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【第3回 京都インディーズゲームセミナー】トークタイム: Q「会社を辞めるべきか?」A「働け」

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登壇した天谷氏と楢村氏にPLAYISMから気さくなナイスガイことJoshua Weatherford氏をくわえ、トークタイムです。記者は一切発言していません。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

Mr. Weatherford: PLAYISMでコンテンツ獲得ディレクターをやっています。ジョシュアです。

天谷氏: さきほどもお話しましたが、ゲームを創っています。今のゲームが売れないと再来年は居ないかもしれません。(会場緊張)

楢村氏: 講演すること自体はたまにあるのですが、日本ではあまりありません。フルで60分プレゼンテーションするのは気持ちいいですね。専門学校の教師として教鞭をとるときはともかく、海外ではそうはいきませんから。

天谷氏: 翻訳の英語が流れますからね。間違っていても人のせいにできる。(会場笑い) GDCでもチェックありませんでしたよね?

楢村氏: ありましたよ?

(記者注: リアルタイム翻訳の不正確さが露見し、いわば「台本を読む」スタイルが、少なくとも楢村氏が登壇したGDC2013では採用されていました。アドリブにはもちろん対応。縁の下の力持ちは8-4。)

―インタラクティブでなければ面白くないだろう!という主旨でまず登壇者から逆に聴講者に質問です。

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天谷氏: なぜゲームを創ろうと思ったのか教えて下さい。

岡部さん: 神奈川から来ました。ゲームを創ろうと思ったのは、モノづくりをした結果人が「面白い!」と言ってくれるのが好きだったからです。その過程で、ゲームを創りたいと思うようになりました。ほかのモノよりも、ゲームの場合はプレイした人が喜んでくれます。だから、掘り下げたいと思いました。

天谷氏: なるほど、私と同じですね。良いモノで喜ばしてあげたい、ということです。まあ、他の人のもので喜んでいるのを見たらムカッとしたりね。(会場笑い) 脳を独り占めできるメディアとしてゲームは好きですね。

Maruchuさん: 名古屋から来ました。一番最初は、叔父が創っていたディスクシステムの編み物教育用ソフトです。それを通じて『マリオ2』をプレイして、「ルイージすげえかっこいい!」と思い、創ってみたいと感じたのが最初です。自分で創ったもので笑ったもらえるのが快感であり、もっともっといろんな人を笑わせてやろうとゲームを創っています。
(注: PLAYISMで配信中のカラフルマインの製作者様)

楢村氏: メンバー集めはどうしていますか?

今大学生でして、ゲームを創るサークルを主催しています。やりたいゲームがどんなゲームなのか話し合って、人を集め、その中でゲームを創っています。

楢村氏: うまくいってますか?

Maruchuはニヤリと笑った…

楢村氏: なぜニヤッと笑う(会場笑い)

リーダーをやっているのですが、仕事を投げるのが正直言って下手です。人に回すのが上手くいっていない手応えがあります。

楢村氏: 私の経験上、やれる人がやったほうが速いし、そのほうが良いですね。(会場笑い)

別の方: 留学生です。この点については、インターナショナルという言葉を使いたいです。国際的に人材を集めてゲームを創るということです。最初は考え方でぶつかることがあるかもしれませんが、最も重要なのはモチベーションです。皆で一緒にゲームを創りたい、それが最大の動機です。売るか、または売れるのかはわかりません。それはともかく、創ったものを広げ、楽しんで、アイデアを持つ人を集めて創るべきだと考えています。

楢村氏: 私たち(NIGORO)で具体的にいうと、岡山/大阪/熊本とバラバラです。昔はビックリされたものですが、今では離島や国境をまたぐことはよくあります。海を隔てていることはたいした障壁にならないでしょう。

―……なんだかキレイな意見が多いですね。喧嘩別れを起こしたとか聞きたかったです。(会場乾いた笑い)

楢村氏: 私らは喧嘩しますよ。「それは面白くないってんだろ!」とかね。基本的に私の"絶対君主制"ですから成立しています。ただし、それは何年もかけてようやく創りあげた形です。その点は忘れないでください。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

Mr. Weatherford: 海外に伝えたい、ゲームにおける日本文化の素晴らしさは?

