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【GC 14】『MGS V:TPP』パーティーレポートその1、小島監督トークショーとファンへのQ&A

gamescom初日、夜のケルンに貸しきられたドーム型の劇場にて『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』プレビューショーが催されました。小島監督自ら登壇したトークショーの様子をVIP招待席からレポートします。

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【GC 14】『MGS V:TPP』パーティーレポートその1、小島監督トークショーとファンへのQ&A
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ドイツのケルンで13日から開催されている欧州最大のゲーム見本市gamescom 2014。ビジネスデイとなる初日、夜のケルンに貸しきられたドーム型の劇場にて『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』プレビューショーと称したパーティーが催されました。小島監督自ら登壇したトークショーの様子をVIP招待席からレポートします。

Twitchでもライブ配信されていた本イベント。司会を務めたのは、Spike TVのGTTVホストでありゲームジャーナリストのGeoff Keighley氏。同日、gamescom会場ビジネスエリアでプレス向けに公開された『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』新デモの前半部分が、抽選で選ばれた一部のファンへ一足早くお披露目されました。残念ながらホール内は撮影禁止のため、会場入り口の写真しかお届けできません。

速報でもお伝えしましたが、その中で本作のSteam版発売決定もサプライズ公開。ゲーム内アイテムとして、頭に被れるPS4とXbox Oneの箱に加えて、バルブが取り付けられたSteamボックスを披露。観客のボルテージは一瞬にして最大に。拍手喝采の嵐に劇場内の熱気は一気に上がりました。蒸気噴出すユニークなダンボール箱は様々な局面で活躍するとのことです。



その後、突如謎の無線を受信。小島監督の「誰ですか」という関西弁まじりの応答に姿を見せたのは、なんとキーファー・サザーランド。『MGS V』からスネークのモーションキャプチャーと英語版の音声を担当しているハリウッド俳優です。劇場中央の大型モニターからファンへ向けてのビデオメッセージを送りました。観客のテンションをさらに盛り上げたところで、小島監督とファンによるQ&Aセッションを実施。フェイスブックやツイッターを通して寄せられた質問に監督自ら一問一答で回答しました。

FOXエンジンを使ってリメイクしたいゲームは何ですか」という質問に対して、リメイクは本意ではないが、もしやるならソリッド系譜の1作目『メタルギアソリッド』であると返答。「猿の惑星」といった映画のリメイクを例に挙げ、1作目を新たにアレンジすることへの情熱を語りました。

次に「スカルフェイスというキャラクターは何からインスパイアされて思いついたのですか」という質問。元ネタについて直接的な回答はありませんでしたが、言葉も顔も奪われた悪党に基地や仲間も奪われたスネークが復讐に燃える内に、自らも骸骨へと変貌していくというプロットを種明かし。『MGS: PW』におけるスネークの部隊章がドクロであることに触れ、スカルフェイスへの復讐を通してビッグボス自らもスカルと化し、最終的には骸骨がモチーフであるアウターヘヴンの創造に繋がるという経緯を説明しています。

さらに、去年のE3でキーアートとしてレントゲン写真を用いたことに言及。本作のテーマが異なる人種の争いであることを踏まえた上で、レントゲンを通してみれば人間に顔や色の違いはないというメッセージを持たせたかったと語っています。スカルフェイスという人物を描写するにあたっても、そうした想いを込めてデザインしたとのことです。

続いて、「これまで制作したメタルギア作品の中で最も楽しめたのは?」という質問に対して過去を回想。制作タイトルにはその都度エキサイトしているが、特に印象深く残っているのはスネークの系譜第1作『メタルギア』とのことです。周りから理解されず反対されながらも形にできたゲームなので特別な想いがあると、制作当時を振り返りました。その他、メタルギアシリーズ以外では『ボクらの太陽』をピックアップ。メタルギア同様、内外からの反対を乗り越えた大きな挑戦だったとのことです。



