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【インタビュー】「バイオハザード:ザ・ファイナル」ポール・アンダーソン監督を直撃―サバイバルホラーに回帰した最終作の魅力とは

映画『バイオハザード』シリーズ全作に関わり、今作でも製作・監督・脚本を務めるポール・W・S・アンダーソン氏へのインタビューを実施。約15年の歳月を経て完結した主人公アリスの物語や撮影秘話、そして原作ゲームへの思いについてうかがいました。

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サバイバルホラーゲームの金字塔『バイオハザード』を原作とする、映画シリーズ最終章『バイオハザード:ザ・ファイナル(原題:Resident Evil: The Final Chapter)』が12月23日(金・祝)に世界最速公開されます。インサイド&Game*Spark編集部では、シリーズ全作に関わり、今作でも製作・監督・脚本を務めるポール・W・S・アンダーソン氏へのインタビューを実施。約15年の歳月を経て完結した主人公アリスの物語や撮影秘話、そしてオリジナルのゲーム『バイオハザード』への思いについてうかがいました。

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――2002年の第一作目から約15年を経て完結を迎えましたが、映画『バイオハザード』から『バイオハザード:ザ・ファイナル』まで、主人公アリスのキャラクター造形や映画製作の現場は、どのような変化をしてきたのでしょうか。

ポール・W・S・アンダーソン氏(以下、アンダーソン):第1作目で記憶喪失だったアリスは、自分が誰なのか、自分がどういう考えを持っていたのかすらわかりませんでした。そして、シリーズ中も大きな何かを失くしていた状況がずっと続いていました。今作では、原点回帰としてラクーンシティやハイブに戻り、自分にまつわる真実を知ることになります。それはアリスにとって必ずしも心地の良い真実ではないですが。

映画の製作に関しては大きく変わっていきました。1作目は日本とヨーロッパから資金を募ったインディー作品でした。ある程度の資金は調達できたのですが、アメリカから資金を募れず、大作として作ることができなかったのです。シリーズが次々と成功を収めていき、私自身も監督として多くの知識を得ることができたので、アクションもどんどんダイナミックにしていくことができました。今作では、これまでにないスケールのアクションに取り組むことができました。それに加え、これまでにないほどのホラー要素に取り組むこともできました。そういう意味では、映画シリーズのルーツ、原作ゲームのルーツに立ち返ることもできたと考えています。物語後半は、サバイバルホラーである原作と同じ閉塞感を出すことに成功したと思っています。

――原作ゲームにある閉塞感は確かに強く感じました。

アンダーソン:今作には巨大なファンのシーンがありますが、あれはまさにクラッシックホラー的な第1作に原点回帰したものです。


――巨大なファンのシーンもそうでしたが、他のシリーズと比較してゴアシーンが多めだったような印象を受けたのですが、それもクラシックホラーとしての原点回帰を狙ったものだったのでしょうか。

アンダーソン:ゴアシーンが多くなったのではないかとのことですが、実は1作目とそんなに変わってはいないんです。レーティングも1作目と同じものになっていますし。ただ、年を経ていくことに観客の皆さんは血が出るシーンに慣れてきているので、その影響はあるのかもしれません。皆さんは怖かったと言ってくれるのですが、実際は残酷なシチュエーションを直接見せないシーンが多く、巨大なファンのシーンも含め観客に想像させるものになっています。これは、過去に手掛けた『イベント・ホライゾン』(1997年公開)で用いた手法と同じものなんです。

――ショッキングなシーンでは、私も映画の鑑賞中に5回以上はビクッと客席で跳ね上がってしまいました。

アンダーソン:驚かせるという点では、今回は1番の作品に仕上がったと思っています。見てくださった皆さんは本当にびっくりしてくれるんですよ。だから私は観客と一緒に映画を見るのが好きなんです(笑)。破壊された街の景色に目が行ってしまうシーンでも、思わぬところでびっくりさせようと意識して作っています。ブラジルのサンパウロで行われたコミコンのパネルセッションでそのシーンを上映したのですが、登壇していたミラ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が驚きのあまり飛び上がってしまい、ステージから転げ落ちそうになったこともありました。


――今作では主人公・アリスの隠された謎が明らかになりますが、この謎は第1作目から考えていたものだったのでしょうか。

アンダーソン:もちろん、最初から考えていたものでした。この種明かしをするのに私は15年近く待ったんですよ(笑)。脚本を全作手掛けていますので、今作の新事実を頭に入れて、もう一度シリーズを最初から観るという新しい楽しみ方もできると思います。

