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リズムSTG『Aaero』開発者に訊く秘話―げむすぱ読者の質問にも答えてくれた【独占インタビュー】

先日Game*Spark上で読者プレゼントを実施した、PC/PS4/XB1用リズムシューティング『Aaero』。開発を行う、イギリスを拠点とするインディーデベロッパー Mad Fellows に、げむすぱ読者による質問も交え、メールインタビューを実施しました。

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先日Game*Spark上で読者プレゼントを実施した、PC/PS4/XB1用リズムシューティング『Aaero』。開発を行う、イギリスを拠点とするインディーデベロッパー Mad Fellows に、げむすぱ読者による質問も交え、メールインタビューを実施しました。



――まずは自己紹介をお願いします。

ポール・ノリス氏(以下ノリス氏):こんにちは。ポール・ノリスです。Mad Fellowsではクリエイティブディレクターを担当しています。

――いつ、どのように『Aaero』の開発は始まったのでしょうか?また、開発体制はどのようになっていたのでしょうか?

ノリス氏:Mad Fellowsは、私と私の良き友人であるダン・ホーブリーの二人だけです。私たちは二人とも、2013年に独立したスタジオを設立するまで15年ほどAAAタイトルの開発に関わってきましたので、自分たちが作りたいと思うゲームを製作することができました。『Aaero』の開発は2015年の1月にスタートし、その後コスタスというアーティストが1年ほど参加し、ビジュアルの手伝いをしてくれました。開発のほとんどは私とダンの二人で行っています。


――開発にあたって、インスパイアされたゲームタイトルなどはありますか?

ノリス氏:多くの人が『Aaero』を初めて見ると、『Rez』(注:2001年にセガから発売されたシューティングと音楽を融合させたタイトル)の名前が出ますが、実はよりインスパイアされた作品としては2002年に発売された『ギタルマン』が挙げられます。開発が進むにつれ、シューティングのメカニズムを一から作り直すことになりました。実は元々シューティング要素は、「タイミングに合わせてボタンを押す」というものだったのですが、私たちは『Aaero』をただリズムに合わせてボタンを押すゲームにはしたくありませんでした。私自身『Rez』の大ファンですので、シューティング部分を進化させていった結果、より『Rez』に近いものとなっていきました。水口哲也氏による名作に似てしまうことで、『Aaero』が没個性的なものになってしまうのではないかと心配もしましたが、実際にプレイしていただいた方からは『Rez』との比較がよく語られるものの、『Aaero』自体が持つ個性的なスタイルやゲームプレイも楽しんでいただけているので、嬉しく思います。それに、『Rez』のファンという方たちが私たちのタイトルを楽しんでくれるというのは大変名誉なことだと思っています。

――ゲーム以外に影響を受けた作品などはありますか?

ノリス氏:プロトタイプを製作したあと、私は可能な限り多くの音楽を聞き、一体どのような音楽が『Aaero』に合うのか想像してみました。ゲームプレイが音楽の方向性を決定し、音楽がゲームのビジュアルへインスピレーションを与えています。


――『Aaero』に使われている楽曲はどなたが作曲されたのでしょうか?

ノリス氏:元々自分で作曲する予定でした。しかしプロトタイプで自分の好きなNoisia(注:オランダのエレクトロニック音楽トリオ)の曲を使用したところ、あまりにぴったりだったため、コンタクトを取ってみることに決めました。幸いにも、Noisiaは私たちがとても小さなインディーデベロッパーで予算もかなり限られていることを理解してくれました。するとある巨大音楽レーベルが『Aaero』の存在に気づき、Flux Pavilion(注:イギリスのシンガーソングライター)やケイティ・B(注:イギリスの歌手)といった有名アーティストの作品の使用許可を出してくれたのです。通常であれば私たちに手の届くようなアーティストたちではないのですが、『Aaero』に大きな期待を持っていただけたことから、安価な値段で使用許可を得ることができ、とても嬉しかったです。そして何より、自分で全て作曲することにならなくて良かったと実感しています。私たちのような小さなチームでは、すでに作業量がとてつもないことになっていましたから!

――開発において苦労された点はありますか?

