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【Indie Japan Rising】フリーゲームで培われた「ノンフィールドRPG」という美学―ストイックな高難易度RPG『AC/DC』

ゲーム文化 インディーゲーム


illustrated by tac_tis  


国内のインディーゲーム開発者にインタビューを行う本企画。今回はSpace not far
の巫女瓜氏にノンフィールドRPG『AC/DC』についてうかがった。

エンターブレイン主催のコンテストパークの受賞歴があるなど、巫女瓜氏はフリーゲームを中心に制作してきたクリエイター。様々な方に焦点を当ててきた本企画だが、フリーゲームを中心とした制作者を取り上げるのは初となる。そして言うまでもなく、RPGツクール製を含むフリーゲームの世界は、日本のインディーシーンを語る上でも避けては通れない。

『AC/DC』は2012年の夏のコミックマーケット(C82)で発表された作品。フリーゲームをリリースしてきたSpace not farの有料作品としては2作目に当たる。マップやフィールドといった要素を切り落とし、戦闘に特化したストイックなRPGだ。プレイヤーは荒廃したOSCという世界の中を、AC(Angelic code)とDC(Diabolic code)という双子のキャラクターを切り替えて1歩ずつ進んでいく。限られたリソースをステータスに割り振り、ドロップアイテムを鑑定し、立ちふさがる敵を慎重に倒していく。

叙情的なBGMと暗い雰囲気が印象的な高難易度RPG。


ちょっとした決断が死につながるシビアさは、ハクスラ系RPGのハードコアモードに似た緊張感がある。その難易度の高さから、1年後のコミックマーケットで巫女瓜氏自身が攻略本をリリースしたという逸話さえある。ただ難易度が高いだけではなく、フリーゲームの世界で培われたRPGの美学、サイバーパンクな世界観、シュールなビジュアルと設定など特筆すべき点は多い。

今回は特に、フリーゲームの制作者としての経歴、ノンフィールドRPGという特異なジャンルについて、有料のゲームへ挑戦したことによる心境の変化について語ってもらった。なお私事であるが、本インタビューは2013年の9月に行ったが、筆者の体調とスケジュールのために公開が非常に遅れたことをこの場をお借りしてお詫びさせていただきたい。

チラシの裏からインターネットへ――創作環境の変化


ダークかつシュールでストイックなRPG。


Game*Spark:
今回、お話を聞かせていただくSpace not farの巫女瓜さんは主にフリーゲームの世界で活躍されてきた方ですが、『AC/DC』は2012年の夏コミでリリースされ、現在はダウンロード販売もなされています。そのため、どういった経緯でフリーゲームを作り始め、販売もするようになったかお聞きしていきたいと思います。

巫女瓜:
本当に最初期の頃はチラシの裏でゲームをつくっていました。

Game*Spark:
チラシの裏ですか(笑)。

巫女瓜:
紙に書いていたのです。幼稚園か小学生の頃で、まだ創作とは言えないようなものでした。89年生まれで、スーパーファミコンで育った世代です。『ドラゴンクエスト5』や『トルネコの大冒険』などを遊んでいました。当時はチラシの裏に架空のキャラの能力やステータスを書いていましたね。攻略本を読むのも好きだったので、架空のゲームのデータ集みたいなのを作っていました。

Game*Spark:
わかります(笑)。

巫女瓜:
平たく言えば「黒歴史ノート」(笑)。

Game*Spark:
ゲーム好きなら誰しも通る道です。その頃からやはりRPGが好きだったのですか?

巫女瓜:
そうですね。RPGしかやっていませんでした。その後、小学生の頃、テレビでスーパーファミコン用の『RPGツクール SUPER DANTE』のCMを見たのです。それを見て親に買ってもらったのが、直接ゲームをつくるきっかけですね。中学生頃にはPlayStation向けの『ダンジョンクリエイター』というダンジョンRPGを作るツールで遊んだりもしました。

Game*Spark:
ゲーム以外の創作もやっていましたか?


