【インタビュー】『フォーオナー』開発者インタビュー―アートのような剣劇の世界へ | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【インタビュー】『フォーオナー』開発者インタビュー―アートのような剣劇の世界へ

2017年2月16日にPS4/Xbox Oneで発売を控えるUbisoftのメレーアクションゲーム『フォーオナー(For Honor)』。今回、Gaelec Simardo氏にインタビューを実施し、今作の気になるストーリーモードやマルチプレイモード仕様、今後の展開などを聞いてきました。

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2017年2月16日にPS4/Xbox Oneで発売を控えるUbisoftのメレー(混戦型)アクションゲーム『フォーオナー(For Honor)』。今回、アソシエイトゲームディレクターを担当したGaelec Simardo氏にインタビューを実施し、今作の気になるストーリーモードやマルチプレイモード仕様、今後の展開などを聞いてきました。

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――まずは自己紹介からお願いします。

Gaelec Simardo氏(以下Simard氏):Gaelecと申します。『フォーオナー』ではアソシエイトゲームディレクターを担当しています。

――改めて、『フォーオナー』がどのようなゲームか説明をお願いします。

Simard氏:『フォーオナー』は新規IPとして日本では2月16日に発売を予定しているメレーアクションゲームです。今作は、5つのマルチプレイモードや、武器をどのように扱っていくかをフィーチャーした「アート・オブ・バトル」という新しいゲームシステムを搭載しています。


――新システムの「アート・オブ・バトル」という名称はどのような意図でつけられたのでしょうか。

Simard氏:「アート・オブ・バトル」は、我々のゲームシステムを象徴するような言葉だと思っています。まるで、自分が武器をふるっているかのようにスティックで操作できるようにゲームシステムを作りました。戦うことというのは美しく、アーティスティックなものだと思っているので、アートとバトルが含まれたネーミングにしました。

――「アート・オブ・バトル」は、コントローラーのスティックに最適化されているとのことですが、PC版ではどのようになるのでしょうか。

Simard氏:キーボードとマウスでも操作を最適化しています。ゲーム自体はコンソール向けということでコントローラーでの操作を想定してデザインしていましたが、後にPCへのチューニングをする際に、ドイツのスタジオと協力して違和感なくキーボードとマウスで操作できるようにしています。

――先日、国内でも実施されたアルファテストのユーザーの反応はいかがだったでしょうか。

Simard氏:まだデータをすべて精査はできていませんが、たくさんの日本のプレイヤーが参加してくれたことには感謝していますし、そのデータをゲームにフィードバックできるのは非常にエキサイティングですね。

――まだデータを精査されていないとのことでしたが、フィードバックの中で目立ったユーザーの声というのは何かありましたか。

Simard氏:日本に来た時点ですべての情報を持っているわけではありませんが、現時点でよく聞く話としては、侍の「大蛇」が強すぎるということがありました。ここはバランスを調整しようと考えています。これは北米でも欧州でも同じレスポンスが返ってきました。そのほかにも、バグや何が好まれているかというフィードバックをもらっているので、できるだけローンチに向けてそれらを修正していきたいです。また、ローンチ後もユーザーが不満と感じている部分やリクエストなどはどんどんゲームにフィードバックしていきたいと思っています。


――日本のユーザーとしては「侍」が非常に印象的なキャラクターであると思うのですが、「侍」を登場させた経緯や世界観などを教えてください。

Simard氏:侍を選んだ理由というのは、剣を使って戦うという意味で非常にわかりやすいためです。これはナイトやヴァイキングにも当てはまるのですが、剣で戦うといった場合にイメージが直結しやすかったのです。侍だけが特別というわけではなく、スタッフが剣で戦うというインスピレーションから思い起こされたものが「侍」「ナイト」「ヴァイキング」だったので、この3勢力で行こうということになりました。

皆が思い描く「侍」や「ヴァイキング」はどんなものなのか、というところからヒーローを作り上げていきました。実際の史実とは違っていますが、これは我々が創り出したファンタジーなのです。例えば、史実ではヴァイキングは斧を持って角が生えたヘルメットをかぶってはいませんでしたが、皆が思い起こすヴァイキングは海賊で角の生えたヘルメットで船に乗っているというイメージですので、そういうキャラクターを創ろうと。侍も同じように創っていきました。ナギナタを持ったキャラクターも女武芸者からインスパイアされたデザインになっています。

