「BitSummit THE 8th BIT」はオンライン&オフライン開催であの空気感を再現できるのか?「Gaiden」の振り返りと今年の展望を実行委員会キーマンに訊く | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「BitSummit THE 8th BIT」はオンライン&オフライン開催であの空気感を再現できるのか?「Gaiden」の振り返りと今年の展望を実行委員会キーマンに訊く

「BitSummit THE 8th BIT」について、インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)の副理事長・小清水史氏にインタビューを行いました。

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国内最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit」。2020年5月9日・10日の開催を予定していた「BitSummit The 8th BIT」は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて開催延期となりましたが、同年6月にオンライン上で「BitSummit Gaiden」を実施。

インディーゲームの新情報が発表されることはもちろん、国内メディアによる特番などを中心とした数多くのコンテンツが配信され、イベントは大きな盛り上がりを見せました。

そして2021年、9月2日・3日の2日間にわたり、京都市勧業館・みやこめっせにて、「BitSummit THE 8th BIT」のオンライン・オフライン上での同時開催が決定。会場への出展は、国内に拠点を置くデベロッパー・パブリッシャー・メディア・スポンサーのみとして、無観客でのイベント実施が行われる予定です。

BitSummitがオンライン&オフラインでの同時開催が決定した経緯とは、一体どのようなものだったのでしょうか。編集部では、本イベントの計画および実行の全てを指揮する一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)の副理事長・小清水史氏にインタビューを実施。イベント開催の経緯や、コンテンツの注目ポイントなどを伺いました。

また、ゲーム協会理事長・富永彰一氏、理事の村上雅彦氏、ジョン・デイビス氏にもメールインタビューを実施しましたので、その内容も合わせてお届けします。ちなみに、掲載しているお写真は全て2019年に開催した「BitSummit 7 Spirits」のものです。

オンライン&オフライン開催となった「BitSummit THE 8th BIT」

――まずは、2020年5月9日・10日開催予定だった「BitSummit THE 8th BIT」を延期し、6月27日、28日に「BitSummit Gaiden」をオンライン上で開催した経緯についてお聞かせください。

小清水史氏(以下、敬称略)新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、BitSummitの5月の開催を見送ることになってしまいました。しかしながら、BitSummitは最新のインディーゲーム情報の発信が重要ですので、イベントの開催を1年も延期するとなると、イベントを行う意味自体が薄れてしまうという思いが残ってしまったんです。そういった考えから、急遽オンラインでの代替えイベントを企画し、2020年6月27日、28日の2日間、Discord上で「BitSummit Gaiden」の実施を決定しました。

オンライン展示を行う上で、「実際にゲームを試遊できないと作品の魅力が伝わらない」という問題がありましたが、パートナー企業の協力もあり、対応できるゲームはPC上にてほぼ試遊ができる環境を整えることができました。イベントの来場者数は3,012人、配信の再生回数は157,538回という結果になりました。

――「BitSummit Gaiden」を行ってみて、手応えはいかがだったでしょうか。

小清水「開催してくれてありがとう」というお声をいただく一方、「何をすれば良いか分からなかった」というご不満の声があったことも事実です。そもそもDiscord自体がオンライン展示を行うために作られたものではありませんし、日本ではそこまで普及していないこともあり……。Discordというツールに対する、ある種のとっつきにくさもあったかと思います。

また慣れているゲームクリエイターさんはSNSを利用してチャンネル配信をするなど上手くPRを行っている一方で、情報発信が苦手なクリエイターさんも多くいらっしゃったと思います。

――オンライン上でのコミュニケーションの難しさもあるかもしれませんね。Discordは多機能なため、初めて扱う方にとってはなかなか慣れない部分もあったかと思います。

小清水私は「BitSummit Gaiden」開催中、全ての情報を把握する為にスタジオで大きな画面のモニターを2つ横並びに用意して、配信されていた全ての動画チャンネルをDiscordで確認していたのですが、かなりの情報量でした笑)。

Discord上でリアルタイムに配信される動画チャンネル、メイン動画チャンネル、Utomikでのゲームページを開くだけでも、モニターの画面がいっぱいになってしまうんですよ。「BitSummit Gaiden」はコロナ禍に実施された一つのチャレンジでしたが、やはり今までリアルイベントで行っていた楽しみを全てオンラインで再現するのは大変ですね。

また、オフラインイベントのオンライン化については、業界的にも試行錯誤でチャレンジしている状態で、しっかりとしたフォーマットが未だ完成しておらず、動画配信に頼ってしまうパターンも多いという印象を受けます。

――理想的なオンライン展示の形は、まだまだ手探りな状況が続いているということですね。今回の「BitSummit THE 8th BIT」では、オンライン開催と共に関係者限定での会場出展も行う予定ですよね。

小清水そうですね。色んな協力者からの応援の声も影響していますが、特にBitSummitは国内の面白いゲームを海外に発信する場として、「年に一度は必ず開催しないといけない」という気持ちが運営メンバー内でありまして、その熱意に引っ張られる形で、無観客であればBitSummitを開催できるという結論に達し、今年の京都最大級のイベント会場「みやこめっせ」での開催を決めました。

