ステルスゲームやストラテジー好きなら誰でも楽しめるゲームを作りたい―海賊の黄金時代を舞台にした『Shadow Gambit: カリブの呪い』開発者インタビュー【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ステルスゲームやストラテジー好きなら誰でも楽しめるゲームを作りたい―海賊の黄金時代を舞台にした『Shadow Gambit: カリブの呪い』開発者インタビュー【特集】

『Desperados III』など高評価作品で知られるMimimi Games最新作!作品やジャンルへの想いをお聞きしました。

連載・特集 インタビュー
ステルスゲームやストラテジー好きなら誰でも楽しめるゲームを作りたい―海賊の黄金時代を舞台にした『Shadow Gambit: カリブの呪い』開発者インタビュー【特集】
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ドイツのゲームデベロッパーMimimi Gamesは、新作ステルスストラテジー『Shadow Gambit: カリブの呪い』をPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに現地時間2023年8月17日発売予定です。

本作は、死者の魂が失われることがない別世界の海賊の黄金時代を舞台にした作品。プレイヤーは呪われた女海賊・アフィアとなり、さまざまな陰謀や謎が待ち受ける「失われたカリブ海」に隠された大いなる財宝を手に入れるため、伝説の海賊のクルーや船とともに宝探しに挑みます。

本作のジャンル“ステルスストラテジー”は、RTSとステルス要素を組み合わせたもの。マップ内で見つからないように地形やスキルを駆使して隠れたり、敵を倒しながら目的を達成していきます。これまで『Shadow Tactics: Blades of the Shogun』『Desperados III』などの高評価作品を手がけてきた同社による、初の自社パブリッシング完全新作です。

記事中の画像はプレビュー版のものを使用しています。

Game*Sparkでは、本作を開発したMimimi Gamesへのメールインタビューを実施。今回インタビューに答えてくれたのは、Mimimi Gamesのデザイン部門責任者であるMoritz Wagner氏です。待望の新作となる『Shadow Gambit: カリブの呪い』への想いや、同社が名付けた“ステルスストラテジー”というジャンルへのこだわりなど、多くの質問に答えていただきました!


『Shadow Gambit: カリブの呪い』開発者インタビュー

――最初に、自己紹介をお願いします。本作にはどのような形で関わられていますか。

Moritz Wagner氏:こんにちは、私はMimimi Gamesのデザイン部門の責任者であるMoritz Wagnerです。クリエイティブディレクターと密に連携して、プロジェクトのビジョンを作り上げ、ゲームデザインやレベルデザインなどに重点を置いています。

私の仕事は、レベルデザイン、ライティング、UI/UXの一部などを含むデザイン部門のメンバーを調整することもあります。だから私は多くのスタッフと話したり、フィードバックをしたり、大きなシステムの設計を行ったりしています。

――『Shadow Gambit: カリブの呪い』の制作に関して、影響されたゲームや作品などはありますか?

Moritz Wagner氏:もちろんです!最初に大きなインスピレーションを受けたのは、1998年に私たちがやっているような“ステルスストラテジー”というジャンルに近い作品を作り出した『Commandos』シリーズですね。

ステルスゲーム要素に関しては『メタルギアソリッド』シリーズや『HITMAN』シリーズ、『Dishonored』シリーズ、『Thief』シリーズなど多くの作品が、我々の考えるゲームのシステムやメソッドに間接的な影響を与えていると思います。

――本作の世界設定とキャラクターたちは非常に魅力的です。本作の開発のコンセプトを教えてください。

Moritz Wagner氏:まず最初に、私たちは『Desperados III』(パブリッシャー:THQ Nordic)の開発を終えた後に次回作をセルフパブリッシングしようと決めたんです。そのためには、まったく新しいオリジナルIPを作る必要がありました。

新しいIPを作るということはゲームデザインやストーリー、設定など、多くの項目で今まで以上に自由度が高まります。また、生み出した新しいIPは間違いなく我々Mimimi Gamesの所有物です。そのため設定やキャラクターなどで新しいことを試せますし、将来的にIPを自由に探求できるということです。とても興奮しました。

『Shadow Gambit: カリブの呪い』ではファンタスティックな魔法の世界、超自然的なキャラクタースキル、ミッションへのノンリニアなアプローチ、自由なキャラクター選択、“生きている幽霊船”が拠点になるなど、多くの新しいことを試してジャンルそのものを次のレベルへと押し上げられたと思います。

