
アニメやゲームの定番ジャンルのひとつに「ロボット」があります。創作物のロボットは巨大な搭乗型、意志を持つような自立型、マスコットのような可愛いタイプなど多彩な種類があり、いずれも違った魅力を持っているものです。
ゲーマーのみなさんに古今東西の素敵なロボットゲームを紹介する企画、それが【ゲムスパロボゲーカタログ】です。今回は、1996年にスクウェア・エニックス(当時スクウェア)からスーパーファミコン向けに発売されたアクションRPG『フロントミッションシリーズ ガンハザード』です。
シリーズ唯一の横スクロールアクション!
『フロントミッションシリーズ ガンハザード(ガンハザード)』は、日本のゲーム開発会社・大宮ソフトが手がける作品。同社は過去に『重装機兵ヴァルケン』などを開発したチームによって設立された会社で、かなり早い段階で『フロントミッション』を題材にした作品を作ることが決定していたようです。
『フロントミッションシリーズ』と銘打ってはいるものの、いわゆるナンバリングシリーズで綴られる“正史”とは異なる物語が描かれます。本作の舞台は21世紀、2024年に着工が始まった軌道エレベーター「アトラス」がもたらす宇宙からの資源により、人類は恒久の平和を得るはずだった世界です。

しかし、着工後に飛躍的に進歩した核融合技術により「アトラス」はその意義を失い、人々は大きく興味を失ってしまいます。時を同じくして世界では新たな紛争や戦争が勃発して、世界は再び不安定な状況に。物語は、主人公・アルベルトが属するベルゲン共和国で2064年に発生したクーデター事件から大きく動き始めます。





ーム内では、シリーズおなじみの機動兵器「ヴァンツァー」を操作して敵と戦っていくことが基本です。ヴァンツァーはメイン武器のほか、さまざまな能力を持つ特殊武器を装備できます。また、ヴァンツァーから降りて人間状態で戦うことも可能で、ストーリーの中では重要な要素としても扱われます。
ストーリーでは、傭兵となったアルベルトが仲間と世界中で戦いながら、やがて明らかになっていく真相に立ち向かっていく物語が描かれます。かなり印象的なキャラクターや多彩なヴァンツァーなど、本作ならではの魅力に満ちている作品です。




お気に入りが強くなる熟練度システム
本作の基本的な流れは、マップ上のステージに移動しながら敵を倒して攻略していく方式。各ステージでは敵を倒しながらマップ端まで到達したり、ボスを倒したり、特定のオブジェクトを護ったりと、いくつかのパターンが用意されています。クリア後は成果によってお金と経験値を得られ、特定のステージでは大きなボーナスも用意されています。
装備には熟練度があり、戦闘で使用していくことで性能がどんどん向上していきます。機体であれば最大HPがアップしたり、武器であれば弾薬数が増えたりするほか、ブースターなどの装備品も鍛えることができます。また、一部の武器は発射数が増えるなど、かなり強力なものもあります。




装備品はパイロットのレベルが上がることでアンロックされ、同じ武器でもより強力なものが購入できるようになります。メイン武器には強化パーツもあり、熟練度と合わせれば一つ上のグレードのものとも張り合えますが、当然のようによりグレードの高い武器の方が強くなるので、切り替えのタイミングを見計らいましょう。
特殊武器にはパンチからミサイル、バズーカ、自動攻撃ポッドといった攻撃武器から、デコイや回復を行えるものまで多くの種類があります。機体のグレードが上がれば装備できる数も増えるので、自分の好きな装備を揃え、熟練度を上げながら、理想のヴァンツァーを作り上げることもできます。



頼れる(?)仲間と戦場を駆けろ!
各国のストーリーが展開していく中で、アルベルトと共に戦う仲間たちが増えていきます。最初の仲間はベースキャリアーの操縦士であるブレンダで、彼女の操縦する「カルボナーラ」は世界中の移動に欠かせない存在です。また、戦闘時は援護射撃でアルベルトをサポートしてくれますしてくれます。
仲間は爆破のスペシャリストであるスパイのルヴェン、あらゆる武器を防ぐため盾形のヴァンツァーを操るサカタ、機体を回復してくれるエミルなど、それぞれ個性的な能力を持っています。戦闘時にはサポート仲間を1人選択可能で、戦闘中に撤退や特殊行動の指示を行うこともできます。




