やってみな、死ぬぞ!中国の女帝“武則天”の生涯を追体験する『盛世天下~女帝への道~』は、生半可な実写アドベンチャーゲームじゃない【BitSummit the 13th】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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やってみな、死ぬぞ!中国の女帝“武則天”の生涯を追体験する『盛世天下~女帝への道~』は、生半可な実写アドベンチャーゲームじゃない【BitSummit the 13th】

皇子と恋する宮廷恋愛ものかと思ったらデスループものだったってばよ。

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やってみな、死ぬぞ!中国の女帝“武則天”の生涯を追体験する『盛世天下~女帝への道~』は、生半可な実写アドベンチャーゲームじゃない【BitSummit the 13th】
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読者の皆さんは“FMVアドベンチャー”というゲームジャンルをご存知でしょうか?

FMVは“フルモーションビデオ(Full Motion Video)”の略称。つまりはプリレンダリングされた映像のことで、多くの場合において実写映像を指し、それに“選択肢で物語が進行するアドベンチャー”をミックスしたFMVアドベンチャーは、中国市場を中心に近年、大きな盛り上がりを見せています。

アンテナを張っているハードコアゲーマーのなかには、『しまった!美人に囲まれた!』『君、勉強を邪魔しないでください』のような恋愛シミュレーション系を思い浮かべた人も少なくないのでは?

さて先日、京都で開催された日本最大級のインディーゲームイベント「BitSummit the 13th(以下、BitSummit)」へと向かった編集部は、会場でとあるFMVアドベンチャーと出会ってしまいました。そのタイトルは『盛世天下~女帝への道~』です。

本作は、中国史上唯一の女帝・武則天(則天武后)を主人公に、彼女の生涯を追体験する歴史シミュレーション系……もとい“謀略回避シミュレーション系”で、New One Studioが開発を手掛けます。

前段でジャンルをそう表現したのも、なんとこのゲームには100種類以上の死亡エンディング(バッドエンド)が用意されています。舞台となるのは、女の嫉妬と男の陰謀が渦巻く唐王朝時代の後宮。つまり、“選択を誤る=死”の世界なわけです。超怖ぇ。

そんな本作のデモ版をBitSummit現地にてプレイすることができましたので、プロデューサーを務めるAlde氏の解説を織り交ぜながらレポート形式でご紹介します。

正直者は生き残れない…唐王朝の後宮へようこそ!

物語は、武則天が後宮入りしたばかりの頃を回想するという形でスタートします。眼前に広がる宮殿を見て「なんて立派なの?」「楼閣があんなに高いなんて……」とざわめく女性たち。いや、ホントそう。日本の大河ドラマに引けを取らないセットで、貞観の治*1の絢爛さが再現されています。これってインディーゲームじゃなかったっけ?
*1 中国の唐の第2代皇帝である太宗(李世民)の治世(627年~649年頃)で、唐の全盛期ともいわれる

Alde氏によると、実写映像の撮影には100日程度かかっており、台本のテキスト量は30万文字以上にのぼるのだとか。 それと驚かされるのは、登場キャラクターが超絶美人しかいません。後に武則天となる主人公・武元照(超絶美人)は、後宮入りした女性たち(超絶美人たち)のなかに旧友・劉熙(超絶美人)がいることに気づき、「きっちゃん!」と再会を喜びます。

すると「お互い助け合っていきましょう」と、武元照へ牡丹のかんざしをしつらえようとするきっちゃん。ちょっと強引だけど、母から託されたものをあげると言うんだから気前がいいです。当然、「そんな大事なものを……」と遠慮する武元照。そのタイミングで后妃がお見えになり、拝謁にあたってそのかんざしを床に落としてしまいます。

武元照たちの前に現れたのは、四妃*2の筆頭である韋貴妃(超絶美人)。落ちていたかんざしを側近に拾い上げさせた彼女は、その精巧さを褒めつつ「これは、どの才人の物?」と問います。さあ、ここからがFMVアドベンチャーの真骨頂です。
*2 中国の宮廷において、皇帝の后妃の中で特に位の高い4人を指す言葉

「自分の物とし、貴妃に媚びる」「前に歩く新入りの落とし物と答える」「劉熙の物と告げる」のなかから選択肢を選んで、物語を紡いでいきましょう。

とはいえ、森羅万象あらゆるアドベンチャーゲームに通じたハードコアゲーマーなら、どれを選ぶべきかは大体分かりますよね。判断基準としては「素直」「嘘をつかない」、そして「“媚びる”という卑屈な意味合いを込めたワードを使っていない」ような回答……この場面では、真っ先に画面右を選ぶ人が多いことでしょう。ということでポチッとな……。

死にました。

どこかに連れていかれたかと思えば、額に烙印を押し当てられ、なんなら、きっちゃんと一緒に死にます。「あれぇ?じゃあ、いっそ媚びてみるか」と次に画面左の選択をしてみると……。

はい、死にました。

そう、最初の選択肢から3分の2を誤るとバッドエンドに突入してしまうのです。しかも正解の選択肢は、無関係だった赤の他人になすりつけるというもの。主人公側も謀る側に立てねば、愛憎にまみれた後宮では生き残れないのでしょう。

ちなみに、かんざしの持ち主が殺される理由は、韋貴妃曰く「牡丹は美しい人のためにあるもの」だから。つまり、私より身分の低い人間がそんなもの身につけるなってことです。怖いね!

一応、バッドエンドに突入してしまっても「運命の道」という分岐を振り返るモードから、選択肢のシーンまで遡ることができるので、スムーズに物語を進め直せます。しかも、既に見たバッドエンドも見放題です(一番嬉しい!)。

ちなみに上記画像を見てほしいのですが、実は「自分の物とし、貴妃に媚びる」を選択すると、(前文では割愛しましたが)さらに選択肢を選ぶシーンへと行き着きます。しかし、そこは3分の2どころか3分の3がバッドエンド直行という絶対殺されるマンルート。物語が進展したからといって、決して安心できないのが本作のミソなのです。

その後も主人公は死ぬ死ぬ。本作で武則天をテーマにしようとした理由について、Alde氏は「中国史上唯一の女帝で、波乱万丈に満ちた人生が面白いから」と話していましたが、あまりに波乱万丈が過ぎます。選択肢を一個間違えるだけで毒殺に刺殺と、バリエーション豊かに殺されるのですから。

日本では、後宮ドラマと言うと「大奥」を思い浮かべる人も多いかと思いますが、デモ版の範囲では同作のような人間模様のネチっこさは感じられません。だってそうなる前に死ぬからね。物語が進むにつれて恋愛だったりバトルだったりと、より色んなドラマが楽しめるともAlde氏は補足していました。

さて、そんな感じで試遊時間は終了を迎えてしまったのですが、総合してドラマの面白さやローカライズのクオリティなど満足度が高い作品であったのは間違いありません。そのうえで筆者が言いたいのは一言だけ。きっちゃんのはなしは信じるな。


「良いストーリーは国境を超えて受け入れてくれるはず」と、プロデューサーが日本ユーザーにも期待を込めるFMVアドベンチャー『盛世天下~女帝への道~』は、2025年秋に発売予定です。

普通のアドベンチャーゲームに飽き飽きしている人は、ぜひ一度プレイしてみてはいかがでしょうか。いや、やってみな。死ぬぞ!


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ライター:矢尾 新之介,編集:宮崎 紘輔


編集/タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

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