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ため込んだスクリーンショットがプレイレポに化ける!?思い出を凝縮し、ゲームライフを豊かにする生成AIの意外な可能性

生成AIを利用してスクリーンショットからプレイ日記やプレイレポートを作成する方法をご紹介します。

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ゲームをプレイした体験を記録として残しておきたい。同じゲームが好きな仲間と感動を分かち合いたい。そう思ったことはありませんか。でも、撮りためたスクリーンショットを整理したり、プレイ動画を編集したりするにはそれなりの手間がかかりますよね。

例えば、自分専用の記録としてこんなプレイ日記を書くとしましょう。『あつまれ どうぶつの森』の冒頭シーンです。

島に着くと、たぬきちさんや他の移住者たちと合流。最初の仕事はテントを張る場所選び。岩場や斜面はNGで、広い場所を探すのに少し手間取ってしまったけれど、無事に自分と、後から来たアネッサさんとクリスくんのテントを設置できた。

実はこれ、ゲームをプレイした時のスクリーンショットをもとに生成AIが作り上げた文章なんです。キャラクターの名前などプレイした時の状況が織り込まれ、プレイヤーの体験を色濃く反映した文章になっていることが分かります。このような文章を作る方法は非常に簡単で、費用もかかりません。必要なのはスクリーンショットだけです。さらに、日記以外への応用も可能です。

様々な議論が絶えない生成AIですが、使い方次第では私たちのゲームライフを豊かにしてくれる可能性を秘めています。その潜在能力はゲームそのものだけでなく、ゲームを取り巻く文化まで変えてしまうかもしれません。

日記に書かれている「岩場や斜面はNG」という情報はプレイヤーの実体験を反映している。

本稿では、生成AI(以下、AI)とゲームのスクリーンショットを組み合わせることで広がるゲームライフの可能性をご紹介します。

コロンブスの卵

ゲームのスクリーンショットを利用してAIにプレイ体験をまとめさせるアイデアはちょっとした思いつきから生まれました。筆者には歴史ストラテジーのプレイ結果を小説風のプレイレポートにして仲間内で共有する趣味があります。筆者はその挿絵にするためにスクリーンショットを大量に撮りためていました。

一方、最近のAIは“マルチモーダルAI”と呼ばれ、テキストだけでなく画像や音声、動画をまとめて処理することが可能です。それでは、撮りためたスクリーンショットをそのままAIに丸投げしたら一体どうなるのでしょうか。

これが大当たりでした。大量のスクリーンショットを与えられたAIは画像に映っている情報を筆者の想像以上に認識し、まるで実際にプレイしたかのようなプレイレポートを書き上げたのです。

『信長の野望・新生』のスクリーンショットから軽妙な掛け合いを作ることも可能だった。

ここで筆者の環境を紹介します。今回利用したAIはGoogleが開発するGemini(Gemini 2.5 Flash Preview 05-20)。このバージョンは開発者向けのプレビュー版ですが、開発者向けサイトであるGoogle AI Studioに登録すれば無料で利用できます。登録に必要なのはGoogle アカウントだけです。

十分な量の画像をアップロードできる高性能のAIであれば、ChatGPTなど他のサービスでも同じことが可能でしょう。

開発者向けのためインターフェースは英語だが、使い方は一般向けの生成AIと同じ。

とはいえ、大量のスクリーンショットを1枚ずつアップロードするのは骨が折れます。そこで、筆者は画像を時系列順に並び替えた後、ZIPファイルに圧縮してまとめました。これなら大量の画像を一度にアップロードできます。また、スクリーンショットの数が多すぎてアップロードに失敗する場合は、複数のZIPファイルに分けて圧縮したり、画像を無作為に間引いて数を減らしたりする工夫をしました。

プレイ日記:自分の思い出を記録する

最初の応用例は記事の冒頭でも紹介したプレイ日記です。プレイヤーが個人的な記録として楽しむことを想定し、作品内で共通して起きるイベントよりも、プレイヤーだけが体験した印象的な場面を切り取ることを目指しました。

サンプルとして用いた作品は、無人島に移住して自由気ままな生活を楽しむ『あつまれ どうぶつの森』です。スクリーンショットは、プレイ初日に撮影した62枚を1個のZIPファイルに圧縮してアップロードしました。画像はJPEG形式で、1枚あたりの容量は約200KB、サイズは1,280x720ピクセルです。

