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Game*Sparkレビュー:『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』―コンプリートまで楽しめるが時に苦しくもある、不気味で新鮮な2Dマリオ

クリアしコンプリートするまでずっと楽しく、時折苦しく遊べたような気はしているのですが、クリアしてしばらくたった今ではおしゃべりフラワーの印象が最も強く心に残っています。

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Game*Sparkレビュー:『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』―コンプリートまで楽しめるが時に苦しくもある、不気味で新鮮な2Dマリオ
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ニンテンドースイッチ向けに『スーパーマリオブラザーズ ワンダー(以下、ワンダー)』が発売されてから約3週間ほどが経過しました。歴代任天堂ハードの中でもかなり普及率が高いスイッチで発売される初めての純粋な2Dマリオということで、普段マリオを触らないようなゲーマーからゲーム実況配信者まで広く遊ばれているようです。筆者としてもリアルタイムで「2Dマリオの最新作」を触るのは本当に久しぶり……というか(DS版とかも後になってから遊んだので)もしかしたら『6つの金貨』ぶりかもしれない、という大変貴重な体験となりました。

とはいえ、前作との間に『New スーパーマリオブラザーズ U デラックス』や『スーパーマリオメーカー』『スーパーマリオメーカー2』がリリースされているため、個人的にはそれほど久しぶりの新作という感じはしません。特に『スーパーマリオメーカー2』は自分でもステージを投稿するなどしてよく遊びましたし、現代の2Dマリオ愛好家にとって『スーパーマリオメーカー』シリーズは「一生遊べる完全版2Dマリオ」のようにも機能していたように感じます。

今作『ワンダー』は、ユーザーによって様々な方向性が試みられ、無数のステージが生み出された『マリオメーカー』シリーズ以降初の公式『マリオ』という意味でも、なにか「新しいマリオ体験」であることが期待されていたように思います。

なお、本記事には『ワンダー』のネタバレを含みます。また、Game*Sparkでは本記事含めて計2本の『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』のレビューを掲載します。異なるライター、切り口からのレビューは以下記事からご覧ください。

Game*Sparkレビュー:『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』―深刻なマンネリを吹き飛ばしたシリーズの新たな一歩。しかし“ワンダー”に欠ける要素も目立つ

プレイフィール、バリエーション/ボリューム、難易度

本作をレビューするにあたって、まずアクションゲームとしての操作感、プレイフィールについて述べていこうと思います。本作は“シンプルに動かして楽しいマリオ”となっており、シリーズのプレイヤーとして違和感はまったくありませんでした。ゾウマリオ、アワマリオ、ドリルマリオといった新パワーアップも、かなりクセがなく少し触ればかなり簡単に使いこなせるものとなっています。

筆者が特に気に入ったのはドリルマリオで、天井に潜るなどの能力を使いこなせばステージ攻略が劇的に楽になるような場面もありました。「空中スピン」や「カベキック」など、爽快感の高いアクションも過去作から引き続き登場しており、ゲームを飽きずにすすめることができます。

基本的なアクションそのもの自体は過去作からあまり変化していないため、マリオに慣れているプレイヤーであれば最初からそれなりに動かせるでしょう。「操作の楽しさ」はマリオシリーズの根幹だと思いますし、その点で、本作『ワンダー』は優れたゲームとなっています。

特殊な操作や仕様を追加することができる「バッジセレクト」はかなり秀逸で、本作のアクション性の白眉だと思います。つけかえることによってステージ攻略を有利に進められるものだけではなく、透明化バッジなどある種「縛りプレイ」的なものに利用できそうなものも散見されます。バッジを有効活用したRTAや魅せプレイを見るのも楽しそうです。

筆者がよく利用していたのは(というか多くのプレイヤーが利用してそうですが)二段ジャンプ的な動作が可能になる「フロートスピン」で、バッジを入手してからはほぼずっとフロートスピン一本で攻略を進めました。フロートスピンは攻略上便利なだけでなく独特の爽快感があり、プレイ自体の楽しさも高まります。ほかのバッジにも面白いものが多いので、プレイヤーが想像力を発揮しさえすればいろいろなバリエーションで楽しめるゲームだと言えるでしょう。

