Meta Quest 3で遊べる『アサシン クリード ネクサス』に挑戦。強気なお値段だが新鮮な緊張感!【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Meta Quest 3で遊べる『アサシン クリード ネクサス』に挑戦。強気なお値段だが新鮮な緊張感!【特集】

人気ゲーム初のVR作品『アサシン クリード ネクサスVR』が“めっちゃ凄い”と話題です。実際にやってると「よくできてるなあ」と感心します。何が凄いのか? 今までのVRゲームとどこが違うのか?

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近未来世界から、中世イタリアのアサシン(暗殺者)へ科学的に憑依する

人気ゲーム初のVR作品『アサシン クリード ネクサスVR』が“めっちゃ凄い”と話題です。実際に遊ぶと「よくできてるなあ」と感心します。何が凄いのか? 今までのVRゲームとどこが違うのか? 本記事ではMeta Questデバイスで体験した上で、そのゲーム内容を紹介していきます。

◆俺はアサシン(暗殺者)だ! ていうか、気分は忍者

敵の背後から忍び寄って刺殺するという、物騒なチュートリアルがこちら

『アサシン クリード ネクサスVR』は中世ヨーロッパの世界でアサシン(暗殺者)となって、与えられた任務を遂行していくゲームです。「暗殺者」というから殺戮メインのゲームかと思ったら、任務は捜査や謎解きが多くてスパイに近い。物陰に潜んで背後から敵を仕留めたり、壁を登り屋根を走り抜けジャンプして移動するのは、かなり忍者的とも言えます。

主人公は近未来の凄腕ハッカーという設定。謎の組織に依頼されて、ある調査活動を行うことになります。それは、過去の膨大な記録や記憶をまるごと蓄積したコンピュータシステム「Animus(アニムス。ラテン語で「生命」「知力」の意)」にアクセスして、歴史上のひとりになりきって、とある古代コンピューターについて情報を収集すること。

つまり、タイムトラベルではなく現代の科学技術によって過去の歴史を再現的に体験するとしています。ここまでの流れは歴代の『アサシン クリード』シリーズとほぼ同じですね。

最初に憑依するのは、シリーズファンならおなじみ「エツィオ」。
作戦を指示するドミニカさん。

主人公のハッカーも現代からの指示を受けながら歴史世界のVR体験をしているわけで、それがプレイヤーの経験とうまく重なって没入感を深めるので、ゲーム性とVRの没入感を両立させるうまい設定だなと思いました。

◆緊張と爽快感をもたらす緻密な体験設計

『アサシン クリード ネクサスVR』を遊んでみて感じたのは、ユーザーの「VR体験」に非常に重きを置いた作りだということです。

迷路の探検、アイテム探しや謎解き、敵との戦いというのは、従来のRPGやVRゲームで定番的に繰り返し実装されてきたものです。本作品でもそれは充分に高いクオリティでかつストレスになりすぎないゲームバランスで実現されています。

隠されたアイテムを探し正しい場所に置くという、よくあるアレ。

それに加えて、「物陰に隠れて移動(敵に見つかるかもという緊張感)」とか「梯子や壁を登る(うっかりすると落ちる)」「とんでもない高さからジャンプで飛び降りる(VRと判ってても怖くて躊躇する)」「背後から忍び寄って刺殺(卑劣ゆえの背徳感)」という、いままでのVRゲームで味わったことのない緊張と、それを乗り越えたときの開放感や爽快感を感じられます。

走ってジャンプは、重要な移動スキルなので何度も練習させられる。
この高さから飛び降りろというのは、VRだと判っていても、めっちゃ怖いです。

手に持つコントローラーが汗ばんでヌルヌルするほど緊張したのは初めての経験でした。それだけ『アサシン クリード ネクサスVR』の没入感が深いということです。

さらにVRに慣れない人、VR酔いをしてしまう人のためにテレポート方式の移動モードがあったり、高所恐怖症の人のために現実の床の位置を表示するモードがあるなど、至れり尽くせりの親切設計。ユニークなのは「バーチャルノーズ(仮想鼻)」機能。人間は視界に鼻があるとVR酔いをしないという研究結果に基づき、視界に微かに鼻を表示する機能で3段階の大きさを選べます。

筆者もときどきVR酔いしてしまうのですが、このバーチャルノーズを使ってみたところ、移動をVR酔いしやすいスムーズタイプにしても、ほとんど酔いませんでした(アイテムが見つからなくて、部屋をずっとグルグル回っていたら、ちょっと酔いました。しかし、これは現実でも同じでしょう)。

◆思わぬ落とし穴

などと、絶賛に近い感想を述べて来ましたが、実は始めてすぐ、ある「問題」にぶつかって、丸一日悩んで進めないことがありました。

それは、どうしても壁が登れなかったのです。本作品では、ボルダリングやロッククライミングのように手をかけられる場所があれば、両手を交互に動かして登ったりぶら下がったりできます。ところが最初の壁がどうしても登り切れない。グリップの判定が微妙すぎて手が滑ってずり落ちてします。

そそり立つ壁がどうしても登れない!(単なる初期設定ミスでした)

部屋が暗くてトラッキングが正確にできないのか? コントローラーの電池が弱っているのか? コントローラーの使い方が間違っているのか? 何度も試行錯誤して、試しにMeta Quest 2に代えてやってみたときに気がつきました。

ゲームを始めるときに「立ってやるか」「座ってやるか」を選ぶのですが、その際に両腕をしっかり水平に広げてからボタンを押さなきゃいけなかったのです。ちゃんと絵で図示されてたのに、オール英語なのと早く遊びたい焦りで説明をちゃんと読んでいなかったのです。ああ、なんという時間の無駄。

立ってやるか座ってやるか選ぶときに、両腕、両手を水平に広げてキャリブレーションする必要があります。これを忘れると壁に登れません。

◆日本語が使えない!

