「中華ゲーム見聞録」第102回目は、古代中国を舞台にした実写ミステリーアドベンチャーゲーム『神都不良探』をお届けします。
本作は天津芸芸科技有限公司によって、2022年4月28日にSteamで配信されました。2021年に公開された中国の人気歴史ドラマ「風起洛陽」の、10年前を描いたスピンオフ作品という位置付けになっています。「風起洛陽」は日本でも今年5月より、WOWWOWにおいて「風起洛陽~神都に翔ける蒼き炎~」のタイトルで放映されています。それとの兼ね合いなのか、本作では日本語サポートもされています。
本作の内容ですが、実写ムービーによるインタラクティブADVです。光学ディスクの勃興期には、その容量を活かした実写ADVは多々ありましたが、近年では少なくなりました。役者を集めたり、セットを用意したりなど、手間が掛かるという問題もあります。
特に本作のように「時代物」となると、衣装やセットの準備が大変ですし、開発費も掛かります。ただ今月13日には、スクウェア・エニックスから実写ミステリーADV『春ゆきてレトロチカ』がリリースされたので、まだまだ需要のあるジャンルとは思います。本作も謎解きを中心としたミステリーADVとのことですが、一体どんな内容なのか、早速プレイしていきましょう!
全編フルムービーのインタラクティブADV!
本作はドラマのように、第1回、第2回と話が進んでいきます。ただ、本体だけだと物語の1~5回までしか収録されておらず、完結させるには5月5日にリリースされたDLC「神都不良探-6-17回」を購入する必要があります。現在は本体とDLCをバンドルした「『神都不良探』完整版」もリリースされています。それでは第1回から始めていきましょう。
ゲームをスタートさせると、言語や画面設定(フルスクリーン・ウインドウの切り替え)、音量設定の選択があります。ゲーム内でこれらオプションを選択させるのは珍しいですね。日本語サポートがあるので、日本語を選びましょう。
闇夜の荒地に男が一人、狗尾草という草を咥えて座っています。本作の主人公のようですね。ここでいきなり「狗尾草を咥えてぼーっとする」と「大仕事をやる」の選択肢。文字がゆらゆらと動いているのが良いですね。すでに狗尾草を咥えていますが、さらに咥えてみましょう。
地面から狗尾草を引っこ抜き、先程口に咥えていたのを捨て、また新たに咥え直しました。そしてまた同じ選択肢。せっかくなので、延々と狗尾草を咥えさせていたら、実績が解除されました。本作は基本的にコメディ調の内容になっていますね。
……と思ったら、何やらシリアスな展開に。楊広村で天災が起こり、現在では多くの怨霊が住み着くようになりました。それと同時に、多くの財宝も放置されたままになっているとのこと。そのお宝を、これからゲットしに行きます。
財宝があるという墓場に入りました。棺桶には、赤い布が顔に掛かった死体が置かれています。ここで、赤い布をマウスでドラッグすると、布を取り除くことができました。本作ではテキストの選択肢を選ぶだけでなく、マウス操作で実写に介入できるのが面白いですね。死体の口には、お目当ての緑玉が咥えられていました。
死体の咥えていた緑玉を取ると、途端に死体が蘇りました。周囲に散らばっていた死体も起き上がり、攻撃を仕掛けてきます。武侠映画でお馴染みのワイヤーアクションによる格闘が展開され、さらにシリアスな展開に。
……と思ったら、急に場面が変わり、どこかの雑貨屋の中になりました。先程の死霊との戦いについて、女性が矛盾点を突っ込んできます。どうやら雑貨屋の店主が、ほら話をして緑玉を売りつけようとしていたようですね。
矛盾点を客に突っ込まれた、店主にして主人公の杜洵。ここで選択肢です。「ほらを吹き続ける」か、「言い間違い」だとごまかすかの2択。ここは嘘で押し切ってみましょう。
死霊とのバトルに勝利し、緑玉を手に入れました。しかし、先程まで黒だった服の色が、白になっていますね。その矛盾点を、またもや客に突っ込まれました。「あなたの聞き間違い」とごまかすか、「ほらを吹き続けるか」の2択。ここまで来たら、最後までほらを吹き続けましょう。もはやシリアスさは無く、完全にコメディになっていますね。
不良井の住人達
無理やりほらを吹き続けて物語を継続し、何とか客を納得させました。そして緑玉を30銭で売りつけようとします。客は緑玉を気に入り、支払をしようとしたものの、死体の口に咥えられていたということを思い出し、買うのをやめてしまいました。
そこへ、買い物客の女性を「第二夫人」と呼ぶ男が登場。「第一夫人が探している」とのことです。買い物中に女性は身分を明かしていませんでしたが、どこかの御屋敷の側室のようですね。女性は帰ろうとしますが、杜洵は「緑玉を売り付けるチャンスはまだある」と諦めません。
