あの本格派SF4Xパラドゲーがたったの1時間で遊べるって本当?実際に測ってみた―シリーズ新作『Stellaris Nexus』【Steam Nextフェス】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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あの本格派SF4Xパラドゲーがたったの1時間で遊べるって本当?実際に測ってみた―シリーズ新作『Stellaris Nexus』【Steam Nextフェス】

「1時間で遊べる」が謳い文句の本格派SF4Xストラテジーが有名シリーズ新作として登場。本当に1時間で遊べるのか実際に測ってみました。

連載・特集 プレイレポート
『Stellaris Nexus』
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Stellaris Nexus Announcement Trailer - Paradox Arc

今回ご紹介する『Stellaris Nexus』は、現在Steamで開催中の「NEXTフェス」でデモ版が初公開されたSF4Xストラテジーです。舞台は近未来の銀河系。プレイヤーは自分の派閥を率いて崩壊した星間帝国の後継者を目指します。後継者となるためには、知略の限りを尽くして星々の間に支配領域を広げ、立ちはだかるライバルを出し抜かねばなりません。

ストラテジーゲームの中でも探索・拡張・開発・殲滅の4つの要素を兼ね備えたものを4Xストラテジーと呼びます。本作もその一つですが、1回のプレイに必要な時間はわずか1時間と4Xストラテジーとは思えないテンポの良さを謳い文句にしています。ゲーム進行はターン制でマルチプレイも可能です。

  • 未知なる領域の探索……eXplore

  • 自勢力の領土の拡張……eXpand

  • 拡張した領土の開発……eXploit

  • 敵対する勢力の殲滅……eXterminate

本作はその名の通り、本格派SF4Xストラテジー『ステラリス』(Stellaris)と同じ世界を舞台にしています。ゲーム内容にも多くの共通点が見られ、言うなれば短時間でプレイできる簡易版の『ステラリス』といったところです。パブリッシャーは『ステラリス』の開発元が立ち上げたインディーゲームレーベルParadox Arc。開発を手がけるのはWhatboy Gamesです。発売日は本稿執筆時点で未定。デモ版は英語のみに対応しています。

本稿では、『Stellaris Nexus』のゲームシステムをご紹介しながら、謳い文句通り本当に1時間でゲームの決着がつくのか実際にプレイして検証した結果をレポートします。

戦闘時のグラフィックスの美しさはまさしく『ステラリス』の系譜。

宇宙の真理

初めてゲームを起動すると、チュートリアルをプレイするよう勧められます。本作は操作方法が独特なので、チュートリアルは序盤だけでもプレイすることをオススメします。プレイ中にもゲームの状況に合わせたチュートリアルが表示されるので、最初は基本操作だけ覚えれば十分でしょう。

その独特な操作方法とは、ずばりドラッグ・アンド・ドロップです。本作では艦隊の移動から命令の実行まですべてドラッグ・アンド・ドロップで指示を出します。いちいちメニューからコマンドを選ぶ必要はありません。施設建設や技術開発ではさらに選択肢が表示されるので、その中から欲しいものを選びます。ドラッグ・アンド・ドロップの操作に慣れると必要最小限のマウス移動でサクサク指示が出せるようになるのですが、これが実に快適です。

左下のカードから右上の惑星に伸びる青い線がドラッグの方向を示している。

マップの切り替えは完全にシームレスです。マウスホイールを回転させるだけで、銀河全体を一望するマップから惑星の詳細表示まで連続的にズームイン・ズームアウトすることができます。本家『ステラリス』のように別々のマップを行き来する必要はありません。

ゲーム内での行動はカードの形で表される「布告」を消費して行います。布告には探索・建設・研究・外交など様々な種類があり、毎ターンの最初にランダムで数枚配られます。布告を実行する方法はカードを実行対象にドラッグ・アンド・ドロップするだけです。例えば、建設なら新しい施設を建てたい惑星に建設カードをドラッグします。この他、艦隊の移動・生産・補充など基本的な行動は布告なしで好きな時に行なえます。