ステージの量もそれなりに豊富で、外見上様々な雰囲気のワールドがあるのはもちろんのこと、独特の操作や攻略法を取り扱った特化型のステージや「スペシャルワールド」のような上級者向け高難度コースもそこそこ充実しています。

すべての収集要素を集め終わるまでには、平均的な腕前のプレイヤーが効率よくプレイした場合、だいたい15時間から20時間くらいを要するでしょうか。フルプライスのゲームとしてはやや寂しい感じもしますが、プレイしていて「物足りない」と感じることはなかったです。『マリオメーカー』的な特化型のステージに慣れていたからか、無駄や遊びが多く含まれたステージ設計には余裕を感じ、クリアするまでずっと新鮮で楽しかったです。

難度設定も、「スペシャルワールド」以外は基本的に普通……というかシリーズに慣れているプレイヤーでしたら、ほぼ詰まることなくクリアできるでしょう。どうしても苦手なステージがあったとしても、飛ばすことができるものも多いです。

幅広い年齢層や習熟度のプレイヤーが遊ぶゲームですから、この難度設定は適切だと感じます。しかし“完全な2Dマリオ初心者”からすると、やや難しく思える場面もありそうです。ただ、ステージ突入前にむずかしさが「★」で表される『ビーマニ』みたいなシステムがあるので、難しいステージは心構えを作ったり残機を増やすなど準備してから挑めますし、なんだったらトッテンやヨッシーを使うことでおそらく簡単にプレイできるので、苦手な方は試してみるのがいいでしょう。

筆者は「スペシャルワールド」の一部ステージでかなり苦戦させられました。特に収集要素を終えると登場する真の最終ステージ「ウルトラチャンピオンシップ バッジ・オン・パレード」は非常に非常に難しく、それまでのステージでの死亡数を全部合わせたよりも2倍ぐらい死にました。途中での1UPを考慮すると、100機以上は溶かしています。すごく意地悪かつ中間も遠いというまさに鬼畜なステージとなっており、プレイ中は怒ったりゲームに文句を言ったり、ひどすぎて笑ってしまったり……特に最終局面はぜひ皆さんの目で確かめてみてください(よっぽどうまい人でない限り「こんなんほんとにクリアできんの???」と一回は思うんじゃないかなあ……)。しかし、今となってはいい思い出です。

一部の高難度ステージには「一筆書きでリズミカルにプレイできないと即死」というような形質もみられ、やや『マリオメーカー』っぽさを感じました。まったく関係ない妄想かもしれませんが、『マリオメーカー』的な感性が公式にフィードバックされ影響を与えているのだとしたら、ややエモいですよね。

グラフィックスと「ワンダー」

次に「ビジュアル」の話です。今回の舞台はフラワー王国。グラフィックスは『New スーパーマリオブラザーズ』系よりかなり進歩しており、目に見えた「ポリゴンっぽさ」がなくなり、カラフルで非常に可愛らしくなっているのが特徴です。もちろん人それぞれ、好みによってかなり印象は異なるでしょうが、筆者は歴代でもっとも可愛いマリオだと感じました。今作の随行キャラであるフロリアン王子は、とくに可愛いらしく、ぬいぐるみなどがほしいと感じました。グッズ作ってくれ~!

また、「見た目」や「演出」を語る上で欠かせないものが、本作の最大の特徴のひとつともいえる「ワンダー」です。ステージ上にあるワンダーフラワーを取ることによって、ステージが劇的に変化し、一言では説明できないようなさまざまなことが起こるのです。外見上の変化はかなりインパクトが強いものが多いため、「悪夢のよう」とか「ドラッギー」というような評価もネット上では見られます。攻略上はやや初見殺し的な側面もありますが、基本的には楽しく、また見た目はかなり新鮮で面白いので筆者的には高評価です。ワンダーフラワーは隠されている場合も多いので、ほんの少しだけ探索要素としても機能しています。