世界観に関しても、史実には基づいてはいません。ナイトとヴァイキングが戦ったという歴史はありませんし、侍がナイトと戦ったという歴史もありません。もし、これら3勢力が戦ったらどうなるのかというところから世界観を創っています。ストーリーモードに関しては、「アポリオン」という人物が、さまざまな場所に戦乱をばらまき、どのように世界を混乱に陥れているのかが語られています。これはマルチプレイの設定にもなっており、アポリオンも登場します。

――今作はファンタジーであるとおっしゃっていましたが、例えば侍の刀の構えであるとか、鎧のディテールなどはどのようなリサーチをされたのでしょうか。

Simard氏:先に述べたように歴史には基づいてはいませんが、本や映画などは非常に参考にしています。武器をどのように扱うかがこのゲームのコアの部分ですので、各武器に精通している武闘家をモーションキャプチャーに呼んでいますし、武器の扱い方や型も教えてもらっています。1つ例にあげると、アレキサンダー・ベネットというスタントもされているナギナタの武闘家がいるのですが、動きなどを教えてもらい、それをゲームに取り込んでいます。

――3勢力の4クラスに関してですが、いわゆるジャンケン要素的に各クラスが得意不得意とするクラスは存在するのでしょうか。

Simard氏:ジャンケン要素を作る意図はありませんが、キャラクターたちが武器を以ってどのような特徴を持つかということにフィーチャーしています。もちろん、得意不得意が先々に出てくるかもしれませんが、それによって発売後にユーザーたちがどのように攻略していくかを興味深く見ていきたいです。当然、バランスが取れるようにしていますが、武器のリーチや速さなどで有利・不利が生まれるかもしれませんので、ユーザー間で攻略法を見出してほしいですね。

――今作には女性キャラクターはどれくらい登場するのでしょうか。

Simard氏:3つの勢力の中にそれぞれ女性キャラクターがいます。もちろん、女性のみのキャラクターや男性のみのキャラクターはあります。例えば「大蛇」は両方が選べるのですが、「守護鬼」は男だけであったりとか「野武士」は女性だけであったりということが全勢力の中にあります。これらはユーザーにどちらを選択してもいいようにしていますが、男女だから力の違いがあるということはなく、武器によってどれくらい強さが変わるかというところにフォーカスしています。

――「UBIDAY2016」でのステージイベントで、実際の武器に近い重さのものでモーションキャプチャーを行ったとおっしゃっていましたが、具体的にはどのようなものが使われていたのでしょうか。

Simard氏:私はストーリーを書いていた人間なのでモーションキャプチャーの詳細はわかりませんが、自分が見ていた限りだと、各武器に重さや長さを似せたものを振り回して実際の動きに近づけようとしていました。


――現在、マルチプレイのゲームモードは5つ発表されていますが、今後新モードが追加される予定はあるのでしょうか。

Simard氏:ローンチ時のマルチプレイは現在の5つのモードで行こうと思っています。例えば目的を重視した「ドミニオン」のようなフラグを取るようなモードもあれば、「デュエル」のように自分の腕を試す真剣勝負のようなモードなどを搭載しています。これらをプレイして、ユーザーが物足りないという反応を示すのか、これら5つを極めたいという反応を示すのかを見極めてから追加のモードについて考えると思います。

――マルチプレイモードでメインとなる「ドミニオン」は4対4の対戦となるわけですが、このプレイ人数になった理由を教えてください。

Simard氏:テスト段階では8対8や6対6で試したのですが、4対4が1番緊張感があってエキサイティングになるものだと判断しました。毎週金曜の16時から17時の間に開発チームが集まって、実際にゲームをプレイして自分たちでフィードバックを返していたのですが、試行錯誤してチューニングしていくうちに最終的に4対4に落ち着きました。

――ローンチ後には課金コンテンツは用意しているのでしょうか。

Simard氏:ユーザーの皆さんが購入したあとにどのようなリアクションを示すのかに注力していて、もっとコスチュームが欲しいという声があったら追加のコスチュームを投入するでしょうし、追加モードが欲しいという声があれば考慮すると思います。ただ、今の段階ではゲームをマスターアップさせることに注力しているので、その先のことはまだ手を付けていません。

