ゲーミングPC市場はどう変化しているのか?ー“Z世代”にフォーカスする「GALLERIA」が目指すもの | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ゲーミングPC市場はどう変化しているのか?ー“Z世代”にフォーカスする「GALLERIA」が目指すもの

ゲーミングPC市場の変化について、「GALLERIA」ブランドを展開するサードウェーブに話を聞きました。

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ゲーミングPC市場はどう変化しているのか?ー“Z世代”にフォーカスする「GALLERIA」が目指すもの
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左:西村祐典氏 右:武藤亮太氏

5月13、14日に日本で初となるエンタテインメントゲーミング・フェス「DreamHack Japan 2023 Supported by GALLERIA」が開催されました。数年前には考えられなかった規模のオフラインゲームイベントであり、日本のゲーム市場の変化が感じられた催しでした。

本イベントにて、冠スポンサーを務めた「GALLERIA」ブランドを展開するサードウェーブは、イベントの結果をどのように見ているのか。また、このようなオフラインの大型ゲームイベントが開催されるようになった昨今のゲーミングPC市場の変化をどう感じているのか。

その答えを聞くべく、編集部では同社のマーケティングを統括する製品・マーケティング統括本部の執行役員 企画本部本部長 西村祐典氏と、製品・マーケティング統括本部 プロダクトマネージャー 武藤亮太氏にインタビューを実施しました。

◆「DreamHack Japan」で感じたゲーム市場の変化

――本日はよろしくお願いします。はじめにお二人の現在の役割や業務について教えてください。

西村祐典氏(以下、西村):製品・マーケティング統括本部の企画本部 企画本部長の西村です。執行役員として、PC全般のプロダクトの販売や「GALLERIA」関連イベントの責任者として、さまざまな業務を統括しています。

武藤亮太氏(以下、武藤):「GALLERIA」プロダクトマネージャーの武藤です。「GALLERIA」事業の戦略や企画立案、ブランディングの方向性を決めています。販売の末端まで包括しつつ、西村と一緒に業務を遂行しています。

――早速ですが、先日の「DreamHack Japan」を終えて、お二人の率直な感想をお聞かせください。

武藤:まずは、 無事に終わってホッとしています(笑) もともと本国のイベントや、その盛り上がりも知っていて、GALLERIAとしてはリスペクトしているイベントでしたので、日本初開催のタイミングで、タイトルスポンサーとして参画できたことは光栄でした。

――私たちも現地で取材をしていたのですが、GALLERIAブース内やステージにも常に人がいて、賑わっているという印象でした。

西村:そうですね。想像以上の盛り上がりだったので私たちも驚きました。多くの来場者の方に、ゲーミングPCの実機を実際に触っていただき、ゲームをプレイいただくことができてよかったと思います。

――なぜこれほどまでに盛り上がったのでしょうか?「GALLERIA」ブランドのゲーミングPCと来場者との相性の良さもあったのでしょうか。

武藤:そうですね、GALLERIAとしては相性の良さはあったと思います。当初イベントの発表段階では、音楽イベントやゲームの先行試遊、BYOC(=Bring Your Own Computer / 自分のPCを持って集まろう)エリアの情報やゲーム大会が大きく取り上げられていると感じました。しかし、ストリーマーの大会などもあり、さらにはイベントキャストの一部の方が、弊社でスポンサードしているチームやストリーマーであったことで、カジュアルなゲーマーの方からの注目度も高まったのではないかと思います。

――あれだけ多くの人が集まって、ゲーミングPCに直接触れる機会ってなかなかありませんよね。これはゲーミングPCの需要が高まってきているという理由もあるのでしょうか。

武藤:そうですね。そういった変化はものすごく感じます。

西村:PCゲーム自体のコンテンツ力やそれに紐づくコミュニティも強くなっていますね。

武藤:GALLERIAとして協賛した「VALORANT Challengers Japan」や「Riot Games ONE」をはじめ、プレイする人はもちろん、観戦側の人たちの熱量も高いですね。

その他にも、コンテンツの情報を拡散してくれているストリーマーのみなさんや、大会を開催してくれるゲーム会社さんによって、ゲーミングPC市場がさらに活性化されていると感じます。弊社はハードウェアを提供する会社として陰ながら支援する立場ですが、「DreamHack Japan」という大きなイベントに携われてよかったと思います。

◆ゲーム業界における「オフラインイベント」の価値とは?

――以前、「4Gamer」のインタビューでYostarの社長が「オフラインイベントはコスパが悪いが、数字では見えない価値がある」と話されていました。コロナ禍を経て、「DreamHack Japan」をはじめとした大規模イベントが増えてきています。このようなオフラインイベントの意義や効果について、お二人はどのようにお考えですか?

