2010年の東京ゲームショウ。カプコンの発表会で、リブート作『DmC Devil May Cry』の生まれ変わったダンテの姿が披露されると、シリーズファンからは反発の声があがり、大きな波紋を呼びました。
ゲームは今年1月にリリースされ、結果的に評判・セールスともに成功を収めた形ですが、新ダンテのデザインを手がけた仕掛け人とも言える、英国スタジオNinja TheoryのアートディレクターAlessandro "Talexi" Taini氏が、GDC 2013のセッションでそのデザインアプローチやインスピレーションの真相を明かしました。
まずは、主人公ダンテのキャラクターデザインです。日本で作られ、既にファンに定着しているデザインをどう作り変えるのか。これはNinja Theoryにとって大きな挑戦だったと言います。最初の試みは、日本独自の“ビジュアル系”デザインを破壊すること。新たにイメージしたのは“クールな西洋”のキャラクターコンセプトです。
もうひとつは、アニメや漫画のヒーロー的な位置づけではなく、現実味があり、ストーリーに説得力が出るような身近な雰囲気にするということ。Taini氏は『DmC』のダンテを“Normal Guy(普通のヤツ)”と表現。それでいて、ひと目でダンテと分かるようにしなければなりません。
Ninja Theoryのデザインチームはダンテのコンセプトを何度も何度も描き直し試行錯誤を重ねます。映画『パフューム ある人殺しの物語』や『クロニクル』、テレビシリーズ『デクスター 〜警察官は殺人鬼r』などがインスピレーションになり、“Rebellion(反逆児)”というテーマで最終的なダンテのイメージが固まったそうです。
世界観やステージのデザインアプローチについても語られました。Ninja Theoryは、過去の『デビルメイクライ』シリーズを見て、「なぜステージ上に誰もいなくて空っぽなのだろう」と疑問に思い、ステージ上にNPCの人ごみを配置しようと提案。これはリソース的な問題でカプコンに却下されてしまったそうですが、そこから生まれたアイデアが別世界“リンボ”です。
カプコンからはスクリーンショットだけでデビルメイクライと分かるようにしてほしいと要望があったため、ステージデザインは前作を踏襲したヨーロッパ風のゴシック建築様式に。ステージごとに色調が全く異なる大胆なカラースクリプト、シュールレアリスムを取り入れた地獄の風景も特徴です。ステージ環境がダイナミックに変形する“Malice(マリス)”の演出は、「エピックな瞬間を見せたかったから」とTaini氏。
講演のラストには、3年間(と3分)に及んだ『DmC』の開発を振り返るプロモーション映像が上映。『Heavenly Sword』、『Enslaved』、そして今回のリブートで着実なステップを踏んだニンジャたちの次なる動きに注目です。
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