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Game*Sparkレビュー:『ファークライ6:狭間の世界』―問われるゲームの終着地点

DLCが本作で出尽くした『ファークライ6』。その全容も見据えてレビューしたいと思います。

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オンゴーイング要素のあるライブゲームの綺麗な幕引きとは、どのようなものでしょうか。プレイヤーが誇りを持って作品から離れられるような? いったいどうやって? 『ファークライ6』のダウンロードコンテンツ「狭間の世界」をプレイし終えて、そんなことを考えていました。

結論からいえば、本作をクリアしたプレイヤーは誇らしい気持ちを得られます。ただ、そこに行き着くまでの道のりが厳しいのです。

『ファークライ6』がリリースされてから約1年が過ぎ、これまでもライブゲームとしてコンテンツ追加や終わらない革命などが繰り広げられてきました。本稿では『ファークライ6』の集大成となるDLC「狭間の世界」をレビューして、あるべきゲームの着地点を探りたいと思います。

シリーズ恒例のSFストーリー展開

宇宙船。

『ファークライ6』は2021年10月07日にユービーアイソフトによりリリースされたFPSで、圧政を強いる大統領へのレジスタンスの活躍を描いた作品です。そして「狭間の世界」は2022年12月7日に発売されたDLCとなっております。これまでも「シリーズ作品のヴィランを主役にしたDLC」をリリースしていましたが、「狭間の世界」は『ファークライ6』主人公の「ダニー・ロハス」が挑むことになります。

メインストーリーはいつもながら本編とは異なりSF風となっており、光球のエイリアン「フェイ」とともに、閉じ込められてしまった異次元からの脱出を試みるというもの。脱出するためには5つある宇宙船の破片を集める必要があり、最後にはラスボスが待ち構えています。

難易度調整の厳しさ

毒の沼地を避けながら進むステージ

進行はある程度自由で、各ステージを進んでいき赤と青のポータルどちらかを選んで進むというもの。色によって辿り着ける破片のありかが異なるため、多数のルートを踏むことになります。特筆すべきは、各ステージが“パズル”になっているということ。このパズルが単純ではなく、難易度が高めに設計されています。

破片を回収するたびに増えるツール。

レベルデザインは凝った趣向が張り巡らされており堪能できる反面、難易度が非常に高く、厳しい戦いを繰り広げることになります。『ファークライ6』本編にはFPS初心者でも楽しめる難易度設定があったにもかかわらず、本DLCは間違いなくFPS初心者には向けられていません。その難しさを端的に説明するならば、ただ「戦闘が激しい」というより「ステージに殺される」といった具合なのです。

本作特有の「カラーコンバットシステム」も難易度を上げている一因で、これはキーボードであれば初期状態でLキー(コンフィグで変更可能)を押すことで銃の色が赤と青の2色に切り替わり、2色の敵それぞれ同一の色にした銃でなければダメージを与えられない……というシステムです。最初は楽しめるものの、長くプレイしていく内に敵と戦うより逃げることの方が楽なので、筆者も「カラーコンバットシステム」とは向き合わず、スルーを選ぶようになりました。

ガラス細工を模したアートは魅力的

本作のビジュアルスタイルはガラス細工を模しており、敵キャラクターはガラスのように描かれています。マップの一部にもこの意匠が活かされており、綺羅びやかで好印象です。他方、サウンドは押しつけがましくないものの、ほとんど気に留まらないレベルだったのが少し残念でした。

価格帯と内容をどうみるか

クリア報酬はおいしいといえばおいしい。

このDLCが「2,640円」という価格に見合うものかというと、それほどまでの魅力は感じられないと思いました。なぜなら“窮屈でプレイの型が決められているDLC”だからです。

ゲームクリア後は、毎週反乱軍が現れて拠点を制圧されるためふたたび取り返す、といったオンゴーイングのライブゲームとしての側面もあった『ファークライ6』。しかしながらDLC「狭間の世界」はライブゲームとしての顔を見せません。一度クリアすれば報酬がもらえる程度で、そのままプレイヤーが本編を遊び続けてくれると考えているのであれば、このコンテンツの洪水とも言える現状を見誤っているとしか思えません。

あるべき着地点とは

本作はシングルプレイヤーでありながら、ライブゲームの要素を持つFPS。その本編を補うようなDLCこそが、本当には求められていたのではないでしょうか。

終わってみれば、「慣例とはいえSF風のDLCをリリースするのは間違っているのではないか」という考えがよぎりました。本編のストーリー都合を改変するようなDLCだって出せるはず。たとえば大統領の息子にちなんだDLCなど、本編をクリアしたプレイヤーなら想像は膨らみます。

むしろSFテイストと大きく世界観を変えることで「本編で語り終えていないストーリーを示すチャンスを失った」のでは、と感じさせられました。いずれにせよ筆者は『ファークライ』シリーズの観測者で居つづけたいと願っており、続編が出ればまた購入するでしょう。ただ、そうではないプレイヤーにとって、「狭間の世界」は肩透かしを食らうDLCになったのかもしれない……そう考えると残念な気持ちが残ります。

総評: ★★☆

良い点
ガラス細工を基調とした優れたビジュアル
初見では新鮮味を感じられるカラーコンバットシステム


悪い点
プレイヤーが何度もプレイすることを念頭に置けていないレベルデザインの難易度
ミニマップなどが廃されているので最初は迷子になりやすく、ステージを覚えづらい


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¥4,280
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
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¥3,300
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《SHINJI-coo-K(池田伸次)》

FPSとADVを偏愛しつつネトゲにも造詣のあるフリーライター SHINJI-coo-K(池田伸次)

「Game*Spark」誌に寄稿しつつも「IGN JAPAN」誌と「GAMERS ZONE」誌にも寄稿。「インサイド」誌にも寄稿歴あり。今はなき「Alienware Zone」誌や「週刊Steam」誌にも寄稿していたフリーライター。 そしてヒップホップビートメイカー業も営む音楽家兼ゲームライターの兼業家。通称シンジ。

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