武藤:難しいところではありますが、オンとオフを融合させたハイブリッドなイベントも増えてきているので、この使い分けが重要になってくると思います。

マーケティングのKPIだけ考えると、絶対にオンラインの方がやりやすいのは間違いないです。ただ、オンラインイベントだとコミュニティやユーザーの熱量というものは、どうしても配信のコメント欄や同時視聴者数、SNSの発信などのテキストでしか拾えません。

オフラインイベントは、ゲーマーさんのコンテンツに対する熱量がわかりやすいという点があります。また、メーカーやブランドにとっては、ゲーマーの皆様と直接触れ合える機会でもありますし、お顔が見られるだけでなく、コンテンツに熱狂しているリアルな様子が見て取れることでも有意義な場だと思っています。オンオフどちらかに注力するというわけではなく、両方を活用してバランスよく取り組むべきだと考えています。

西村:私たちがリアル店舗の「ドスパラ」を出店し続ける理由も同じだと思います。リアルでお客さまと触れ合う場所というのはゼロにはできません。オンラインでは多くの人に一度にアプローチできますが、その中でも特に熱量の高い人たちに対しては、ブランドとして「直接触れ合える場所」を用意すべきです。

武藤:ゲームタイトルによって、コミュニティやユーザーの熱量というものは、グラデーションのように変化していくイメージです。なので、そこにいる「人」たちを見極めて、オンオフの配分などを考えていく必要があると思います。

――その「人」を見極めるというのは?

武藤:ストリーマーやプロの選手が出るイベントに、どういう視聴者がいるか。そして、その人たちに対して、私たちがどのような手段でアプローチしなければいけないのかを見極める必要があるということですね。

――見極めることが必要なのもゲーマーが多様化しているからだと思います。今回の件に限らず、オフラインイベントにこれだけの人が集まるようになった時代の“変わり目”はどこだったと思いますか?

西村:業界が「ちょっと変わった」と思ったのは、コロナ禍前に当時「DeToNator」だったStylishNoobさん、SHAKAさん、SPYGEAさん、YamatoNさんたちが4人で活動されてた時ですね。4人がイベントをやると、リアルでこんなにも人が集まるのかと。大会でもないし、トークショーでもないんです。ただ、4人がなにかやるだけで、コミュニティが一気に動くんです。もうほとんどアイドルとファンの関係と同じで、ゲーム業界でも同じことが起きていると感じました。

それまでは、「ゲーム」や「チーム」が主体だったんですが、その時期から一気にストリーマー・YouTuberなどの「人」にファンがつき、コミュニティができるようになったと思います。

――昨年の「東京ゲームショウ(TGS)」でもSHAKAさんの握手会が非常に盛り上がっていた印象です。

西村:昔のTGSは、俳優やタレント、アイドルをアサインして、その集客力を活かして、人を呼び込んでいたと思います。しかし、最近ではゲームタイトルに紐づいたストリーマーやプロ選手だけで、集客できるようになっているんですよね。

武藤:たしかに、昔より業界全体が近くなっている感じがします。「eスポーツチーム」「ゲーム会社」「デバイスメーカー」「ストリーマー」と、今まではバラバラになっていたものがまとまって、一緒に動くというのが、すごく増えましたね。

◆市場をけん引するのは「Z世代」? 多様化するゲーマー

ーー今は「PCゲーマー」のイメージも大きく変わっていると思います。年齢や性別関係なく、誰もがPCでゲームをするので、「GALLERIA」はどの層をターゲットとしているんでしょうか?

武藤:「GALLERIA」のブランディングターゲットで言えば、“PCゲームをする人全て”です。ただ、その時々でフォーカスする層が変わります。例えば今、「GALLERIA」がフォーカスしているのは「Z世代」です。

PCゲームに一番熱中して遊べるのは「Z世代」だと思っています。なぜなら、大学生や社会人になりたてで、一番時間をかけて楽しめる時期だからです。まずはそこで、PCゲームに触れてもらって、魅力を感じてもらうのが重要だと考えています。

ただ、多くのファンをもち、ナンバリングを重ねるコンテンツ力が魅力のPCゲームも多いので、世代やライフステージとは別軸で「ゲーム推奨PC」などでは、ゲームタイトル軸でそのファンの方々に届くようにしています。

――実際に「GALLERIA」を購入するメインユーザーは何歳くらいなんでしょう?

西村:若年層が多いですね。主に20代です。

――以前から若い層が多かったんでしょうか?

西村:いえ、現在のほうが顧客層は若くなっていますね。需要自体も年々高まっていると思います。

武藤:ブランドとしての取り組みの成果が出ているとは感じます。全国高校eスポーツ選手権や若年層に対するeスポーツ協賛などで、若いうちから「GALLERIA」を認知いただけていると思います。

――Z世代の方たちは、デスクトップとノート、どちらのPCを選ぶことが多いんでしょうか?

武藤:「GALLERIA」はデスクトップですね。ただ、ノートPCが少ないというわけではなく、ノートPCも以前に比べれば絶対数は増えています。大会やストリーマーへのスポンサードでブランドとして露出する際は、製品は基本的にデスクトップが多いので、「GALLERIA」=デスクトップPCのイメージができていると思います。

西村:正確に言うと「デスクトップの方が強い」って感じですね。どっちが上かではなく、「GALLERIA」が得意なのはデスクトップという感じです。

――ブランドとしては「ノートPCも伸ばしていく」という目標はあるんですか?

