『グレイシャード』遠未来の生存競争は油断を許さない…!試遊レポ&濃密なSF愛が伝わる開発者インタビュー【BitSummit Let's Go!!】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『グレイシャード』遠未来の生存競争は油断を許さない…!試遊レポ&濃密なSF愛が伝わる開発者インタビュー【BitSummit Let's Go!!】

超越的な鳥類「トゥアイ」は巨大ザメすらぶった切る!

連載・特集 インタビュー
『グレイシャード』遠未来の生存競争は油断を許さない…!試遊レポ&濃密なSF愛が伝わる開発者インタビュー【BitSummit Let's Go!!】
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京都市勧業館「みやこめっせ」で14日から開催されている「BitSummit Let's Go!!」。本イベントには国内外を問わず、多くのインディーゲームが集合しています。

そんな本イベントにはStudio Snowblindが開発を手掛け、PLAYISMがパブリッシャーをつとめるアドベンチャーゲーム『グレイシャード(Glaciered)』も出展されていました。

本作は氷河に包まれた遠未来の地球が舞台となる海洋アクションアドベンチャー。進化した鳥類、トゥアイの1羽「グレイシャード」を操り、海の中で数多の生物たちと戦いながら大氷河期“永遠の冬”を守るという、SFストーリーが印象的なタイトルです。

今回の「BitSummit Let's Go!!」では、本作の試遊はもちろん、なんと開発者である渋谷啓氏にインタビューの機会を頂けることに! 本稿ではその模様をお伝えしていきます。

◆全方位から襲いくる海洋生物と戦い“海を飛ぶ”鳥類アクションが気持ちいい! 本格派SFを思わせる世界観も蠱惑的

ブースにお邪魔して、早速プレイ開始。(当たり前ですが)スタート時点から、海の世界が広がっています。どうやら知性ある「グレイシャード」は言語を持っているようで、渋い男声で目に見えない存在(海中の超音波か、超越的なテレパシーかまではわからなかったのですが)と会話しつつ道を進んでいきます。

本作の魅力は360度にわたって展開される戦闘とあって、どこかで見たことがある……なんらかの生物の進化系と思わしき生物たちと戦っていきます。まず筆者の目の前に現れたのはワニのような海洋生物。グレイシャードの2倍ほどはありそうなモンスターがガッツリ口を開けて襲ってくる様はインパクト大です。

思わず「鳥類じゃあ勝てない!」と匙を投げそうになる衝撃でしたが、グレイシャードは海にて栄華を極めた「トゥアイ」……! 華麗によけながら、その両羽を駆使して切り刻んでいけるのです。噛みついてくるワニを上下左右によけながら、チャージした斬撃をお見舞いします。

筆者が「トゥアイの能力は圧倒的じゃないか!」と調子に乗ったのもつかの間、本作の難易度は徐々にアップ。一対一ならともかく、360度に展開される海中での多対一の戦いはなかなかの遊びごたえ!

攻撃を上に避けたと思ったら、ちょうどそこに別の一匹が待ち構えていたり……平面的にではなく、空間的に敵の位置を把握しておかなければならないでしょう。慣れない筆者が慌てているうちに、流石のグレイシャードも撃沈……リトライとなりました。

実は「トゥアイ」という生物は雌雄同体で、事前にチュートリアルに促されるまま崖際に卵を産みつけていたのですが……ゲームにおけるリスポーン地点は、なんと自分が産卵した卵!

もしかして別の個体なのかとも思いましたが、これも同じく「グレイシャード」として意識を持っているようです。ステージに残った“前の自分”の死体から栄養素(経験値)をとって進んでいくという、自分の屍を自分が越えていくというような設定です。

チュートリアルが進むうちに、グレイシャードは遠隔攻撃やアビリティを学んでいきます。遠近両面からの攻撃は、本作のキモとなりそうです。飛ばせる羽には時間的な縛りがあるものの、離れれば360度から攻撃されることはなくなります。逆に近接戦の猛攻をもって、群れからはぐれた敵を狩っていくプレイスタイルも可能でしょう。

筆者が注目に値すると感じたのはステータスアップ周りのシステム。「炭水化物」や「タンパク質」といった栄養素を蓄積して、脳や筋肉から“どれかひとつのみ”を伸ばしていくのです。聞くところによれば遠距離特化のビルドなども可能なそうですが、ステータスアップ時に遠隔攻撃力を上げる「脂質」が残っていなければなりません。

ステータスの振り直しも可能なようですが、残存する栄養素に注意しながらプレイしなければならないでしょう。

武装や戦い方も整い、かなりプレイにも慣れてきたところで巨大なサメが来襲。ボス戦となります。体力ゲージを本当にギリギリのラインに押し込まれながらも、無事に撃破することができ本イベントでの試遊が終了しました。

本作は敵の挙動を見切るという点から、かなりシビアなにらみ合いが続くタイプのアクション。もちろん遠距離から攻めることもできますが、どちらにせよ“360度の海中で、どの方向から敵が襲ってくるのか”という状況に違いはありません。一瞬の油断が命取りとなる戦闘が「海で生きる者たちの生存競争」をバリバリに感じさせてくれて、好印象でした。

次の項では、そんな『グレイシャード』を開発されている渋谷氏へのミニインタビューをお届け。「グレイシャード」「トゥアイ」の設定や、製品版で広がる世界についても質問させていただきました!