岡部さん: コマとかけん玉が海外でウケました。ゲームでそのまま伝えるのは無理があるかもしれませんが、近代的な形にして伝えていけたらと思っています。

やたらと細かいこだわる文化や民族性、つまり丁寧に緻密に積み上げていくことです。これは海外の人が雑ということではありません。ただ、日本のいろんな作品にそういう良さが表れているということです。

楢村氏: なるほど。おもてなしの精神ですね。たとえば頭を下げるであるとか、手で案内するであるとか。

天谷氏: 宮崎駿氏なんかは細かいところをきちんとしていますよね。

Mr. Weatherford: 日本の文化をきちんと伝えているのは素晴らしいことです。

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以下、聴講者から事前に寄せられていた質問へ。

―Q: ゲーム創りに必要だと思うことは?

天谷氏: 最低限の技術と、「やりたいことを持っているか」です。

楢村氏: 先にキレイな意見を言われたから汚い意見を言いますと(会場笑い)、「俺はスゴいはずだ!」と思い込む才能でもいいです。さきほど専門学校で教えていると言いましたが、これからも近しい実態を感じます。"モノを創る"という時点で一般的なレールからは外れていますからね。

天谷氏: 自分に酔っていないと続けられないという側面はありますからね。

楢村氏: 『Gero Blaster』の邪魔をしたれ!とかね (会場笑い)


―Q: ゲームを創るときはどんなことを考えていますか?

天谷氏: ゲームのことばかり考えています。どうしたら面白くなるかとか、どこを直そうとか。ほかにもごちゃごちゃ、あたふたとしています。生活がかかっているので今は焦っていますね……。

楢村氏: あらためて聞かれると「何も考えていない」かもしれません。企画書を創っているときが一番幸せかも。散歩しているときに「あ、こうすりゃもっと(プレイヤーを)殺せたな」と考えたりはしますよ(会場笑い)


―Q: チーム製作と個人製作のメリット・デメリットは?

天谷氏: 個人製作のメリットは、フットワークが軽いことです。ただし、手が足りません。また、好きなようにできること自体が問題であったりします。つまり、サボってしまう危険性があるということですね。

楢村氏: カテゴリ分けするなら、私は全部自分でやりたいタイプなんですよ。ただ、複数でやっていると単独では出てこないアイデアが飛び出したりします。それを否定するのではなく、うまく自分の考えに取り込めたとき、「先」が見えたりします。一方のデメリットについては、複数の意見が出ている分だけ一人の作家が創っているという個性が薄まります。そして、ギャラも分配されます(会場笑い) あと、先に天谷さんの講演でありましたが、私たちは没が少ないんです。創り始めてからひっくり返したのは1個か2個くらいのものです。

天谷氏: 私がほかに創る人をさそえないのはそれが理由かもしれませんね。


―Q: 仕事が忙しくてゲームを創る暇がありません。会社を辞めるべきですか?

楢村氏: 働け。 (即答・断言・会場爆笑)

天谷氏: このゲームが大成功すると前もってわかるなら全力を注いでもいいでしょう。しかし、結果を先に知る方法などありません。そういう手段がないものか悩んでいたこともあります。ですから、仕事はしておいたほうがいいです。それに、現実問題として生活が苦しいです。何かを諦めるしかありません。やはり、生活をかけてはダメだと思います。

楢村氏: 私たちは「ダウンロードでゲームが売れるなら!」と飛び込みましたが、時期尚早だった感がありますよ。

天谷氏: 早かったですか?むしろ時間が経つほど有象無象が増えているような気がしますが。

楢村氏: いえ、今残っているものはクオリティは高いと言えるでしょう。

天谷氏: ともかく。結論は「辞めるな、働け」です。


―Q: 宣伝の仕方で工夫すべき点を教えてください。

Mr. Weatherford: 難しいですね。メディアのコネが一番大事でしょう(会場笑い)。でもそれを作るにはイベントに参加して、顔を出す必要があります。今の日本のインディーに弱い点でもあります。一般的な広告宣伝のアプローチでは莫大なカネをかけないと効果が出ないかもしれませんから、地道な努力が求められます。とくにインディーの場合はね。

天谷氏: 莫大なカネなんてありませんよ!