西村:日本のPC市場において、デスクトップPCとノートPCの比率をいうと、圧倒的にノートPCが高いです。ですので、そのボリュームゾーンに対し、「GALLERIA」としてはゲーミングを打ち出していかなければならないと考えています。

武藤:当社は、BTOメーカーという小回りの効く体制を活かして、製品を早く用意して、市場にあったプロダクトを出すことでユーザーに受け入れられているという強みがあります。ですので、ノートPCに関してもそういった動きを継続的に行っています。

――余談ですが、ここまで簡単にデスクトップPCが手に入る中で、1からPCを自作するコアな人って減っているんでしょうか?

西村:結論から先に言うと、自作やカスタムをする人の数は変わっていないと思います。ただ、ゲーミングPCを所持する人が増えたので、割合的には減っているのかなと思います。そもそもGALLERIAがメーカーパソコンとして完成されたものであるため、「サイドパネルを開けられる」「中身が交換できる」という考え自体がなくなってきているのではないでしょうか。

武藤:ブランドとしては、最初に「GALLERIA」を購入していただいて、そこから中身の部品に深く興味をもっていただく、そしてステップアップして、自作PCに辿り付くとよいと思っています。

ブランドとしてできるのは、一緒に過ごしている時間の満足度を上げるのと、できるだけ長く使っていただき、良い体験のまま次のステージに進んでいただくことだと思っています。お客さまのライフステージによって、PCやゲームとの関与の度合いは変化します。その時々にお客さまが必要なPCがゲーミングPCでなくなることもあるでしょうから、次のステージが自作PCでも、普通のノートPCでも、今GALLERIAを使っていただいている間の満足度が上がるように、日々、様々なプロジェクトを検討してます。

――最近、生成AIなども話題になっていますが、ゲーム以外の用途で「GALLERIA」を使いたいというニーズはあるんでしょうか?また、その市場に対してアプローチはされていたりしますか?

武藤:短い時間では語りつくせないほど、多岐に渡ってニーズがあります。以前、配信者のイブラヒムさんが弊社と協業いただいた際に、ゲーミングPCという言葉ではなく、「なんでもできる、つよつよPC」と紹介してくださったことがありました。本当にそれぐらい、ゲーミングPCはなんでもできちゃうんです。私も、改めて「確かにそうだな」と気づきました(笑)

PCゲームや配信など、ゲーミングPCに必要な機能や要素を加味し、ゲームを楽しまれる方の様々なシチュエーションを想定して、日々製品の企画や開発を行っていますが、結果的にゲーム以外での用途でも使えるPCなんです。例えばPCゲームが好きな方がゲームコンテンツの2次創作をしたり、配信から派生して、サムネイル制作や画像、音楽などクリエィティブ制作に使ったり、自作ゲームの開発やデバッグに使われる方もいる。これらは全部、ゲームから派生してゲーミングPCでできることです。

本当にそれぐらい、ゲーミングPCは性能としてはなんでもできちゃうんですよ。ブランドとしてもアプローチできるところは、現在進行形で何かしらの取り組みが動いています。

個人的には、これからメタバース関連領域はさらに広がってくるんじゃないかなと感じていますね。ゲームと非常に親和性の高いこともありますし、AI技術とも、VTuberさんとも相性がいいです。周りのアプリケーションがそろってきた印象で、そういったものが様々にミックスされた魅力的なコンテンツが生まれていますね。

◆「GALLERIA」が目指すのはゲーマーの「相棒」

――最後に「GALLERIA」ブランドの展望をお聞かせください。

西村:基本的なスタンスは変えるつもりはありません。「GALLERIA」はゲームをしていく人たちの相棒であるので、そこは変えずに、いかにその時々にあったものを提供できるか挑戦していきます。

ノートPCもデスクトップPCも、ハードウェアとしてサポートできるものはまだまだあると思っていますので、さまざまな場面で「GALLERIA」は全力で取り組んでいきます。リアルイベントもどんどんサポートしていきたいと思っています。

武藤:これから、ブランドのコミュニケーションとして続けていきたいことは、「     」&GALLERIAというサイトに詰まっています。西村がさきほど言った“相棒”にもつながってきますが、「誰かが何かやり始める」というタイミングで、「GALLERIA」がそれを応援して良い流れをつくって、次にそれを「やりたい!」という人を増やすというサイクルをつくりたいです。

ただ、GALLERIAは「主役」であるべきじゃないと思っています。あくまで主役は「人(プレイヤーやコミュニティー)」と「ゲーム」。その間をつなげるのが、ハードウェアである「GALLERIA」なので、そこだけはブレないようにします。


ライター:高村 響,インタビュアー:宮崎 紘輔,編集:松田和真,撮影:小原 聡太》

ライター/ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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インタビュアー/タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

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