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【e-Sportsの裏側】e-Sportsはビジネスとして成り立つのか?―サイバーエージェントグループ社長が語る未来

連載・特集 インタビュー

【e-Sportsの裏側】e-Sportsはビジネスとして成り立つのか?―サイバーエージェントグループ社長が語る未来
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e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからの日本のe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。「前回の連載」では、北米プロゲーム団体「Evil Geniuses」に所属している日本女性初の女性プロゲーマーちょこ(チョコブランカ)氏、同じく「Evil Geniuses」に所属している『ウルトラストリートファイターIV』世界王者(EVO2015ウルトラストリートファイターIV世界王者)のももち氏に日本のe-Sports市場ならびに発展の仕方についてのお話を伺いました。
    ■e-Sportsとは?
    e-Sports(Eスポーツ)とはElectronic sportsの略で、コンピュータゲームやビデオゲームで行われる競技のことです。高額な賞金のかけられた世界的な規模で行われるプロフェッショナルな大会から、アマチュアまで競技が行われており、ジャンルやゲーム毎にプロチームやプロリーグが多数あります。現在e-Sportsの対象となっているゲームを遊ぶ人の数は、全世界で5500万人を超えています。
    (ゲーム大辞典参照:http://game-lexicon.jp/word/e-Sports
連載第6回目の今回は、「RAGE」という名のe-Sports大会の開催を発表した、CyberZの山内隆裕社長に話を聞き、同社が見据えるe-Sportsビジネスの方向性、日本のe-Sportsの未来について、独占インタビューを実施しました。スマートフォン広告事業会社であるCyberZがなぜe-Sportsに参入するのか。その裏側を探ります。

―――本日はお時間ありがとうございます。今まで「プロゲームチーム」「施設」「プロゲーマー」とお話を聞いてきましたが、プラットフォーマーの方は初めてです。よろしくお願いします。

山内氏:よろしくお願いします。

―――まずは山内さんの自己紹介およびどのようなキャリアを歩まれているかご教授ください

山内氏:2006年に株式会社サイバーエージェントに入社をしまして「株式会社マイクロアド」という広告テクノロジー会社の立ち上げに携わりました。その2年後くらいに「株式会社CyberX」というゲーム会社を、その後「株式会社CyberZ」と、これまで3社を立ち上げました。また2012年には、サイバーエージェント本体の役員を務めまして、今に至るという感じです。

―――現在、山内さんが社長を務めているCyberZについて。外から見ていると、広告事業をメインにしているように見えますが、CyberZの事業内容は?


山内氏:いくつかの事業を展開しているのですが、一番大きな部分でいくと広告代理事業になります。「F.O.X」というスマートフォン広告ソリューションツールを使ったアプリマーケティングの最適化を強みにしており、日本国内はもちろんのこと、日本企業の海外展開や、海外企業の日本展開、またアメリカの企業が中国で展開したいといった要望に合わせ、全世界においてマーケティングのお手伝いをしております。

もうひとつはメディア事業で、「OPENREC.tv(オープンレックティービー)」というゲーム動画配信プラットフォームをはじめとしたメディアを運営しています。メディア事業の立ち上げのきっかけは、稲盛和夫氏の「利益率が10%を切っている会社は会社じゃない」という言葉に出会ったことです。代理事業は自分たちで何かを産み出すものではないので、どうしても利益率が低くなりがちです。「いつか自分の手でサービスを生み出したいな」という考えをずっと持っていたものの、いきなりGoogleやAmazonのようなサービスは作れないので、ずっとチャンスをうかがっていました。

スマートフォン広告をメインとする弊社のお取引先はゲーム会社も多く、お取引先とお話をしていく中でゲーム業界の流れが理解できるようになってきたり、私自身もゲームが大好きだったりするので「e-Sportsの流れがきそうだな…」と感じまして、OPENRECというサービスを立ち上げました。

―――広告代理事業とメディア事業が柱ということですね。「OPENREC.tv」という動画プラットフォームを提供されているかと思いますが、数あるジャンルの中でなぜ「ゲーム」を選んだのでしょうか?