子供の頃からゲーム制作に親しんできた巫女瓜氏。約10年に渡ってRPGツクール製のゲームを発表してきた。


巫女瓜:
小説などをネット上で公開したこともあります。

Game*Spark:
なるほど。ところでフリーゲームを作っている人にはインターネットって重要なものですよね。初めてインターネットに触れたのはいつですか?

巫女瓜:
中学生頃です。その頃はゲームを作ることはなく、ただエロい絵を探したりしていただけです(笑)。それ以外ではドラクエの二次創作小説を読んだり、投稿小説サイトに小説を投稿したり。当時はウェブリングというサイト登録サービスの最盛期で、ドラクエの二次創作のコミュニティがあり、そういったサイトを巡回してドラクエの小説をバカみたいに読みまくっていました。

Game*Spark:
その頃はゲームの制作には手を出していなかったのですか?

巫女瓜:
その時はまったくしていません。「PCでゲームを作る」という発想がまったくなかったんです。ただ中学の終わりくらいに『RPGツクール2000』の存在を知りました。Windows 98にPCを乗り換えたら、Vectorなどで遊べるゲームがあることに気付き、それらのゲームは当時、全盛期であった『RPGツクール2000』で作られていたんです。それで「自分でも作れるぞ」と思って、また制作を始めました。時々、2ちゃんねるのゲーム製作板のツクールスレに作りかけのものを投稿する形で発表もしていきました。

Game*Spark:
当時の2ちゃんねるは作品を投稿するとコメントや感想が返ってくるものだったのですか?

巫女瓜:
結構返ってきました。感想も概ね好評でした。2005年にファイルの公開場所用に現在のサイトを作りました。

Game*Spark:
ちなみに現在は、ゲーム制作以外で何をなさっているのですか?

巫女瓜:
在宅でライターのようなことをしています。ほとんど無職みたいなもんです(笑)。

Game*Spark:
ゲーム制作の時間はどれくらいありますか?

巫女瓜:
前にアルバイトしていた時は、9時くらいに帰ってきて、夕食を食べた後に作っていました。正直あれはかなり厳しかった。やはり、アマチュアとしてゲームを作るのはかなり厳しいですね。

Game*Spark:
では、今回の『AC/DC』はどれくらいの制作期間でしたか?


暗い雰囲気と共にどことなくポップなデザインのイラスト。


巫女瓜:
まず『AC/DC』では、テストプレイヤーを以外に協力してもらった方が2名います。作曲のsupplyさんという方、イラストの屠殺さんという方です。制作期間はRPGツクールのVXを使って、1年くらいかかりました。

Game*Spark:
他の方とはどこで知り合いましたか?

巫女瓜:
「WCG」(Writing Character Game)というジャンルのゲームで知り合いました。作ったキャラクターを投稿して戦わせるというゲーム大会のようなもので、オンラインで参加者を募集して行います。決められたリソースからステータスやスキルなどを編集してキャラクターを作るんですが、キャラクターのイラストを書いたり、テーマソングを作ったりする人もいます。そこに参加していた彼らと仲良くなったんです。

Game*Spark:
なるほど。制作メンバーもインターネット経由なんですね。

ノンフィールドRPG――フリーゲームの世界で培われた美学


マップという要素がないため、ストーリーはノベルゲームのように進む。


Game*Spark:
では、まず『AC/DC』を制作したきっかけを教えて下さい?