ゲーム制作以外の質問も登場。「映画の主演を務めるならどの作品に出たいか」という質問が投げかけられると、「僕はお喋りなんで、無口なキャラクターがカッコいいと思ってます。ほとんど喋らないキャラがいいです」と回答。自身とは異なる性格の役柄に興味があるようです。映画「マッドマックス2」のメル・ギブソンを例にあげ、台詞が少なくてもキャラが立っていることを評価。『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』におけるスネークもそれに近い存在であるとして、喋らせずに物語をいかに引っ張るかが大きな挑戦だと意気込みを語っています。

司会者が映画「マッドマックス」についてさらに触れると、「10回以上観た」と小島監督。「僕はあの映画のゲーム作りたいんです」「誰も声をかけてくれない」と通訳の声を掻き消すようにヒートアップ。自身の半分が映画でできていると語るほどの情熱をあらわにし、思わず会場からは笑いが飛び出しました。

間髪入れずに投げかけられる次の質問は、「作品制作に疲れたときはどうやってモチベーションを保っているのですか」。これに関しては司会者自らも興味を示し、常に世界中を飛び回る小島監督を気遣いました。それに対して、物作りは多くのエネルギーを使うし、それ以外に交渉やプロデュースは非常にストレスが溜まると回答。出来ることなら旅行をしたり、時には仕事を忘れて遊びたいが、それができない代わりとして毎日寝る前に映画を1本観ているのだそうです。

これには司会者も驚きを隠せなかったようで、観客席からは大きな拍手喝采。続けて、映画制作の裏側で戦っているクリエイターの存在が自分に元気を分け与えてくれると説明しています。さらに、鑑賞するだけで泣いたり笑ったりでき、非常に短時間で疲れを吹っ飛ばすパワーをもらえることからも、映画鑑賞はモチベーション維持にとても効果的であると語りました。中でも最も元気付けられるのは、苦労して作ったにも関わらずあまりヒットしなかった映画のメイキング映像とのこと。

日々の睡眠時間を聞かれ4時間と答えた小島監督はここで、自身が天才と認める同僚のプログラマー、ジュリアンを話題に。10年以上の4時間睡眠を習慣にしているジュリアンは平気なようだが、自分にとっては苦行でしかなく意味合いが異なると笑いを誘いました。病院の担当医から睡眠不足を指摘され、映画鑑賞をやめるよう釘を刺されたとこぼすと観客は苦笑。さらに、映画鑑賞中に居眠りしないのかという問いに対して、「映画中は寝ないです。会議中に寝てます」と答え、会場を大爆笑で包み込みました。



ここで『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』に関する話題に戻り、「本作の中で最も気に入っている部分はどこか」という質問に回答。「これまでのMGSは、ゲームクリエイターが引いたレールにプレイヤーを誘導して一方的に遊びを提供するゲームでした。本作では、マップを見てどういう経路でいつどうやって潜入するのか自分で考えて実行し、さらにどうやって逃げるかまで考慮する必要があります。スパイ映画を演じるような自由度が1番気に入っているところです」と熱く語りました。

続けて、「GZは小さなオープンワールドでしたが、TPPは非常に広いのでミッションクリアには結構時間がかかります。それを緊張感を持ってプレイするのでかなり疲れます。1ミッションクリアしたら半日休憩しないと続けられないかもしれません。それくらい本格的なというか、潜入している感じを与えてくれるゲームになっています」と付け加えています。

最後に、ゲーム業界へ参入する上でのアドバイスを求められた小島監督は、自身の境遇に関して言及。今の仕事についていなかったらきっとダメな男になっていただろうと切り出しました。「映画を撮りたかったんですが、ゲームを作って正解でした」と語る監督。偶然ではあるが自分が吸収してきた全てをフィードバックできるという今の仕事に感謝しているとのことです。

それらの経験を踏まえ、「ゲームは総合芸術なので、映像や脚本だけでなく心理学や人間工学といったあらゆる分野に精通していた方がいいと思います」と回答しました。さらに、ゲーム作りがとにかく好きであることに加えて、チーム制作に潜むゲーム作りの孤独に言及。身内だけでなく部外にも、周囲に多くの理解者を得ることが大切であると、自身の経験を振り返るように締めくくりました。
《河合 律子》
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