ノリス氏:多くのインディーチームに共通するかと思いますが、資金を調達するのが大変でした。また、開発中はごくわずかな収入で生活していかなくてはならなかったのも大変でしたね。当時はすでにインディーゲーム市場が飽和状態でしたので、人々に知ってもらうということがほぼ不可能でした。大きなパブリッシャーは多額の費用をかけて宣伝を行いますので、対抗することは難しかったのです。また、私たちの作品はゲームメディアから高評価をいただきましたが、リズムゲームというジャンルはヨーロッパや北米ではとてもマイナーな存在だったということもあります。


――Game*Sparkの読者の方からは「一番良かったのは背景!」という声が届いています。どのように製作されたのでしょうか?

ノリス氏:大変でしたよ!各レベルが現実世界における約2kmにも及ぶので、我々のような小さな開発チームでは、どのようにモデリングやテクスチャリングしていくか、普通とは異なるアプローチをする必要がありました。様々なスタイルを試してみた結果、高速のゲームプレイにはシンプルで美しいものが最適だと判断しました。ダンが地形を自動で作り出すツールやMIDIに合わせてオブジェクトを配置できるツールを作ってくれたため、自分は各レベルのデザインを担当しました。音楽のMIDIファイルとツールを使用し、各シーンにメインとなるオブジェクトを配置していったのです。私たちはテクスチャーをペイントする作業と、それらを使用しモデリングする作業に多くの時間が割かれるだろうと判断したことから、それらを一切使用しないこととし、シェーダーやライティングの調整に集中することとしました。そのおかげで、独特なビジュアルスタイルを実現できました。見た目が良く、作るのにもそれほど時間がかからない方法を見つけることができてとても良かったです。もしそうでなかったら、今現在でもレベルデザインをしていたでしょうね!

――別の読者からは「マルチプレイに対応すればさらに面白くなりそう」という声もありました。検討はされたのでしょうか?

ノリス氏:はい、『Aaero』のマルチプレイヤーモードの構想はあります。一つの画面を共有する形の協力プレイとなり、それぞれのプレイヤーが異なる色のリボンをなぞっていき、協力して障害物を破壊し道を切り開いていくようなものになるでしょう。今ふと思ったのですが、対戦モードも作れそうですね。相手を妨害するようなモードも実現可能かもしれません。ぜひ検討させていただきたいと思いますが、実現には十分なリサーチが必要となりますので、続編が実現すればその際搭載できるかもしれません。


――というと、続編の予定があるということでしょうか?

ノリス氏:もちろん作りたいとは思っています。詰め込むことのできなかったアイデアがたくさんありますので、それらを実現させたいとも思っています。もし『Aaero』が続編につながるだけの支持を得られれば、素晴らしいでしょうね。

――些細なことではありますが、日本語が若干わかりにくかったという声もありました。

ノリス氏:これは、私たち自身で翻訳を確認をすることができなかったことに起因しています。しっかりとしたローカライズに当てる資金がなかったため、少し日本語がわかる人に聞いたり、グーグル翻訳を使用するしかありませんでした。もちろん、これらが最善策ではないことは承知していましたが、どうしても日本でリリースしたいと思い、実現するためには日本語サポートをするしかなかったのです。もし翻訳をお手伝いしていただける方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけいただきたいと思っています。ただ、ご存知のように私たちは日本語が読めませんので、ご提供いただいた翻訳を信じるしかありません。クレイジーな翻訳だけは勘弁してください!(笑)

――最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いいたします。

ノリス氏:私の好きなゲームの多くは日本で作られました。ここ(ヨーロッパ)では日本のようにバラエティに富み、人気のあるゲームはそれほど多くありません。日本のゲームはバラエティが豊かですし、クリエイティブで、一風変わったものが多い印象があります。ですので、そんなたくさんの選択肢がある中、日本のたくさんの方が『Aaero』を遊んでいただけたというのは、本当に光栄なことだと思います。私のツイッター上でもできる限り日本のプレイヤーの皆さんとコミュニケーションを取りたいと思っていますが、どうしてもグーグル翻訳に頼ってしまい、時にはよく分からない翻訳になってしまうこともあります!もし私の発信するひどい機械翻訳の日本語に我慢していただけるようであれば、どんなご質問にもお答えしたいと思っていますので、いつでもお気軽にお声かけください!

――ありがとうございました!
《シュナイデル関》
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