画像に加えてAIには次のプロンプトを与えました。結果の出力に要した時間は43秒です。

画像は『あつまれ どうぶつの森』のスクリーンショットです
画像の情報だけを利用して次の条件を満たすプレイ日記を作成してください

- 文体はプレイヤーの視点で書かれた日記とする
- 長さは400文字前後とする
- プレイヤーは落ち着いた大人を想定する
- プレイヤー固有の体験、プレイヤーの記憶に残る体験を重視する

結果は次の通りです。AIの出力を編集せずにそのまま掲載しました。挿入した画像はAIに与えたスクリーンショットの中から筆者が選んだものです。

今日から、たぬき開発の「無人島移住パッケージ」で新しい生活が始まった。空港のカウンターで自分の名前を「さくら」と決め、アバターの姿も整えて、いざ出発。無人島に一つだけ持っていくなら?なんてユニークな質問に少し戸惑いつつも、これから暮らす島を選んだ。

島に着くと、たぬきちさんや他の移住者たちと合流。最初の仕事はテントを張る場所選び。岩場や斜面はNGで、広い場所を探すのに少し手間取ってしまったけれど、無事に自分と、後から来たアネッサさんとクリスくんのテントを設置できた。

夜にはみんなでキャンプファイヤー。たぬきちさんの提案で、この島の名前を決めることに。私が「フラミンゴ島」と提案すると、皆が拍手で賛成してくれた。そして、なぜか私が「島の代表」に任命されるというサプライズも。責任は重いけれど、なんだかワクワクする。

翌朝、たぬきちさんから渡された請求書は、現金ではなくマイルで支払う特別なプログラムだという。島での活動がそのまま支払いになるなんて、遊びながら生活できる、まさに理想的な仕組みだ。これから何をするのも自由。このフラミンゴ島での生活が、どう展開していくのか楽しみだ。

いかがでしょうか。アコギな商人のたぬきちを「さん」づけで呼んでいたり、いきなり負わされた借金に疑問を抱いていなかったりと、筆者としては微妙に納得がいかない部分もありますが、日記に大きな矛盾はなく、プレイの流れがしっかり再現されていました。

AIは画像内のテキストから多くの情報を読み取っているようなので、この手法にはゲームによる向き・不向きがあるかもしれません。そこで次の章ではジャンルをガラリと変え、文字が小さなスクリーンショットで検証します。

プレイレポート:体験を仲間と共有する

次に紹介する例はプレイレポートです。先ほども触れたように、筆者の周りには歴史ストラテジーのプレイ結果をレポートに書き起こして共有する文化があります。AARと呼ばれるそのレポートには攻略記事風、歴史小説風、掛け合い漫才風など様々なスタイルがありますが、今回は歴史小説に挑戦してみました。

サンプルとして用いた作品は、第二次世界大戦が舞台のグランドストラテジー『Hearts of Iron IV』。筆者が本作の紹介記事を書いた際に撮影したスクリーンショット140枚を4個のZIPファイルに分けてアップロードしました。画像はJPEG形式で、1枚あたりの容量は約2MB、サイズは3,840x2,160ピクセルです。

この時のプレイは第二次世界大戦が始まる直前のドイツで軍部がクーデターを起こし、ヒトラーを打倒するという完全に架空の歴史を創り上げるものでした。果たして、AIにそのゲーム展開が認識できるでしょうか。


AIには次のプロンプトを与えました。結果の出力に要した時間は2分29秒です。

画像は『Hearts of Iron IV』のスクリーンショットです
画像の情報だけを利用して次の条件を満たすプレイレポートを作成してください

- 文体は歴史小説とする
- 全4章構成で、各章は100文字前後とする
- プレイヤーの担当国は「ドイツ臨時軍政府」である
- ゲームが盛り上がった場面に着目し、ドラマチックに描写する
- 本作に詳しくない読者を想定し、分かりやすい言葉を使用する