――確かに、私も今作を観た後に第1作を観直したくなって、家に帰ってすぐ観直しました。

アンダーソン:アリスと第1作目から登場しているレッドクイーンとの関係もようやく明らかにすることができましたので、今作を撮るのは本当に楽しみだったんです。


――主人公のアリスですが、第1作目では記憶を失い、戸惑いながらも戦っていくキャラクターでした。その後は、仲間を守ることとアンブレラを倒すことを目的に突き進んでいましたが、今作では最後に突き付けられる真実で再び大きく戸惑うことになります。そのアリスの戸惑いを演出するために、今作はどのようなプランで演出されたのでしょうか。

アンダーソン:以前はスーパーパワーを持っていたこともあるアリスですが、今作では観客がアリスに共感できるように、より人間らしく繊細に描くことにこだわりました。ほぼ全編にわたってミラが出ていますので彼女の映画ではあるのですが、観客の視点を通して物語が展開していくようにしています。これは、アリスが観客のアバターだった1作目と同じなんです。今作のアリスの雰囲気を作るために、撮影現場ではミラを孤立させました。ワシントンDCの砂山から脱出するシーンでは、ミラ自身に3台のカメラと照明を固定したリグを装着させて、彼女に1人で演じてもらっています。あのシーンでは、ミラが1人で演じ、1人で撮影し、1人で照明も担当していたのです。私たちスタッフ全員クビになってもミラ1人で映画を撮れてしまえるような状況で撮影していまいた。また、今作のポストアポカリプス的なシーンはCGで作りこんだのではないかとよく言われるのですが、撮影した南アフリカでの実景だったりします。そういう意味ではすごくいいシーンが撮れたと思います。

映画のラストは撮影の中盤以降に脚本を書き始めたので、ミラ自身もどういう展開になるかわからないという不安な状況でしたが、それが作品にうまく作用しています。共感できるという意味では、シリーズの中でも感情を揺り動かされるものになっていると思います。その要因の1つに、ミラの実の娘が出演しているということがあります。子役を見つめるのと自分の娘を見つめるのでは違う芝居になりますので、それもまた功を奏しているのではないでしょうか。


――レッドクイーン役のエヴァ・アンダーソンさんですが、私が映画を拝見したときはアンダーソン監督とミラさんの実娘と知らずに観ていました。ミラさんとの掛け合いが絶妙で、素晴らしい子役が出てきたなと思っていたのですが、関係性を聞いて納得がいきました。

アンダーソン:彼女の演技力にはスタッフの誰もが関心していました。私は昔から彼女の演技力を見込んでいて、芝居のクラスに連れて行っていましたが、今回の映画で一段と成長したと思います。劇中の葬式のシーンで、引いた構図でイアン・グレン(アイザックス博士役)からエヴァにカメラが寄っていくシーンがあるのですが、そこで彼女は絶妙なタイミングで涙を流したのです。それを見ていて、彼女が自分の想像力を使って演技をしていることがわかりました。現場でカメラの状況を把握しながらタイミングよく涙を流すことは、大人でも難しいですから。小さいときから撮影現場を見てきているので、どうするべきかというのを潜在的に理解しているのかもしれませんね。撮影現場でも彼女は慣れた感じで、監督である私のほうが緊張していたんですよ(笑)。


――今作では飛行モンスターのポポカリムや終盤のとあるシーンなど、ゲームの『バイオハザード5』をオマージュしているシーンが多くみられますが、原作の『バイオハザード』シリーズで監督が好きなタイトルはどれなのでしょうか。

アンダーソン:そもそもこのシリーズを作りたいと思ったきっかけになったのが、最初の『バイオハザード』でケルベロスが窓から出てくるシーンだったんです。夜中にプレイしていたのですが、当時フィーチャーされていたコントローラのバイブレーション機能も相まってとても驚かされました。ゲームでここまでびっくりさせられるのだから、これは映画にしなければと思いました。だから、私が1番好きなのは最初の『バイオハザード』ですね。

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

アンダーソン:この映画を本当に誇りに思っていますし、シリーズの中でも最良のものになっています。私自身、1番お気に入りの作品です。アクションはもちろん、黙示録的な世界観、サバイバルホラーへの原点回帰をしているという点でもビッグで最高な映画になっています。アリスに隠された真実が遂に明かされますので、多くの人に見てほしいですね。

――本日はありがとうございました。

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アリスの長い旅が終わりを迎える『バイオハザード:ザ・ファイナル』は、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの配給で、世界最速となる12月23日(金・祝)に全国の劇場で公開されます。
《Daisuke Sato》
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