Mr. Weatherford: そう。だから、地道に顔出しするしかありません。

楢村氏: GDC2013には出ましたけど、それ自体が知られていなかったりしますけれどね。
(記者注: 世界的規模のイベントであるGDCに日本のインディーシーンから楢村氏が登壇したにもかかわらず、国内メディアで採り上げたのは弊誌以外にファミ通くらい)

Mr. Weatherford: カネ、つまり予算がないと宣伝しようがないところが案外多いんです。だからこそ、顔出しが必要になるのです。


―Q: 初心者にオススメのマネタイズ方法はありますか?

Mr. Weatherford: ハードやプラットフォームによります。PLAYISMの場合、マネタイズにはさほど手をかけていません。そもそも買い切りモデルだからです。さらに言うと、創られたゲームに適したマネタイズでなければクソゲーになります。つまり、マネタイズモデルの流用は原則的に難しいのです。

楢村氏: 「売ろう!」とするとどうしても今成功しているビジネスモデルを模倣しがちですけれども、まったく通用しなかったりします。たとえば「iPadで『LA-MULANA』を!」なんて声もありますが、絶対向いていませんしね。収入源としてバナーを置くことですら取り扱いが難しいでしょう。
(記者注: 『LA-MULANA』のコアは推理や解読にありますが、アクションパートも現代水準でいえばかなりタイトで、iPad/iPhoneの仮想コントローラでプレイするのが厳しいのは想像に難くありません)

天谷氏: 広告は苦手です。「見てくれ!」って主張しますからね。ホームページについてもオファーがあったりしますが、ここはこだわりで断っている部分です。

楢村氏: 売ること、マネタイズもゲーム創りの一環です。まあ、悪ノリでKickstarterで楽しそうにやるくらいなら良いものでしょうけれども。

Mr. Weatherford: 最良のアドバイスがあります。「安くしてください」です。

天谷氏: 難しいところです。私は一人でも多くの方にゲームをプレイしてほしいから安くするのですけれども、これには善し悪しがあります。「1ドルだから」で買ってくれる方がいる反面、1000円・2000円払ってくれた可能性もあるわけです。私自身「これなら5000円くらい出すよ!」みたいに感じられるゲームが85円で売られたりしています。

Mr. Weatherford: 『LA-MULANA』も、Steam上で「安い!」という意見がちらほらあります。

楢村氏: 『笑っていいとも』で芸能人が「『LA-MULANA』やってました!」と言ってくれるのが一番いいなと常々妄想していますよ(会場笑い)。

Mr. Weatherford: それはじつは日本の特殊性です。海外ではテレビに出てきてどうこうというのはあまりありません。任天堂さんの動向を見ていると、一般家庭のような演出が採用され、そしてその効果が高いわけです。インディーの場合は違います。楢村さんのGDCにかんする話題でもありましたが、たとえばインディー業界における「先輩」にたいするコネクション作りとかが重要でしょう。あとは、パーティーです。
(記者注: 日本的な名刺交換会ではなく、文字通りのパーティー、たとえば立食形式での雑談・交流などのことを差すものと思われる)

天谷氏: そう。ただの"遊び"じゃあないのです。


―Q:ソーシャルゲームから学ぶべき点、あるいは反面教師にすべき点は?

天谷氏: まず魅力についていうと、人間を相手にするというところです。仕組みとして関係あるかどうかはわかりませんが、格闘ゲームが出てきたときにすごいなと思ったんです。『ゼビウス』とか、結局100円しか入らないわけでしょう。しかし『スト2』はじめ格ゲーは100円を落とさせ続ける仕組みなのです。お客さんの需要を観察して回転させているところは学ぶべきです。インディーはひとりよがりになりがちですが、その点においてソーシャルゲームは真逆です。勉強したいですね。