巫女瓜:
以前、ノンフィールドRPGである『よみがえれアルフレド』というゲームを作ったんですが、それをリメイクしようと思ったんです。

よみがえれアルフレド』はとてもシンプルなゲームで、「余命」という基本的なステータスを消費することで進めていきます。自分を鍛えたり、敵と戦ったり、技を使ったり、すべての行動を取るたび、この「余命」が消費されます。「余命」がゼロになると死んでしまいゲームオーバーですが、その前に50匹の敵を倒すとゲームクリアです。つまり、いかに余命を減らさずに敵を倒していくかというゲームです。

ただ『よみがえれアルフレド』は端的に言ってクソゲーでした(笑)。というのも、あまりにもバランスが酷くて、難しすぎたんです。たぶんまともな方法でラスボスを倒した人は一人もいないんじゃないかな(笑)。一応、クリア可能なんですが、ほとんど裏ワザのようなことをしないと無理です。

Game*Spark:
では今回、そのバランス面も調整したリブートというわけですか。


限られたリソースの分配という側面は前作から引き継がれた特徴だ。


巫女瓜:
そもそも、どうして作りなおそうかと思ったかというと、あまりにもゲームバランスが酷いのにもかかわらず、『よみがえれアルフレド』が思いの外、好評だったんです。それなら、バランスを整えて作りなおそうと思ったのが最初のきっかけです。ただ『AC/DC』の設定やストーリーは完全に新しいものになりました。

Game*Spark:
基本のゲームシステムはあったというわけですね。ところでこの「ノンフィールドRPG」というのは、おそらくフリーゲームの世界にしかなく、馴染みのない人もいると思います。こちらに付いて説明してもらえますか?

巫女瓜:
RPGはセーブしながらちょっとずつ進めていくものと考える人は多いと思います。しかしながら、『よみがえれアルフレド』や『AC/DC』が影響受けたゲームがそもそもそういったRPGとは違ったものなんです。具体的にはアンディー・メンテのライヂングスターシリーズやステッパーズ・ストップの『雪道』などです。やはりどれもノンフィールドRPGです。

ライジングスターシリーズは普通のRPGに近くて、マップはないんですが、ダンジョンを行ったり来たりして、経験値を稼ぎ、ボスを倒すのを繰り返すゲームです。単純にRPGからマップ要素を取り除いたと考えてもらえばよいと思います。

一方、ステッパーズ・ストップの『雪道』はもう少し変わっていて、かなりリソース管理的な側面が強いゲームです。ライジングスターシリーズと違ってダンジョンから引き返すことができないので、100歩あるステージを1歩ずつ進んでいくゲームです。

Game*Spark:
つまりマップなどの要素がなく戦闘とテキストだけで進むRPGというわけですね。こういったジャンルは、基本的にフリーゲームにしかないと思いますが、普通の商業ゲームよりもフリーゲームから強く影響を受けているのですか?


フリーゲームの中でも未だに語り継がれる名作『雪道』。


巫女瓜:
そうですね。やっぱりアンディー・メンテステッパーズ・ストップのゲームがなかったら、『AC/DC』自体も存在していなかったと思います。

Game*Spark:
それは非常に興味深いですよね。フリーゲームという世界で独特のゲームジャンルが誕生して、それが創作に強く影響を与えているという点。普通のRPGではマップやフィールドがあって、世界を探索できるのが魅力だと思います。それこそ古典的なJRPGにしろオープンワールドゲームでも「探索」がひとつの売りだと思うんですが、そういった場合、マップやフィールドを廃したノンフィールドRPGの魅力はどこにあるのでしょうか?

巫女瓜:
何よりも「マップがない」ということで、作者が楽できる(笑)。これはすごく良いことです。

Game*Spark:
(笑)。ユーザー側にとってはどうなんですか?

巫女瓜:
プレイヤーも余計なことを考えなくても良い。

Game*Spark:
それは戦闘などに集中できるということですか?

巫女瓜:
そうですね。かなりストイックなゲームになります。逆にRPGのマップの良さというのはやはり生活感や空気感をマップで表現できることだと思うんですよ。もちろん、そういった表現も自分は大好きですし、マップ自体はRPGの強みだと思っています。

Game*Spark:
なるほど。しかしながら、そういったマップを廃しながらも「RPG」を名乗る要素はどこにあるのでしょうか?

