観測者でなく、当事者となれ―7年待ち焦がれた『ANONYMOUS;CODE』を先行プレイ!“ハッキングトリガー”で世界を救え! | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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観測者でなく、当事者となれ―7年待ち焦がれた『ANONYMOUS;CODE』を先行プレイ!“ハッキングトリガー”で世界を救え!

世界は、シミュレートされる―今見えている現実は、本物か?

連載・特集 プレイレポート
観測者でなく、当事者となれ―7年待ち焦がれた『ANONYMOUS;CODE』を先行プレイ!“ハッキングトリガー”で世界を救え!
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『STEINS;GATE』や『CHAOS;CHILD』など、「99%の科学と1%のファンタジー」をコンセプトとした「科学アドベンチャー」。そのシリーズの最新作である『ANONYMOUS;CODE(アノニマス・コード)』が、発表から7年の歳月を経て、いよいよ2022年7月28日に発売を迎えようとしています。

いとうかなこさんが歌う「GAME OVER」が聞けるオープニングムービー。「これぞ千代丸×いとかな!」といえる、シリーズらしい曲調が最高だ。

主人公が使う「セーブ&ロード」をはじめ、「地球シミュレータ」や「BMI(Brain-machine Interface)」など、SF好きの心をくすぐり倒すワードに溢れている本作を、編集部では一足先にプレイ!世界観や科学アドベンチャーとしての魅力、「セーブ&ロード」の仕様など、インプレッションをお届けします。

なお、冒頭5時間程度のゲームプレイをもとに執筆しています。多少のネタバレが避けられないことはご留意ください。

アドベンチャーゲームの一歩先へ

まずは本作の世界観をおさらい。舞台は2037年の東京・中野。現在から15年後の世界では、「BMI(Brain-machine Interface)」が一般的となっています。BMIとは、ピアスのようなキャリアノードを装着することで、視界にAR(厳密にはXR)でさまざまな情報を投影できるというスグレモノ。

我々が普段しているネットサーフィンやSNS、マッチングアプリまでも視界の中で完結させることができるのです。通信も可能であり(むしろ、基本的な処理はクラウドで行われている模様)仲間とDiscordを繋ぐように通話することが、ハンズフリーで可能となっています。

本作のUIは、基本的に主人公「高岡 歩論(ポロン)」のBMIを通しています。つまり、ポロンの視界に映るものをプレイヤー自身が見るということ(もちろんポロンの立ち絵はちゃんとありますよ)。ニュース速報や掲示板の書き込みなど、デスクトップに複数のウィンドウを並べるように、視界に投影されているのです。

仲間たちと通話している様子。普段我々がDiscordで通話しながらゲームをするような感覚ですね。

テキストウィンドウにいる謎の生物は、「ZOOTTOMO」と呼ばれるナビゲーションサービスのARキャラクター。ポロンはこのサービスを好いていないため、わけのわからない見た目をしていますが、ポロンの仲間「牧風都(ウインド)」は、画像下のようなキャラクターとイチャイチャしています。どういう技術かわかりませんが、触ることもできるらしい。つまり......?

本作はテキストウィンドウを消すこともできますが、これはBMIを切るということと同義。つまり、BMIで投影されているだけのZOOTTOMOのキャラクターは、BMIを切れば見えなくなってしまいます。こりゃ虚しい。

控えめに言って、この時点で最高。ポロンの見ている景色に限りなく近いものを、インターフェースとして表現し、しかもそれがヌルヌル動くんです。例えば、ニュース速報は、テレビのそれと同じように文字が流れたり、掲示板の書き込みが自動で更新されていったりと、普段我々がPCやスマホで触れているものが、BMIを通じて行われている様子を体験することができます。

『サイバーパンク2077』や『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』のように、コックピットやサイバーノーツのインターフェースをゲーム内UIとしているゲームは多くありますが、アドベンチャーゲームという枠組みで、このような挑戦を見せたタイトルは多くないのではないでしょうか?