ワンダー以外にも土管に入ることで画面の奥や手前に行けたり、音楽つきのステージがあったり、本作では多種多様なマリオの「魅せ方」が試みられています。前述した通り本作は操作的には過去作の2Dマリオを踏襲している物が多く、パワーアップもクセがないため、こういった「見た目での差別化」は納得できますし、かなり魅力的なものだと思います。

おしゃべりフラワー

タイトルにもなっている「ワンダー」に並ぶ、本作最大の特徴のひとつ。それが、こいつ。おしゃべりフラワーの存在です。なぜかステージの至るところに生えており、そのうえ音声付きでペラペラ喋るこの謎のフラワーは、最後まで謎なのですが、いやに存在感があり、そして非常に印象に残ります

もちろんステージ攻略上のヒントを提示してくれるなどの重要な役割もあるのですが、なぜかムカつくことを言ってくることもあれば、単に感嘆しているときもあり、そして常になんかちょっと怖いです。花である以上基本的には移動できないはずなのに、ステージ上の危険な場所などに急に生えていて、そんな境遇にもかかわらずどうやら意思や知性が存在していそうなのが怖いところだなと思います。

おしゃべりフラワーのきわめて独特な存在感、そして「ドラッギー」とも評されるワンダーなど、本作には可愛さの裏に妙な毒気があります。表面上は可愛くて見た目も美しい素敵なゲームなはずなのに「なにやらシュールなものをプレイしたな」という印象になりました。任天堂の、特にマリオシリーズの持つ独特のユーモアセンスのようなものがうまく発揮されており、映画版の「仕事がうまくいかず、うだつの上がらない男性」というマリオ像に疑問を持っていた筆者としては、この「シュールでやや不気味になりかけている」という雰囲気の表現には「我が意を得たり」という印象でした。ぼくにとって、マリオってこういう感じです。

その他/問題点

本作はオンラインマルチプレイを搭載しており、友人間でなくてもマルチプレイが可能です。マルチプレイでは他のプレイヤーのゴースト的なものが見れるほか、パネルに触れて復活するなど、基本的には救済要素として機能しています。また、パネルは本作の収集要素であり、紫コインの使い道にもなっています。筆者はほとんど利用しませんでしたが、オンライン自体はあって困る機能ではないですし、楽しい遊び方のひとつかと思います。

最後に問題点……というかちょっとした不満点をいくつか挙げます。まずマルチプレイでの謎解きがメインとなっている「みんなの広場」ステージは、シングルプレイではやや理不尽気味にめんどくさく感じました。特になんのガイドもない隠しブロックなどが平気で存在しているので、攻略を見ずに一人でプレイするのはやや苦痛に感じられることもあります。ほか、一部の収集のための謎解きが意地悪すぎるようにも思いました。

また、本作固有の問題ではないのですが、やはり現代のゲームに残機制は合わないのではないかと感じられる場面が多かったです。現に本作ではゲームオーバーがほぼ意味を為していません。残機が存在しないとコインも道標以上の意味がなくなるため『マリオ』らしさを失いかねないので、搭載せざるを得ない要素なのだとも思います。

総評

総評:★★★
良い点
・おしゃべりフラワー
・アクションが爽快
・バッジによってバリエーションが豊富
・グラフィックやキャラクターがかわいい

悪い点
・おしゃべりフラワー
・みんなの広場ステージや一部謎解きの難しさ
・残機制とうまく折り合いがついていない

不満点も「強いて挙げるのであれば……」というもので、本作は非常によくできたゲームだと思います。X上ではときどきクリシェとして「加点式なら◯◯点、減点式なら-◯◯点」というような言い方を見かけますが、本作に関して言えば「減点式なら減点するところがほぼ見当たらないため満点」となってしまうように思います。マリオシリーズに要求されるウェルメイドさを完璧に満たした作品と言っていいでしょう。

クリアしコンプリートするまでずっと楽しく、時折苦しく遊べたような気はしているのですが、クリアしてしばらくたった今ではおしゃべりフラワーの印象が最も強く心に残っています。


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