ローグライトとFPS、そしてエクストラクションシューターの要素を組み合わせた画期的で中毒性の高い『サルファー(SULFUR)』。売上が20万本を突破するヒットを飛ばしたほか、コンソール向けの移植も決定しています。
Game*Sparkではこの度、TGS2025に来日していた開発者のアントン・アルビーン氏にインタビューを実施。気になるゲーム内容から日本への愛情など、いろいろなことをお訊きしました。
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20万本突破!コンソール移植への意気込み
――まず、自己紹介をお願いします。
アントン・アルビーン(以下、アルビーン):アントン・アルビーンです。開発元・Perfect RandomのCEOで、『マインクラフト』を作……間違えた(笑)。『サルファー』を作っています。以前、Mojangで働いていたんです(笑)。
――(笑)。20万本突破おめでとうございます。いまの感想を教えて下さい。
アルビーン:とても素晴らしく、心の底から嬉しいです。小さなチームで手掛けた作品がこれだけ大きな功績を上げられたことを嬉しく思います。
――コミュニティも盛り上がっている本作ですが、印象的な反響はありましたか。
アルビーン:アジア圏でもたくさんの反響をいただけており、中国のbilibiliでは「もっと大きな保管スペースがほしい」というフィードバックを頂きましたし、日本のユーザーはXでたくさんのファンアートを描いてくれました。ひとつひとつが心に刺さり、心温まる体験でした。

――コンソールへの移植についてお聞かせください。
アルビーン:本作はまだ早期アクセスですが、1.0の準備が整ったらようやくPS/Xbox/スイッチへ移植できます。
私は任天堂と共に育ってきたので、スイッチは大好きなコンソールです。移植には最適化など難しい部分もありましたが、好きな気持ちがあるからこそ、移植を頑張っています。特に日本ではスイッチを持っている人が多いので、ぜひ体験してほしいのです。
――スイッチ2はマウス操作がありますが、こちらへの対応は興味がありますか。
アルビーン:もちろん興味があります。ただ、この2年間くらい開発機をどうにか入手しようと思ったのですが、まだいただけてなくて……任天堂さんに知り合いがいたら教えてください(笑)。
ゴア×かわいい、エクストラクション×ローグライト、本作のゲームデザインの意図とは?
――本作のグラフィックスタイルはキュートでありながら、しっかりゴア表現があります。このスタイルを採用したのはなぜでしょうか。
アルビーン:グロテスク表現大好きでちょっと狂った同僚のアートディレクター、サイモンという者がいます。彼はほとんどのアクションゲームやFPSは暴力表現が足りないと言って、「自分でゲーム作るなら内臓を食えるようにする!」って言うんです(笑)。

最終的に、さすがに食べるのはやめよう……と料理するところまでにとどめて、中和したのが今みなさんにお出ししているものです。
――本作のは射撃感が気持ち良いです。こだわりを教えてください。
アルビーン:射撃音にはこだわりがあります。予算がつくまでは、『Counter-Strike』のSEを盗……拝借して、予算ができてからはスウェーデンの良いチームを雇ってどんどんレベルを上げていきました。サウンドというのは過小評価されがちだなと常日頃思っています。
2022年の段階ではSEの半分が『CS』のものだったのですが、ヨーロッパのインディーアワードで「Best Sound賞」にノミネートされちゃって……「これ借りてるやつだから!仮置きだから!」と釈明しました(笑)。
2022年にはすべてを入れ替え、今では完全にイチから制作したものになっています。『CS』の音を使っていたのは、SNSでは意外と気づく人も多かったですね。(もちろんそのたびに、仮置きだと釈明していましたよ!)

――ローグライトFPSとエクストラクションシューターを組み合わせたようなゲームプレイは新鮮で面白いです。これはどういったところから発想したのでしょうか。特に、エクストラクションシューターは対人ものが多いですが……。
アルビーン:我々は、まだこの世に存在しないものを作りたかったのです。『Escape from Tarkov』は大好きですし、ローグライクも大好き(『Returnal』はPS5で大好きなゲーム)。そして、『ダークソウル』も大好き。これらの要素を持ちつつ、歯ごたえがあり1人で楽しめるものを創り上げました。
――最新コンテンツである砂漠ステージについてお訊きします。ここに登場する敵はどういった存在なのでしょうか。
アルビーン:彼らは小さな種族で、砂漠に長い間住んでいます。彼は魔女が創り上げた霊的な領域「SULFUR」に閉じ込められていましたが、それに気づいていません。世代を超えて閉じ込められている彼らの背後には、彼らを奴隷として支配する、『スーパーマリオ』におけるクッパのような存在がいます。

――次のアップデートではいよいよ魔女との決戦が待ち受けるのかなと思いますが、今話せる範囲でどんなものになるか教えていただけますか。
アルビーン:あまりネタバレはしたくないので詳細は控えますが……きっとクールなものになると思いますよ。今年中にリリース予定で、おそらく年末かな。
――エンドレスモードについても教えてください。
アルビーン:エンドレスモードは『サルファー』でクレイジーな武器を創り上げ、さらなる難しさを求めるトップファン向けです。ステージが夢限に続き、ランダムな敵との遭遇があり、非常に難しいものになる予定です。これも今年中にリリースしたいですね。
――オススメの武器エンチャントがあれば教えて下さい。
アルビーン:複数の弾丸を射出する銃にサティエティオイルをつけると、一定確率で弾薬を消費せずに撃てるので、より多く、より消費を少なくうち続けられるのでおすすめです。もっとクレイジーなビルドは、DiscordやXで皆さんが見つけてくれています。
――本作には食べ物アイテムがたくさん登場します。その中の「チューブキャビア」…日本人には馴染みがないのですが、アレは何なんでしょう?
アルビーン:あれは、スウェーデンで最も人気がある朝食の「カレス・キャビア」が元ネタです!バターやマヨネーズのように、チューブに魚卵が入っています。ただ、北欧では「キャビア」はチョウザメの卵のではなく、魚卵全般を指します。卵やサンドイッチに塗ると美味しいんですよ。

カレス・キャビアは最も人気のあるブランドで、スウェーデン人は海外旅行するときでも、朝食用にスーツケースに入れて持っていくこともあります。私のアジア人の友達はとてもお気に入りと言っていたので、きっと日本でも人気になるんじゃないかな。

――身体装備の中に、QRコード付きの服がありました。スキャンすると実際に買えるストアまで飛べて面白かったのですが、このアイデアはどのように考えましたか。
アルビーン:これは私のアイデアです。面白いでしょう?(笑) あのストアには「それがあなたをここに導いた。それは彼らをここに導く。広まれ。」というポエムみたいなものも書いているんですよ。
ちなみに、このパーカーは日本で一番売れています。アメリカやヨーロッパよりもです(笑)。

――なんと、そうなんですね!意外です。最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。
アルビーン:日本のファンには、これ以上ないほどの感謝を伝えたいです。私の夢は日本のゲーマーに少しでも注目してもらえることでしたが、こうしてインタビューを受けて、日本に多くのファンがいるという状況はまるで夢のようです。
日本は我々にとって2,3番目に大きな市場です。我々は日本が大好きです。すべてのプレイヤーに心から感謝します。
――ありがとうございました!
『サルファー(SULFUR)』は、PC(Steam)向けに早期アクセスで配信中です。PS/Xbox/スイッチ向けに移植も予定されています。日本でのパッケージ版発売も決定しており、ネオスが販売を担当します。
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