布告を実行したり艦隊を移動したりするにはリソースを消費します。主なリソースはサポート、マテリアル、クレジットの3種類で、中でも行動するたびに消費されるサポートが一番重要です。マテリアルは建設などに消費され、クレジットは他のリソースの代わりになる便利なリソースです。

左下に並ぶのが布告カード。プレイ中はいつでも惑星をズームアップして綺麗な宇宙を眺められる。

デモ版に登場する派閥は6種類。プレイヤーは好きな派閥を選択してプレイできます。それぞれの派閥は固有の長所と短所を持っていますが、それだけでなくランダムに配られる布告カードのデッキも異なります。戦争に強い派閥や研究に強い派閥といった特徴があるので、選択する派閥によって異なるプレイスタイルが楽しめるでしょう。

本家『ステラリス』ではプレイヤーが好きな長所と短所を選んでカスタマイズできますが、本作には派閥をデザインする機能はありません。デモ版だけの制限か、製品版でも同じなのかは不明です。

文字が小さくてわかりにくいが、国際地球連合の特徴が表示されている。派閥にはそれぞれ特徴がある。

銀河の中心

それでは、実際のプレイの様子を見ていきましょう。プレイ開始前には忘れずにタイマーをセットしました。はたして本当に1時間でクリアできるでしょうか?

デモ版で遊べる一人プレイ用のモードは「継承」と呼ばれます。登場する派閥は自分を含めて6個。勝利条件は継承ポイントを100点以上獲得して次の皇帝になることです。継承という言葉は、崩壊した星間帝国の皇帝を引き継ぐという意味で使われているのでしょう。

継承ポイントを獲得する方法は複数ありますが、新連盟評議会と呼ばれる全派閥参加の会議で称号を獲得するのが近道です。そして称号を獲得するには、この作品のタイトルでもある惑星ネクサスを支配することが最重要になります。惑星ネクサスはマップの中央にあり、各派閥はマップの周辺に均等に配置されてゲームが始まります。

ゲーム開始時の銀河全体マップ。中央に惑星ネクサス、周辺に各派閥が均等に配置される。

今回のプレイで選択した派閥は国際地球連合。本家『ステラリス』にも登場する地球人類の派閥です。政治に強く、通常のサポートの他に元老院のサポートというリソースが追加されるのが特徴です。

ゲーム開始時に派閥が支配している惑星は地球だけ。最初は周辺にある中立惑星に艦隊を派遣し、占領することで支配地域を広げていきます。支配下の惑星にはどんどん施設を建設して収入を増やしましょう。このあたりの定石は他の4Xストラテジーと同じですね。

地上に降下する占領部隊。惑星を支配するには敵艦隊を退けたあと占領する必要がある。

国際地球連合が順調に勢力を拡大していると、突如後方の惑星にライバル派閥の大艦隊が出現しました。艦隊の主は昆虫のような姿をした種族イクシダールです。安全な後方だと思って占領を後回しにしていたのですが、まさか迂回路があるとは夢にも思いませんでした。

あわてた筆者はすぐに全艦隊を防衛に向かわせました。同時に、外交の布告で侵入者に不可侵条約を提案します。外交でなにかを提案しても即座に結果が出るわけではありません。提案内容によって外交の成功率が変わり、相手の回答が返ってくるまでには1ターン待つ必要があります。

右側に見えるのが外交交渉画面。技術やクレジットの他、惑星や艦隊を取引材料とすることも可能。

次のターン、イクシダールはあっさり不可侵条約を承諾。戦争は回避されました。

ここで最初の新連盟評議会が開かれます。新連盟評議会は8ターンに一度開かれ、新たに追加する称号と全銀河に影響を及ぼす決議を投票で決定します。称号にはそれぞれ獲得条件があり、評議会が開かれた時にその条件を満たしていた派閥が継承ポイントを獲得できます。中でも強力なのは惑星ネクサスを支配すると手に入る摂政という称号です。

