日本人初の『Hearthstone』プロゲーマーkoroneko選手に訊く―「始めたからには頂点に」 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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日本人初の『Hearthstone』プロゲーマーkoroneko選手に訊く―「始めたからには頂点に」

4月7日に北米のチーム「Hearthlytics」に加入し、日本人初の『Hearthstone』プロゲーマーとなったkoroneko選手。チーム加入の経緯や普段の練習方法、ゲームに臨む心構えなどについて聞きました。

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4月7日に北米のチーム「Hearthlytics」に加入し、日本人初の『Hearthstone』プロゲーマーとなったkoroneko選手。弱冠18歳の高校生でありながら、「ESL Legendary Series Week #1」をはじめ多くの大会で好成績を残しています。4月1日には「世界最速の21時間40分でレジェンダリー(世界ランク)1位に到達する」という偉業を達成。TwitterとTwitchのフォロワーも増え続けており、今最も勢いに乗っている日本人のHearthstoneプレイヤーです。

Game*Sparkでは、そんなkoroneko選手にインタビューを行い、チーム加入の経緯や普段の練習方法、ゲームに臨む心構えなどについて聞きました。

■海外大会で結果を残してオファー獲得

――プロチーム「Hearthlytics」に加入した経緯を教えてください。

koroneko: 「チームに入らないか」と最初に声をかけてくれたのがHearthlyticsなんです。「ESL Legendary Series Week#1」でベスト4を獲った翌日でした。その時点ではほかのチームから招待が来るとは思っていませんでしたし、「プロになること」は昔からの夢だったのですぐに入団を決めました。

後に「Fireside」というチームも声をかけてくれましたが、すでにHearthlytics入団の意向を固めていたので断りました。Hearthlyticsのほうが強いメンバーが揃っているのも魅力でしたね。


koroneko選手の加入したHearthlytics(チームメンバーは現在5名)

――チームとの契約内容については?

koroneko: 毎月の給料などはありませんが、「大会の成績に応じてボーナスがもらえる」というシステムになっています。「128人以上が参加する大型大会の予選を勝ち抜けば40ドル」とか「128人以上の大会でベスト4に入れば最大30ドル」とか。ほかにも「大会の参加費を負担してもらう代わりに、入賞したら賞金の10%または参加費の2倍を返す」というのもあります。デバイスは支給されないものの、チームのユニフォームは近々届く予定です。

――入団後、日常に変化はありましたか。

koroneko: ときどきチームメイトと、チーム外の強いプレイヤーの間で練習会が行われたりします。この前は朝が早かったので大変でした(笑)。

――海外の時間帯に合わせるわけですね。koroneko選手は海外のオンライン大会にもよく参加されていますが、生活リズムが崩れたりすることはないのでしょうか。

koroneko: それが、早寝早起きの健康的なリズムになりました(笑)。海外大会は日本の午前7時~10時からやっていることが多いので、それに参加しようとすると朝早く起きるしかなくなるんです。以前は夜遅くまで起きていることも多かったのに。

――深夜帯の大会に参加するときはどうしていますか?

koroneko: 「ESL Legendary Series」の予選は午前2時開始だったので、リズムを変える必要がありました。「午後6時~9時まで少し寝て、午前2時~7時の対戦に備える」という具合です。別の日程で行われたプレイオフは午前6時開始で長丁場になりそうだったこともあり、睡眠を多く取りました。大会後は生活リズムを直すのが大変でしたね(笑)。


koroneko選手がプレイオフに出場したESL Legendary Series Week#1

――生活リズムが乱れてしまったときはどんなふうに直しますか?

koroneko: 寝ないで起きているか、逆にずっと寝ているしかないですね。しんどいですが、一気に直さないとリズムを戻すのに時間がかかってしまいます。

――海外のプレイヤーとコミュニケーションを取る上で、英語の問題はないのでしょうか。

koroneko: 基本的にはGoogle翻訳で対応しています。また、友だちに海外在住で英語の得意な日本人がいるので、その人がオンラインであればその人に助けてもらっています。Twitchで配信しているとチャットでよく英語の質問が飛んでくるので、通訳を務めてもらうこともあります。

■以前はFPSを1日12時間プレイ

――ところで18歳だと大学入試を控える年齢だと思いますが、学業については?

koroneko: 今は単位制の高校に通っています。時間割を自由に選べる、大学のような高校ですね。僕は1~4時間目しか取っていないので、4年で卒業するようになっています。今年で卒業です。もちろん必修科目もありますけど、自分で科目と時間割を決められるのはやりやすいですね。それに卒業できればいいので、単位も無理に取る必要はないと思っています。今年の前期は『Hearthstone』の大会に集中するため、月曜日と金曜日に休みを入れました。後期は週5です。科目では英語をがんばりたい。