結果は次の通りです。今回もAIの出力結果を編集せずにそのまま掲載しました。挿入した画像はAIに与えたスクリーンショットの中から筆者が選んだものです。

1936年、独裁者の支配に軍部が異を唱えた。我々「ドイツ臨時軍政府」は、ナチスの闇を打ち払うため立ち上がる。祖国は二分され、血が流れる内戦の幕が開いた。これはもはや、後戻りできない戦いである。

祖国は東西に分かれ、ライン河沿いに防衛線を敷いた。東部の狂信者たちは猛攻を仕掛けたが、我らが将兵は勇敢に立ち向かう。泥沼の戦いの中、各地でナチスの追放を果たし、徐々に反攻の狼煙を上げた。

ドイツ西部を解放した軍は、旧都ベルリンを目指し東へ進撃。各地でナチス残党を掃討し、民衆は歓喜に沸いた。そして1937年春、ついにベルリン攻防戦が始まる。絶望の砦は崩れ、総統の死体が発見された。

恐怖政治は終わりを告げ、血で染まった内戦は終結した。祖国は臨時軍政府のもとで再び一つとなる。廃墟と化したドイツの復興、そして自由と秩序の再建へ。我々は、新たな時代への第一歩を踏み出す。

画像を見て分かる通り、今回AIに与えたスクリーンショットは前回に比べて文字が小さい上に、いかにもストラテジーらしく大量の情報が縦横無尽に飛び交っています。しかし、それでもAIは全体の流れを読み取り、実際のプレイ内容に即した物語を作り上げました。同じプレイをもとに書かれた記事と読み比べてみるのも面白いでしょう。

今回はあえて短めの文字数を設定しましたが、文字数にゆとりを持たせ、演出やセリフを加えるように指示すれば、より小説らしいプレイレポートを書かせることができます。

レビュー:作品を客観的に分析する

プレイレポートが書けるなら、レビューも書けるかもしれません。そこで、再び『あつまれ どうぶつの森』でレビューの執筆に挑戦しました。

スクリーンショットは筆者が以下のレビュー記事を書く際に撮影したものです。プレイ開始時からエンドクレジットまでの722枚の中から無作為に181枚を選び、5個のZIPファイルに分けてアップロードしました。画像はJPEG形式で、1枚あたりの容量は約200KB、サイズは1,280x720ピクセルです。


AIには次のプロンプトを与えました。結果の出力に要した時間は1分1秒です。

画像は『あつまれ どうぶつの森』のスクリーンショットです
画像の情報だけから判断して次の条件を満たすレビューを作成してください

- 文体はハードコアゲーマーに向けたレビュー記事とする
- 全4章構成で、各章は100文字前後とする
- 各章の内容は作品紹介、良い点、悪い点、総評とする
- 各章では画像の情報をもとに可能な限り具体例を示す
- 各章で最重要な具体例に対応する画像のファイル名だけを章末に記載する

今回はあらかじめ全体の構成を細かく指示し、AI自身に挿入する画像を選ばせました。以下がその結果です。例によって出力結果は編集していません。挿入した画像はAIが選んだファイル名に基づいています。

シリーズ最新作は、無人島開拓シミュレーションとして生まれ変わった。プレイヤーはたぬき開発の「無人島移住パッケージ」に参加し、電気も水道もない未開の地を拠点に生活を始める。一見するとスローライフを謳うが、実際は初期の目標達成やリソース管理、ローン返済といった要素がプレイヤーに突き付けられる。

本作の核は、何よりもプレイヤーが島をゼロから構築できる究極の自由度にある。地形の操作、インフラ整備(橋の建設など)、そしてマイデザインによる自己表現の幅は計り知れない。住民の誘致と彼らとの交流も、単なる癒しに留まらず、コミュニティを形成する戦略的な要素として機能し、最適化の喜びを再定義する。

しかし、その自由を手にするまでの道のりは、ハードコアゲーマーにとっては退屈に映るかもしれない。チュートリアルは長く、道具の脆さやベルによるローンシステムは、序盤の効率的なプレイを阻害する。開発陣は「不便を楽しむコンセプト」を掲げるが、それはときにプレイヤーのペースを縛る足枷にもなりうる。

本作は、単なる牧歌的なスローライフゲームではない。いかに効率的にリソースを確保し、インフラを整備し、理想のコミュニティを構築するかという、緻密な計画性と実行力が試される戦略シミュレーションの側面を内包している。真の開拓者にとって、この無人島は無限の可能性を秘めた最高のサンドボックスとなるだろう。

