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プロゲーマーの燃え尽き症候群には優れたコーチングが必要?大金が動くのにキャリアを有する選手がいない…『LoL』に注目し研究

プロゲーマーのコーチと聞いてどのような人を想像しますか?トップクラスのコーチといえども、欠けているものがまだまだあるようですが。

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本研究に関するウォータルー大学のツイート

優れた名選手の影に優れた教育者ありというのは、スポーツであれ教育現場であれよくある話なのかもしれませんが、プロゲーマーの世界でもまた同様なのかもしれません。

ウォータルー大学は4月13日に、「プロゲーマーにおける燃え尽き症候群を防ぐ上での優れたコーチングの重要性」という題で研究報告を発表しました。この中において、プロゲーマーが精神上の問題から手首周りの故障といった、広範な問題を抱えている点を指摘するとともに、良質なコーチングが必要であるとの主張がされています。

研究チームは世界各国に47のプロチームを有し、年に400,000ドル以上の大金が動くとともに、3年から4年以上のキャリアを有する選手がほとんどいない『リーグ・オブ・レジェンド』に注目し、研究を始めました。

「燃え尽き症候群が引き起こされる原因として、長時間にわたる着座と遊戯・練習がある。」と、システムデザイン工学を研究するBader Sabtan博士が述べているように、研究対象となったプロゲーマーは週6日、1日あたり12時間から14時間をゲームに費やしているそうで、その一方で若手選手に対する、事実上標準化された手法によるコーチングのアプローチや技術の欠如が問題視されています。

「研究の中で、トップクラスのコーチでさえ体系的な練習技法が使われていないことに私は驚かされた。」と語るのは、システムデザイン工学を研究し、自身もウォータルー大学内のGAMES INSTITUTEのメンバーであるShi Cao教授で、「まったく科学的な証拠や研究が用いられていないのです。」とのこと。「生理学や運動科学に関する研究が従来のスポーツを手助けしたように、認知心理や人間工学といった研究はeスポーツのような心的労働の手助けとなるのです。」とCao教授は続けて述べています。

また、本研究では人間関係という点にも着目しており、トップクラスの選手が地位を維持するために長時間の練習を必要とされることから、社会的に重要とされる人間関係が希薄になることも指摘しています。

「必要とされる明晰さやゲーム上の知識、また反応速度は練習と反復によってのみ獲得されるがゆえに、彼らはただひたすらゲームをします。彼らには社会生活もありませんし、ボーイフレンドやガールフレンドもいません。全くもって持続可能ではないのです。」とSabtan教授は訴えています。

燃え尽き症候群は情緒的消耗感、脱人格化、個人的達成感の低下を主な症状とし、長時間の労働や重いノルマといった環境要素と理想と現実の乖離といった個人要素が主な原因とされています。その点において、ゲームもまた娯楽である同時に、場合には精神的負荷となりうることは言うまでもありません。また、最後の人間関係に関する一文もゲーム好きとして思うところがあるのではないでしょうか?


《K.K.》

SFとオープンワールドとミリタリー系が主食です K.K.

1990年3月の京都府生まれ。ゲーム好きのパソコン好き。ついでに言えば動物も好き。心理学部卒ゆえに人の心がわかると豪語するも、他人の心にはわりと鈍感で、乙女心となるとからっきし。むしろ動物の気持ちのほうがよくわかるが、本人は「尻尾と耳がないからだ」と弁解中。 2022年から「ゲームスパーク」で執筆中。パソコン代の足しにと始めるも、賃金はほとんど課金ガチャに消えている模様。

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