巫女瓜:
成長とリソース管理ですね。特に今回はリリース管理が重要です。『よみがえれアルフレド』でも、「余命」をどう分配するかというリソース管理の部分が重要でした。一方、今回の『AC/DC』の場合、「余命」に当たるのが「感情値」(EM)です。


常時バーサク状態のDCはNPCを殺害することも可能だ。


Game*Spark:
なるほど。様々なパラメータがある中、「感情値」が一番重要なリソースというわけですね。ステータスとして「感情値」というネーミングもなかなか個性的で世界観を表していると思います。他にもAC(Angelic code)とDC(Diabolic code)というキャラクターを切り替えて進むというシステムがありますが、そのあたりはどういった形で決まったのですか?

巫女瓜:
ACとDCの切り替えというアイデアは、双子を出したいという思いつきからです。双子を出すなら、プレイヤキャラクターを切り替える必要があるなという感じです。

世界観や設定などは正直、それほど筋道立てて考えたものではありません。ゲームデザインの特徴から、何度も主人公が死にながら、攻略するというストイックなものになることが分かっていたので、それに合わせる形で自然と世界観も冷たく陰鬱なものになっていきました。

マップがないことによって開かれるサイバーパンクな世界観

Game*Spark:
マップがないことによって、表現する世界観も変化しますよね。

巫女瓜:
なんか気持ち悪いSFです(笑)。

Game*Spark:
個人的に『AC/DC』の世界観には、サイバーパンク的なテイストが強いと思いました。ちなみに私がプレイしたことのある他のノンフィールドRPGもサイバーパンクっぽいものが多かったように思います。


コミカルな雰囲気もあるが、バックストーリーはいたってシリアスである。


巫女瓜:
そういった共通点はありますね。お互いに影響を受けているのだと思います。

Game*Spark:
あとマップがなくテキスト主体であるため、人間の内面に焦点を当てた表現が可能になると思うんですよ。もちろん普通のRPGでもそういった内面の語りはありますが、マップを廃することでより強調されるというか。

巫女瓜:
そうですね。小説的、ノベル的な演出が可能です。逆に内面的な表現とマップの存在は相性が悪いですね。

Game*Spark:
JRPGでは、内面や夢、記憶の世界のマップに入りこむといった演出も多くあったと思いますが。

巫女瓜:
それを突き詰めると『ゆめにっき』になります(笑)。逆にマップしかないようなゲーム。

Game*Spark:
あと海外のインディーゲームでは、記憶に侵入する『To the Moon』という作品もありますね。その点、ノンフィールドRPGは外の世界を冒険することよりも、自分の中の世界に没入するというサイバーパンクな世界観と相性がいいのと思います。

巫女瓜:
確かにそうもしれません。私は剣と魔法の世界観も好きですが、ただたまには違うものもやってみたかったのです。オーソドックスなマップ形式のRPGでは、剣と魔法の世界観が効率的で、ファンタジー的なフリー素材も多く利用できます。ですが、今回はマップを用意しなくていいぶん、これはSFですって言ってしまえば通ってしまいます。


死亡時に流れるメッセージはストーリーを読み解く重要な情報となっている。


Game*Spark:
黒幕となる「Old Sister」や「二重思考(ダブルシンク)」という設定はジョージ・オーウェル由来ですか?

巫女瓜:
そうですね。ディストピアSFが好きなので。

Game*Spark:
『AC/DC』では、そういった管理主義的なディストピアの中で、レジスタンスの双子が戦う話ですよね。ゲームのストーリー部分は、ステージクリアするごとに現れる、幕間の文章で表現されていますよね。

巫女瓜:
あれはフレーバーテキスト的な要素が強いです。基本的に主人公のACとDCも目的は、外の世界に出たいというシンプルなものなんです。なので、それ以上特に語るようなことはなく、テキストは味付け程度です。

