なお、ライブ前にファミコン版シリーズ作品のの作曲者である山岸継司氏(初代『忍者龍剣伝』担当)と半井香織氏(『III』担当)によるインタビューを行いました。
――まずは自己紹介からお願いします。
山岸氏山岸と申します。今から三十年ぐらい前にテクモに入社してそこからコーエーに移り、独立して今に至るという感じです。
半井氏半井と申します。私もテクモに、山岸さんの三年後輩で入社しまして、そのあといっしょにコーエーにもついていきました。その後、また一緒に独立しまして。今年の4月から、あまたに移って仕事をしています。
――ブレイブウェーブさんでは『忍者龍剣伝』のサウンドトラックが発売されていますが、山岸さんたちがマスタリングなども行ったのでしょうか?
山岸氏いえ、自分たちは制作には一切関わってないんですね。コーエーテクモに交渉には行ったんですけども、話がまとまったあとはファミコン版をスイスのエンジニアのとこに持っていきました。その方が全部一人で録音して、細かいノイズ取りとかマスタリングも全部スイスで行ってもらった、という形でした。
――『忍者龍剣伝』の頃はどういった方針で曲を作られていたのでしょうか?
山岸氏「真似しろ」って言われたわけじゃないんですけども、基本的にはお手本にしようってタイトルがありました。KONAMIさんの『悪魔城ドラキュラ』とカプコンさんの『ロックマン』です。この2つがファミコンのアクションゲームとしては2大巨頭みたいな感じだったので、それを目標にサウンドもがんばれ、みたいなところから始まりました。
――初代ではドラムの音が印象的でしたが、制作面で苦労はありましたか?
山岸氏ドラムの音を作るとき、プログラマーの人がファミコンの取説を見て「ここで普通の人が使ってない音源がひとつ残ってるんじゃない?これを鳴らしてみて」って言ってきたんですよ。「ええ、マジ、なんですかそれ?」と返すと、「これを使えばサンプリングでドラムが鳴らせるはずだから、お前研究しろ」って言われて。それからハード担当の人と一緒に研究しました。
サンプラーの音を持ってきてもそれがそのままの音で鳴るはずがないので、どういう方式で動くかを調べてから変換ツールを作ってもらって、更にそれを鳴らすプログラムを作りました。そんなところから始まったので、最初はなかなか大変でしたけど、初めて聴いたときは「ファミコンからドラムの音がこれだけ鳴るとなかなか面白いなぁ」と思えましたし、作業としては楽しかったです。
――昨今ではスイッチなどでも『忍者龍剣伝』を遊ぶことができますが、今遊んでみてどう思いますか?
山岸氏鬼のようなゲームですね(笑)。よくこんなのやるなぁと思うぐらい難しい。当時から私は最後まで行けませんでした。
半井氏私は1面すら無理でした。
――4~5面くらいから、ダメージを受けるとリカバリーできず即死するところが多かったですね……。
山岸氏最後のところがもう鬼のようなゲームで、「えーまたここからやるのかよ」というところが凄かったですね。
――今ではラスボス直前からできるそうですが。
山岸氏そうらしいですね。
半井氏そういう機能がないと無理だよね(笑)。
山岸氏でも、アメリカのユーザーにとってはその難しさが良かったらしくって。
――アメリカはやっぱり難易度高いほうがいいみたいですね、営業施策的にも(笑)。ところで、CDやアナログ盤がリリースされて当時遊んでない人でも楽曲を聴けるようになっていますが、「サウンドのここを聞いてほしい」という点はありますか?
山岸氏いや正直、昔の曲なんで今の人が聴いて楽しめるとは思えないんですよ、本当に(笑)。これは懐かしグッズだなって。やっぱり、ゲームと一緒に体験して思い出補正が入って初めて聴けるんですよ。
――今回のライブは、生演奏ってことなんですけれども。アレンジになってるんですか?
山岸氏今回はちょっと変わったことをやってます。ファミコンの曲をベースにパートを分解して、それに音を足して再構成しているので、今までのゲーム音楽のコンサートとは違うものになっていると思います。
――ありがとうございました。
なお、FC『忍者龍剣伝』は現在スイッチ向け『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』において、通常版と“クライマックスバージョン”(6-4スタート)がプレイ可能になっています。
(C) コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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