◆世界観設定について

ファンタジー的な世界観や設定として『Shadow Gambit: カリブの呪い』は、私たちとは別世界の海賊の黄金時代でが舞台で、死者の魂が成仏できない呪いがかかった「失われたカリブ海」という幻想的な群島には大小さまざまな島々があります。成仏できない魂のエネルギーが本作の魔法の源であり、主人公たち呪われた海賊が、素晴らしい魔法の力を持っている理由になっています。

キャラクターには最初から超自然的な能力を持たせようと決めていました。魔法やファンタジーの世界にすることで、キャラクターたちの個性的なメカニズムやスキルを制作する自由度が高まり、“魔法の力を持つ呪われた海賊たち”という世界観や設定にぴったりの存在が誕生しました。キャラクターデザインのプロセスについては、このブログ記事で詳しく読むことができますよ。

この設定のおかげで、ジャンルの定番システムである「クイックセーブ/ロード」を世界観や物語に設定として自然に組み込むこともできました。主人公の拠点でもある、生きている幽霊船“レッド・マーリー”は時間を操作する能力を持っています。

この能力のおかげで、ゲーム内では戦略を練るために時間を止めたり、複数キャラクターの行動予約をしたり、失敗してもすぐロードすることもできます。ゲーム内では、こういった機能を使うことにさまざまなリアクションを見せます。

そして何よりも重要なことは、ゲームシステムと設定を融合させたことで、ゲームのメインプロットや全体的な物語の展開そのものに大きな役割を果たせたことがありますね!

◆「繰り返し」を自然とする敵NPCの設定も生み出せた

こういったファンタジー設定の中で、ゲーム内に登場する“乙女の炎(Burning Maiden)”教団という、とてもクールな敵勢力を設計することができました。彼らは世界中のすべてが彼らの理想と一致して完璧な状態であるという「グランドデザイン」というものを信奉しています。

実際のところ「グランドデザイン」というものは非常に曖昧で、本当の意味でこれが何であるかということは誰も理解していません。しかし、それでも「グランドデザイン」であるからという理由で、大きな疑問を持たずにゲーム内で彼らは厳格に決められた行動を何度も繰り返すことを遵守しているんです。

一般人から見たらとても奇妙な姿なのですが、彼ら教団員にとっては、それが当たり前の行動なんですね。この設定はステルスゲームで必要不可欠な「敵の行動パターンの繰り返し」への理由付けになっています。世界観とメカニズムを自然なものにすると言うコンセプトのため『Shadow Gambit: カリブの呪い』はとても設定にこだわっています。

――ゲームの雰囲気などから、開発チームが“海賊”をとても好きなことが伝わってきます。「実在の海賊」で好きな人物は誰でしょうか?

Moritz Wagner氏:世界中でクールな海賊はたくさんいますが、私のお気に入りは「クラウス・シュテルテベーカー(Klaus Störtebeker)」ですね。1370年頃に活躍したシュテルテベーカーには多くの伝説があり、特に彼の死は有名なものです。

※筆者注
「クラウス・シュテルテベーカー」は、14世紀にバルト海で活躍した海賊。日本ではあまり有名ではないものの、北欧の歴史資料などで「ヴィターリエンブリューダー(フィタリエンブリューダー)」と呼ばれる海賊団として活躍したことが紹介されています。

ドイツや北欧では人気のある海賊で、彼の伝説として最も有名なのが仲間とともに囚われて処刑された際のエピソード。処刑時に「もし首を落とされた後に自分が歩くことができたら、その歩数だけ部下を助けてくれ」と頼み、実際に首のない状態で11歩も歩いたと言われています。

その人気は高く、バラの品種ビールの名前のモデルになっているほど。ドイツ最大の島・リューゲン島では毎年クラウスを主役にした劇が開催されています。また、2006年には彼をモデルにした映画「パイレーツ・オブ・バルト(原題STÖRTEBEKER)」も公開されています。

――登場する仲間のひとりに日本人がいるのが嬉しく思います。彼は料理人として船で働いているという設定ですが、開発のみなさんは日本の料理を食べたことがありますか?

Moritz Wagner氏:はい、もちろんです!でも私自身は日本に行ったことがないので、レストランや友人から作ってもらった日本の料理しか食べたことがありません。私が住んでいるミュンヘンの通りにある、日本料理店の魚料理や焼肉料理が大好きですよ。

――ゲーム内でお気に入りのキャラクターは誰でしょうか?