開催時期については、ワクチン普及の兼ね合いや気温が下がる11月以降はウィルスが活発化してしまうという予測も考慮して9月の開催を決めました。

――会場のサイズはどの程度なのでしょう。

小清水第2展示場を全面使いますので、無観客のイベントとしてはかなりゆったり使えます。コロナ対策の専門チームと提携して、通路の面積と参加者の数を考慮して出展スペースを計算するなど、プロにお願いして対策は万全に行います。また同時に入れる入場者数はデベロッパー、パブリッシャー、メディア、インフルエンサー、スポンサーなど、合わせて1000人までに調整する予定です。

無観客で行うため、ステージイベントは配信目的とした仕様となりますが、SNSとの連携企画やインフルエンサー用の発信ブースの設置など、広報にも力を入れていきますよ。

海外からの出展者については、会場にブースを設けつつ原則リモートでの参加を予定しています。日本からの出展についても、方針的に難しいということがあれば、リモートでも参加できるようにしたいと思っています。

――出展ブース数についてもお聞かせください。

小清水毎年100チームほどで、国内と国外のブースの割合が極端に偏らないようにしています。エントリーされたゲームにより出展数を決めているところもありますし、昨今は学生の方の参加も増えていますので更にこの数字より多くなる可能性もあります。

――イベントの主なコンテンツについてお聞かせ下さい。

小清水インディーズゲームのファンの皆さまには、パートナー会社と協力しBitSummitで選抜した作品を自宅でも遊べるように致します。また公式放送をはじめ、メディア、インフルエンサー等の協力により、ゲームの最新情報を動画やライブ配信等で、いち早くお届けしていきたいと思っています。その他、クリエイターとのコミュニケーション施策やSNS連動企画も予定していますので楽しみにしていてください。

――コミュニティへの参加は、今年も無料になるのでしょうか?

小清水勿論ゲームファンの皆様は、無料でBitSummitに参加いただけます!

――参加料無料というのは、運営側からするとなかなか厳しいのではないでしょうか……?

小清水ホントに厳しいですね…(笑)。BitSummitは基本的にスポンサー等のサポートにより開催できていますが、入場料が入らないとなると運営的には大きく減収となります。そのぶん、色々な協力者と力を合わせアイデアを駆使して、なんとかベストなイベント設計をしたいと思います。

――ありがとうございます。今年のBitSummitへの出展を考えている方々に、メッセージをお願いします。

小清水最近はインフルエンサーやSNSの影響もあり、お子さま連れのファミリーや、10代のカップルなど、これまでのイベントではあまり見たことのないお客様がBitSummit会場に来場される事も多くなってきました。ここからもう2段、3段階認知度を上げて、インディーゲームを皆が知るところまで押し上げたいと思っています。是非一緒にこのお祭りを盛り上げて頂ければ嬉しいです。今年もワクワクするゲームを楽しみにしています!

――最後に、イベントの開催を楽しみにしているファンの皆さまに向けてメッセージをお願いします。

小清水現地で遊べないのは残念だと思いますが、自宅にいながらBitSummitのインディーゲームを遊べる環境を整えますし、これまでにないオンラインならではの楽しみもたくさん準備する予定です。また最新のゲーム情報はライブ配信で行いますが、各メディアの記事や動画のアーカイブも後ほど配信致しますので、是非チェックしてください。

――ありがとうございました。

ゲームビジネスでは、一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会理事長・富永彰一氏、理事の村上雅彦氏、ジョン・デイビス氏にもメールインタビューを実施しました。以下に、その内容についてご紹介します。

一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会理事長|富永彰一氏インタビュー

――「BitSummit 8th」開催に向けた意気込みについてお聞かせください。

富永彰一氏(以下、敬称略)昨年計画していたBitSummit 8thは、コロナ禍に見舞われて開催中止となってしまいました。取り急ぎGaidenという代替案でオンライン開催を行ったものの課題はたくさんありました。次回こそはコロナも収束し無事開催できることを期待していましたが、正直いまだ状況は変わらずな印象です。

しかしながら、世の中的にはリアルイベントとしてのノウハウというものは生まれつつあるように思います。それらを取り込みながらBitSummitも少しずつでも進んでいけたらと考えています。

――全体的にインディーゲーム界隈は、コロナ禍で何か変化はありましたでしょうか?

富永個人クリエイターさんは大丈夫かもしれませんが、多くの会社さんではリモートワークを強いられたんではないでしょうか。自身のチームのコミュニケーションで精一杯で、他の開発者さんと情報交換する余裕もないような状況です。現場で直接アイデアを出し合ったりすることで生まれるダイナミックな環境の重要性をあらためて実感しました。

――出展を考える開発者の方々へメッセージをお願いします。

富永安心安全なイベント開催は大前提ですが、いまだコロナ禍においてのコミュニケーションには閉塞感が伴います。そんな社会でクリエイター自身ももがき苦しみ生まれる作品とはどのようなものだろうか?今だからこそできる何かがあるのではないか?そんな気持ちを無くさない場にできればと願っております。

