
KRAFTONは、ゲーム開発者James Bendon氏が手がけるサバイバルライフシミュレーションゲーム『Dinkum(ディンカム)』について、2025年11月6日にニンテンドースイッチ版をリリースすると発表しました。
本作は、オーストラリアの大自然にインスピレーションを受けた自然豊かな島を舞台にした作品。プレイヤーは農業、狩猟、採掘、釣り、採集などで資源を集めたり、住民を招へいして店舗や住宅を作りながら、島に自分だけの町を作り上げていきます。時間制限などもなく、スローライフな生活を楽しめることも大きな特徴です。
Game*Sparkでは、Steamにて“非常に好評”のユーザーレビューを獲得している本作を開発したJames Bendon氏へのインタビューを実施。『Dinkum』にかけた想いや、待望のニンテンドースイッチ版についてのお話を聞かせていただきました!
趣味のゲーム開発が発展し、家族や友人と作り上げた『Dinkum』

『Dinkum』は、James Bendon氏が毎週末ゲームを作っていた趣味がひとつのプロジェクトに発展して生まれた作品。『どうぶつの森』『牧場物語』などが好きだったBendon氏は、それらのゲーム要素をすべて取り入れ、その上で自分ならではの世界を作りたいと考えたようです。
独学でプログラムや3Dモデリングなどを学んでいったBendon氏。ソロ開発の利点として「一人で働く自由」が最大の長所であるものの、集中力の維持が難しく、家族や友達と話しながら開発を進めていったそうです。特に彼のパートナーである奥様は、Bendon氏が『Dinkum』に専業的に注力するためにさまざまに支援されていたそうです。
そんな本作は、2022年にSteam早期アクセスをスタートし、期間中に幾度の大型アップデートを配信。早期アクセス期間中にフィードバックを通じて“ユーザーとともに開発した”という本作について、開発エピソードや作品に込めた想いをたっぷり語っていただきました!
『Dinkum』開発者インタビュー

ーースイッチ版の発売、おめでとうございます。スイッチ版ならではの要素や操作の違いについて、お聞かせください。
James Bendon(以下、Bendon)細かなところで考慮するべき点が、たくさんありました。例えば「AボタンとBボタン」が入れ替わる、というシンプルな調整もあります。任天堂コンソールでプレイするときは、そのコントローラーの配置をリス白することが大事だと思い、調整していました。他にも、ユーザーインターフェースがどのような画面サイズでも読みやすくなくてはいけません。それらについては、KRAFTONと5minlabからの多大な協力を得て実現できました。
――今回のニンテンドースイッチへの移植について、開発での苦労や工夫したことについて教えてください。
Bendonゲームの最適化など、エンジニアリングに関してはとても難しかったですね。プラットフォームごとのファイルの容量の違いなどもありましたし、PC版は99個までセーブファイルを保存できますが、スイッチでは制限がありました。こちらもKRAFTONと5minlabのサポートで、完全な『Dinkum』を提供できるようになりました。
――『Dinkum』は、住人の誘致など町づくりを頑張って進めることで遊びの幅がどんどん広がっていく作品です。新規プレイヤー向けの遊び方のコツや楽しみ方を教えてください。
Bendon『Dinkum』で一番重要な遊び方のコツは「時間をかけてゆっくりとプレイしてもいい」ということです。島が発展していくと、一日ですべての作業に対応できなくなるかもしれませんが、ゲーム内には時間制限によるペナルティはありません。ぜひ、自分のペースで遊んでください。
オススメしたいのは、ゲームの中でお気に入りになった作業をたっぷりと遊ぶことです。釣りが好きなら釣りを、虫取りが好きなら虫取りを、好きな部分に集中してプレイしてもゲームは進行できるようになっています。例えば、鉱山で採掘するのが好きで、金属の採掘だけで島を発展させたプレイヤーの方もいますね(笑)。開発者としては、すべての要素をプレイしても、ひとつの要素に集中しても、いずれでもゲームを楽しめるようにしています。

――建物や物が入ったチェストの移動ができるなど、町づくりゲームとしてストレスフリーなシステムが印象的です。ゲームの快適性を上げるために意識していることについて、教えてください。
Bendon『Dinkum』のQoLに関しては、プレイヤーからのフィードバックが大きく影響しています。チェストの移動などもフィードバックを反映したものですね。

単にボタンのアサイン等で対応するのではなく、ゲームシステムでの解決に取り組んでいました。例えばチェストの移動だったら、ゲーム内ではショップから「台車」を購入する必要があります。この運んでいる姿が可愛くて、お気に入りです。
こうした要素を追加することで、開発サイドとしても想定以上の結果を得られることがあります。「台車でチェストを鉱山まで運んで、通常より多くのアイテムを持ち帰る」といった遊び方がプレイヤーから報告されましたからね。ユーザーインターフェースの改善だけではなく、このようなゲームプレイの変更がQoL向上に役立つと考えています。
――ナイトマーケットや実績など、リリース後に予定していたアップデートが実装されました。さらなる今後のアップデート計画について教えてください。
Bendon引き続き『Dinkum』のアップデートは続けていく予定ですし、もしかしたら一生アップデートが続いていくかもしれません(笑)。
現在はSteam版のアップデート作業に取り組んでいて、農場や畜産の相互作用といった拡張要素なども計画しています。こちらはプレイヤーのみなさんも期待していてほしいですね!
――現在配信中のSteam版と、今後リリースされるニンテンドースイッチ版のアップデートスケジュールは同じようなものになっていくのでしょうか?
KRAFTON:Steam版とニンテンドースイッチ版のアップデートスケジュールには、初期では若干の差異が生じる場合があります。現段階のアップデートに関しては、既に発売済みのSteam版が先行してスケジュールが進んでいくと思います。
ただし、両プラットフォームで最終的に“同一のコンテンツ体験を提供すること”を目標としているので、今後は段階的にアップデートスケジュールを統一していく予定です。