山内氏:単純に「面白いと思った」というのが素直な回答です。ただ、インフラ自体が整ってきていて、2016年には通信規格が今とは比べられないほどアップデートされますし、ユーザーがストレスなく動画を視聴できる環境に変わりつつある点も要素のひとつです。また、ユーザーもスマートフォンで動画をみることに抵抗を持たなくなって「動画慣れ」している層もかなり増えてきていて、より一層一般化していくのでは、と考えています。あとは「ゲームの高度化」という点で、プレイしている側だけではなく見ている側も楽しめるコンテンツが非常に増えてきて、そういったゲームを動画で見る人が増えるのでは?と考えゲームという領域を選びました。

―――山内さんはゲームがお好きということですが、昔からゲームはやっているのでしょうか

山内氏:そうですね。RPGももちろんやりますし『ウイニングイレブン』のようなスポーツゲームもやります。『コールオブデューティー』『バトルフィールド』などのFPSジャンルもプレイしますね。最近は『ドラゴンズドグマ オンライン』をプレイしています。ひとりでプレイするというよりは、オンラインでプレイすることが多いです。

―――「OPENREC.tv」を使って動画視聴・録画を盛り上げていきたいと考えているかと思いますが、山内さん自身は「e-Sports」をどう見ていますか?

山内氏:日本のe-Sportsはまだまだ開拓の余地があると思います。海外と比べてなぜそうなのか?と考えた時に日本ではコンソールゲームが基本で、海外で人気の大きなゲームメーカーはオンラインゲームがメインになっているので「ゲームの国民性」も違うのかなと思います。ゲーム動画で「神技」などを見ていても面白いのですが、オンラインで対戦したり、わいわいプレイするのを見ているのが面白い、という人も多いと思います。最近は日本のユーザーもオンラインプレイに慣れてきていて、少しずつそちら側に寄ってきている印象はあるので「日本のe-Sportsはまだこれからだが、すごい勢いで発展をするのでは」と考えています。

―――「e-Sports」や「プロゲーマー」という言葉が世の中にも出てきていますが、山内さんの考える「e-Sports」とは

山内氏:言葉にするのは少し難しいですが「Jリーグ」や「K-1」のように競技性があって、お互いが切磋琢磨できて、それが大きなマーケットになれば人も集まってきますし、質の高い選手も輩出できるようになります。そういった要素を含んでいるゲームプレイは「e-Sports」と言っても良いのではないでしょうか。

―――「見ていて面白い」という視聴者側がいかに楽しめるか?というのが重要なポイントでしょうか

山内氏:そうですね。やっぱりそういうものでないと人は集まらないと思います。また、競技者自身がうまくマネタイズできるエコシステムを作るためにも「視聴者が楽しめて、人が集まる」という要素は重要だと考えます。

―――「OPENREC.tv」を使って、どのように日本のe-Sportsに貢献していくのでしょうか?山内さんの中でビジョンはありますか

山内氏:e-Sportsに関わらず、何か新しい市場を盛り上げるためには成立要件があると思います。日本のe-Sportsにおいては4つ必要だと思っていて、「大会」「プロチーム」「情報発信する場」「ファン」などが盛り上がりを作るということかと思います。我々は「OPENREC.tv」という場を通して発信もしていきますし、国内外に拠点があるので海外タイトルも敏感に察知することができます。

プロゲーマーやプロを目指す人、ゲームが好きな人などいろいろなユーザーがいると思うのですが、「OPENREC.tv」ではそういった方々に配信をする「場」を提供し、そういった人々のプレイを見たい人とをうまく繋げていきたいですね。未だにゲームセンターや家電量販店で他人のゲームをプレイしている画面をふと見たりしちゃうと思うんですよね。そういった「場」をリアルでもネットでも作っていきたいです。

また、新たなe-Sportsの大会「RAGE(レイジ)」も運営していきます。

―――e-Sportsの大会ですか。種目や頻度はどういった形になるのでしょうか

山内氏:いろいろなジャンルで年間を通して開催していくのですが、第1弾は『Vainglory(ベイングローリー)』を種目とします。その他のタイトルについても、順次発表していきます。

―――第1弾タイトルを『ベイングローリー』に選定した理由は?


山内氏:スマートフォンで『Vainglory』のようなMOBA系タイトルは今まであまり無くて、今後日本でも流行る可能性が高いと考えています。また開発元のSuper Evil Megacorp(SEMC)の方ともお話をしたのですが、ゲーム制作への熱量がすごく、彼らがやりたいことがひしひしと伝わってきました。もともと「RAGE」の構想自体は持っていたのですが、SEMC社とお話させていただくなかで、今回の話が実現しました。

―――『ベイングローリー』以外のタイトルも種目として取り扱うとのことでしたが、スマートフォンタイトルのみでしょうか

山内氏:いいえ。スマートフォンアプリ以外にも、コンソールやオンラインのタイトルも取り扱う予定です。ただ我々もはじめての試みですので、種目数は絞って実施する方向性です。

―――スケジュールは、毎月開催されるイメージでしょうか?