――話は変わりますが、『Hearthstone』を始める以前は、どんなゲームをプレイしていたのでしょうか。

koroneko: 小学6年生の1年間は将棋を真剣にやっていました。カードゲームだと小学生~高校1年までプレイしていた『遊戯王オフィシャルカードゲーム』と『デュエルマスターズ』です。PCゲームでは、小学5年から約7年間、かなり本格的にFPSをプレイしていました。1日12時間ぐらい(笑)。

――1日12時間!? すごいですね。

koroneko: 今の『Hearthstone』以上にやっていましたね(笑)。僕は1つのゲームをひたすらやりこむタイプなんです。「いろんなゲームを広く浅く」というふうにはできない。始めたからには頂点に立ちたい。それまで次のゲームに行くことができない。『Hearthstone』で「プロになりたい」というのも同じ思いからです。どんなゲームでもいいから頂点に立ちたかった。

――将棋などの経験は『Hearthstone』に役に立ちましたか?

koroneko: 実はそれほど役に立っていません。以前やっていた中で一番役に立っているのは算盤ですね。小学2年生から中学2年生まで約6年やっていて、算盤を使わない暗算で3段、算盤で初段を取りました。『Hearthstone』ではマナコストやダメージの計算をよくやるじゃないですか。そういった計算がすぐにできるのですごく助かっています。買い物などにも役立ちますし(笑)。

――では、『Hearthstone』を始めたきっかけは?

koroneko: 当時プレイしていたFPSの人口が少なくなってきたのがきっかけですね。次第に「何かいいゲームはないか」と思うようになりました。そこで友だちから紹介されたのが『Hearthstone』だったんです。

――『Hearthstone』をプレイしていて飽きることはありませんか?

koroneko: いや、ないですね。やればやるほど課題が生まれてくるので。課題を解くと大会に出たときに「強くなった」という実感を持てます。その実感を得るのが楽しいから続けていられるんです。普段もプレイしていると「気付いたら10時間経っていた」ということが多いですね。

――スランプに陥ることはないのでしょうか。

koroneko: もちろんあります。何をやっても勝てないように思えてしまうときですね。スランプには、僕の経験だと2種類の治し方があります。1つは「2~3日、ゲームから離れること」。『Hearthstone』について忘れることが大事ですね。僕の場合は息抜きに『Counter-Strike: Global Offensive』などをやったりします。しばらく離れてから『Hearthstone』に戻ると、不思議なものでゲームが気軽に感じられたり、ぜんぜん違う考え方が生まれてきたりするんです。

もう1つは逆に「吹っ切れるまでやりまくる」こと。この場合は「自分のプレイを録画して、3回ぐらい繰り返し観る」ことがお勧めです。同じプレイでも、1回目に見直したときと3回目に見たときでは感覚が違うんですよ。最初は「この辺がミスかな」「こういうふうにやればよかったのかな」と思っていたのが、3回目になると「もしこうしていたらどうなっていたんだろう」というふうに、別の視点が現れてきます。その過程で上達している感じがしますね。FPSなどでもそうですけど、「自分のプレイを見直す」のは大事だと思います。

■モバイル版のリリースをきっかけに国内を盛り上げる

――4月21日にはモバイル(iOS/Android)版の『Hearthstone』がリリースされました。感触はいかがでしょう?

koroneko: 「こうきたか!」という感じですね(笑)。リリース前は「小さな画面だと操作を間違えたりしないかな?」と心配でした。画面が小さいと指で選ぶカードを間違えたりしそうじゃないですか。それが実際には「まず手札をタップして拡大」「次にカードをタップして使う」というふうに、「2重のアクションを必要とする」ことで操作ミスを防いでいました。インターフェースの問題がほとんどありません。僕の古いiPhone 4Sでは処理が少し重かったものの、友だちのiPhone 6ではとても快適でした。


――モバイル版のリリース以降、海外はもちろん国内でも『Hearthstone』を始めるプレイヤーが増えました。

koroneko: うれしいですね。でも逆に、「国内を盛り上げるには今しかない」と思っています。わからないことを教えられる人がいないと、せっかく始めた人たちも「何が面白いのかわからない」といって辞めてしまうと思うんですよ。

それで僕も「わからないことがあったら何でも聞いてね」とTwitterで始めたばかりの方に声をかけています。「お金をかけずにカードを集める方法」とか「安いカードだけでも勝てるデッキのレシピ」を紹介したりして。

僕も始めたばかりの頃は英語がわからなくて大変でした。ゲームで知らないカードが出るたびに日本語訳をチェックしていましたから(笑)。始めたばかりの皆さんにお勧めしたいサイトは国内Wikiの「HEARTHSTONE MANIAC(ハースストーン・マニアック)」です。カード効果の全日本語訳はもちろん、強いカードの一覧や初心者用デッキなども載っています。こうした情報を通じて少しでも皆さんに興味を持ってもらい、「自分なりの『Hearthstone』の楽しみ方」を見つけてもらいたいですね。

※次ページ: koroneko選手が思う、「世界最速のレジェンダリー1位達成」に必要な心構えとは?

《nemuke》
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