「プレイヤー獲得のためにいつもの不思議な魅力を失ってしまった」海外レビューひとまとめ『FBC: Firebreak』

Remedy Entertainmentはまたしても成功を収めた。すでに確立された世界観の中にまた一つ独特な体験を生み出したのだ。混沌とした“腐敗”や手強い敵のおかげで、『FBC: Firebreak』は中毒性のあるゲームプレイを提供している。本作はRemedy Entertainmentのシェアード・ユニバースに大きな要素を追加するものではないかもしれないが、素晴らしい何かの始まりとなる可能性を秘めている。

『FBC: Firebreak』は優れたアイデアと素晴らしい雰囲気を兼ね備え、『CONTROL』の世界観を呼び覚ますマルチプレイ作品だ。もっと多くのコンテンツがあれば良かったのだが、現状でも友人との協力マルチプレイというジャンルに新鮮味を与えている。ありがたいことに、これは典型的なFPSではない。

本作は私が子供の頃に大好きだったゲームを思い出させる。現代のゲームがプレイヤーを夢中にさせ（そして課金させ）続けるために用いるダークパターンが一切ないのだ。今年プレイできるマルチプレイゲームの中で間違いなく最も良心的な作品の一つだ。

私にとって『CONTROL』は9点、『Alan Wake 2』は10点だった。普段なら私はRemedy Entertainmentの作品が大好きなのだが、『FBC: Firebreak』は幅広いプレイヤー層を獲得しようとする中でいつもの不思議な魅力を失ってしまったようだ。事情は理解できるが、好きにはなれない。そして、長い目で見ればそのことが本作を傷つけると思う。

『FBC: Firebreak』はいささか成り行きを見守るべき状況かもしれない。有料のバトルパスは言うまでもなく、40ドルという価格設定に見合うほど内容が充実しているとは感じられない。本作には真に卓越した協力プレイゲームとしての骨格があるので、Remedy Entertainmentがその可能性を実現する機会に恵まれることに期待したい。

またしても、シングルプレイゲームを手掛けるスタジオがマルチプレイゲームのプロジェクトを立ち上げたものの、そもそもスタジオ独自の評価を生み出していた原動力であるエネルギー、野心、センスを伝えきれていないという話である。だから、本作は期待外れなのだ。たとえ、とにかく飛びつこうとするプレイヤーが少なからず存在するのは間違いないとしてもだ。

「どうしてこうなった」と私は長い間不思議に思うだろう。Remedy Entertainmentはシューターへの野心のスタート地点からよちよち歩きの子どものようにつまづき、ここ数年でプレイしたシューターの中でも一番面白くない作品を送り出した。そうだ、あのゲームですらこれよりは面白かった。これは特筆すべきことだ。