ここで調査モードに突入。調べたい所をクリックすると、杜洵が推理を始めます。どうやら男は屋敷の召使いのようです。女性は第二夫人ですが、指先が汚れているので、よく家事を手伝っているのでしょう。屋敷での立場は低いようですね。
どうやって玉を売り付けるかですが、「わざと玉を落として割る」を選びました。玉を割った後、「割れた玉は不吉の印で、これを持っていると不幸続きになる上に、子孫もできない」と言います。これに食らいついた第二夫人。迎えに来た男を先に帰らせて、割れた玉を買おうとします。第一夫人に玉を渡そうと考えているのですね。
杜洵はわざと「割れた玉を売るわけにはいかない」と言います。第二夫人は「どうしても」と言い、有り金全部払って買ってくれました。画像の女性は杜洵の幼馴染で、店の手伝いをしている小凌。日本語だと「お凌」と訳されていますね。
ここで杜洵達の住む「不良井」の説明が入ります。不良井は、いわゆるスラム街のような所ですね。洛陽の側に位置し、犯罪者や田畑を持たない流民、政治犯などが多く暮らしています。完全に無法地帯というわけでも無く、役人による管理もあるようです。
ここで第1回が終了。結構短かったですね。前述したように、ゲーム本体は第5回まで収録されています。次の話に進んでもいいのですが、先程選ばなかった選択肢も気になりますね。クリア後にはフローチャートが確認できるようなので、見てみましょう。
ゲーム進行のフローチャート。分岐のある部分から再開できますので、見ていない選択肢を回収するのも楽ですね。またムービーは画面下部にシークバーを出現させられますので、すでに見た内容を飛ばすこともできます。
殺人事件発生!
不良井をぶらぶらしている杜洵。しばらくして、調査モードに入りました。調べられる個所があると、カーソルが橙色の円に変わります。ちなみに調査モード時もムービーは動き続けています。
杜洵が店に戻ると、男達が店を叩き壊していました。どうやら、でたらめを言って緑玉を売り付けたことがバレたようですね。屋敷の第一夫人もやってきています。
男達が襲ってきました。ここでまさかのリアルタイムFPSモード。敵が攻撃を仕掛けてくる前に、暗器の矢を撃たなければなりません。実写ゲームでこういうアクションがあるのは珍しいですね。
暗器の矢を飛ばしてみたものの、相手に届かず。男達に笑われてしまいました。杜洵は「この店は、安副帥の店だぞ」と言います。安副帥とは杜洵の親友・安奇のこと。父親は洛陽の住人でしたが、不良井に左遷させられ、現在は亡くなっています。安奇は、不良井の役所である「不良帥府」の副長官を務めています。
騒ぎの中、安奇本人が登場。役人相手なので、店を壊しに来た男達も手を止めました。第一夫人は「呪いの玉を売り付けられた」と安奇に訴えます。ここでいくつかの選択肢が出てきます。何とかこの場を乗り切りましょう。
上手くごまかして、第一夫人達には帰ってもらいました。しかし店内はめちゃくちゃにされています。安奇は「不良帥府で事件が起こったので、解決のために手伝って欲しい」と言い、杜洵を強引に連れていきます。杜洵は、武術はダメですが、本をよく読むので頭は良いようですね。
不良帥府では、長官が死体になって倒れていました。門は内側から閂が掛けられており、密室状態だったとのこと。不良帥府には安奇以外の副長官が2人いて、どちらも事件解決に協力的ではありません。とりあえず死体の周辺を調べてみましょう。
ある程度情報が揃ったら、推理モードに入ります。ここでは集めた情報を関連付けていき、事件を推理します。果たして真相にたどり着けるのか、続きはぜひ自身の手でプレイしてみてください。
テンポの良いコメディタッチの中華ミステリーADV
本作はテンポ良く話が進んでいき、ゲームの難度も低いので、途中で詰まったりすることは少ないかと思います。フローチャートも用意されているので、全選択肢の回収も楽にできるかと。日本語も機械翻訳ではなく、きちんと訳されているのが良いですね。
それと選択肢によってはバッドエンドでゲームオーバーになることもあります。ゲームオーバーのシーンも、コメディタッチのものが多く用意されていますね。本体だけだと第5回までなので、最後までプレイしたい方はDLCをバンドルした「『神都不良探』完整版」を購入することをオススメします。気楽にプレイできる作品なので、中国ドラマや実写ADVが好きな方はぜひ本作をプレイしてみてください。
製品情報
開発・販売:天津芸芸科技有限公司
対象OS:Windows
通常価格: 820円
リリース日:2022年4月28日
サポート言語:日本語、中国語(簡体字)、英語、韓国語
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/1681970/_Underdog_Detective/