報が完結するようになっています。クエストの手がかりが分かるように、画面にカードのような形で表示されるなど、ユーザーフレンドリーなインターフェイスを取り入れることによって、より快適なオープンワールド体験を楽しんでもらうという狙いがあります。

また、アートスタイルにおいても、前作を継承しつつ拡張を試みました。オープンワールドは更に美しく広大さを感じられるようにブラッシュアップしてます。自然、景観の美しさもそうですし、狼や馬と一緒に駆け巡るインタラクティブなフィールドも没入感を高めるよう設計しています。

最後に戦闘についてですが、今作では武器の種類が増えました。また、落ちた武器を拾って相手に投げたり、相手の武器を落とさせたりといったシステムも取り入れています。これらの新しい試みによって、旧作プレイヤーはもちろん新規プレイヤーも楽しめるような体験を目指しました。

――前作の主人公・境井仁の刀は「嵐」をモチーフにしていました。今作では「篤」の衣服や刀剣などの意匠に狼が取り入れられています。これには、どのようなテーマや意味が込められているのでしょうか。

コネル 『Ghost』シリーズには“自然”からインスピレーションを得ている側面があります。もちろん封建時代の日本の建造物や衣服など、人工物のロマンも取り入れながらですが、『Ghost of Tsushima』においては誘い風の表現や対馬の自然に注目しました。そして今回、北海道を舞台にすると検討した段階で、特に興味深く感じたのが“エゾオオカミ”です。エゾオオカミは現在絶滅してしまっているのですが、その狼を作品に取り入れたいと考えました。

そして、ただ取り入れるだけでなく“篤のシンボル”にもしたかったのです。今作でエゾオオカミは彼女のシンボルでもあり、彼女の家族にとっても象徴的になるよう取り入れています。刀に込められた意匠が何を表すかについては、ぜひゲーム内で確かめてみてください。絶滅してしまったエゾオオカミをゲームで表現すること自体に価値がありますし、篤のアイデンティティともマッチするようなシンボルとして取り入れています。もちろん「もののけ姫」のような、他作品から影響を受けたという側面もあります。

――本作が持つ「復讐譚」「賞金首」といったテーマやトピックから“西部劇”を強く想起しました。 篤は関ケ原帰りであるという設定ですが、「南北戦争に従軍経験のある流浪のガンマン」と重なるようにも感じます。日本文化や時代劇のみでなく、西部劇をはじめとする他のコンテンツから受けた影響があれば、お聞かせください。

ワーナー ブラザース 公式チャンネルより

コネル 作品を作っていくなかで、多数のコンテンツから影響を受けました。時代劇でいえば黒澤明監督の「用心棒」など、浪人が事件に巻き込まれていくものの影響を受けています。最近では「許されざる者」の日本版リメイクから、これまで観た“日本の作品”とまた異なる刺激を受けました(「許されざる者」の原作はハリウッド映画の西部劇)。日本版「許されざる者」の影響で、今作では我々の時代劇愛を表現すると同時に、北海道の景色的な特徴を取り入れたいとも感じました。北海道の山や城も含め「復讐劇に上手く組み合わせる試み」へのモチベーションが高まりました。「日本の北の果てで起こる、時代の変動を迎える物語」というものを表現したかったのです。

――「イチョウの葉」を意匠として取り入れた理由について、お聞かせください。

コネル 先程の「自然からインスピレーションを受けている」という話ともつながります。私がよく受ける質問に「篤のテーマカラーはなぜ黄色なのか」というトピックがあります。北海道の自然や植生を見ていく中で、イチョウについて調べていくと、実はイメージと裏腹に強靭でタフな部分があるということを知りました。その強さを篤と重ねられる部分があると感じたため、イチョウの黄色を篤のテーマカラーに取り入れました。ロゴにおいても、同じく黄色をテーマカラーに採用しています。

――日本の史実を取り扱う中で、チーム内で特に集中的に議論したポイントはありますか。キャラクターの造形、シナリオ制作、セリフなどを問わず「特にこの箇所では協議を重ねる必要があった」というトピックをお聞かせください。

PlayStation.Blogより

コネル たくさんありますが、ここではひとつ紹介します。今作はアイヌの方とコミュニケーションをとって開発してきました。アイヌの方と現地で交流したり、私達のゲームで目指しているものについて話し合ってきました。実際に山に行ってキノコ採りなどのフィールドワークもしましたし、アイヌ文化にまつわる表現や台本のチェック、監修も行っていただきました。ゲーム内で適切にアイヌ文化を表現しているか、という相談も重ねています。アイヌの衣装に関しても美しいものがたくさんあり、いっぱい取り入れたかったのですが、アイヌの方にとって不本意に感じる形で取り入れてしまっては良くないですからね。ですので、今作のアイヌの衣装に関しては、実際にアイヌの方にデザインしてもらい、それをスキャンして取り入れるなどしていました。

――羊蹄六人衆の仮面のモチーフには、なぜ「鬼」や「蜘蛛」といったものが選ばれているのでしょうか。

コネル 先ほど述べたように、今作は自然からのインスピレーションをたくさん受けましたので、羊蹄六人衆も自然がモチーフになっているものが多いです。そのキャラクターがどのような性格とバックグラウンドを持つのかうまく語るために、まず「名前の印象」で伝える必要がありました。ネタバレに繋がるため詳しくは割愛しますが、「蛇」であれば“信用できない、ずる賢そうなもの”というイメージがキャラクターに反映されています。

――本日はありがとうございました。


『Ghost of Yōtei』は前作の成功を受け継ぎながらも、更に進化した意欲作です。筆者はすでに本作のレビューコードをソニー・インタラクティブエンタテインメントより受領していますが、強く感心させられるお話を聞かせてもらえました。

本作では17世紀の北海道という時代設定により、武士道の終焉と新時代の到来という歴史的転換点が丁寧に描かれます。幼い頃に家族を殺された武芸者「篤」という新主人公を通じて語られるストーリーは、どのようにプレイヤーの心を掴むのでしょうか。

『Ghost of Yōtei』は、PS5向けに2025年10月2日より発売予定です。


編集/書き起こし:キーボード打海,ライター:文章書く彦

編集/「キーボードうつみ」と読みます キーボード打海

Game*Sparkの編集者。『サイバーパンク2077 コレクターズエディション』を持っていることが唯一の自慢で、黄色くて鬼バカでかい紙の箱に圧迫されながら日々を過ごしている。好きなゲームは『恐怖の世界』。

+ 続きを読む

ライター/「ラジオ善意X」聴いてね 文章書く彦

好きなガンダムは∀ガンダム、好きなマンガはレベルE、好きな映画監督はポール・トーマス・アンダーソン、好きなゲームジャンルはオープンワールドものとローグライク(ローグライト)、好きな昆虫はカマキリ、好きなバンドはFUGAZI、好きな作曲家は浜渦正志、好きな小説家はカート・ヴォネガット・ジュニアと舞城王太郎、好きなラッパーはポチョムキン、好きな焼酎は鳥飼、好きなルフィが言ってない言葉は「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!(ドン)」、好きな笑い男が書いてた言葉は「or should I?(だが、ならざるべきか?)」。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top