Game*Sparkレビュー:『ダイイングライト:ザ・ビースト』コンパクトながら完成度の高い田舎町×ゾンビ×パルクール体験 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『ダイイングライト:ザ・ビースト』コンパクトながら完成度の高い田舎町×ゾンビ×パルクール体験

『2』をベースにしつつも初代風の仕様も盛り込む大幅調整が加えられています。

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Game*Sparkレビュー:『ダイイングライト:ザ・ビースト』コンパクトながら完成度の高い田舎町×ゾンビ×パルクール体験
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※編集部注(2025/09/19 16:21):Game*Sparkでは国内PS5版のみ規制が入るという情報を得ていましたが、Steam向け日本語版に規制が入ることは事前に知らされていませんでした。また、担当ライターがプレイしたビルドは規制が適用されていませんでした。

以下のレビューは規制のなかったPC版でのプレイ体験およびPS5版のみ規制が入るという情報を元に執筆していますが、実際には現在のところPC版も国内向けに規制された内容になっていることにご注意ください。

なお、Game*SparkではTechlandに規制の理由などを問い合わせています。回答があり次第お伝えします。

PC/PS5/Xbox Series X|S向けに9月19日リリース予定の、Techland手掛ける『ダイイングライト:ザ・ビースト(Dying Light: The Beast)』。『ダイイングライト2』のDLCとして開発がスタートしたものの、想定よりも規模が大きくなり単体作品へと方針転換したという経緯を持つ作品です。

本稿では、そんな本作のGame*Sparkレビューをお届けします。なお、執筆にあたってはTechlandから提供されたSteam版コードを利用しています。

田舎町を舞台にした新鮮な『ダイイングライト』体験

本作の舞台となるのは、ゾンビパンデミック以前は観光地として栄えていた谷「カストール・ウッズ」。雄大な山々に囲まれた森の中に街が点在しており、まさにスイスのアルプスのような美しい自然が広がる土地です。

『ダイイングライト』といえばパルクールアクションが売りの一つです。舞台が田舎町だとパルクールができる場所が少ないのではと危惧していたのですが、実際にプレイしてみるとその辺りもしっかりと考慮して作られたマップであるように感じました。

中心街となるエリアは建物が密集しており、パルクールを存分に活かした移動を楽しめます。建造物の高さ自体は控えめですが、地形自体が谷であるため高低差が激しく、よじ登ったり飛び降りたりするアクションを活かせる場所も多数存在します。

また、その周辺には工場地帯、農場地帯、自然公園など様々なエリアが広がっています。工場地帯には巨大な煙突、開けたエリアには送電塔といったように、街中では見られなかった高さの建造物も配置されています。

中には木々が生い茂る森林が広がる場所もあり、これまでの『ダイイングライト』とは一味違った風景を楽しみつつ、岩場をよじ登る、木々を避けながら駆け抜けるなど、エリアごとに毛色の異なるパルクール体験を味わえます。

ファストトラベルが存在しないためあちこちのエリアに進出し始めると建物がない地帯を走る場面も増えますが、自動車を使ってその移動時間を短縮することができます。車はマップのあちこちにスポーンし、乗り捨てが基本に。性能のカスタマイズ要素などは存在せず、移動のためのツールといった立ち位置です。

ゾンビを無視して突き進むことができる車ですが、意外とすぐに燃料が無くなったり小回りが利かなかったりといった欠点も存在。パルクールの必要性を奪ってしまわないように調整されています。車に乗りたくてもスポーンしている場所まで取りに行く必要があるのが少し面倒ではありますが、パルクールがメインのゲームとしては適切なバランスであるように感じました。

獣の力を手に入れて帰ってきたカイル・クレイン

そんな本作で主人公を務めるのは、1作目の主人公だった「カイル・クレイン」。1作目で語られた物語ののち、カイルは「バロン」という男に捕らえられ人体実験を繰り返されていました。

何年にも及ぶ監禁生活の末、施設からの脱出を果たすカイル。たどり着いた「カストール・ウッズ」の街で新たな登場人物らと出会い、バロンに対する復讐に向けて動き出す...という物語が語られます。

1作目のあらすじムービーが用意されているほか、バロンに復讐するという分かりやすい動機が用意されているので、過去作を未プレイであっても置いて行かれることなくストーリーに没入できるはず。とはいえ完全に今作オリジナルの要素のみで展開していくのではなく、シリーズファンであれば反応できる要素も随所に盛り込まれているので、初めてシリーズをプレイする人も古くからのファンも楽しめる内容であるように感じました。

また、前述のように人体実験の対象とされていたカイルですが、その過程で人間としての力に加えて、獣としての力も扱える半人半獣の存在へと変貌することに。それが今作の目玉要素の一つ「ビーストモード」です。