――最後に、イベントの開催を楽しみにしているファンの皆さまに向けてメッセージをお願いします。

富永今回は一般のお客さんは入場できないクローズドな開催にすることを選択しました。その代わりに、オンラインでもBitSummitをできるだけ楽しめるようにしたいと考えておりますので、ぜひ一緒に盛り上げてもらえるとうれしいです。

一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会理事|村上雅彦氏インタビュー

――昨年の「BitSummit Gaiden」を振り返っての、感想をお聞かせください。

村上雅彦氏(以下、敬称略)去年、オンラインで開催したBitSummit Gaidenは初めての試みで、非常に苦労しました。短い準備期間でしたが、実施出来たことはとても良かったです。ただオンラインで、BitSummit Gaidenを開催する事の難しさを感じました。

BitSummitは、インディーゲーム開発者同士のコミュニケーションの場作りを大事にしているイベントなので、リアルの場がないイベント開催はとても難しかったです。

――今回の「BitSummit THE 8th BIT」では、オンライン開催と共に関係者限定での会場出展も行う予定ですよね。

村上コロナが収束する見込みのない中、イベントを開催する為にオフラインでは、無観客のBtoBイベントにする事で開発者同士の交流の場を実現したい。海外からの出展は基本リモート出展を推奨し、海外からの人の出入りを極力避けたい。オンラインは、ステージイベントの配信・メディアパートナーやインフルエンサーによる動画の配信をする事で情報を拡散したい。去年に続きUtomikというゲームストリーミングサービスと提携し、会場に訪問しなくてもBitSummitのゲームを体験してもらえる様にしたいと思っています。

――開催時期を9月にした理由についてお聞かせください。

村上コロナの状況が見えないので、去年の傾向を鑑みてウィルスの活動が活発でない暖かい時期がいいのではないかと思いました。暖かい時期・人の動きが少ない時期・東京ゲームショウと被らない日程。東京ゲームショウと1ヶ月離れており、まだ暖かく、夏休みの終わった9月この辺りが良いのではないかと総意で決まりました。

――全体的にインディーゲーム界隈はコロナ禍で何か変化はありましたでしょうか?

村上個人的な印象ですが、開発者さんと直接会って話すことが少なくなったので、ゲームの進捗や新しいゲームや開発者の発見が難しくなりました。

人と直接会えなくなっている状況は、とても残念です。もっと開発者同士が会う機会が増え、情報交換やお互いの進捗確認などしながら、切磋琢磨できる状況になってほしい。私自身も、久しぶりに海外の開発者やイベント運営者と、直接会って近況確認をしたいです。

――出展を考える開発者の方々へメッセージをお願いします。

村上大変な状況ですが、皆さんの作っているゲームは、世界中の人をハッピーにしています。BitSummitなど、ゲームイベントに出展いただきゲームをより多くの人に知ってもらうお手伝いができればと思っておりますので、是非ご出展いただければと思います。

――最後に、イベントの開催を楽しみにしているファンの皆さまに向けてメッセージをお願いします。

村上今回は、コロナの状況を鑑みて関係者だけのクローズドなイベントになります。メディアや動画配信を通じて、できる限りBitSummitをお家で感じてもらえる様にしますので、楽しみにしていてください。願わくば、来年こそファンの皆さんと開発者が一緒に楽しめる場を作りたいと思っております。これからもBitSummitを、どうぞよろしくお願いします。

一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会理事|ジョン・デイビス氏インタビュー

――昨年の「BitSummit Gaiden」を振り返っての、感想をお聞かせください。

ジョン・デイビス氏(以下、敬称略)BitSummit Gaidenでは、新しいことを試すことができました。上手くいったものもあれば、そうでないものもありました。BitSummit Heroesのように、いくつかのものはとてもクールだったと思います。今年もやってみたいと思います。

昨年、BitSummit THE 8th BITを中止しなければならなかったのは残念でしたが、それが正しいことだと思っていました。正直なところ、昨年はこれまでとは違った方法でショーを行うことができ、少し興奮しました。BitSummit Gaidenの後、私たちはかなり静かにしていて、パートナーのイベントに代理でいくつか参加しただけでした。

――開催時期を9月にした理由についてお聞かせください。

ジョン開催時期が遅いことで、日本や世界でワクチンが拡散する可能性が高くなり、より安全なイベントになることを期待しています。また、東京ゲームショウの近くに位置することで、参加者が両イベントの準備をしやすくするためです。

――全体的にインディーゲーム界隈はコロナ禍で何か変化はありましたか?

ジョン非常に厳しい状況です。皆さんが安心してイベントに参加できるようにしたいと思います。安全性と「BitSummit」というイベントの両方の基準を守るのは難しいと思います。

――出展を考える開発者へのメッセージをお願いします。

ジョン皆さんのエントリーを楽しみにしています。ゲームの大小に関わらず、ぜひBitSummitファミリーの一員としてご検討ください。

――最後に、一般ユーザーへのメッセージをお願いします。

ジョン会場に全員を招待することはできませんが、このイベントはみんなのためにあります。この1年、BitSummit Gaidenや他の展示会との連携で多くのことを学びました。皆さんと素晴らしい体験を共有できることを楽しみにしています。

《島中一郎》
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