山内氏:その部分については、柔軟に対応していくつもりです。各ジャンルで月1回大会を開いて、年末あたりにグランドファイナルという形で決勝大会を開催できると盛り上がるのではないかとは考えています。

―――賞金について。大きな金額での実施を想定しますか?

山内氏:賞金については、景表法の兼ね合いもあるので大きな金額の付与はできないのですが、参加される方にインセンティブを付与できるような座組は考えています。例えば、優勝者をプロチームに推薦するということであったり、単にお金をあげるだけでなく、優勝者が本当に喜んでもらえるような「ぬくもりがあるもの」を用意するつもりでいます。

―――なるほど。いろいろ施策を考えているかと思いますが、どうやれば、日本でe-Sportsが流行るでしょうか?

山内氏:やはり「スター選手」の輩出・育成がポイントになってくると思います。サッカーであれば、キング・カズさんであったり、ラモス瑠偉さんであったり、バスケで言うとマイケル・ジョーダンさんであったり象徴的な「スター選手」です。黎明期ってそういった方々のような「象徴的な存在」がいることでマーケットが成長することが往々にしてあると思います。そういったプレイヤーをたくさん輩出していきたいですね。

また、ネットのインフラの発展にあわせた受け皿をきちんと用意できるか?といった点も大切だと思います。いわゆる「カジュアルゲーム」を動画で配信するユーザーは今でも増えてきているかと思いますが、本格的なe-Sportsの動画を配信している方はまだまだ少ないですし、再生数もそこまで伸びないのが現状だと思います。

―――「スター選手」という言葉が出てきましたが、CyberZおよびOPENRECではプロゲーマーになりたい人をアシストする仕組みは準備したりするのでしょうか

※配信者向けのゲーム動画撮影施設「OPENREC STUDIO」

山内氏:まずは動画を配信できて、きちんとマネタイズのできる環境を提供していきたいと思います。本当に実力のある選手であれば応援してくれるファンも増えてくるかと思いますし、ファンが配信者を支援できるような仕組みも整えていきます。

また、e-Sports大会「RAGE」を開催することで「賞金」「インセンティブ」の付与や、「知名度」をあげるためのPRの場を提供することもできると思いますし、何かと偏見がついて回りがちな「ゲーム」というものを健全に広めていくような運動に関しても、弊社が率先して携わっていきたいと思います。

―――今後、CyberZがe-Sportsに本格的に取り組むにあたり、スマートデバイスを軸にした施策は考えているのでしょうか

山内氏:配信動画の品質向上や、生中継におけるタイムラグの軽減には注力をして開発を進めています。スマートデバイスでも快適に視聴ができるような環境づくりを進めていきます。

―――『ベイングローリー』以外に注目しているタイトルは?

山内氏:Cygames社の『シャドウバース』や『ハースストーン』などのカードゲームはやはり気になりますね。あとは『コールオブデューティー』でしょうか。「全国大学対抗戦」などを見ていて思うのですが、やはり派手ですし見ていて臨場感がすごく伝わってきて、見ている自分も興奮してしまいますね。私自身がスポーツゲームを好きだったりするので、そこもチャレンジはしていきたいです。

―――山内さんが感じる現状の国内e-Sportsシーンの問題点や変えていきたいところは?

山内氏:「スター選手が少ない」「e-Sportsを知る機会があまり無い」「e-Sportsの大会自体がそんなに多くはない」というようにそもそもe-Sportsと触れ合う場が圧倒的に少ない。メディアのようにもっと大きくなっていかないといけないなぁと感じます。あとは、社会から市民権を得られるような「土壌」が足りないと感じますね。ただ、やり方を変えればできることはたくさんあると思いますので、きっちりやっていきます。

―――最後に今後のe-Sportsに対する意気込みをお願いします

山内氏:e-Sprots自体は、先ほども申し上げたように、インフラ周りであったりタイトルであったり、と日本でも良い流れが来ていると考えています。我々としては、業界全体を盛り上げられるようなサポートができればいいなと思っているので、そこの部分は期待していてください。頑張ります。

―――ありがとうございました


動画プラットフォーマーとして、e-Sports業界を牽引していく施策を数々と仕込んでいるCyberZ。新たなe-Sportsの大会「RAGE」はもちろんのこと、今後の同社の取り組みに注目していきたいです。
《森元行》

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