近接武器、銃、ビーストモード...ゴア表現もバッチリな戦闘

ここからはビーストモードを含め、今作の戦闘に関してお伝えします。今作では多種多様な近接武器に加え、複数の銃器もゲームの早い段階から登場します。

近接武器は通常攻撃とパワーアタックを繰り出すことができ、どちらでもスタミナを消費します。スタミナ消費は特に最初のうちはかなりシビアで、空振りが命取りに。スタミナや体力上限はレベルアップで上昇するので、ゲームを進めていくにつれて戦いやすさが増していきます。

さらに近接武器は武器Modによるカスタマイズが可能です。武器Mod自体は『2』から大きく変化はしていないものの、設計図の強化に必要なアイテムを敵のドロップ品から手に入れるのではなく、廃店舗の探索などで入手するという仕様に。また、武器自体も回数制限付きで修理することができます。

続いては、銃器について。前述のようにゲームの早い段階からピストルなどの銃が登場するほか、弾薬も探索を通して入手できます。火力も文句なしなため危険な状況に陥った時の切り札として頼れる武器となっています。

ビーストモードを発動すると一転、武器を持たずに素手だけでゾンビを引き裂くパワーを持ち、数メートルもの高さまで跳躍できる強靭な体へと変身。この間はスタミナや残弾、位置取りなどを気にして戦っていた緊張感ある戦闘から、ゾンビをちぎっては投げる爽快アクションへと早変わりします。

ビーストモードの成長のキーとなるのがボス的な立ち位置であるキメラです。メインストーリーを通してそれぞれが異なる能力を持つ多数のキメラが登場。やりごたえのある強敵との戦いとして毎回楽しめる内容でした。

更に、ゾンビものには欠かせないゴア表現も満足のいく仕上がり。Steam版をプレイした限りでは、斬撃系の武器を使って手足を切断したり、前述のソーブレードランチャーを使って胴体ごと真っ二つに切り裂いたり、鈍器で頭部を破壊したりといった表現を確認できました。

ありえない量の血を撒き散らしたり、とにかく内臓を露出させたりするようなやり過ぎ感のあるゴア表現ではなく、地に足のついた生々しいゴア表現を追求しているように感じられました。

なお、これはSteam版をプレイした上での感想であり、国内PS5版のゴア表現は若干の規制が入ったものになるとのことです。

『2』より爽快感・緊張感が増した各種要素

本作のパルクールは掴まっている間にスタミナを消費しなかったり、ジャンプ時のふんわり感が軽減されていたりと、前作の『ダイイングライト2』よりも爽快感が増すように作られています。

また、『2』でターザンのようにぶら下がる動きへと変更されたグラップリングフックにも若干の調整が。長押しで前作と同じようにぶら下がれるほか、短押しで引っかけて前方に飛びつくようなアクションを繰り出せます。1作目のフックほど力強い飛びつきではありませんが、移動の速度を稼いだり、普通のジャンプでは届かない距離を飛び移ったりとパルクールに更なる可能性がもたらされています。

『2』は夜に出歩くことを前提とした作りであるように感じられましたが、今作の夜はどうしても夜にしかできないことがある、あるいは探索に夢中になって日が暮れてしまったために仕方なく出歩くといった要素に。

夜間に出くわすと猛烈な勢いで追跡してくるヴォラタイルは非常に強力かつ恐ろしく、ゲームに慣れてレベルが十分に上がっても対処するのは容易ではありません。明かりが全くない森の中で息をひそめる瞬間は、過去作以上に緊張感に満ちたものになっています。

DLC以上本編未満なボリュームながら完成度は高い

このように1作目と『2』の内容や評判を踏まえて更に磨き上げられた内容に仕上がっている本作ですが、唯一気になったのが過去作と比べてボリュームがやや控え目だった点。DLCの枠組みは大きく超えているものの、本編ほどではない外伝・スピンオフといった感触のボリュームでした。

具体的には、筆者の場合メインストーリーのみのクリアにかかった時間は20時間弱。また、サブクエストも量より質といった印象でしたが、単調なクエストで埋め尽くされているよりも満足できる方針ではありました。

サブクエスト以外にも壁画や音声テープ、宝の地図などの収集要素も存在しますが、これらも巨大なオープンワールドゲームとして多数のコンテンツが用意されていた『2』と比べるとその量は控え目。スキルツリーも一部のスキルが初期装備になった分縮小していたりと、全体的に『2』よりもコンパクトにまとめられています。

とはいえ、コンプリートに100時間近くかかるような膨大な量のタスクが配置されているオープンワールドゲームとしてではなく、濃密なゾンビ×パルクール体験と、カイルの復讐劇を楽しめるアクションRPG」として捉えると十分に満足できる完成度の高い作品でした。

Game*Spark レビュー『ダイイングライト:ザ・ビースト』 PC(Steam, Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S 2025年9月19日リリース

『2』をベースに初代の要素も盛り込む大幅調整。磨き上げられたゾンビパルクール体験

GOOD

  • 大自然の中でのゾンビ×パルクール体験
  • パルクールはより爽快に、夜はより恐ろしく
  • 戦闘を盛り上げるゴア表現と物理演算

BAD

  • 過去作と比べるとボリュームがやや少なめ

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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

ライター:kamenoko,編集:みお


編集/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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