Game*Spark:
それでもゲームの雰囲気にテキストの影響は強いですね。全体的に暗く後ろ向きな世界観。何度もゲームオーバーになるという難易度もうまく調和しています。

巫女瓜:
実際に、何度もゲームオーバーするのを前提としています。そして、ゲームオーバーになるということは、プレイヤーはどこかで詰まっているというわけなので、死んだタイミングでTIPSがアンロックされます。また物語の設定も色々あったんですが、それをゲームプレイの中で開陳すると、尺が長くなってしまいます。なので、どうせ何度も死んで繰り返しプレイするんだったら、ゲームオーバー時にストーリーを公開すればいいかなと。


ゲーム中のメッセージはテキストファイルの形で出力される。この点も『雪道』の影響を感じさせる。


Game*Spark:
なるほど、ゲームの内部にテキストを入れるというよりも他で閲覧できると。

巫女瓜:
ああいう形でテキストを使うと後で繰り返して読むこともできる。かなり散文的な内容なので、1回しか読めないようにしてしまうと何がなんだかわからないと思うんですよ。だからストーリーに関わるテキストも資料的として閲覧できるようにしています。あと死んでも最初のプレイが無駄にならないという点。死ぬことやゲームオーバーは無駄じゃないというメッセージがあります。

Game*Spark:
それはすごく感じました。死んだ話も全体のストーリーにとって重要なエピソードとして描写されているというのはかなり特徴的でしょう。やり直しするのが話の中に作られている。ラスボスでは死んだ回数がパラメータになりますしね。

巫女瓜:
死んだ回数が決して無駄にはならなかったというのはやりたかったんですね。おそらくラスボスに関して、数十回は死んでいるので、そこまで攻略において重要な要素にはなりません。ただ死んだ回数が数値として利用されているということを伝えたかったです。

Game*Spark:
死ぬことで世界観を少しずつ理解していくのは、面白いですね。ボスの設定はどういうアイデアからですか?

巫女瓜:
ボスキャラに関してはとにかく趣味の悪いものにしました。EXボスのセプテントリオンに関しては、大雑把なステータスとか設定とかを指示してイラストの屠殺さんに一任しています。このボスは脆いからボロそうな見た目にしてとか、いわゆるパルプフィクション的な古くて安いSFみたいな感じのデザインにしてくれと頼みました。

Game*Spark:
武器やアイテムの名前もシュールですよね。

巫女瓜:
あれはとにかくランダムに前半と後半を組み合わせて作っているんです。ああいう意味のない名前が出るのが好きなんです。未識別名に関しては、無機質な世界観なので逆に叙情的なものにしようとしました。希望とか過去とか夢とか抽象的な名前が多いです。感情が規制されている世界なので、そういったものを未識別名にするのはそぐわしいかなと。


アイテムは初取得に鑑定する必要があり、収集要素としても楽しめる。


Game*Spark:
その点、音楽も非常に叙情的ですよね。

巫女瓜:
音楽は先ほど述べたsupplyさんに頼みました。最初から2、3曲くらいしか使わないことは決まっていたので、メインテーマは飽きないものを作ってもらいました。

Game*Spark:
メインのテーマというのは、ACとDCのテーマってことですか?

巫女瓜:
ACの方です。通常のプレイはACで攻略していくことが多いので。

Game*Spark:
あと細かい音楽の演出ですが、ゲームオーバーになっても曲は変化せずに流れ続けるのもいいですね。

巫女瓜:
そうですね。なるべく繰り返しのプレイがシームレスになるように、できるだけ苦にならないように心がけました。情報集めのための捨てプレイを強いることはしたくなかったです。

Game*Spark:
あとレベルアップ時にはボイスが流れますよね。

巫女瓜:
あれはチャットで話をしているとき、「レベルアップする時ボイスを入れたいな」と言っていたら、勝手にボイスがアップロードされてきたんです。暇そうな人が勝手に作ってくれたので、それを使いました。

Game*Spark:
(笑)。

巫女瓜:
とりあえずあったから使ってみた。正直、そういった部分はあんまり徹底しているとは言い難いですね。シュールといえば聞こえがいいですが。

Game*Spark:
そういった雑味や自由さはフリーゲームならではの雰囲気を残していますね。

「感想が来なくても気にならなくなった」フリーゲームから有償頒布へ

Game*Spark:
フリーゲームの世界で活躍してきた巫女瓜さんが、今回コミックマーケットで頒布したり、ダウンロード販売したりしたのはどうしてですか?

