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小島秀夫監督『MGS V: GZ』インタビュー ― 「ゲーム本来の面白さを見つめなおす」

先日レポートをお送りした『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES(メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ)』(以下MGS V: GZ)メディア向け体験会から翌日、都内で株式会社コナミデジタルエンタテインメントの小島秀夫監督の国内メディア向けインタビューが行われました

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先日レポートをお送りした『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES(メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ)』(以下MGS V: GZ)メディア向け体験会から翌日、都内のKONAMI本社ビルにて、株式会社コナミデジタルエンタテインメントの小島秀夫監督の国内メディア向けインタビューが行われました。

このインタビューでは、これまで語られてきた作品のコンセプトに加えて、FOXエンジンについてや、『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER(メタルギア・ソリッド・ピースウォーカー)』(以下MGS: PW)からの手法の変化、本篇となる『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN(メタルギア ソリッド V ファントムペイン)』(以下MGS V: TPP)についても触れられており、今後シリーズがどこに向かっているかも見渡せるものとなっています。

なお、シリーズ過去作や『MGS V: GZ』に関する多少のネタバレが含まれているので、ご注意ください。



――『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の序章としてリリースされる本作で、表現したかったことはなんですか?

FOXエンジンを開発する際、従来では表現するのが難しかった部分を、テスト的に制作していたのが本作です。広大というほど大きいマップではありませんが、一本道ではなく、その空間に広がりがあり、自分が自由に戦略を組み立てられます。その戦略によって毎回展開が変化するといった、「何度でも遊べる、本来ゲームが持っている、インタラクティブ(相互に影響し合う)的な面白さを、『MGS』でもう一度見つめなおそう」というのと、ビジュアル的には発展途上ですが、光の演出など、そろそろやろうと思っていた事をやりました。

本篇『MGS V: TPP』は沢山の拠点があり、マップもかなり広大で、もたもたしてると時間が経過し、太陽の昇り沈みがあります。なので、いきなりそこに放り込まれると、どうしていいかとまどうプレイヤーもいると思いますから、『MGS V: GZ』は時間の変化もなく、天候も変わらず、簡単なミッションをやっていただき、仕組みを理解するという形で本作があります。サブタイトルが『GROUND ZEROES』という複数形なのは『MGSV:GZ』で彼ら彼女たちに起きたことに起因にして、その後それぞれの報復讐劇が始まります。

――今回コントローラーの操作レイアウトが若干変化したのは何故ですか?

コントローラーの形に沿って、トリガーボタンを使用しやすい操作系にしました。『MGS』の操作系は独特であったので、従来作をプレイしてきたユーザーは、今まで通り受け入れられて来たのですが、『MGS4』ぐらいから他のゲームの操作に慣れたユーザーにとって操作しやすくする要求が目立ち始めたので、他のFPSやTPSをプレイしてきたユーザーがスグ受け入れられるように変更したためです。操作系の○ボタンXボタンのアクションなど様々な議論がありますが、最終的には本作の形になりました。但し、複数の操作タイプを用意していますので、自分にあったタイプを選んでいただければよいと思います。



――本作の舞台設定が『MGS: PW』の後なのはどうしてですか?

自分の中ではソリッド・スネークの物語は『MGS4』で終わりというのもあり、ネイキッド・スネーク(ビッグボス)の初代『METAL GEAR』へ至る過程を描いてなかったからです。『MGS3』開発の時、舞台設定が1964年なので、なんとなく10年刻みで制作しようと思ったからのもあります。『MGS: PW』が1974年、プロローグである『MGS V: GZ』は1975年。本当にやりたかったのは1984年、ジョージ・オーウェルの「1984年」だったので、本篇に当たる『MGS V: TPP』はそれに向け1984年にしました。

――2011年にFOXエンジンが発表されてから、このエンジンはどのように発展しましたか?

FOXエンジンは描画だけではなく、ツールやライティング、物理演算も含めた総合的な物です。2011年当時発表したジャングルのシーンは、あの時点で出来ていたグラフィックでした。『MGS V: GZ』や、『MGS V: TPP』のフィードバックからツールをブラッシュアップを繰り返しているので、使い勝手が良くなり更に発展していく予定です。一本完成してからでないと、分からない使い手の意見もあるので、コミュニケーションをやり取りしながら改良し、処理など軽くなっていくと思います。

他の会社のエンジンは思うようには使わせてもらえなく、結局ブラックボックスでしか貰えなくて、中身がわかりません。中身を一緒に作っている会社のタイトルは、自分達の要求をエンジンの開発チームに伝えるので、クオリティが高くて当たり前なんです。僕らがそれを買っても、僕らの欲しいツールを作ってもらえないので「積み木を渡されて、積むだけ」という形になってしまいます。仕方がないので、自力で創るしかなかったのです。



――これまで反戦・反核がこれまでの軸でしたけど、今回は報復讐劇が一つのテーマなんですが、小島監督の考えられる報復讐劇というのはどのようなものですか?