Moritz Wagner氏:それは難しい質問ですね。ゲームプレイの観点からは、狙撃手のテレサが大好きです。彼女の長距離からの妨害とスナイプキルは多くの状況でとても効果的で、ゲームを大きく有利にしてくれます。性格的には、需品係のピンクスと、トレジャーハンターのクエンティンがお気に入りです。

特にピンクスは個人的にもとても思い入れがあるキャラクターで、彼のファミリーネーム「フォン・プレスワルト」は、私が「ダンジョンズ&ドラゴンズ」などのゲームでキャラクターを作る際にほとんど使っています。ゲーム内で、ライティングチームと声優さんは、ピンクスをとても楽しく、完璧なキャラクターに仕上げてくれました。

――“ステルスストラテジー”というジャンルに関して、開発チームの思うゲームとしての魅力を教えてください。

Moritz Wagner氏:私たちの目指すビジョンは、ストラテジーやステルスといったジャンルのゲームが好きな人なら、きっと誰でも私たちのゲームを楽しめるということです。私たちの作品をプレイすることで、この2つのジャンルを好きな人が共感してくれるものを作りたいですね。

例えば『Dishonored』や『HITMAN』などは、ほとんどの場合静かにタスクに取り組み、サンドボックス環境でプレイヤーが創造的な解決策を見つけていきますし、『XCOM: Enemy Unknown』などのストラテジーでは、キャラクターの持つそれぞれのスキルや武器を組み合わせて、賢い考え方や戦略的な決断でステージを攻略していきます。

『Shadow Gambit: カリブの呪い』でプレイヤーは多数の、あるいは強敵をどのように出し抜くかのプランを考えながら、実行していきます。考え抜いた自分だけのマスタープランが報われるために、貴方はマウスやキーボード(もしくはコントローラー)を持った「シャーロック・ホームズ」になるんです!

“ステルスストラテジー”という名称を設定したことで、多くのプレイヤーにジャンルとしてのわかりやすさを提供しました。さらに、このジャンルのゲームを楽しもうとする人々にとって、さまざまな思い出や感情をもたせるものになればいいなと思います。

――“ステルス”および“ストラテジー”というゲームジャンルに慣れていない人に向けて、本作のプレイに関するアドバイスがあればお願いします。

Moritz Wagner氏: まず、ミッションを完了するためにさまざまな方法やキャラクターを試してみる勇気を持って、ミスすることを恐れないでください!

私たちがデザインしたステージ、自由度の高いキャラクター選択やスキルなど、多くの点でプレイヤーは自分だけのユニークなプレイスタイルを作り出せます。ユニークな解決策を考えたり、思っても見なかったルートを発見したりと、ゲームの答えはひとつではなく非常に高い柔軟性を持っています。

幽霊船“レッド・マーリー”が持つ強力な時間操作の魔法も非常に便利です。戦術の構築やキャラクターの行動、気軽にロードできるシステムは、プレイヤーが答えを見つけ出すためのチャンスを提供します。すべてのキャラクターで「何ができるか」を試すことは、ゲームの醍醐味です。いろいろ試して楽しんでみてください!

――『Desperados III』のように、『Shadow Gambit: カリブの呪い』でのDLC展開は予定されているのでしょうか?

Moritz Wagner氏:今の時点では、私たちは『Shadow Gambit: カリブの呪い』を完成することに全力を注いでいます。私たちの主な目標は、これまでで最も野心的なステルスストラテジーゲームを提供しながらも、プレイヤーが初日から洗練された、滑らかなゲームプレイ体験ができるようにすることですね。

――最後に、日本のプレイヤーに向けたメッセージをお願いします。

Moritz Wagner氏:私たちのゲームをプレイしてくださる日本のプレイヤーの皆さんに感謝したいと思います。これは、私たちにとって本当に大きな意味がありますし、皆さんに楽しい体験を提供できることを願っています。『Shadow Gambit: カリブの呪い』をプレイして楽しい時間を過ごしていただければ幸いです!


Shadow Gambit: カリブの呪い』をPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに現地時間2023年8月17日発売予定。2023年6月20日から開催される「Steam Nextフェス:2023年6月エディション」にて、ゲームの一部を体験できるデモ版が配信予定です。


《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

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