――ストーリーモードのボリュームについてお聞かせください。想定しているプレイ時間などはあるのでしょうか。

Simard氏:私自身は「プレイ時間」というものは適切ではないと考えています。ユーザーによってプレイのやり方は違いますし、単純にストーリーを追っていくのか、お金やアイテムを集めていくのかでプレイ時間は変わってきますので、具体的なプレイ時間は示していません。ただ、AAAタイトルのキャンペーンモードとしては十分におなかいっぱいになるボリュームにはなっていると思いますので、ぜひプレイして、どれくらいのボリュームだったかを感じていただきたいです。

――ストーリーモードですが、クリアすることによってマルチプレイに反映される要素はあるのでしょうか。

Simard氏:成長要素がそのままマルチプレイに引き継がれないので、キャンペーンでレベルアップして、それをマルチプレイに持っていくという感じではありません。ただ、キャンペーン中にアンロックしたアイテムやコスチュームなどはマルチプレイモードに持っていくことができます。マルチプレイヤーで人とプレイするのに抵抗があるなら、Botを用意してフレンドと一緒にBotと対戦することもできますし、マルチプレイの中で入手できるアイテムもあるので、ぜひマルチプレイヤーモードもプレイしていただきたいと思います。

――私もUBIDAYのデモでBotとの対戦をプレイしたのですが、気楽に楽しめることができるので非常に良い要素だと感じました。

Simard氏:他地域のアルファテストでも、Botとプレイしていたユーザーが我々の想定よりも多かったんですよ。皆、Botとのプレイも想像以上に楽しんでいたという印象です。


――Bot戦の導入というのは開発の初期段階からあったのでしょうか。

Simard氏:できるだけ「アート・アブ・バトル」のシステムで皆さんに戦ってもらいたいので、そこに注力しています。メニューの中にも「PvP」と「PvE」とキャンペーンモードがあり、Bot戦のアイディアも最初からありました。

――北米ではベータテストの事前申し込みが開始されていますが、日本での開始はいつごろになるのでしょう。

Simard氏:募集している地域はありますが、実際はどこの地域でいつやるかは最終的な決定はされていません。ですので、日本でいつできるかというのもまだまだ話し合っている段階です。最新情報を逃さないために、公式のSNSやプレスリリース、公式サイトをフォローしていただけると嬉しいですね。

――国内では来年の2月16日に発売を控えているわけですが、現在の完成度は何パーセントでしょうか。

Simard氏:現在、ブラッシュアップしてバグをつぶしている状況で、ファーストパーティに提出する直前の段階です。パーセンテージで表すには、バグの数を数えないといけなくなりますので数字にはできません(笑)。


――日本語吹き替え版はどのような雰囲気になるのでしょうか。

Simard氏:大本のゲームを作る段階でも、侍は日本語、ナイトは英語、ヴァイキングはアイスランド語を使用する前提で開発していますので、実は吹き替え以外でも日本語音声は収録されています。国内発売される日本語吹き替え版は、アニメ調か洋画調かといわれれば洋画吹き替え寄りのものになると思います。先日の「UBIDAY2016」の会場では、ゲーム中で重要なキャラクターを演じる声優さんが来てくれて少し話もできたんですよ。

――英語版の日本語音声を担当しているアクターはどのような方を起用しているのでしょうか。

Simard氏:有名な役者を使っているわけではなく、各キャラクターにマッチした役者を探してきて声を当ててもらっています。英語版の侍がしゃべる日本語やヴァイキングのアイスランド語も楽しみの1つにしてほしいですね。

――『フォーオナー』はUBIのモントリオールスタジオで開発されています。モントリオールはフランス語と英語が公用語という北米でも非常に珍しい文化圏ですが、さまざまな文化がまじりあっているモントリオールの文化が今作にも影響を及ぼしているのでしょうか。

Simard氏:私は影響があると思っています。モントリオールは、フランス語や英語だけでなく、世界中からいろいろな人がゲームを作りに来ていますし、『フォーオナー』のチームには日本人もいます。そういったこともあり、他の国の文化に関しては非常に心を開いている部分があるので、このゲームに影響を与えたことは確かだと思います。実際はケベックやトロントのスタジオも今作の一部分を作っていますし、ドイツや中国、インドのスタジオも助けてくれています。世界中の人が関わっていますので、文化という意味ではいろんなものがまじりあっているんです。

――最後に、日本のユーザーに一言お願いします。

Simard氏:アルファテストに参加していただきありがとうございました。最新の情報を見逃さないようにチェックしてほしいです。また、ゲームが発売された際は、ぜひとも感想を聞かせてくださいね。

――本日はありがとうございました。


お茶目なSimard氏
《Daisuke Sato》
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