【今から遊ぶ不朽のRPG】第7回 『ハイブリッド・フロント』 (1994) | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【今から遊ぶ不朽のRPG】第7回 『ハイブリッド・フロント』 (1994)

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【今から遊ぶ不朽のRPG】第7回 『ハイブリッド・フロント』 (1994)
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今回紹介するのはメガドライブのSRPG『ハイブリッド・フロント』。1994年にセガ・エンタープライゼスから発売された本作は、日本のSF界の第一人者である野田昌宏監修の骨太なSF設定に基づいて作られた戦略シミュレーションRPGです。

舞台は26世紀。21世紀に端を発する衛星軌道企業連合体と地球との武力衝突を背景に、運び屋である主人公の視点から物語は進行します。全26ステージで描かれるサイバーパンクな世界観。遠い未来の宇宙時代を、智力を凝らして生き抜いていきます。

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今手に入れるなら

メガドライブ用ソフトの中では後期タイトルであるものの、筆者が訪ねた秋葉原のレトロゲーム店や中古ソフト販売店では在庫の数も非常に少なく、カートリッジの実物は比較的稀少な存在になっていると感じました。中古品の店頭価格は3000円程度。なお、任天堂バーチャルコンソール配信タイトルの1つなので、対応プラットフォームを所持している人なら今すぐにでもプレイ可能です。






ハードSFを描く濃厚な世界観

本作の魅力を伝える上で特筆すべきは、SFの世界観を構成する舞台描写です。時は化石・鉱物資源の枯渇に伴い国家権力が今より低下した時代。「企業援助法」の施行によって強大な影響力を手にした巨大企業は、新たな資源を求めて宇宙や月面の開拓に先駆け衛星軌道の開発に着手します。衛星軌道での独立を目指す各企業は地球に対し自治権を要求しますが、各国はこれを拒否。軌道企業連合と地球諸国との間で戦争が勃発します。その後、長きに渡る暗黒時代を迎えます。

幾多の戦いを経てパワーバランスは完全に連合側優勢に傾きます。各軌道企業は国家郡として軌道上企業国家連合、通称コクーン(Cooperation’s Community of Orbital Negotiation) を結成。地球に対し徹底攻勢を保ち勝利を収めます。汎地球条約機構、ピートゥ(Pan-Earth Treaty Organization)を設立し、地球圏はこれに隷属する形で争いは収束。戦争によって焦土と化した地球はコクーンにより再建され、復興の道を歩み始めます。

その中で、地球を復興に導いた影の立役者となったのが、荒廃した世界で物資の流通を支える集団。通称「運び屋」と呼ばれる武装輸送組織です。主人公は運び屋の女性、シャーリラ。ある日、彼女がシルクロードハイウェイで入手したものとは一体。物語は新たな時を刻み始めます。



仔細にわたる骨太なSF設定に加えて、キャラクターデザインは第19回星雲賞アート部門受賞の末弥純。当時のSFファンから大きな注目を集めるきっかけを作りました。地球圏とそれを取り巻く宇宙圏との対立は、古くからSF世界で繰り返し描かれてきたテーマです。国内の著名作品では、「機動戦士ガンダム」シリーズの宇宙世紀をめぐる物語や、神林長平のシリーズ「あなたの魂に安らぎあれ」「帝王の殻」「膚の下」。

海外作品では、古典の代表作ともいえるロバート・A・ハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』をはじめ、キム・スタンリー・ロビンソンの火星三部作など、ハードSFの遺伝子は長く受け継がれています。近年の作品ではニール・ブロムカンプ監督の映画『エリジウム』が話題になりました。本作もまた、それらハードSF世界の遺伝子を継承しています。


ゲームシステム

本作は、マップ上に配置された味方ユニットを操作して敵ユニットを撃破していくという伝統的なシミュレーションRPG。戦闘はプレイヤーターンと敵ターンが交互に繰り返され、各ステージに設定された固有の勝利条件を満たすことで戦闘が終了します。設定された勝利条件は様々で、必ずしも戦闘に勝利することだけがゲームクリアの鍵とは限りません。一見絶対に敵わないような敵に相対しても、勝利条件によっては知略を凝らすことで切り抜けることができます。


ストーリーパート


マップの状況説明


各種条件と作戦時間


操作ユニットは、歩兵、車両、戦車、航空機などの異なるタイプに分かれており、各兵器は歩兵をパイロットとして搭乗させて使用します。キャラクターにはそれぞれ得意とする兵器があり、適正なマッチングを考慮して戦局に投じることで戦闘を有利に進めることが可能です。ユニットにはレベルが設けられており、戦闘を経ることで個体としての戦力は向上します。しかし、ステージで得られる経験値は限られているため、部隊内でいかに分配するかによって全体としての戦力は多様に変化するでしょう。


ユニット編成画面


戦闘マップ


戦闘画面


また、各戦闘には作戦時間が設定されており、規定のターン数で勝利条件を達成することがマップ攻略の十分条件です。そのため任務達成までの行動を最適化する必要があり、ゲームプレイには必然と一定の緊張感が伴います。毎ターン回復するボスユニットをチクチク攻撃したり、無尽蔵に湧く雑魚を狩ったりして、無限に経験値を稼ぐといった修行プレイはできません。実際の軍事作戦行動を意識したリアリティー重視のレベルデザインと言えるでしょう。


ゲーム音楽と難易度

ゲーム音楽を担当にしたのは、セガの家庭用ソフト開発部でサウンド担当として数々の著名作品を手がけた幡谷尚史氏。代表作は本作の他に、メガドライブの『ゴールデンアックスII』やセガサターンの『NiGHTS into dreams…』『バーニングレンジャー』、ドリームキャストの『スペースチャンネル5』『ROOMMANIA#203』など、往年のセガファンにはお馴染みの王道タイトルに多くの楽曲を提供しています。多角的な持ち味で異なるジャンルを彩る同氏ですが、本作でもハードなSF世界の雰囲気を見事に音楽で表現しています。


オープニングムービーで語られる壮大な世界観


ゲーム難易度は比較的高め。各マップの攻略は決して単純作業に陥るような容易なものではなく、常に先の状況を考慮して行動することが求められます。序盤の戦闘結果が後半に大きな影響を与えるために、長時間の粘りプレイ虚しく最初から仕切りなおしたくなることも。緻密な部隊編成や長考を要する戦略ゲームが苦手な人にとっては苦痛に感じるかもしれませんが、チャレンジ好きなドMプレイヤーにとっては快感です。高難易度SRPGの代名詞ともいえるSFC『ファイアーエムブレム トラキア776』を楽しめた人なら、間違いなくやりがいを実感できる作品でしょう。

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ハードボイルドを貫く本作は、メガドライブタイトルの中でも特に異彩を放つ一品。熱狂的なSFファンやチャレンジ精神あふれるコアゲーマーはもちろん、渋くて厳ついおじさまたちが活躍する鉄と筋肉の世界が好きな人にも魅力的な作品です。

ファーストパーティーとしては一線から退いた現在でも、当時セガが築き上げた一大エンターテイメント帝国の遺産には根強いファンが存在します。『ハイブリッド・フロント』はセガハードの黄金時代を象徴するかつての記憶であり、そしてハードSFの系譜に新たな遺伝子を残した不朽の作品といえるでしょう。
《河合 律子》

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