――ゲーム中では、多くの種類の虫や動物、魚が登場します。これらの動物に関してはオーストラリアにすべて実在するものでしょうか?
Bendonすべてオーストラリアに生息しているものに基づいています。昆虫は比較的簡単でしたが、魚は少し大変でした。特に淡水魚は、他の地域に比べて多彩ではないですからね。
でも、開発を通してオーストラリアの生き物について更に深く学べたことは、嬉しかったですね。特定の地域に住んでいる生き物などを知り、それを多くの方に伝えることができるようになったことは、私自身が『Dinkum』で学んだスキルですね(笑)。
――遠くまで行っても拠点まで戻りやすかったり、プレイしていて『Dinkum』の島のサイズは“とても絶妙だ”と感じます。島のサイズやエリアの作り方に関する工夫について教えてください。
Bendon開発当初は、島のサイズは約2倍の広さにすることを想定していました。でも、それだとゲーム容量が大きくなりますし、ランダム生成時に同じ植生が繰り返されるケースがありました。そのような背景から、島のサイズを現在の設定にしています。
島の各エリアでは、私は住んでいるオーストラリアの環境や植生を皆さんに見せたいと思っています。中央に砂漠があり、北の方に熱帯があり、南の方は寒かったりするのです。そういった環境や植生に関しても、私自身が見慣れているものを作り、このオーストラリアをプレイヤーに見せたいという気持ちがありました。

ゲームはランダム生成なのですが、それの仕組みを通して各プレイヤーが「自分の島だ!」と思ってくれるような空間を提供したいと考えています。明るい内は隅々まで探検して、夜になったら家に帰るような、ユーザーが島での冒険の体験や楽しみを感じ取ってくれることが個人的な目標です。

――ツールのアップグレードや島での行動の広がり方など、クラフトサバイバル要素についての考え方や『Dinkum』で見せたいものについて教えてください。
Bendonやはりユーザーがプレイしていく中で「このアイテムが欲しい!」と感じていただければ嬉しいですね。アイテムを獲得することもひとつの目標してもらえれば、と思います。
例えば鉱山のアイテムは貴重なもので獲得は難しいですが、とてもユニークです。そういったアイテムを入手できるまでモチベーションを維持することは、ゲームとしても重要だと思います。
プレイのアドバイスとして、ゲーム中では貴重なアイテムを売る商人が登場することがあります。また、ライセンス(ゲーム内でのアイテム開放権)がなくても、マルチプレイで友人がよりよいツールを持ってくれば、効率の良い作業もできます。いろいろなプレイを楽しんでほしいですね。

――『Dinkum』をプレイして、最初に肉がマップに落ちていて、近くでカンガルーがワニに襲われてるシーンを目撃して戦慄しました。Jamesさんも、オーストラリアでそういった怖い体験をされたことがあったのでしょうか?
Bendon動物が襲われている様子を直接見た……ことはありません(笑)。でも、子どもの頃にとても怖い体験をしたことがありますよ。
クイーンズランドでバラマンディという魚を釣るために、夜にボートで出港したのです。夜なのでライトをつけて周囲を照らすのですが、その際にワニの目が反射して赤く見えるんですよね。多いときは何十匹分もの“赤い目”が光っている光景を見ることもあります。
その日は、驚くほど大きなワニがボートの下を泳いでいるのを見かけました。襲われずに済んだのですが、とてもびっくりしましたね。ワニは辛抱強い動物で狩り場を変えないので「釣りをするなら、定期的に位置を変える」ということが重要です。
――それはかなりヒヤヒヤする経験ですね……。ご無事で何よりです。最後に、読者へのメッセージをお願いします。
Bendonまずは『Dinkum』を遊んでいただいているすべてのプレイヤーに、心から感謝しています。私はゲーム開発者になるのが夢で、ユーザーの方々がその夢を叶えてくれたと思っています。ユーザーの方々が与えてくれたモチベーションを元に、私も情熱を持って開発を続けていこうと思っています!

『Dinkum』のニンテンドースイッチ版は、2025年11月6日にダウンロード版でリリース予定。価格は税込2,300円で、ニンテンドーeショップでの事前予約で10%オフになるキャンペーンも実施しています。
スイッチ版では、インタビューで伺ったさまざまな最適化やタッチ操作およびJoy-Conの完全サポートも特徴としています。スイッチ専用特典には『PUBG』コスチュームセットが付属。無料体験版も配信中です。