本作は「アドベンチャーゲーム」という形式を取りつつも、既存のアドベンチャーゲームには見られない挑戦や見せ方が仕組まれているのです。

例えば画像上のこのシーン。これはバイクに乗ったまま、重要なアイテムの受け渡しをするシーンですが、バンドデシネ風に描かれています。コマ割りが変化していき、漫画に音楽とボイスが乗ったような表現を、重要なシーンでは採用しているのです。デジタルコミックソフト『メタルギアソリッド バンドデシネ』を想像するとわかりやすいでしょう。

BMIのインターフェースを採用した、既存のアドベンチャーゲームの画面にプラスされた要素と、バンドデシネ風の表現が組み合わされることで、本作の物語体験は大きな満足感が得られ、登場するキャラクターたちを身近に、親しみやすく感じます。過去の科学アドベンチャーシリーズで採られていた「文字と立ち絵と時々CG」という表現から、大きく進化しました(『ロボティクス・ノーツ』は3Dでしたが)。もう、この時点で7年待った甲斐があるってもんよ。

その他、世界観として興味深いのが、2036年2月6日に起こった「サッド・モーニング」。2000年問題などと同様に、デジタル時計の上限値を超えることに起因するシステムエラーが、2036年に発生(気になる人は「2036年問題」で検索だ!)、これにより、地球軌道上にある防衛攻撃システムが誤作動を起こし、世界中をレーザー(のように見える)攻撃したという大規模災害。

地図には大きなクレーターが

世界各地で多くの死者を出し、日本でも6箇所が攻撃を受けました。新宿・赤坂・代官山・御茶ノ水などが被害を受けたのです。舞台である中野は新宿のお隣。痛々しい大きなクレーターがすぐそこにあります。

実在の場所を舞台にしつつ、今の世界の延長にありそうな絶妙なラインを突いてくる世界設定は、現代に生きる我々にとって想像しやすく、「こんな未来あるかも!」と思えるものになっています(レーザーの誤射は勘弁だけど)。これが科学アドベンチャーシリーズの醍醐味です。

謎多き物語と可愛いキャラクターたち

主人公であるポロンは、相棒の「弓川 十字(クロス)」とチーム「中野シンフォニーズ」を組み、「困っている人を助けるヒーローのような存在」を目指して活動するホワイトハッカーです。ポロンが謎の少女「愛咲もも(モモ)」と出会うシーンから物語ははじまります。彼女はなぜか日米連合国防軍に追われており、モモ自身、自らの追われている理由や素性を明かそうとしません。

何故モモは追われているのか、モモの目的はなんなのか、世界を巻き込む陰謀が待ち受けているのです。

深くはネタバレとなるため言及しませんが、手練のスーパーハカーが多く登場したり、世界をシミュレートする「地球シミュレータ」なる存在が秘密裏に日本で作られていたりと、科学アドベンチャーシリーズらしい、ワクワクするようなSF要素がふんだんに盛り込まれています。

ノンノ(CV:木野日菜)しか勝たんのよ

その中で、警察がアイドルを運営して「アイドル・イズ・スマイル」と真顔で唱えていたり、トンデモない技術でロケットランチャーやドローンを作り出すロリっ子がいたりと、「萌え」や「笑い」がエンタメとしてトッピングされ、独特の世界観を作り上げています。

警察兼アイドルこと、サイバーフォースドール。甘んじて逮捕を受け入れたい。

「メタ」を感じる主人公の能力

ここまでは世界観や、シリーズとしての魅力を紹介してきましたが、やはり気になるのはポロンが使う「セーブ&ロード」。あらゆるゲームに搭載された普遍的なゲームシステムが、どのように物語へ落とし込まれているのでしょうか。