新連盟評議会の画面。複数ある称号と決議のどれかに投票する。票数は支配する惑星の数で決まる。

他の種族とも不可侵条約を結び、周辺の安全を確保した国際地球連合は銀河の中心部にある惑星ネクサスへと艦隊を進めました。一番乗りしたネクサスには強力な中立艦隊が居座っていましたが、隣の惑星から空母で遠距離攻撃を行ったのち戦艦と駆逐艦が突入。反撃を受けて戦艦が全滅したものの、なんとか占領に成功します。

ここで2回目の新連盟評議会が開かれ、国際地球連合は摂政の称号と継承ポイントを獲得して全派閥のトップに躍り出ました。しかし、ネクサスのある銀河中心部は他のライバルから攻撃を受けやすい場所です。案の定、戦力を失って弱体化した国際地球連合にライバル派閥の一つが戦争を仕掛けてきました。ネクサスはなんとしても守り抜かねばなりません。ここからが正念場です。

中盤の銀河全体マップ。惑星ネクサスを確保したものの、周囲をライバルに押さえられて進出先がない。

外交の達人

戦争は国際地球連合の優勢で進んでいましたが、決着がつく前に別の派閥が宣戦布告してきました。2つの敵を同時に抱えた国際地球連合は戦略を転換。外交の布告を使い、最新技術を譲り渡す条件で両派閥と和平条約を結びました。

技術は研究の布告とリソースを使って獲得します。研究には3種類の分野があり、技術を一つ研究すると次のレベルの技術が研究できるようになります。また、探索の布告でしか手に入らない技術や希少資源も存在します。

研究する技術の選択画面。3つの分野にそれぞれ2個ずつ技術の選択肢がある。

ひとまず平和が戻りましたが安心はできません。各惑星に施設を建設して収入を増やし続けなければ、いつかは負けてしまいます。ところが、最初にイクシダールと不可侵条約を結んだことで近隣星系への進出が遅れ、国際地球連合の支配領域は狭いままです。

進出先に悩んでいたところに新たな敵が現れました。これまで仲の良かった派閥が突然不可侵条約を破棄したのです。筆者は今回も技術を譲り渡してお引き取り願おうと考えましたが、相手の方が一枚上手でした。外交の使者が到着するより早く相手の方から宣戦布告してきたのです。外交に必要な1ターンの遅れが致命的でした。

発生した戦闘は自動的に解決される。戦闘中にプレイヤーが指示を出すことはできない。

ここで3回目の新連盟評議会が開かれました。国際地球連合は2つの称号を獲得して継承ポイントは62点に到達。他の派閥を大きく引き離します。勝利に必要なのは100点なのであと少しです。

戦争を終わらせたい国際地球連合は投票で動員解除決議を成立させました。決議の効果は全派閥の艦隊数の大幅な制限です。決議が成立したことで地球のすぐそばまで迫っていた敵艦隊は消滅し、危機は回避されました。銀河全体に効果を及ぼす評議会の決議はこのようにとても強力です。

称号の獲得に必要な条件を満たすと、新連盟評議会が開かれたタイミングで継承ポイントを獲得できる。

外交を駆使してこのまま逃げ切れば勝てる。筆者がそう思ったとき事件は起こりました。他勢力の諜報員により、国際地球連合が結んでいるすべての不可侵条約が破棄されたのです。諜報員が行った工作はその名も偽旗作戦でした。

布告の中にはスパイに関するものも存在します。スパイを防ぐための布告もあり、スパイによる工作活動は時として不利な状況を逆転する切り札になります。

ゲーム終盤の銀河全体マップ。1ターンに配られる布告の数は条件を満たすことで増加する。

不可侵条約が消えた次のターンには3つの派閥が同時に宣戦布告してきました。まともに戦えばひとたまりもありません。すでに技術の譲渡で交渉に応じる派閥はなく、筆者は大量に貯め込んだクレジットを貢いで和平条約を結び、なんとか切り抜けました。

