稲船氏と早矢仕氏のビジョンとは ― 『YAIBA: NINJA GAIDEN Z』ダブルインタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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稲船氏と早矢仕氏のビジョンとは ― 『YAIBA: NINJA GAIDEN Z』ダブルインタビュー

稲船氏とTeam NINJAリーダー早矢仕洋介氏に、『YAIBA: NINJA GAIDEN Z』の更なる詳細や開発状況についてたっぷり話を聞いてきました。

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ゲーム業界の風雲児 稲船敬二氏が、『NINJA GAIDEN』シリーズのTeam NINJAと海外スタジオSpark Unlimitedと手を組み、来年の発売に向けて制作を進めるアクションタイトル『YAIBA: NINJA GAIDEN Z』。コーエーテクモゲームスのオフィスにて、稲船氏とTeam NINJAリーダー早矢仕洋介氏に、本作の更なる詳細や開発状況についてたっぷり話を聞いてきました。なお、本インタビューの後半では、インサイドとGame*Spark読者から募ったユーザー質問もぶつけているので必見です。


――それでは最初に『YAIBA: NINJA GAIDEN Z』のメインコンセプトを教えてください。

稲船敬二: 一言だと難しいな(笑)。『NINJA GAIDEN』の世界を通じて生み出された新しい忍者を楽しんでほしい、というがあるのですが、作り手側のコンセプトとしては、我々とTeam NINJA、米国スタジオのSparkが、それぞれ違う想いを持って手を組み、化学反応で新しいものを生み出していくというのが1つのコンセプト。特にTeam NINJAは海外と開発したことがないので化学反応は起こりやすいと思いました。単純に日本の“ニンジャ”と海外の“ゾンビ”の化学反応も見たいですね。

――『YAIBA: NINJA GAIDEN Z』が発表されたからちょうど1年ほど経ちますが、完成度の方はいかがでしょう?

稲船敬二: (完成は)来年の春、早い時期を目指しているので、だいぶ完成度は上がっているのですが、調整まで含めるとまだまだかなと。我々としては半分過ぎたくらいだと感じています。キャラクターが出来上がっている、ステージが組み込まれている、といった部分は8割進んでいるのですが、やはり調整が命なので、それを考慮すると6割ですね。

――主人公のYAIBAにヒーローらしさはあるのでしょうか?

稲船敬二: ヒーローのとらえ方が難しいですね。ヒーローは自分を犠牲にして人のために世界を救う、そんな定義があるじゃないですか。でもYAIBAは自分のことしか考えていない。自分のことしか考えてないのだけど、ただ強くなりたいだけで、リュウ・ハヤブサが自分より忍者の世界で上と言われてることが気に食わない。そういうイメージです。ただ強さだけを求める一途なキャラクターです。サイボーグになろうがどうなろうが、リュウ・ハヤブサを超えればいいんだ、ただそれだけを目的に生きてる。そういう目的を出せればいいですね。

――ゲームの難易度やバランスについてはいかがでしょうか?

稲船敬二: これは海外のインタビューでもよく聞かれるんです。「NINJA GAIDENの難易度を意識ましたか」と。でも、意識はしていません。同じものを求めているなら、『NINJA GAIDEN』の本流をプレイすべきだと思うんです。『NINJA GAIDEN』のやりごたえのある、チャレンジングな部分というのは『NINJA GAIDEN』で楽しんでもらいたい。かといってゆるゆるのゲームを作りたいわけじゃない。『NINJA GAIDEN』の手触りを持っているけど、1フレーム単位のシビアな入力を求めるほどではない、そんなゲームにしたいですね。

――YAIBAのレベルアップや成長要素、カスタマイズはありますか?

稲船敬二: (YAIBAには)サイボーグ部分があるので、レベルが上がるごとに、新たな機能を覚えたり開放されたりして、出来ることが増えていきます。自由にカスタマイズできる楽しさを作りこみやすいという意味でもサイボーグ要素です。ただバランスを取る必要があるので、そこだけに注力しているわけではありません。

――米国のE3、ドイツのgamescom、そして東京ゲームショウとゲームを展示してきて、ユーザーの反響はいかがでしょうか?

