近年のSteamにおいて、主に中国発で勢いを増しているジャンルがあります。それが、実写アドベンチャーゲームです。最近ではFMV(フルモーションビデオ)というジャンル表記をされることもあります。
このジャンルの黎明期には「男性向けギャルゲー」の実写アドベンチャーゲームが多かったことは否めないのですが、現在は多種多様な方向性の実写アドベンチャーゲームが登場しています。
New One Studioが開発し、同社とArielが共同パブリッシャーを担当する、2025年9月9日に配信された『盛世天下~女帝への道~』も、そんな実写アドベンチャーゲームの1つです。本記事では、本作のプレイレポートをお届けします。
なお本記事の作成にあたり、開発元よりSteamキーの提供を受けています。
『盛世天下~女帝への道~』とは

本作は中国・唐の末期の時代を舞台にした、時代劇アドベンチャーゲームです。

主人公の少女・武元照……後に中国唯一の女性皇帝・武則天となる彼女が皇帝の後宮へと入り、そして彼女の出世街道を描いていくのが本作です。

本作では幼馴染のキャラクターや、その他男性キャラクターも多く登場します。



後宮では、実にイケメン揃いな三人の皇子たちとも知り合うことができます。

皇帝陛下も半端ないイケオジ。プレイヤーは史実に囚われることなく、彼らとの愛の道に進んでもかまいません。

はたしてプレイヤーはこの皇帝の後宮で、いったいどんな運命をたどるのでしょうか?
実写女性向け恋愛ゲーム?いや違うこれは死にゲーだ!しかも特級の!!

ここまでの本作の紹介を読まれた方の中には、「ああ、これは実写の女性向け恋愛ゲームなのね」「中国も遂にそういうゲームを制作できるレベルまで来たか」と思われた方もいるかと思います。
そういう認識は間違っていない、決して間違っていないのですが……そういった認識は、あくまで「このゲームの側面」としか言えません。

実際のゲームの序盤の流れを説明しましょう。冒頭で幼馴染の劉熙と出会ったプレイヤーは、牡丹のかんざしを手渡されます。

そこに突然皇帝の妃の1人である韋貴妃が現れ、慌てたプレイヤーはかんざしを落としてしまいます。

牡丹のかんざしを気に入ったという韋貴妃。ここでプレイヤーの取る選択肢は3つ。ここで正直に「劉熙の物と告げる」を選んでいくと……

劉熙は突然「それは私のものではない」「主人公の用意したものだ」「牡丹のかんざしを付けたお妃様は美しいでしょうが、きっと今はそうでもないでしょうねと言っていた」などとデタラメを顔色一つ変えずに吐きます。

激怒した韋貴妃は、主人公を投獄するよう命じます。

そして、あっさりゲームオーバー!ゲーム開始直後からいきなり即死選択肢が仕込まれているのが本作です。

たとえ最初の選択肢を乗り越えたとしても、即死選択肢の嵐はどこまでも続きます。例えば韋貴妃に対し、思ったことを正直に言ってみると……


舌を引き抜かれてゲームオーバー!

騒ぎを起こしたことで、他の同期の後宮の侍女たちから同室を断られる主人公。誰も住むことを選ばなかった血の手形の部屋への入居を決めると……

妖怪に襲われ、翌朝冷たくなった姿で発見されゲームオーバー。事故物件って、そういう意味なのかよ!

初日の苦難を乗り越えると、主人公の入浴シーンというサービスを拝むことができますが、風呂に長い間入り続けることを選ぶと……

無礼を働いたとして後宮を追われてゲームオーバー。これは露骨な罠選択肢ですが、本作は決して期待を裏切りません。

以上のように、本作は異常な量の即死選択肢を含む「死にゲー」系アドベンチャーゲームなのです!本作のオープニングで「あなたは何話まで生き残れる?」と言われるのもやむ無しです。

とは言え、本作はチャート機能が充実しており、任意の場所からのやり直しは容易です。「死にゲー」はリトライのやりやすさが遊びやすさに直結しますが、この点においてはまったく問題ないと言っていいでしょう。

本作は次から次に波乱に満ちた展開が襲いかかり、ときには『逆転裁判』並みに緊迫した場面が訪れることもあります。そういった場面からいかに知恵を絞り生き残る選択肢を見つけるか……それが、本作の魅力の1つです。

しかしながら、本作は多彩な死に様が魅力の1つでもあります。緊迫した場面で選択肢を間違えての死はともかくとして、先述したような幽霊屋敷での死や風呂に入りすぎで追放、死亡など、「明らかにギャグだよねコレ!?」と思うような即死選択肢も多数用意されています。

また、ゲームオーバーシーンでは「残響」と呼ばれるキャラクターの一言感想が表示されるのも地味に面白い要素です。

皇帝や皇子たちが集う宴の席で、あえて「耳を塞ぎたくなる琵琶」を演奏すると……

皇子の一人からは「おもしれー女」認定をいただきました。まあ追放されて死んじゃったので意味はないですが。

何はともあれ、陰謀渦巻く後宮でいかにプレイヤーが生き残るかが問われる本作。「後宮に入って皇子様や皇帝とすてきなロマンスを!」と考えている女性の皆様には、本作は即死選択肢が多すぎなのでちょっと向かないかもしれません。
しかしながら、「理不尽な死を楽しむ死にゲー」「多種多様でハチャメチャな展開もある死に様を楽しむバカゲー」としては、本作は屈指の出来を誇ります。
ネタのわかる友人たちと一緒に、お酒でも飲みながらバカ笑いしながら遊ぶ……そんな用途には本作はもってこいだと筆者は思います。
『盛世天下~女帝への道~』は、PC(Steam)/iOS/Androidにて配信中です。
スパくんのひとこと
唐の後宮、過酷すぎるスパ……でもだんだん笑えてくるようになるのはなんでスパ?
タイトル:盛世天下~女帝への道~
対応機種:PC(Steam)/iOS/Android
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2025年9月9日
著者プレイ時間:2時間
サブスク配信有無:無
価格:Steam版:1,200円、iOS/Android:章別に有料ダウンロード
※製品情報は記事執筆時点のもの