楢村氏: 「あんなのはゲームとは呼べねえ!」とは言われます。私も10年前ならノベルゲームをゲームじゃないと言ったりしていました。でも今では「読みたくなるのもゲームのうち」と思い始めています。ソーシャルゲームに興奮して課金し続けることに面白みを感じる人がいるのも事実です。そこから学んでもいいでしょう。

良くない点もあります。外注で「ソーシャルの案件できませんか」「ぼくらは画期的なソーシャルゲームが創りたい!」と来るわけです。で、カード前提だったりとかね。そこは反面教師ですよ。面白いゲームを創りたいのに会社の意向でカード要素は外せないとか、「あなたたち昔はもっと面白いゲームを創っていましたよね」とがっかりしたりします。

Mr. Weatherford: 語りだすと前向きな意見は持っていませんよ。私は、「ソーシャルゲームは存在していない」と思っています。ソーシャル性などそもそも存在していません。ただの課金ゲームです。たとえばFPS、『Minecraft』などのほうがソーシャル性が高いかもしれません。一例ですが、『Minecraft』は思う存分創れますが、『Farmvile』ではプレイヤーのアウトプットに大差はありません。これは大きな違いです。

楢村氏: 『セカンドライフ』を思い出しましたよ。興味をいだいてプレイしてみたら、人は居ないのに広告はあるだとかそういう状態ですよね。売れるとわかって飛びついてきて大勢の人がかかわると、「カードは外せない!」だとかそういうところにこだわってしまって、どういうものが創りたいのか曖昧になってしまうのです。


―Q:もうやめようと思ったことはありますか?

天谷氏: 『洞窟物語』が完成したときはもうゲームを創らないつもりでした。褒められはしましたけれど、バグが多発してバグフィックスばっかりだったりとか。でも、1年半ゲームを創らないでいると、またゲームを製作したい気持ちになるのです。『洞窟物語』が完成したのは9年前ですが、結局今もこうやってゲーム製作をしています。

楢村氏: そうやって聞かれると「ない」です。プログラムができませんから、延々方眼紙にマップを創ったりだとかそういうことをしていましたからね。仕事としてこれをできる立場にあるので、何を苦しいことがありましょうか。それに、今では他の楽しみも増えてきました。プレイヤー殺しの男呼ばわりされて、「楢村が笑ってそう」とかコメントを観るだけでふつふつと妙な楽しさがわいてきます。

天谷氏: それも完成してこそですね。

楢村氏: それはそうです。


―Q:なぜゲームを創ろうと思ったのか教えてください。

天谷氏: 昔、ファミコンを買ってもらえなかったんです。それで、どこで気持ちをまぎらわしたかというと、ゲーム雑誌のスクリーンショットです。そのなかでイメージは広がるのですが、それで期待していたのと、実際にプレイしたときの落差に愕然としました。全然おもしろくないことがあったんです。でも、自分がスクリーンショットを見て感じていたものを形にしたら絶対に面白くなると考えたのです。それで悦に浸って始めたのがスタートラインです。あと、私がゲームを創り始めたのはPS2世代からです。この時点で、映像が私の欲しいものではなくなっていました。そのせいで、業界から離れたのですが。

楢村氏: よくある質問ですよね。つまりコレは……うまく締めてくれというフリですよね(会場笑い)。思い返してみても、どこにも思い出がないんです。絵を描くのも、創るのも、好きでした。なぜゲームを選んだのか?とルーツを探ると、大学時代に演劇サークルに入っていたことにさかのぼります。自分でシナリオや世界を創るのが大好きだったのですが、演劇は人間観察であるとか、その他諸々自分の性に合わない要素が多々あったわけです。一方、ゲームの主人公ってだいたい無口じゃないですか(会場笑い)。 まあ、しゃべらせてもいいのですが。

大学の教授が"インタラクティブ"と言葉を発するたび、「それはゲームじゃないか」と思ったりしていました。ゲームは特殊なものである、とあこがれががあったのです。そして、形はどうあれそうやって今、生きています。あこがれがあったから創り始め、止めるつもりもありません。


◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

記者が言葉を重ねるのは控えましょう。皆さん、魂を投げ出すがごとくゲーム製作にたずさわっている、ただそれだけなのです。



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《Gokubuto.S》

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