本作のファンとしては作品の魅力が十分伝わるレビューになっているとは思いませんが、それはそれとして、AIは画像だけを頼りにゲーマー向けのそれらしいレビューを書き上げてしまいました。これを応用すれば、Steamでユーザーレビューを書く際の下書きを作ることも不可能ではないでしょう。

遊び道具としての活用

これまでスクリーンショットから文章を生成する例を紹介してきましたが、これを上手く応用すればまったく新しい遊びが生まれるかもしれません。例えば、画像から作品名を当てるスクリーンショット・クイズや、AIを審査員にして評価を競い合うスクリーンショット・コンテスト、スクリーンショットを戦闘力に変換して戦うスクリーンショット・バトラーなどです。

試しに、ある作品のスクリーンショット26枚をアップロードし、次のプロンプトでクイズを作らせてみました。

画像はあるゲームのスクリーンショットです
画像の情報だけを利用して次の条件を満たすクイズのヒントを作成してください

- クイズの目的は画像のごく一部をヒントに作品名を当てること
- ヒントは正解を当てることが難しい順に3個用意する
- 回答者はハードコアゲーマーを想定する
- 難易度は高く設定する

結果は次の通りです。今回はクイズなので、AIが出力した解答部分は伏せています。画像もヒントに合わせて筆者が選びました。解答は最後のヒントの後に発表します。

ヒント1
UIの一角に静かに息づく、都市の未来を左右する「不満」と「希望」という名の二対のゲージ。その変動は、単なる資源の管理を超えた、より深淵な選択をプレイヤーに迫ります。

ヒント2
極低温の世界で、都市の繁栄と人々の生存は、中心にそびえる巨大な熱源からの恩恵と、決して潤沢ではない「蒸気核」という特殊な資源の配分に懸かっています。

ヒント3
過酷な環境下で、あなたは「児童労働」や「死体処理」といった、現代社会ではタブーとされるような「法律」の制定を迫られることがあります。

解答:『フロストパンク』


ご紹介したように、AIを利用してスクリーンショットからプレイ日記やプレイレポートを作成するのはそれほど難しくありません。使用するAIにも大きな制限はないので、手元にスクリーンショットをお持ちの方はぜひプロンプトを自由に書き換えて実際にお試しください。この記事が皆さんのゲームライフを豊かにするお役に立てば幸いです。

……でも、これってAIさえあればレビュー記事もプレイレポート記事も書けるってことですよね。本当にそれでいいのかな。あれ?


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ライター:FUN,編集:Akira Horie》

ライター/遊ぶより創る時間の方が長いかも FUN

元ゲームプログラマー。得意分野はストラテジーゲーム。ゲームライターとして活動する傍ら、Modの制作や有志日本語化に携わっています。代表作は『Crusader Kings III』の戦国Mod「Shogunate」。

Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

Game*Spark副編集長。平日日中のニュースデスクおよび料理連載や有志翻訳者連載の基本担当。 2021年版以降の『ウィザードリィ外伝 五つの試練』イード側のディレクターも兼務中。

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  • スパくんのお友達 2025-06-04 17:04:15
    面白い発想だなあ
    スクショでやると相当な枚数取らないとならなそうだけど、動画の要約みたいな形でやってくれたらプレイログとして便利そうだ
    5 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2025-06-04 13:58:08
    ゲーマーとしてchatGPTがもう日常の範囲で使う便利なツールの位置にある感じになってる、昔は苦心した海外では情報豊富だけど日本語情報が少ないゲームなんかも検索機能と合わせて使えば欲しい情報日本語でまとめてくれるのが個人的に強すぎる、今はLast epochやってるけど検索機能onにして○○っていうユニーク装備を活かしたビルドを教えてって言えば引用元の記事と一緒に幾つか案くれるし、自分で考えたビルド案でアドバイス求めたら役立ちそうなユニークのリストとかスキル構成の参考になりそうな海外のビルドサイトや動画のURLくれたり、もう日本語の情報探ることがなくなったレベル、パッチノートも丸投げしたら翻訳してくれるし
    7 Good
    返信

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