早矢仕洋介: これまでのインタビューで、『NINJA GAIDEN』と世界観を共通にした、違うところを目指したタイトルだというのを伝えているのですが、なかなかそれを体感していないので、理解はしても納得はしてもらえなかったんです。ところが実際にゲームを触ってもらって、体で「あ、なるほど」と理解してもらえた。『NINJA GAIDEN』本流とは違うけど、「こういうゲーム大好きだ!」と言ってくれる方がたくさんいます。ゲームを遊んでもらうことで分かってもらえる、というのが今更ながら実感できました。

稲船敬二: 『NINJA GAIDEN』だと思ってプレイしたらガッカリ!という反応は今までありませんでしたね。逆に、違う意味での驚き「これもありだね」という反応を、ユーザーもプレスの方もしてくれたんじゃないかと。さらにはまると、「すごい!」と言ってくれる。万人受けはしないかもしれないけど、ツボにくる人がいるみたいで、ここまでコミック表現を徹底した作品は今までありそうでなかった。リュウ・ハヤブサのイメージでゲームをすると、YAIBAで出てきてハチャメチャなのが分かる。アクションゲームとしては真面目でも、随所に笑いが入っています。本当にツボにはまった人からは、TGSやE3でも「ベストだ!」と言ってもらいました。

――それでは国内と海外でユーザーの反応の違いは感じましたか?

稲船敬二: 特に感じなかったですね。でも、ひとつ感じたのは、日本よりも海外のほうが『NINJA GAIDEN』は愛されてますね。私は早矢仕さんと違って『NINJA GAIDEN』のインタビューは受けたことがなかったので、そういう海外からの熱気はすごいなと思いました。

早矢仕洋介: 根本的に“忍者”というものに対しての魅力の感じ方が日本人と違うのでしょうね。

――海外スタジオSpark Unlimitedとの共同開発において、“忍者”の認識の違いみたいなものは感じましたか?

稲船敬二: 強くは感じなかったですが、一番最初YAIBAのデザインを決めようという時に、色々なデザイン案を貼りだして、アメリカン忍者の良い所と日本の忍者の良い所を合わせようと思ったんです。「何がカッコイイのか」と。日本人の考えるカッコイイ忍者とアメリカ人の考えるカッコイイ忍者を並べたら、やっぱり「違う…」って思ったり(笑)。で、彼らがこれくらいならカッコイイだろうと言って、さらにこちらが「いや、まだ違うだろ」って(笑)。そういうやりとりはありましたね。あーだこーだと色々な案があって、最終的にうちのアートディレクターが良い所にまとめてくれました。

――ゾンビのデザインについては意見の違いはありましたか?

稲船敬二: ゾンビについては、Team NINJAが「わかんないから」って全部投げているので(笑)。

早矢仕洋介: はい、ゾンビに対しては意見していません(笑)。

稲船敬二: ゾンビに関しては、やっぱりアクションなので、「ゾンビは走らない」「ゾンビはこんなことしない」って自分の中でルールを決めていたのですが、今回はわりとゆるくしたんです。「走っていいよ」とか「ハチャメチャでいいよ」とかルールを開放しました。でも、ちゃんとゾンビになってると思ってます。リアルなゾンビとは違う、コミックやマンガのゾンビ。乗り物を運転したりとか、ちょっとふざけてるんですよ。ゾンビに習慣があって、こいつは工事現場で働いていて、建設機械のハンドルをついつい握ってしまう、みたいな。

――稲船さんは海外スタジオとの共同開発を何度も経験されていますが、どのような考えをお持ちですか?

稲船敬二: 難しいんですよね、これって。継続していかなければ意味が無い。一発勝負できない。一回やってみて良い結果でも悪い結果でも続けなければいけないんです。人間関係って継続ですよね。その継続をして、良い所、悪い所を理解していく必要がある。海外と協力する上でそれが一番重要じゃないかなと。10年以上前からずっと継続して海外とやらせてもらって、失敗もしたし成功もしました。これを、この先もさらに続けることで、もっと良い成功が待っているのだと思います。ところが、日本の企業は短期に結果を求めすぎているところがあって、いろんな会社が海外と組んでゲームを作っては、失敗して撤退、失敗して撤退を続けているんですよね。失敗した原因を海外に押し付けているところがあるから、それはやってはいけないと思う。comceptもTeam NINJAも責任をもって真剣に取り組んでいるので、失敗した時はSparkだけの責任ではない。でも成功したら、Sparkだけでなく我々もがんばった結果ということになる。成功したら俺たちががんばったおかげ、失敗したらおまえのせい、そんな半沢直樹みたいなことできません。


――次から読者質問です。まず稲船さんの“コンセプター”とは何をする仕事なんでしょう?