惑星ネクサスを守りながら薄氷を踏む思いで迎えた5回目の新連盟評議会。今回も摂政を獲得した国際地球連合の継承ポイントはついに100点を突破。勝利条件を満たし、新皇帝の座を獲得しました。ゲームクリアです。

国際地球連合のリーダーが新たな皇帝に。リーダーは経験値を貯めるとレベルアップする。

さて、タイマーはどうなったでしょうか。ゲームを開始してからクリアするまで正味6時間が経過していました。筆者はこの記事を書くためにメモやスクリーンショットを撮りながらプレイしていましたが、それでも謳い文句の1時間には遠く及ばない数字でした。

これにはいくつか理由があります。本作はターン制なので、一人プレイの場合は好きなだけ考えを巡らせることができます。また、次のターンに進む前なら自分の行動を何度でもやり直し(アンドゥ)できるルールがあるため、最善の手を思いつくまで長考しがちなのです。

しかし、これで終わったわけではありません。筆者が本作の真価を理解したのは友人とマルチプレイをしたときでした。

惑星ネクサスと国際地球連合の駐留艦隊。この星を確保し続けることが勝利の鍵となる。

本作の真価

デモ版のマルチプレイは継承モードを一度プレイすると解放されます。必ずしもクリアする必要はありません。マルチプレイには2つのモードがあり、不特定多数とのマルチプレイと知り合いとのマルチプレイの両方が楽しめます。筆者は2人の友人を誘い、プライベートの部屋を作って人間3人、AI3人のマルチプレイを行いました。

マルチプレイでも一人プレイと同じくターン制であることは変わりません。ただし、1ターンには数分程度の制限時間があり、時間切れになると強制的に次のターンに進みます。また、ターン制と言っても、各プレイヤーが順番にプレイする形式ではなく、全プレイヤーが同時に並行してプレイする方式です。プレイヤーが指示した行動は次のターンに進むタイミングで全員分まとめて処理されます。いわゆる同時プロット制です。

このシステムがドラッグ・アンド・ドロップ中心の操作体系と組み合わされた結果、マルチプレイでは非常にテンポの良いゲーム展開が実現していました。慣れないうちは次の一手を考えている間に時間切れになってしまったり、戦争になった途端指示することが増えてパニックに陥ったりすることもありますが、もともとリソースの量で1ターンの操作回数が制限されているので操作量が多すぎて困ることはあまりありません。

プレイヤー3人は全員本作の初心者でマルチプレイは初めてでしたが、ゲームは終始和やかな雰囲気の中で進み、勝者が決まったのはプレイ開始からちょうど1時間後でした。この結果にはプレイヤー全員が驚きました。謳い文句は嘘ではなかったのです。

マルチプレイではプレイヤー同士の大規模な艦隊決戦が行われて盛り上がった。

短時間で遊べることに重点を置いたSF4X作品

本作は短時間で遊べることに重点を置いたSF4Xストラテジーです。ゲームシステムと操作方法は短時間のプレイに特化しており、特にマルチプレイにおいて真価を発揮します。

本作は『ステラリス』の関連作品ですが、同作の世界観を知らなくても楽しめます。『ステラリス』に由来する要素は随所に散りばめられているので、同作のファンならより一層楽しめるでしょう。

短時間でストラテジーのマルチプレイを楽しみたい方、SF4Xストラテジーが好きな方にお勧めの作品です。

スパくんのひとこと

「NEXTフェス」はもうすぐ終わっちゃうので、興味のある人は急ぐスパ!製品版も楽しみスパね!

タイトル:Stellaris Nexus(デモ)
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:未定
著者プレイ時間:9時間
価格:未定
※製品情報は記事執筆時点のもの
《FUN》

遊ぶより創る時間の方が長いかも FUN

元ゲームプログラマー。得意分野はストラテジーゲーム。ゲームライターとして活動する傍ら、Modの制作や有志日本語化に携わっています。代表作は『Crusader Kings III』の戦国Mod「Shogunate」。

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