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5人パーティーで描く人間関係―3DダンジョンRPG『ウィッチ・アンド・リリィズ』早期アクセスから一年を振り返って【開発インタビュー】

百合DRPG『ウィッチ・アンド・リリィズ』の制作者に、気になることを色々と聞いてきました。

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5人パーティーで描く人間関係―3DダンジョンRPG『ウィッチ・アンド・リリィズ』早期アクセスから一年を振り返って【開発インタビュー】
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ストロマトソフトが2024年5月よりSteamにて早期アクセスを行っている、「百合×3DダンジョンRPG」を掲げた『ウィッチ・アンド・リリィズ』。本作は早期アクセス以来少しずつアップデートを続けており、間もなく正式リリースが近い……ということで、Game*Sparkではストロマトソフト代表の藤田峻輔氏にインタビューを行いました。

「百合×3DダンジョンRPG」というコンセプトの開発経緯から、今後実装予定の要素まで幅広くお話を聞いてきたので、ご一読いただければ幸いです。


なお、Game*Sparkでは早期アクセス初期バージョンのプレイレポートも掲載しています。初期バージョンのプレイレポートということもあり、現行バージョンとは多数食い違う部分もありますが、その部分を考慮しつつ参照頂ければ幸いです。

「百合×3DダンジョンRPG」という、新たな挑戦

――本日はよろしくお願いします。

ストロマトソフト 藤田峻輔氏(以下、藤田): よろしくお願いします。

――それでは改めて、本作『ウィッチ・アンド・リリィズ』について色々と質問させて頂きます。世の中に「3DダンジョンRPG」は数ありますが、その中で本作は「百合」を題材とするとして発表当時は大いに話題になりました。この発想の原点はどのあたりから生まれたのでしょうか。

藤田: すごくシンプルではあるんですけれども、「百合」と「3DダンジョンRPG」という、「好きなものと好きなものを合わせた」というのが正直なところです。自分がいろんな3DダンジョンRPGを遊んでいたときに、「この子とこの子はこういう関係で……」みたいな「パーティメンバーの設定」みたいなものを自分が勝手に想像して遊んでいたというのがありまして。

当時ネットを検索してみても、同じような「うちの子たちで遊ぶ」という3DダンジョンRPGの遊び方をしている方は多くおられました。そこで、その「自分の想像したキャラクターの関係性で遊ぶ」という部分をもう少し推し進められないか……と考えたのが、企画のスタート部分です。

――昔から、キャラクターメイキングをして遊ぶタイプの3DダンジョンRPGは「キャラクターのイメージを想像して遊ぶ、想像力のゲームだ」と言われてましたからね。

藤田: 皆様の頭の中やPCの中にある「settei.txt」を、もう少しゲームの中に押し出せると嬉しいな、と(笑)

――いろんな3DダンジョンRPGを遊んでおられたとのことですが、本作は特に『世界樹の迷宮』からの影響が大きく見受けられるように思います。やはり『世界樹』のゲームデザインやキャラクターなどは参考にされたのでしょうか。

藤田: 『世界樹の迷宮』の影響は正直ものすごく受けてますね。私が一番遊んだ3DダンジョンRPGが『世界樹の迷宮』で、かわいいキャラクターに惹かれて遊び始めたはずなのに容赦なく襲い掛かる序盤の難易度や、中盤以降のスキルビルドの自由な振り方などは『ウィッチ・アンド・リリィズ』でも少しやりたかった点です。

ただ、「少しやりすぎだったかな?」と思う部分はありまして、それは今後「手応えはあるけれど、遊びやすい」感じでのバランス調整を行っていこうかなと考えています。

――正直なところ、現在(2025年6月)時点の本作の手応えとしてはいかがでしょう。個人的な印象としては「事前の盛り上がりに比べ現行の印象が薄い」とは感じているのですが……

藤田: このゲームが皆さんの期待に応えられなかったのかな……と思う部分もありますね。先ほどお話したバランス調整もそうですし、望まれているものをお出しできなかったというのは反省としてあります。

初期のレビュー評価があまり良くなかったので、売り上げも落ち着いてしまったというのも数字として見えています。あと、これもレビューでご評価いただけなかった部分になるんですけれども、「ユーザーさんに委ね過ぎていた部分がある」と。