◆『グレイシャード』開発者インタビュー!「実験的なSFが好きな方に刺さるようなストーリーを作っていきたい」

――今回はよろしくお願いします! さっそくですが、まずは簡単な自己紹介からお願いします。

渋谷啓氏(以下、渋谷氏):今回はよろしくお願いします。海洋アクションアドベンチャー『グレイシャード』を制作している「Studio Snowblind」の渋谷と申します。

――『グレイシャード』の舞台は「遠未来」と特徴的です、なぜこういった設定にされたのですか?

渋谷氏:色々と理由はあるのですけれど、一番としてはあまり手がついていない題材だからですね。100年、200年先の「近未来」はサイバーパンク世界やスペースオペラなどでわりとポピュラーです。しかし遠未来となると中々見ないと感じています。そこで、まだ手付かずの題材を使ってみたいなと考えていました。

――プレイしていて気になったのですが……グレイシャードを始めとした「トゥアイ」はペンギンの進化系でしょうか?

渋谷氏:ペンギンではないですね(笑)。鳥類ではあるんですけれど、ペンギンとは別系統から進化しています。

―― そうなのですね! 鳥類、氷河のイメージから安直に連想してしまいました……! そのグレイシャードは、死亡した個体を回収しつつも死ぬ前と同一の存在のようでした。さらには男性的でありながら卵を産む雌雄同体と、まさしく生死や性別を超越した超越的な生物と感じています。そういったグレイシャードたち「トゥアイ」の性質はどこから着想されたのでしょう?

渋谷氏:SFが描く未来描写として「どういう示唆的な描写を追求できるか」と考えた結果ですね。そのひとつにはジェンダーがあるはずです。たとえば雌雄同体であれば人間と同じような価値観は持たないはずなんですよね。

人間とは全然違った超越的な進化を遂げた動物が、どう言う感情をもって行動していくかを推察しながらストーリーを設定していきました。

――今回の試遊中、敵が360度から襲いかかってきてまさしく「海の恐怖」を感じるような戦闘でした。完成版ではどのような脅威、モンスターが待ち構えているのでしょうか?

渋谷氏:まず、皆さまが期待するような「海といえばこれでしょ!」という定番はもちろん、既知の生物でも「未来でこう進化したら面白いな」と感じるようなベクトルまで用意するつもりです。このふたつの側面から追加していきたいですね。

――ゲームではハンドガン・ショットガンというような武装が二種類ありましたが、遠距離武装などは増えていきますか? また、敵生物の攻撃モーションがかなり鋭く感じたのですが、防御系のアビリティなども存在しているのでしょうか。

渋谷氏:武装はさらに増えていきますね。また、アビリティに関してもカウンター要素を持ったものなどが登場する予定です。

――本作では複数の栄養素を消費しステータスを向上させたりと、ビルドを計画的に行なわないといけないものだと感じました。グレイシャードの成長以外でも栄養素の使い道は存在するのでしょうか?

渋谷氏:存在しています。ステータスの振り直しも可能ですし、他の使い道として本作の装備にはレアリティやランダムな特殊能力がついています。そこで栄養素を消費して強化したり、さらには新しく特性をつけなおしたりすることも可能ですね。

――なるほど!そういった点でハクスラ要素が成立しているのですね!

渋谷氏:その通りです! 実は、遠距離攻撃もメインで使えるぐらいの性能にしているのです。それでゲームのバランスどりに苦労している面もあるのですが……お好きなビルド、スタイルで遊んでいただければ幸いです。

――そもそもの話になるのですが、何がきっかけで『グレイシャード』を作ろうと考えられたのでしょうか?

渋谷氏:SF小説がアイディアの源泉になっていて……80年代のSFが結構好きで、その時代の作品は前衛的な作品が多かったんですよね。その中でも特にインスピレーションを受けているのがロバート・L・フォワードの「竜の卵」で、これは恒星のなれの果て……凄く重力が重い世界で生きるクリーチャーと人間の遭遇を描いた作品で、「全く人間と異なる生物が知性を持ったらどうなるか」と言う部分にインスピレーションを得ていますね。

――本作では人間が出てこないのですが、そういった遠未来を描く際に苦労していることはありますか?

渋谷氏:日本語は「人」の字が出る熟語がすごく多いじゃないですか! 「人物」「人格」とか。そこを描くのが大変ですね! 英語だと「Man」くらいしかないので避けるのは簡単なんですけど。

――確かに……!他の作品だとそこをギャグテイストにして「人格ならぬ鳥格」と描いたりするものもありますよね。

渋谷氏:そうですね。『グレイシャード』では造語を使いすぎて訳がわからなくなっちゃうのは避けたいので、必要ない言葉は出さないようにしています。

――最後に、『グレイシャード』をどういったゲーマーに向けて届けていきたいか、意気込みなどをお願いします。

渋谷氏:高難易度のアクションゲームは素晴らしい作品も多く出ていますが、全方向に動けてなおかつ「海の中」という特徴を活かした独特の操作感や浮遊感、位置取りにおける戦略性の高さを突き詰めて、立ち回り重視の戦闘を楽しみたい方にご満足いただけるものを届けられるように開発を進めていきます。

そして、SFとしてもしっかりとしたストーリーを描こうと考えていますので、SFが好きな方……特に古めの、実験的なSFが好きな方に刺さるようなストーリーを作っていきたいですね。

――今回は、ありがとうございました!


『グレイシャード(Glaciered)』は発売日未定。PC(Steam)にてリリース予定です。


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《高村 響》

ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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