プレイできたマルチエンドの初期版は破棄し、戦闘重視でいちから開発し直した―中世風怪傑アクションADV『En Garde!』【開発者インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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プレイできたマルチエンドの初期版は破棄し、戦闘重視でいちから開発し直した―中世風怪傑アクションADV『En Garde!』【開発者インタビュー】

舞台はスペインからインスパイア。軽快なフェンシングゲームです。

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プレイできたマルチエンドの初期版は破棄し、戦闘重視でいちから開発し直した―中世風怪傑アクションADV『En Garde!』【開発者インタビュー】
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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Fireplace Games開発、PC向けに8月17日にリリースされた中世風アクションアドベンチャー『En Garde!』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、女冒険家アダリア・デ・ヴォラドールとして、貴族の圧政に立ち向かう陽気な冒険活劇アクションゲーム。伝説の冒険家、そして民衆の英雄と称えられることになるアダリアの時にエレガンス、時にダーティーな権力との戦いを描きます。記事執筆時点では日本語未対応。

『En Garde!』は、2,800円で配信中


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?

AdrienFireplace Gamesの共同設立者でゲームデザイナーのAdrienです。本作のデザイン、戦闘、インタラクション、ストーリー/ナレーションのほとんどの部分に携わりました。また、本作のマーケティング、SNS、トレイラーも担当しています。本作を作ったことで、私は大の銃士オタクになりましたが、それ以前は子供の頃から日本のゲームファンでしたので、日本の読者のためのインタビューができることをとても嬉しく思っています!一番好きなゲームシリーズは『ゼルダの伝説』シリーズです。だからか、剣を使った戦いやアドベンチャーが好きなんです!

今日はJulienと私がお答えしますが、Fireplace Gamesは14人のゲーム開発者で構成されたチームで、みんなゲームの好みは千差万別ですよ!

JulienJulienです。私も共同設立者の一人です。本作では、主にコンセプトアートとライティングを担当し、ゲーム内の敵兵士の声優も務めました!ゲームに関してですと、私はどちらかというとテーブルトップゲーム派なんですけど、それでも好きなビデオゲームを1つ選ぶのは難しいですね!一番楽しめるのは、ユニークな世界を見せてくれるものや、自分でストーリーを作れるものだと思います。私が最も時間を費やしたゲームは『ENDLESS Legend』や『Griftlands』ですが、今私の脳内にあるゲームは『Pyre』や『Brutal Legend』ですね。2000年に初めてプレイし、めちゃくちゃハマったのは、オリジナル版の『ファイナルファンタジー7』でした。

――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?

Julienまず一番の特徴は、本作の設定でしょう。海賊ゲームや歴史ゲームはあっても、剣闘士や銃士のゲームはほとんどないと思います!このスワッシュバックラーファンタジーをゲームとして表現するというアイデアは、私たちが学生時代に卒業制作のプレゼンをしていたとき、Adrienから出てきたものです。

Adrien本作は、17世紀のロマンチックなヨーロッパを舞台に、暴政と戦う華麗な剣士になるというものです。この種のストーリーは、冒険映画や文学の一ジャンルとして存在し、スワッシュバックラーと呼ばれています。スワッシュバックラーの最も有名な例は、「三銃士」や「怪傑ゾロ」でしょう(これは、スワッシュバックラーのサブジャンルである海賊の話と混同してはいけません!)。スワッシュバックラーというジャンルは少し古臭く、きちんとゲーム化されたことがなかったので、私たちはこのプロジェクトに決めました。

本作では、より具体的に、スペインにインスパイアされた世界をベースにすることにしました。こちらもなかなか見ない設定です。

ゲームプレイの面では、このスワッシュバックラーというテーマによって、ユニークな戦闘スタイルを開発することができました。レイピアフェンシングに重点を置いていますが、敵の集団を混乱させるため、戦いの最中に周りの環境をコミカルな方法でいろいろと利用する必要もあります。

Julien戦闘は何度もテストを繰り返し、プロジェクトの途中でオーバーホールも行い、現在の形になりました。私たちのインスピレーションが実にユニークにブレンドされ、題材によく合った独特のフィーリングになっていると感じています。重要だったのは、周りの環境を使用しても強くなり過ぎず、戦闘の流れが自然なものと感じられるようにすることで、そのためにたくさんのテストを行いました。

――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?

Julienたくさんあります!ハリウッドの黄金時代から、そして私たち自身の子供時代からも、映画「マスク・オブ・ゾロ」「エル・ドラド 黄金の都」、そしてもちろん「プリンセス・ブライド・ストーリー」といった古典的な剣戟映画からも影響を受けています。本作は、ドラマよりもコメディ寄りにすることを選びましたので、「アラトリステ」(2006年)よりも「大乱戦」(1971年)に近いでしょう。

このジャンル以外では、ジャッキー・チェンの動きもヒントにしました。また、アレクサンドル・デュマ・ペールからルネサンス期のスペインまでの文学作品を調べ、適当なコピーではなく、しっかりとしたパスティーシュを作りたいと思いました。

本プロジェクトに多大な影響を与えたコミックは、「De cape et de crocs」と「Les Indes fourbes』」です。グラフィックという点では、N・C・ワイエス、ハワード・パイル、そしてドリームワークス・スタジオのコンセプトアートを参考にしています。