作り手の意図としては「少ない描写で妄想を掻き立ててください」というつもりだったんですけれども、それが不親切に見えてしまって、演出面が少ないと思われていたようです。あとこれは「好きな人は好きだ」とは言ってもらえたんですけれども、初期バージョンではかなり頻繁にキャラクター同士での「嫉妬」イベントが発生していて、これらのイベントでゲームのテンポが悪くなってしまった事は素直に反省しています。

アップデートで「嫉妬」イベントの発生率自体は抑えめにしたのですが、キャラクター同士のデートイベントや嫉妬イベントの存在そのものについては、5人の中でどうカップリングするか……ということをプレイヤーに悩んでほしかったので、あえてそのままにしています。

それは求めていたものとは違う!というお客様もいたのかな……とはもちろん感じてはいますが、それでも、これは作り手の「癖(へき)」として残していきたいポイントとしています。

――キャラクターの関係性を描く描写については今後もそういった方向性で、深くテキストを追加したりはしない方針なのでしょうか。

藤田: デートイベントや嫉妬イベントについては前述のとおりですが、今後のアップデートでキャラクターの好感度を操作できる「ギフト機能」を追加予定です。これによって、ある程度プレイヤーがキャラクター同士の関係性に介入できるようになると考えています。もちろんギフトの際には好感度に応じたイベントもあります。

あと、バージョン0.4.0で探索状況に応じてさまざまなメッセージが表示される「ダンジョン内のキャラクターの掛け合い」を追加していまして。これらでテキストの総量はかなり増えました。

ただ、デートに誘うきっかけに至るまでとか、そういった部分のテキストが少ないのは「想像力で補ってもらう」という企画の根っこでもあるので、それを踏まえつつ補う材料は増やしていけるといいな……とは思っています。

――本作のゲーム進行に応じては、「うちの子はこんなカップリングにはならない!」というような、ユーザーとの「解釈の不一致」が起こりうる可能性もあるかと思いますが……

藤田: そこに関しては、100%思う通りにはならないという形ですね。「個々のプレイヤーが産み出した子たちについての想像のきっかけは与えても、起こる事柄はすべてがすべて思う通りの展開ではないよ」という、キャラクターたちを管理するゲームでもありますので。どうしても「解釈違いは嫌だ!」というユーザーに向けては、もはやセリフエディット系機能を付けなければならなくなります(笑)

――ちなみに、正式リリース後にでもセリフエディット機能をつけられる可能性はあるのでしょうか?

藤田: セリフ数が膨大なので、もし正式版が非常に好評で余裕ができたら考えたいですけれども……今のところ、申し訳ないのですがすぐには無理です。

――これは個人的な印象なんですが、現状の5人パーティだとカップリングに1人「余り者」が出てしまうのがかわいそうに思ってしまうんです。4人パーティや6人パーティといった偶数人数のパーティであればこういったことはなかったと思うんですが、それでも5人パーティを採用したのは、パーティ間に三角関係などが発生するのをプレイヤーにドラマ性やナラティブ性として受け入れさせる……というような意図があったのでしょうか。

藤田: これは仰る通りで、2人の間で起こるドラマよりも3人の間で起こるドラマの方が百合としては劇的というか(笑)これは私のやりたいことでもあったので、そこは「癖(へき)」に付き合ってくださいと。

一同:(笑)

藤田: やっぱり「三角関係」とか「揺れ動く心」とか、いいですよね。ただ、ゲームとして理論上は「3人で同時にカップル」みたいな関係にもなれます。3人でカップルというのも変ですけど(笑)正式版では好感度を操作できるアイテムもあるので、よりやりやすくなるかなと思います。

――3人百合カップル……夢がありますね!(笑)

今後のバージョンアップの予定について


――それでは、今後のバージョンアップの予定についてお聞きしたいと思います。

藤田: まずは、今までちょくちょく話が出ていた「ギフト機能」の追加ですね。これによってパーティ間の関係性によりプレイヤーが関われるようになるのではないかと思います。あと、大きな要素としては新ジョブ「バーバリアン」が追加されます。

藤田: 「バーバリアン」は斧を扱う攻撃にすぐれた前衛職ですが、鎧を装備できないので打たれ弱いという欠点があります。いっぽうで回避率が高く、また秘薬を利用した回復スキルやバフ・デバフ・状態異常付与も持つという、見た目にそぐわぬ器用なジョブに仕上がっています。

――このキャラクターのイラストを拝見して思ったんですけれども、なぜ頭にワニが乗ってるんでしょう……(笑)