『アサシン クリード ネクサスVR』の最大の問題はまだ日本語化されていないことです。ストアページはしっかり日本語だし、YouTubeのトレイラー動画も和訳付きで、どう見ても日本で売る気は満々なのですが、対応言語は英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語の4つだけ。元からストアページにそう書いてあったのは知りつつ、「発売後にひっそりと日本語対応するのでは?」と淡い期待を持っていたのですが、甘かったです。

会話も設定画面もすべて英語です。

一応、オプションとして台詞をすべて字幕で表示させることもできます。ただ、喋るスピードが完全にネイティブ向けなので字幕表示の切り替わりも早すぎて全然読み切れません。最初は「まともにプレイできるだろうか?」と不安になりました。しかし、英語を中途半端にしか聞き取れない状態でも、前述の設定ミスを除けばほぼ問題なく、最初のチュートリアルをクリアできました。続けて現在は1章の途中まで進行中です。

筆者の英語レベルは5年前に受けたTOEICの点数が670点。文法が苦手ですが、リスニングは日常会話ならなんとかなる程度の英語力なので、ゲーム中の会話は本当に重要なところしか判らないのですが、ゲームはしっかり楽しめています。

基本的にはよくある展開のストーリーですし、言語以外のビジュアル要素も多いので、VRに限らずゲームの経験があれば言葉が判らないなりに進めるレベルの英語です。「英語がとにかく苦手、見るのも嫌」という人には無理だと思いますが「英語は得意じゃないけど、嫌いでもない」というくらいであればチャレンジできるでしょう。むしろ、一人称視点VRゲームの経験が求められるかもしれませんが。

◆残念な点?

室内のCGは雰囲気があって素晴らしい

中世の歴史世界のCGは非常にクオリティが高く、ゲームの世界にがっつりハマることができます。ただ、人物の造形は結構なマネキン感。VR系専門のVTuber・なでしこ大和さんが「不気味の谷(アンドロイドが人間に似てくると、ある時点でむしろ不気味に感じてしまう現象)」と言っていましたが、個人的にはそのレベルにすら到達していないと思いました。

街並みの風景も、いまどきのゲームとしては当たり前かもしれませんが、まあ美しい。
街中で最初に出会う、ちょっとヤバそうなNPC。一応、口や眉など表情は動いているのですが、この人の無機質な瞳は意図的なのかどうか、判りません。ストーリーにも関係なかったみたいだし。

男性の造形はまだマシなのですが、一般のNPCは表情がまったく動かないのでやっぱりマネキンといえばマネキン。衛兵などの戦う相手はそれなりに形相を変えてきます。冒頭の近未来シーンで静止画で現れる人物は、表情こそ動かないのですがかなりリアル。最初に出会うのがこの静止画なので、後から出てくる人たちの違和感を中和する効果もあるかも。

ゲームの一番最初に出てくるふたり。リアルな絵柄だけど動きません。

筆者は謎解きとアクションにしか興味がないので、マネキン相手の会話シーンもまあスルーしましたが、「これじゃあ没入できない」という人がいても不思議ではありません。最近は、人間の俳優やモデルに代わる「デジタルヒューマン」の技術がどんどん出ていることを考えると、『アサシン クリード ネクサスVR』の人物造形はちょっと雑な気がしますし、今後のアップデートでの改善を期待したいです。

また、ゲーム中にシーン切り替えや再開時のロードがうまく行かずブラックアウトすることが何回かありました。これも致命的ではないし、今後改善されると思います。

◆Meta Quest系を持っているなら試してもらいたい

『アサシン クリード ネクサスVR』の価格は税込み5,610円。900円から2,500円程度の価格が一般的なMeta Quest用のゲームとしては、かなり強気なお値段です。しかし、VR体験のもたらす新鮮な緊張感や躍動感、ストーリーの奥行きは、充分価格に見合うものだと思います。個人的にはMeta Quest 3がもたらしたMR体験に匹敵する刺激とワクワク感をこのゲームから受け取れました。

これで日本語化されていたら文句なしに万人にお勧めできるのですが、これが売れないと日本語化が進まないだろうというニワトリ卵の問題でもあります。Meta Quest ストアはプレイ時間2時間以内、購入から2週間以内なら返品できるので、とりあえず一度試してみて欲しいです。

なお、このゲームは立っても座ってもできるようになっていますが、個人的には立って遊ぶほうがオススメ。戦うときは体を反らして剣先を避けることもできますし、しゃがむときもゲームの機能を使わずに自分でしゃがむとより物陰に隠れている緊張感が出ます。ぜひ、周囲を片付けて2畳くらいのスペースを確保してやってみてください。

『アサシン クリード ネクサスVR』



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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《根岸智幸》

編集者、ライター、ソフトウェアエンジニア、メディアビジネス企画開発 根岸智幸

ITと出版とオタクの何でも屋。グルメや女性誌や芸能やBLマンガもやりました。キャンギャルやコンパニオンの写真も撮ったりします。
・インターネットアスキー編集長(1997-1999)
・アスキーPC Explorer編集長(2002-2004)
・東京グルメ/ライブドアグルメ企画開発運営(2000-2008)
・本が好き!企画開発運営(2008-2013)
・BWインディーズ企画運営(2015-2017)
・Webメディア運営&グロース(2017-)
著書
・Twitter使いこなし術(2010)
・facebook使いこなし術(2011)
・ほんの1秒もムダなく片づく情報整理術の教科書(2015)
など

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