巫女瓜:
最初に有償頒布を始めたのは『グリムボルトDeep』です。ツクールのゲームを有償頒布する方が周りに出てきたので、前から有償頒布したいなと思っていたのです。ゲーム作ってお金貰えるなら、それは当然嬉しいので。

Game*Spark:
実際に有料頒布をしてみて、フリーで公開するのと何か違ったことはありましたか?

巫女瓜:
お代をいただくと感想が来なくても気にならなくなりました。

Game*Spark:
それは興味深いですね。逆に言えば、フリーゲーム制作者にとっての最大の報酬は、プレイヤーの感想ということなんですか?

巫女瓜:
やはり感想は重要です。否定的なコメントでもありがたい。フリーゲームを制作者は、何かしらの反応がないと、本当に虚無への供物になるので(笑)。

Game*Spark:
今回、有償でやって売れ行きとか評判はどうですか?


『AC/DC』は有償頒布のためにパーケージも制作した。


巫女瓜:
自分ではピンと来ないんですが、知人の意見では『AC/DC』は売れている方らしいです。パッケージ版はショップにおろしたものも含めて200部、ダウンロード版で50部くらい出ています。
(編注:インタビュー時の販売数です。)

Game*Spark:
フリーゲームと比べるとやっぱりプレイヤー数は減りましたか?

巫女瓜:
単純なプレイヤー数で言うと、当然減ったりしています。ただ感想くれるような熱心な方は、だいたい買ってくれるんですね。なので感想の数はそんなに変わってない。それ以上にお金を支払ってもらうってことは、最大のフィードバックだと思います。

Game*Spark:
フリーゲームの世界から同人誌即売会の世界に入っていくことで変化はありました?

巫女瓜:
ゲーム制作スタイルとしてはあんまり変わらない。締め切りができたことによって、一応焦ることはあります。これからもできれば1年に1本くらい出していきたいなって思っています。あとやはり買いに来てくれた人と直接触れる機会は確かに重要だったと思います。

Game*Spark:
海外の人にプレイしてもらいたいみたいなことは?

巫女瓜:
ちょっとおもしろそうだなとは思っています。ただまだあんまりピンと来ない感じですね。ただ『グリムボルト』は海外の人が翻訳していますね。

Game*Spark:
今後、作ってみたいゲームなどはありますか?

巫女瓜:
基本的には自分でプレイしたものを作りますよね。ほとんどのゲーム制作者がそうだと思います。商業ゲームでもフリーゲームでも遊んで、このゲームは面白くないなって思うと、それを作り替えたいと考えます。

Game*Spark:
やっぱり今後もRPGですか?

巫女瓜:
RPGが好きなので(笑)。

Game*Spark:
現在は仕事をしながらゲーム制作をしているというわけですが、何か大きな目標はありますか?

巫女瓜:
ないです。

Game*Spark:
(笑)。もうただ作りたいゲームを作るということで?

巫女瓜:
そうです。1年に1本作っていきたいです。

    ■著者 今井晋(いまい しん)


    1981年石川県生まれ。大学院でポピュラー音楽と美学について研究、非常勤講師をつとめるかたわら、音楽やゲームなどの様々なコンテンツに関して執筆している。ゲームに限らずコンテンツのインディペンデントでコラボレーティブな創作実践について関心があります。Facebookはこちら
《Shin Imai》

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