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記野直子の『最新北米市場分析』2014年8月号―年末商戦が始まった!

ニュース ゲーム業界


こんにちは。東京ゲームショウ2014も9月18日(木)~21日(日)と間近に迫っていますが、私もビジネスデーの18日、19日と一般デー20日に幕張メッセに参ります。皆様もゲーム業界の最新トレンドを肌で感じて頂くためにもぜひ足を運んでみてください。

さて、8月の北米セールスデータの速報が入りましたので報告します。

■市場全体動向

8月の北米の市場規模は総額で前年比8%アップの5億6,130万ドル(約600億円)です。この内訳としてハードウェア売上が前年比116%アップの1億9,620万ドル(約210億円)、ソフトウェア売上は前年比21%ダウンの2億3,160万ドル(約247億円)、周辺機器が前年比2%ダウンの1億3,350万ドル(約143億円)となっています。ハードの売上が引き続き絶好調という感じです。

ソフトウェアの前年比からのダウンは大きな新タイトルの発売がなかったからとNPDはレポートしています。詳しくはソフト動向のところで説明します。

■ハード動向

PS4は8カ月連続で販売数首位のゲームハードウェアです。Xbox Oneも含め正確な数字は明らかにされていませんが、ソニーの発表によるとPS4は現世代機における累計販売台数で1位であるとのこと好調は続いているようです。

また、前世代機(PS3、Xbox360)の売上は前年比60%近くダウンしており、現世代機(PS4、Xbox One)の販売数の伸びが前世代機よりも70%ほど速いとのことで、家庭用ゲーム機の新旧入れ替わりが過去にないほどのスピードで繰り広げられているようです。日本にとっては当たり前の新旧交代ですが、海外では必ずしも新しいものに皆が飛びつくことは普通ではないのです。

初代PSからPS2、PS2からPS3、XboxからXbox 360 への移行はとてもゆっくりだった記憶があります。これは新ハードのラインナップが揃っていないこともありますが、潤沢なソフトラインナップが安く買える旧ハードにユーザーが留まっているという理由がありました。

今回はアメリカの景気が回復したことが大前提としても、ハード/ソフトの値上がり幅が大きくなかったこと、大きなタイトルのラインナップが揃っていることが大きく貢献したのかもしれません。


さて、9月4日(木)にXbox One が日本でようやく発売されました。業界関係者はこのローンチイベントがあったことを認知していますが、一般の方々はほとんどが知らない間にローンチが行われた印象です。初回販売台数は約2万3千台とのこと、アメリカでもPS4が強いと言われつつ、日本のXbox Oneの存在感に大きな危惧を感じます。

海外に比べると苦戦していると言われるPS4も初回販売は30万台を超えていました。ハードウェアが切磋琢磨で盛り上がるのは「競ってこそ」だと考えます。日本だけ「ガラパゴスマーケット」になってしまうのは避けたいところです。

■ソフト動向

8月度のソフトウェアランキングを見てみましょう。

1. Madden NFL 15 (PS3/PS4/X360/X1) - Electronic Arts
2. Diablo III: Reaper of Souls (PC/PS3/PS4/360/X1) - Activision Blizzard
3. Minecraft (X360/PS3) - Microsoft/ Sony Computer Entertainment
4. The Last of Us (PS3/PS4) - Sony Computer Entertainment
5. Call of Duty: Ghosts (PC/PS3/PS4/X360/X1/Wii U)  - Activision Blizzard
6. Lego Marvel Super Heroes (PC/PS3/PS4/360/X1/Wii U/NDS/3DS/PSV) - Warner Bros. Interactive
7. Plants vs. Zombies: Garden Warfare (PS3/PS4/X360/X1) - Electronic Arts
8. Watch Dogs (PC/PS3/PS4/X360/X1) - Ubisoft
9. Battlefield 4 (PC/PS3/PS4/360/X1) - Electronic Arts
10. The Lego Movie Video Game (PS3/PS4/360/X1/Wii U/3DS/PSV)  - Warner Bros. Interactive

2013年8月には『Splinter Cell: Blacklist』、『Saints Row IV』、『Disney Infinity』などの大きなタイトルが新発売されていてTop10中8つが新作だったのですが、2014年8月は3つのみ、前年比21%ダウンを招いたと言われています。

マルチプラットフォームで展開できないタイトルはランクインしていません。また、上述した通り「Back to School商戦」にも関わらず、任天堂タイトルがランクインしていません。これは必ずしも「任天堂ソフトが売れていない」ということではありません。任天堂ソフトはSKU単位では必ずランキングしています。ただ、Wii Uというハードの総数を上限に展開するソフトである以上、Wii Uが爆発的に出回っていない限りマルチプラットフォーム展開をするソフトとは潜在ユーザー数が大きく違うのです。

より多くのユーザーに遊んでもらうためにはまず、ハードを購入してもらわないといけない……。ハードメーカーのジレンマですが、北米での現在のWii Uのインストールベースは300万台を超えられていません。ソフトが最大で売れても300万本が上限という計算になるわけです。北米で4,200万台近く販売した前ハードWiiのようにはいかないところが、任天堂の辛いところではないでしょうか。


欧米で2014年9月9日に発売された マルチプラットフォーム(PS3/PS4/X360/X1)向けタイトル『Destiny』。Haloシリーズを制作したBungie社の 最新タイトルですが、日本ではPS3/PS4独占でSCEから9月11日に発売になっています。同タイトルに関して発売元のActivision が「Day 1(初日)売上が5億ドル(約535億円)を超えた」と発表しました。販売数は公表していません。

この金額、投資金額を1日で大きく超えたという意味だけでも大きなニュースなのですが、Day 1売上で800億ドル(約856億円)超をたたき出した『Grand Theft Auto V』や同じくDay 1で1,000億円(約1,070億円)をレコードした昨年発売の『Call of Duty: Ghosts』に次いで大きな成功と言えるでしょう。しかし、最もすごいところは、大きなフランチャイズタイトルの続編ではなく、「新規オリジナルIP」1作目でこの数字を記録したことでしょう。

メガタイトルの動向に目が離せませんね。

■年末商戦が始まった!


実は北米では夏休み真っ只中の7月8月は家族で大きな旅行に出かけるため家でゲームを遊びません。また、その旅行にかなりの額を使うのでゲームを買うこともないのです。ただし、8月末には「Back to school商戦」と言われるセールがあります。これは9月の新学年を迎えお祝いを兼ねて子供や学生たちにプレゼントをする、つまり日本で言うところの「入学祝」や「進学祝」などにあたります。

ただ、最近ではPS4やXbox Oneなどのハイスペックな家庭用ゲーム機が必ずしも子供や学生向けのハードではなくなっているため大きな対象ではないように感じています。ただし、任天堂ハードやそのハード向けのソフトや『Skylanders』など子供向けのソフトはこの恩恵を受けていると考えられます。

家族が夏休みから戻って家で過ごす時間が戻ってくるため、9月からはゲーム業界にとっては夏休み明けからが商機、年末商戦の始まりなのです。

ソフトのところにも書きましたが、今年度年末商戦の最初の大型タイトルが『Destiny』ですね。最終的に何本まで伸ばせるか来月の報告をお楽しみに!

それでは、また来月!
《記野直子》

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