死地へ赴く前にバーで煽ったグラスをたたき割り、敵のアジトのドアを蹴破って鉛弾をばらまく。まるでスローモーションのように感覚が研ぎ澄まされ、敵の弾を紙一重でよけながら的確に相手の急所を撃ち抜く。今回ご紹介する『OTXO』は、そんなハードボイルドな映画的アクションを再現して悦に浸れるローグライクアクションシューティングゲームです。
本記事では、ローグライクはビルドに頼り切った戦法でしか攻略経験のない筆者でも、このアクションはちょっと癖になるかもと感じた本作のプレイレポートをお届けします。
謎が謎を呼ぶ物語の始まり
本作は謎のビーチに流れ着いた自分が何者かもわからない主人公となって、そこに佇む洋館で待つという愛する人と再会するために、幾多の死を繰り返しながら激しい銃撃戦を繰り広げるローグライクアクションシューティングゲームです。
始めにお断りしておきたいのですが、筆者がプレイした範囲ではストーリーについてはほぼ何の情報も得られていないため、主にゲームシステム面でのレポートとなります。
というのも前に述べたように明かされている部分にも謎が多い本作。ゲームスタート直後にはどうやら主人公がこのビーチに流れ着いたきっかけと思しきシーンが流れるのですが、電車の中で謎の男からマスクを引き渡され、主人公はなぜかおもむろにそれを被るなど既に理解の範囲を超えてきます。
そこで場面が変わると突然共に電車に乗っていた愛する人であろう女性に刺され、次の瞬間にはビーチに流れ着いていると、何一つわからないまま操作が可能となりました。筆者が本作で明確なストーリー描写を得られたのはこの部分だけで、NPCとの会話などから断片的な情報は得られましたが多くはゲームシステムに関わることとしての側面が強く、物語の核心に迫るにはまだまだ攻略が足りないようです。
時間を鈍化させる「フォーカス」と破壊必須のドア
操作ができるようになり適当にビーチを歩き回ると程なく洋館が目に入ります。その前に立つダンディな口ひげを生やした人物に声をかけると、この世界で自分たちがOTXOと呼ばれていることや、愛する人が洋館で待っていること、洋館は主人公を阻む敵で満ちていることを親切に教えてくれます。
そのまま流れるようにチュートリアルへ移行。トップダウン形シューティングゲームとしての基本的な銃撃や回避といったテクニックの他、本作の二つの特徴的な要素、キックや銃撃による「ドアの破壊」と周囲の時間が遅くなる特殊能力「フォーカス」について学ぶ機会となりました。この時点ではまだ敵と戦うことはありません。
チュートリアルを終えるとバーへ通されます。ここでは様々な効果を発揮する酒が毎回3種登場し、ゲームごとの1杯目を無料で飲むことができます。なおこのバーはステージを進める中でも時折登場し、その際はお金で追加の酒を飲んで更なる強化も可能です。
今後死ぬたびに戻ってくるのは基本的にこのバーで、ゲームの拠点となっています。なお、バーで注文する際には武装解除が必須だったり、飲み終わりにわざわざグラスを投げ割るなどのハードボイルドな細かな演出が楽しめる場所でもあります。
バーの説明も終わったところでいよいよメインゲームがスタート。スタート直前にテンポよく敵を倒すことでゲーム内通貨の入手量が増えることも伝えられます。
最大の報酬を目指してチュートリアルで学んだドアの破壊や、フォーカスを駆使して敵をスタイリッシュになぎ倒す!と上手くはいかず、ぎこちない武器変更と、いまいち使いこなせないフォーカスに翻弄されながら最初のステージであえなくリタイアとなりました。
酒で得た能力と出現武器の設定で自分好みのプレイスタイルに
気を取り直して次のプレイへ。2回目のプレイからはその回で敵が利用する武器、即ち自分が奪うことのできる武器のレパートリーを選べるようになります。初期装備は専用のライフルで固定ですがそれ以降はこの選んだ武器で戦うこととなり、最初に飲める酒の効果と併せて様々なシナジーを生みながら、自分らしいプレイスタイルを確立していくのが本作の醍醐味でしょう。
プレイを重ねる中で筆者が基本のビルドとして採用したのは連射武器のみをピックアップし、ひたすら攻め込むランボースタイル。ランボースタイルとはいいながらも、敵の連射に対応可能で逆にこちらは的確に弾をたたき込めるフォーカス能力との相性が良く、フォーカス能力の使用に慣れるにつれて安定性が増していったビルドでした。
一方で酒で得られる効果次第でピストルやショットガンといった特定武器種に偏ったピックアップを行っても十分に戦うことが可能なほか、非武装状態で敵の弾を弾ける効果を使ってキックと跳弾のみでの攻略といったユニークなビルドも十分実用的であるなど、飽きること無いプレイが楽しめました。
フォーカスを駆使してスタイリッシュに決めろ!
また、ゲームの習熟度が上がりフォーカス能力の使用や武器の切り替えがスムーズになると、自分でもニヤリとしてしまうぐらいスタイリッシュなプレイができる瞬間が体験できるようになります。
ドアを蹴破ると同時にすぐそばの敵を蹴り倒し、次に近い敵に弾をありったけ打ち込む。その敵が落とした武器が落下する前に素早く交換することでリロードの手間を無くし、遠方の敵の弾を躱しながらそいつを仕留めるなんて芸当が達成できれば、もうアドレナリンマックスです。
惜しむらくはハードボイルドな雰囲気を演出するために基本の色調を白黒としたことで、通過できる場所とできない場所がわかりにくくなってしまっていること。この点は敵を倒した際の鮮やかな返り血を際立たせるなどの役割も担っていますが、慣れるまではかなり行動を阻害され、初心者のイライラの元となるように思えます。
ボス戦や新しい武器などコンテンツは盛りだくさん
以上のような基本のゲームシステム以外にも、集めたコインを使っての新しい武器や酒の追加、巨大なボスとの戦いや、ボスを超えた後のステージに現れる特殊な敵の存在、そして謎の多いストーリーなどコンテンツはボリューミー。ゲームをクリアするころにはそのスタイリッシュさに磨きがかかり、心もハードボイルドに染まりきっていることでしょう。
スパくんのひとこと
高速の銃撃戦とそれを可能にするフォーカス能力で、プレイ中の緊張感と興奮は最高潮スパ!
タイトル:OTXO
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023年4月20日
著者プレイ時間:10時間
サブスク配信有無:無し
価格:1,520円(2023年5月5日まで1,368円のセール中)
※製品情報は記事執筆時点のもの