自分が伝えたいテーマとして反戦・反核で二十数年ずっとやってきましたが、世の中はあまり変わらず、テーマを理解してもらうためには映像表現だけでは、あまり得策ではないので『MGS: PW』から手法を変えました。『MGS: PW』は自分達で国を作るようなもので、基地を拡張していきます。最終的に自分達が襲われる危険性があるので、そのために軍備を増強していき、その究極の形が核を持つことです。『MGS: PW』は最終的にスネーク達が核を持ったことで終わります。



今まで核兵器がいけないと繰り返して来ましたが、それだけでは伝わらないので、自分達でゲームをプレイした上で間違った考えではありますが、「銃ってこういう世界で必要なんだ、核ってそういうことなんだ」というのを考えてもらおうと思いました。しかし、その先は恨みや、「やられたからやりかえす」という報復の連鎖が繰り返し、戦争に発展する、という基本の部分をユーザーに体験してもらいます。基地が崩壊し、スネークといった登場人物たちが悲惨な目に会うという状況を体験してもらい、憎悪を感じて「その先どういうプレイをするか」というのを実際に、プレイヤーがミッションをこなしながら感じてもらうという形となっています。

「誰が悪いのか」あの時点では、なんとなくしかわかりませんが、相手はともかく、あそこまでされると世界に対して復讐をしたいというところで、プレイヤーはノーキル・ノーアラートが出来るように成長しているため、そこからどうするかユーザーが決めていくという感じです。

――本作で、スネークの目的は“チコ”と“パス”の救出なんですが、例えば「鍵が掛かったドアを、専用の鍵で開ける」といったゲーム的な遠回りが、本当にないのはなぜですか?

鍵を開けてるスネークはプロなので、「鍵を見つけてきて開ける」ことはありません。解錠してる時間は、ゾンビ映画であるような、鍵が掛かったドアをこじ開ける緊張感を出したかったのもあります。開かない扉があるのは、メモリの関係によりますが、「カードキーを見つけてくる」というのは「お使いにすぎない」というのもあります。



“チコ”と“パス”に関して、海外の人に良く聞かれますけど、海外ではPSPの『MGS: PW』をやってる人があまり多くありませんでしたので、「誰なのか」というのをよく質問されました。僕は『MGS V:GZ』から入ったひとは、それでいいと思います。情報量が前から『MGS』をやってる人と、『MGS: PW』をやってきた人で全然違うので、それこそ『MGS: PW』を何百時間をやってた人は『MGS V:GZ』のエンディングシーンで泣く人もいると思います。そこは「経験」なので、プレイしていなくて、そこで何とも思わない人がいてもいいと思います。



メインミッションは“チコ”という男の子、“パス”という女の子、その両者を助けるだけなので、キャラの背景を知らなくても別にいいと思います。囚われた姫君を助けるゲームに、その姫の背景を説明する描写は一切ないからです。女の子と、男の子を助けに行く。ただそれだけなのですが、その途中で色々な会話を聴き、テープを聴いていくと、知らない人もそのキャラの背景がわかってくるので感情移入が出来る、というのを狙っています。特に『MGS: PW』をやってた人は“チコ”や“パス”というだけで、その情景が思いだされると思います。

情報量が違うという前提として、キャラではなく自分自身(=スネーク)としてプレイしていきます、その過程でスネークが背負ってる物がわかってくるという形になってます。

――本作の攻略方法のひとつで、鍵を開けて入る施設へ行くというのがありますが

プレイヤーが戦略的に行う人もいますが、「たまたま開けて行ったらあって」という僥倖(ぎょうこう)的な発見の喜びがあります。あれをレールゲームにすると、必ずどこかでカットシーンが入って、情報を集めながら絶対に通過しなければいけません。それはそれで面白いと思いますが、攻略法は自分で発見して欲しいですね。

――今回、様々なバリエーションのサブミッションがありますが、どういう狙いがありますか?

本作は小さいオープンフィールドというのを意図的にしています。『MGSV:GZ』では時間も天気もリアルタイムに変わりませんが、ただ同じエリアでも、天気が変わるとどれだけ違うというのを、それぞれのサブミッションで知って欲しかったんです。本篇の『MGS V: TPP』では時間がリアルタイムに変化しますから、のんびりしていると太陽が昇り、朝方とか夕方とか視界の違いが体験できます。夜は視界がどちらも悪いため、敵に発見される距離は短くなりますが、昼間はとても良く見えるので変わります。そういうのを体験して欲しいです。



――今までは超人的なボスみたいなものが出てきましたが、そういうのは『MGS V: TPP』で登場するんですか?

確かにボスは存在しますが、広大なマップなので会わない事もありえますし、もちろん従来のような閉鎖空間でのイベントのようなボス戦もあります。今回のボスは“凄い”のが出てきます。ボスは『MGS』では特殊部隊、『MGS2』ではソリダスといったアメコミ的なキャラクターで、次の『MGS3』では怪人、『MGS4』ではビューティー&ビースト(美女と野獣)、『MGS: PW』ではAIと続きましたが…、ここから先はネタバレになってしまうので、まだ言えないです。

――ありがとうございました

《G.Suzuki》

ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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