ただし、この仲間は『ガンハザード』では正直使いづらい存在です。まず、本作には「爆風ダメージ」があり、戦闘中に倒した敵の周囲になるべくいないことが求められます。仲間キャラクターはそれを無視した行動を取ることが多く、爆風に巻き込まれて、あっという間にピンチに陥るという状態も珍しくありません。
また、序盤で仲間になるクラークは主人公と同じ機体を使える一方で「攻撃が水平状態にしか撃てない」という大問題も。これはアルベルトの卓越した腕前との比較という意味もあるのでしょうが、純粋に使いづらい……!結果として戦場に出撃しないブレンダなど、攻撃を受けないキャラクターばかり使うことが多くなってしまいます。




なお、本作は実は2人プレイが可能で、2人目は仲間キャラクターを操作することもできます。そうなると一部のヴァンツァーはしっかり活躍できるのですが、主人公機と異なりメイン装備に弾数制限があるので、こちらは要注意ですね。筆者は兄がプレイ中にサカタで盾になるプレイをしていましたが、すぐエネルギーが切れるんですよね……。



遊びやすさとインパクトのバランス
『ガンハザード』は色々な武器を選べるアクションと、成長していくRPGの要素を兼ね備えている作品です。マップ内で同じステージを繰り返してレベル・熟練度を上げれば装備も強化され、難易度的にもかなり遊びやすいと思います。中盤から後半にかけて難しいステージもありますが、その分プレイヤー側の武器もどんどん強力になっていきます。
遊びやすさとやりこみ要素、世界中で展開していくストーリーなど、さまざまな点で魅力的な作品ですが、なによりも登場キャラクターたちの圧倒的なインパクトを紹介しないわけにはいきません。「ヒャアがまんできねぇ0だ!」でお馴染みのビショップなど、ゲームを遊んでいく中で、きっとプレイヤーの心に残るキャラクターが出てくると思います。




最初にアルベルトが護衛することになるベルゲン共和国大統領・オーウェンはその代表格の1人。彼はゲーム内では軍部にクーデターを起こされ、その首謀者に追い込まれるのですが、怒りの末に“トレーラーでヴァンツァーに突撃する”という驚くべき行動に出て、ピンチを切り抜けるのです。さすがは大統領だ!




そもそも主人公のアルベルトもかなり印象的な主人公です。熱血と言うべきか、激情というべきか、かなり強引な戦いや選択をすることもあり、ときにその選択は仲間どころかプレイヤーすらも驚かせます。ステージによっては単体出撃ながら3桁の敵を倒していく男、それがアルベルト軍曹(軍属時代)。




どう見ても悪人顔でやっぱり悪人だったり、ゲーム内に登場するNPCは本当に個性豊かです。色々なステージには最後にボスがいることもあるのですが、名乗りで必殺技っぽい名前を出したり、彼らですら妙にインパクトがあるのです。撃退時の台詞までもほぼ“完璧”なのが嬉しいですね。







『フロントミッションシリーズ ガンハザード』は、シリーズ初代作『フロントミッション』発売の翌年に登場しました。前作の重厚なシミュレーションRPGから一転して、横スクロールアクションRPGになったことで大きくゲーム性が異なり、正史とは異なる物語が描かれていることで、独立して楽しめる作品でもあります。
『重装機兵ヴァルケン』などの開発チームが手がけるアクションは、多彩な装備と直感的な操作性も大きな魅力。ハードナックルで相手を吹き飛ばしてから追撃したり、強力な追尾ショットで殲滅したり、装備によって戦い方も変えられるので「メカを操作している!」という感覚をダイレクトに味わえます。熟練度システムでお気に入り装備を鍛えられるのもやりがいがあります。



ゲームに慣れると難易度はそこまで高くないのですが、代わりに色々な“縛りプレイ”が楽しみやすいという利点があります。代表的なのが生身プレイで、アルベルトがヴァンツァーに搭乗せずにクリアを目指すというもの。生身状態でも武器は熟練度で強化できますし、なにより「しゃがむと弾を喰らわない」という仕様があるので、実際に挑戦した人も多いのではないでしょうか。
もちろん隠し要素なども用意されているので探索も楽しめます。遊びやすさとやりこみ、そしてインパクト抜群のキャラクター達が次々と登場する本作、すでに「Wii バーチャルコンソール」での配信も終了していてスーパーファミコン版を入手するしかありませんが、ぜひ一度はプレイしてほしい作品です!


¥7,374
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