稲船敬二: コンセプトを考え、そのコンセプトを貫き通す仕事です。コンセプトを考えるだけではコンセプターと呼ばない。考えるだけなら素人でもできます。ゲームを作っていく過程で、必ずコンセプトはずれていくので、それをずれないように見張って、指示ができる、ということです。すごく大事な仕事だと思ってます。自分自身がコンセプトを理解していなければいけない。トラブルがあった時に、コンセプトを理解していないと、「何かが作れないから」などとトラブル回避を優先して、コンセプトが変わってしまうことがある。逆にステージを減らしても、主人公が変わっても、コンセプトがずれない場合もある。それをちゃんと説明して導いていく仕事です。

――キャンペーンモード以外のモードはありますか?

早矢仕洋介: 本作らしいユーモアたっぷりのオリジナルモードで、やりこみ要素としても、長く遊べるようなものを用意しています。ゲームを長年遊び続けていただいているファンの方には特に楽しんでいただけるかと。リーダーボードにも対応していて、スコアも競えるし、達成感をしっかり感じてもらえると思います。

――周回プレイをしたくなるほど楽しめるアクションゲームに必要なものは何だと考えていますか。

早矢仕洋介: 手応え、じゃないですかね。プレイヤーが操作していて気持ち良いのがやっぱり重要で、それがあるからまた触ってみたいなと思う。理性で考えるものじゃなくて、もう一度コントローラーを握りたいと思うようなところが大事です。今の『YAIBA: NINJA GAIDEN Z』もそこはディレクションで一番細かく調整している部分です。

稲船敬二: もう一回やりたい、と思うのは、完璧を求める衝動みたいなものがすごく重要だと思うんです。簡単にいえば、『アングリーバード』で星2つだとくやしいじゃないですか。星3つ行きたいからずーっとやり続けてしまう。あれがアクションゲームの基本だと思う。だから、早矢仕さんの 言ったような気持ち良さや手応え、こういけばノーダメージで行けるとか、このゾンビもっときれいに切れるはずだとか、大量ゾンビのコンボとか、そういう要素で「もう一回やろう」となる。それをどう突き詰めていくかだと思います。

――『YAIBA: NINJA GAIDEN Z』の日本版と海外版で表現の違いはある?

稲船敬二: 基本はありませんね。

早矢仕洋介: 日本版も海外版も同じものを楽しんでいただけます。CERO Z全開です(笑)。日本版でアクセルをゆるめてる部分は何もありません。ボイスの違いはありますが、日本版にも英語版のボイスが入っていますので、好きな方を選んでいただけます。

――Team NINJAの作品に欠かせない魅力的な女性キャラクターは?

早矢仕洋介: 日本人の感性だけで作る女性キャラクターではなく、ワールドワイドで世界の人に魅力的だと感じてもらうキャラクターを目指していて、今作『YAIBA』に出てくるキャラは容姿だけでなく性格も含めてすごく魅力的な女性に出来上がってきています。
Team NINJAだけでは作れないテイストになっているかと思います。

――最後に、『YAIBA: NINJA GAIDEN Z』に期待しているユーザーにメッセージをお願いします。

稲船敬二: Team NINJAと我々、それに西洋のデベロッパーの良さが加わっています。特にSpark Unlimitedのディレクターは『Tomb Raider』を手がけた人物なので、すごくアクションが分かっている。三者が手を組んで、世界的にも通用するアクションゲームが作れたと思ってます。日本人にも「ただの洋ゲーアクションでしょ」と言われない、ちゃんと理解できるゾンビとニンジャをミックスした新しい驚きを見せれると思うので、期待してほしいなと。

早矢仕洋介: 触った時のアクションゲームとしての手応えには、すごくこだわって作っています。アクションゲーム好きの人なら納得してもらえるはずですし、他のゲームと比べられないコメディ要素だったり、独特のアートだったり、オリジナリティたっぷりのゲームになっています。昔はもっとあったと思うのですが、触った時の驚き、原始的な楽しさがしっかりあるゲームですので、発売までもう少しお待ちいただければと思います。

――本日はありがとうございました。
《Game*Spark》
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