藤田: これはイラストレーターのmagodesuさんの発案で、「何かちょっとマスコットが欲しいよね」という意見が出て、「野生児で、自然の中で暴れてる感じ」っぽいマスコットとしてワニを乗せてくれた……という経緯があります。

――ちなみに、今までのキャラクターもそういった感じで藤田さんの方から大まかなイメージをmagodesuさんに伝えて作ってきたという感じなのでしょうか。

藤田: こちらから細かくイメージを発注したものもあれば、要点だけお伝えしてmagodesuさんのアイデアにお任せしたものもあります。作品の顔にしたかった赤マントのウォリアーと金髪のナイトは、「ショートで活発な子」と「金髪ロングで大人しめな子」と細かくオーダーさせて頂きました。

ただ、ナイトが重装なタクティカルアーマーになるとは最初思っていなかったので、こちらが予期しない方向でmagodesuさんが世界観を広げてくれたなあと。「ギャルっぽい魔法使いいいよね」とか、「青肌ネクロマンサーもいいよね」とか。良い化学変化がmagodesuさんのイラストの力で起こったのかなと思いますね。

――他にも新機能があるとお伺いしました。

藤田: まずは「ガイド機能」で、こちらにはゲーム内のチュートリアルとなる機能説明や用語説明、そして到達した階層までのモンスター一覧やアイテムドロップ、そして作成できる装備品などの一覧が図鑑として見られるようになります。

モンスターやアイテムのフレーバーテキストは実はかなり凝っているんですけど、確認する機会が少なかったので、是非ともこの機能で確認してもらえればと思います。

――図鑑はかなり便利そうですね!

藤田: あと、「EXダンジョン」が追加されます。これはストーリーの途中で随時解放されていくダンジョンで、先ほどから登場している「ギフト機能」に必要なアイテムがドロップしたり、今までに戦いそびれた敵や、再戦することのできなかったタイプのボス敵と再戦できるダンジョンになります。

――あと、全体的なバランス調整も行われるとのことなのですが、合体攻撃についてはどうなるのでしょう。個人的に初期バージョンの「これぞ百合パワー!」と言わんばかりのトンデモ威力が好きだったので、クリア後要素でもいいのであの威力が復活すると嬉しいのですが……

藤田: 合体攻撃については、若干強くなる方向性を考えています。合体攻撃に「百合の力は強いよね」という意味を持たせつつ、他の技が死に技にならないような調整を目指しています。

現在は戦闘ごとに合体攻撃のゲージがリセットされますが、それを戦闘ごとの引継ぎにする可能性も考えているので、そういった変更も含め現在調整を繰り返しています。ただ、これ以上の合体攻撃のナーフは絶対にないです。

――クリア後要素(裏ダンジョン・裏ボス)的なものは入ったりするのでしょうか?

藤田: 今のところは、1.0リリースの反響次第ですね。

――そろそろちょうど良いお時間となってまいりましたので、最後に『ウィッチ・アンド・リリィズ』の今後の展開の意気込みをお願いします。

藤田: 開発規模が大きくないので、作業自体はちまちまとしかやれなかったんですけれども、初期リリース以降も改善は続けていまして、ようやく完全版を今年お届けできるかな……というところまでは辿りつけた感じですね。

最初の期待に応えられなかったお客様にも、「ちゃんと遊べる百合ゲームになって帰ってきました」というところをお見せしたいなと思っていますし、初期バージョンだけ触った方や、まだ未プレイの方にも、1.0リリースの機会に改めて遊んでいただきたいなと思っています。

――1.0リリース、楽しみにしています!本日はありがとうございました!


「百合×3DダンジョンRPG」『ウィッチ・アンド・リリィズ』は、PC(Steam)にて3,480円で早期アクセス中です。

ライター:ずんこ。,編集:Akira Horie》


ライター/石の中にいたいブロガー ずんこ。

ダンジョンの間に挟まれたい系男子。某掲示板でRPGツクールに目覚めその進捗目的でブログを書き始めるも、いつの間にかDRPGが中心の内容に変わっていた。 DRPGと麻雀・ポーカーゲームと元ネタとの差別化が光るフォロワー系ゲームをこよなく愛する。サービス終了したアーケードゲーム『ポーカースタジアム』の公式大会優勝という凄いんだか凄くないんだかわからない肩書きも持つ。

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