レースゲームは昔から、コンソールやゲーム開発技術の力量を計る試金石のようなジャンルでした。本格派ドライブシムやカートレーシングなどなど、生まれたての新たなテクノロジーで表現されてきたタイトルは枚挙に暇がありません。「まるで実写のようなグラフィックス!」「臨場感のあるエンジン音!」なんてフレーズで、各メーカーがこだわって作り上げた“クルマの表現”が褒め称えられてきました。
絶え間なく進化し続けるグラフィックスとサウンド表現を全力で体験するなら、それを操作するデバイスにもこだわりたいところ。しかし導入のハードルが高いことから、シムレーシングデバイスまで手を伸ばしたユーザーはそう多くないでしょう。

そんなシムレーシングデバイスを一度は手にしてみたいユーザーにとって、喜ばしい機会がやってきたかもしれません。2025年7月29日、東京ベイエリアを一望できる「シティサーキット東京ベイ」を会場に、シムレーシングデバイスを手掛けるFanatecと、その国内展開パートナーである株式会社ZENKAI RACINGによる「Fanatec × ZENKAI RACING正規代理店契約記念 PRイベント」が開催されました。本記事では、日本の“レース用シムデバイス”市場の飛躍を感じさせるこのイベントの現地レポートをお届けしていきます。
世界最高峰・Fanatecが日本に本格上陸
Fanatecは、過酷なレース環境を模倣しつつ高いリアリティと精巧な操作感を実現する製品を多数展開し、世界中のシムレーサーやプロドライバーから絶大な評価を得てきました。手に取った瞬間から「レースの現場」を感じさせるステアリングやペダル群は、多くのファンにとって憧れの存在です。
これまで日本国内での入手はいわゆる「個人輸入」などに頼る側面があり、正規サポートやアフターサービスへの不安もつきまとっていました。しかし今回、ZENKAI RACINGとFanatecのパートナーシップ締結によって公式ルートでの販売・サポート体制が整えられることとなり、日本のレーシングシムシーンにとって非常に嬉しい出来事となりました。
両社が語る「日本展開」のビジョン

ZENKAI RACING代表取締役の林氏は「製品の安定供給とサポートを強化すること」を示しながら、この道のプロフェッショナルならではの強みを発揮していく旨を述べました。ZENKAI RACINGはこれまでもシムレーシングデバイスを活用したイベントをサポートしてきましたが、その技術力がFanatec日本展開を支えるのであれば心強いことこの上なしです。

Fanatecのシニアディレクターであるトビアス・ステルツァー氏は、「日本は自動車文化とシムレーシング熱が極めて高い市場」と話しながら、ZENKAI RACINGと共にハイクオリティなシムレーシングデバイスを提供することについて「非常に光栄に思っている」「日本に向けた最適化や特別イベントの開催にも積極的に取り組んでいく」とコメントしていました。

そして会場に展示されていたのは「ClubSport Racing Wheel F1」などを始めとする本格派シムレーシングデバイス達。PS4/PS5での動作をサポートしており、『グランツーリスモ7』を始めとするPSコンソールでプレイ可能なレースゲームの没入感を極限まで高めてくれそうです。



公式ストアで販売されている「ClubSport Racing Wheel F1」の価格は192,300円とのこと。ちょっとしたゲーミングPCを購入できるほどのお値段ではありますが、Formula 1(R)公式ライセンス取得済みという安心感は凄まじいものです。ハンドブレーキや「PODIUM STEERING WHEEL BMW M4 GT3」「PORSCHE VISION GT」といった公式ライセンスのステアリングホイールも展示されていました。
プロドライバーによる『グランツーリスモ7』豪華エキシビションマッチ


イベント後半には、Twitchでも映像を配信しているレーシングドライバー・大湯都史樹さん、「eスポーツレーサー兼リアルレーサー」として活動している冨林勇佑さん、ブラジルのレーシングドライバー兼eスポーツレーサーのイゴール・フラガさんによるエキシビションマッチも開催。もちろん各プレイヤーが操るのはFanatecデバイスです。繊細な挙動を正確に再現し、操作の応答性も抜群のデバイスで、白熱のレースを繰り広げました。



見事トップの座に君臨したのは、イゴール・フラガさん。プロドライバー達によるFanatecデバイスを使った『グランツーリスモ7』バトルという豪華なエキシビションマッチは、炎天下の中「シティサーキット東京ベイ」に集ったメディアやファンを大いに沸かせました。
FanatecとZENKAI RACINGによるこのパートナーシップ締結は、日本のシムレーシングシーンに新しい活力をもたらしてくれるかもしれません。一般ユーザー目線で言えば「正規販売とサポート」という分かりやすい恩恵がありますし、様々なイベントやシミュレーション用に導入するためのBtoB的な裾野も広がっていくことでしょう。「eモータースポーツ」や「レーシングシム」の体験の進化に繋がる両社の今後の展開に、期待が高まります。