AdrienJulienが全部言っちゃいました!ユーモアやコメディという点では、フランスのコミック「アステリックス」も大きなインスピレーションです。歴史ユーモア、という点では、時代は違うものの、本作と似たものがありますからね。ゲームですと、本作の大まかな構造はリニアなレトロタイプのゲームになりました(『プリンス・オブ・ペルシャ』や『デビルメイクライ』、PS2時代のゲームに似ていると言う人もいます)。本作のノスタルジックな雰囲気に実際合っていると思います。映画の元ネタと同じように、私たちの子供時代を思い起こさせますね。

本作では、体験の中核となる「戦闘」に多くの時間を費やしました。『Sifu』から『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』まで、そして『ダークメサイア オブ マイト&マジック』や、もちろん『バットマン アーカム』シリーズからもインスピレーションを得ています。敵とアリーナのウェーブのデザインは、実は『Doom』から来ていたりしますよ!

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。

Adrien本作の最初のバージョンでは、ストーリーが分岐するように作られていて、短いストーリーを何度もプレイし、いろいろなエンディングに到達できるようになっていました。私は、分岐するストーリー全体のテキストを書き、プレイも完全に可能だったのです。しかし、私たちはそのすべてを破棄することにしました!というのも、本作の真の強みは戦闘システムであり、独立した小さなチームである私たちは、他の面を単純化することを優先しなければならなかったからです。

Julienあれは開発最初の年の10月だったと思いますが、そのプロトタイプから本当にネガティブなフィードバックがあり、プロジェクトとマネジメントを一から再編成することに決めました。それは本当に大変な仕事で、負担も大きかったですが、私たちをより良い方向へと導いてくれました。

――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。

Adrien特定の1つのフィードバックと言うのは思いつきませんが、プレイヤーの皆さんからたくさんの愛が届き、とても嬉しかったですね。多くのプレイヤーが、このようなゲームをずっと夢見ていたと言ってくれました。それこそまさに私たちが本作を作った理由であり、本作がお気に入りの一本になったと言ってくれる人もいました。特に本作のような小さなゲームでそのような声が聞けるとは、幸せです。

ほとんどのプレイヤーが、本作のユーモアや文章のトーン、音声について非常に好意的な感想を寄せてくれたことをとても嬉しく思っています。もっと多くの人が、本作は安っぽすぎるとか、イライラするほどバカバカしいと思うだろうと思っていたからです。しかし実際には、ほとんどの人が、バランスの取れたユーモアで、完璧に的を射ていると考えてくれているようです。

まとめると、私たちが本作で実現したかったことを、ほとんどの人が本当に理解してくれているのがとてもいいことだと感じています。良いものができたと思います。

Julien初期の配信者たちを固唾を呑んで見守り、最悪のリアクションを覚悟したことを、私はずっと忘れないでしょう。しかし実際には、プレイヤーたちはクスクスと笑い、周囲の環境やジョークに驚き、「アッハー!」とスワッシュバックラー的な声を上げながらプレーしているのを目にしました。私がどうしてこの仕事を好きなのか、思い出させてくれましたよ。

また、私たちが初めてのゲームを作っている小さなスタジオであることを考慮してくれたフィードバックに本当に感謝しています。とても勇気が出ました。

――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。

Adrien実はもう、プレイヤーたちからのフィードバックに基づき、アクセシビリティの設定をいくつか追加し、特にゲーム終盤のゲームバランス調整を行いました!しかし、私たちは自分たちが作り上げたもの、提供したい体験に自信を持っているので、一部のプレイヤーが望んだとしても変更しないものもあります。例えば、フェンシングだけで勝てるようにしたい、試合中に周囲の環境を使いたくないというプレイヤーも少なからずいますが、これを変えてしまうとゲームが面白くなくなってしまうと考えています。

Julien今、私たちは本当に休息が必要なので、次のステップを決めるまで、アップデートはバグ修正と比較的軽いクオリティ・オブ・ライフの改善に限定するつもりです。

――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?

Julienリリース時の対応言語は、私たちの予算とスケジュール(私たちは小さな独立したチームです)によって制限されていましたが、もちろん、できるだけ多くの言語にローカライズされるのであれば、私たちは大歓迎です。特に、雰囲気を維持し、ジョークや言葉遊びを実装させる方法を見つけることができれば最高ですね。有志翻訳をどのように統合するかはまだ考え中なので、今のところはこちらまでメールでご連絡ください

――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?

Julienもちろんです!ぜひやってください!私たちはいつでも、本作がより多くの人に届くことを嬉しく思っています。私が最も楽しみにしていることのひとつは、本作のファンワークですね。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

Adrien本インタビューをお読みいただき、ありがとうございます!遠慮なく私たちにご連絡ください!日本語がサポートされずに発売されたことを大変申し訳なく思っています。日本語を追加できるよう、最善を尽くします!

Julien本作に興味を持っていただき、ありがとうございます!私たちが作った小さなゲームと、それに注ぎ込んだ努力と愛情を楽しんでいただければ幸いです。あなたが危険な時に微笑み、悲劇に屈することがありませんように!

――ありがとうございました。

◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。

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