気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Wētā Workshop開発、PC/PS5/Xbox Series X|S/スイッチ向けに7月30日にリリースされたスローライフシミュレーション『ホビット庄の物語 ~指輪物語の世界から~』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ファンタジー小説/映画「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」の世界で過ごせるスローライフシミュレーション。プレイヤーは村の新入りホビットとなり、住人たちと交流しながら自分だけの生活を楽しめます。開発のWētā Workshopは、映画「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」で撮影に使われた小道具(装備品など)やクリーチャーなどの制作会社でもあります。本作は日本語にも対応済み。
『ホビット庄の物語 ~指輪物語の世界から~』は、3,950円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Nicolaこんにちは!Nicolaです。ニュージーランドのWētā Workshopでゲームプログラマーをしています。本作においては、物語を生き生きと描くお手伝いをしました。
私のお気に入りのゲームは『スプラトゥーン2』です(ローラー使いです)。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Nicola開発の初期段階から、グリッドに縛られない配置システムを作ることは、私たちにとってとても重要でした。ホビットの穴は四角い形ではなく、曲線的で自然な空間なのです!だからこそ、装飾の要素もできる限り自然に感じられるようにして、プレイヤーが思い描く理想のホビットの家を心ゆくまで作れるようにしたかったのです。
ナビゲーションシステムについては、プレイヤーをゲームの世界の中で優しく助けてくれる存在を用意したいと考え、特別な鳥のナビゲーションシステムを開発しました。可愛らしい青い鳥が、プレイヤーが行くべき場所をそっと指し示してくれるのです。もちろん、従来のナビゲーションの方法としてゲーム内マップも用意していますが、旅をしながらホビットの世界を眺める方がずっと楽しいと思いました。そこで、私たちは鳥の方が温かみがあり、遊び心にあふれた選択肢になると感じたのです。
ホビットはとてもフレンドリーで、コミュニティを大切にする種族です。そのため、友達や隣人と出会い、助け合いながら水の辺の発展を目指すゲームを作るのは自然なことでした。ゲームの中のものはすべてホビットに合わせた小さなサイズなので、登場する動物たちが少し大きく見えるかもしれません!でも大丈夫です。みんなとても友好的ですよ!
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Nicola本作は、J.R.R.トールキンの著作を基にしており、開発のあらゆる場面で「指輪物語」や「ホビットの冒険」を参考にしました。本作の舞台は「ホビットの冒険」の後、「指輪物語」が始まる前の時代です。本作を作ることで、トールキンの世界のあまり知られていない部分を探求できるようになり、その世界を広げる自由を得ることができました。人々は中つ国をよりシリアスで暗い世界として見慣れていますが、本作では平和な水の辺でホビットとして暮らす、心地よく温かな日常を存分に表現したかったのです。
トールキン作品のファンであれば、馴染みのある場所やキャラクター、家名を目にすることができるでしょう。プレイを通して発見できるイースターエッグもたくさん盛り込みました!また、水の辺の土地にも独自の歴史があります。その地に住んでいた人々や彼らの暮らし、そして何を築き、どんなものを残したのかを私たちは考えました。村の小道、草原、森や丘を歩くと、そうした歴史を物語る遺跡を発見できるでしょう。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Nicola私は本作のストーリー部分を担当しました。ゲーム全体のストーリーが形になっている部分です。ホビットたちとプレイヤーが会話するときに、自然なやり取りを表現したいと考え、登場人物やプレイヤーキャラクターが現実の私たちのように、話している相手をしっかり見つめるよう工夫しました。その結果、キャラクターたちがとても表情豊かで生き生きと感じられるようになったことに大満足でした!
これをさらに発展させて、主要キャラクターたちが一緒に歩いているときや食事を共にしているときに互いを見つめ合うようにし、プレイヤーキャラクターも興味あるものを見て注意を向ける仕組みを加えました。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Nicolaプレイヤーの皆さんには、料理の要素をとても楽しんでいただいています。新しいレシピを発見したり、新しい食材を集めたりすることに夢中になっているのです。実際、ゲーム内の料理に刺激を受け、現実でその料理を再現してくれた方もいるほどです!
また、動物とのふれあいについての反応もとても可愛らしいものばかりです!動物がプレイヤーに近づかれると座ってくれるのを、皆さんとても気に入っています。動物が座ったときに「拍手」のしぐさを使って一緒に写真を撮るのも人気ですよ。
プレイヤーたちが自分のホビットの家を飾ったり、庭を作ったりするのを心から楽しんでいる様子を見るのも素晴らしいことでした。皆さんがとてもクリエイティブでおしゃれに表現しているのを見るのが大好きです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Nicola現時点ではまだ確約できることはありませんが、一部のプレイヤーが遭遇した厄介な不具合を解消するために、修正パッチの作業を懸命に進めています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Nicolaはい、本作をプレイしている皆さんを見るのはとても楽しく、嬉しいことです。水の辺での時間を配信していただくのも大歓迎です。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Nicola水の辺へ皆さんをお迎えできることを楽しみにしています。私たちがこの心地よいゲームを作るのを楽しんだのと同じくらい、皆さんにも本作を楽しんでいただければ嬉しいです。ありがとうございました!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