主人公は物語の導入で「セーブ&ロード」が使えるアプリを得ます。というか、ポロンのBMIがハックされ、インストールされます。そもそも何故ポロンにこのアプリが与えられたのか気になるところではあるのですが、ポロン自身も手に入れたばかりの謎のアプリを慎重に使っていきます。トリセツもないので試行錯誤していくなかで、自分をハッキングした凄腕ハッカーに対して呼びかけてみたりもして、それはつまるところ「セーブ&ロード」の使い方を知る凄腕ハッカーが、プレイヤー自身であると自覚する瞬間でもあります。

プレイヤーが「ここで使うと良いかも」というタイミングで「ハッキングトリガー」を押すことで、ポロンに提案することができ、ポロンがその提案を受け入れたときに世界をやり直すことになるのです。なお、これはタイムリープとは少し異なり、セーブした時点へ戻るため事前のセーブが必須とのこと。物語の導入では、軍から追われるモモを救うためにこの機能を使います。モモが軍に連行され、無力感に膝をつくポロンは、逃走中のシーンをロードし、記憶を頼りに軍の動きを避け、モモと共に逃亡することを目指します。

また、少し物語を進めると、掲示板(4ch)に現れた謎の人物「Cicada3301」(これも実在します。気になる人は検索だ!)によって提示される「クエスト」をクリアするために、このアプリの機能を使うことになります。これは画像から提示された謎を紐解き、航空機のオートパイロットが乗っ取られた、ハイジャックならぬ「ハイハック」を止めるというもの。ポロンたちが、ハイハックされた航空機の墜落を阻止するために、セーブ&ロードを駆使します。

ハッキングトリガーを使わずにそのまま傍観すると、もちろんゲームオーバー。ゲームオーバーの数はかなり多いようで、別のハッカーの妨害や、オートパイロットへアクセスなど、セーブ&ロードで何度も繰り返えすことでかいくぐり、墜落を阻止することが本作の攻略となるようです。

ポロンのセーブデータを上書きしようとすると文句を言われる

ポロンがクエストのクリア(墜落の阻止)をするために、ハッキングトリガーで上手くセーブ&ロードを促し、導くというわけです。ポロンと一緒に頭をひねり、得た情報を整理していくことがポイントとなります。

科学アドベンチャーシリーズは、携帯電話のメールや、SNSの返信による分岐や、マッピングによるキャラクターへの感情移入を促してきましたが、本作では、より深く主人公の行動に介入することになりそうです。これが「メタ科学アドベンチャー」ということなのでしょうか......?

なお、プレイヤーが一旦ゲームをやめるときに進行を保存する、通常の「セーブ&ロード」は(少なくとも序盤の数時間では)可能でした。


「科学アドベンチャー」というある意味ひとつのジャンルとして確立された世界観をより濃密なものにし、バンドデシネ風やBMIを採用したUIなど、リッチな表現で仕上げることで、序盤を数時間プレイしただけでも、その満足感はとても高いものでした。

また、セーブ&ロードをゲームシナリオのひとつとして組み込むことで、プレイヤーとキャラクターの試行錯誤がシンクロし、本作の体験を、より色濃いものにしている印象を受けました。複雑に仕組まれたセーブ&ロードによるシナリオと、リッチな画面で表現される新しい「科学アドベンチャー」は、7年待った甲斐があった...!と思わせてくれる内容でした。

『ANONYMOUS;CODE(アノニマス・コード)』は、PS4/ニンテンドースイッチ向けに2022年7月28日発売予定です。2枚組サウンドトラックやガイド&アートブックが付く限定版や、店舗別特典などの製品内容はこちらから。

企画・原作を担当する志倉千代丸氏が自ら行う本作の配信映像も公開中。千代丸節MAXとなっているので要チェックです。

ANONYMOUS;CODE - PS4
¥7,018
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ANONYMOUS;CODE - Switch
¥7,018
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《Okano》

「最高の妥協点で会おう」 Okano

東京在住ゲームメディアライター。プレイレポート・レビュー・コラム・イベント取材・インタビューなどを中心に、コンソールゲーム・PCゲーム・eスポーツについて書きます。好きなモノは『MGS2』と『BF3』と「Official髭男dism」。嫌いなものは湿気とマッチングアプリ。

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