気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Mandragora開発、PC/Mac向けに8月7日にリリースされた電子機器修理店経営シミュレーション『リ・ストーリー: 思い出修理屋』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、2000年代半ばの東京を舞台に、秋葉原の片隅で電子機器修理店を営む経営シミュレーション。修理対象となるのは、どこか懐かしいゲーム機のほか、携帯電話や音楽プレイヤーなど、多岐にわたります。プレイヤーはそれらの機器を分解の上、汚れを掃除したり部品を交換したりして、修理を進めていきます。日本語にも対応済み。
『リ・ストーリー: 思い出修理屋』は、1,999円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
EugeneMandragoraの創業者兼CEOのEugene Kisterevです。当スタジオは2015年に設立されました。私自身は約15年間にわたりゲーム業界で仕事をしており、本作『リ・ストーリー: 思い出修理屋』ではゲームディレクターを務めています。
一番好きなゲームのひとつが『The Last of Us』で、史上最高のゲームのひとつだとも思っています。また『ハースストーン』もよく遊んでいますし、『Until Dawn -惨劇の山荘-』をはじめとするSupermassive Gamesが手掛けた作品のほぼすべてが好きですね。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Eugene『リ・ストーリー: 思い出修理屋』のアイデアは、前作であるほのぼのサバイバルゲーム『I Am Future: Cozy Apocalypse Survival』に実装していたあるシステムから生まれました。このゲームでは、電子レンジや電気ケトルと言った家電を見つけて分解し、得られたパーツをクラフトに活用することができたのです。
プレイヤーの皆さんがこの「分解システム」を特に楽しんでくれていることに気づいた私たちは、このアイデアの可能性をまだ掘り下げ切れていないと感じました。そこで、これを独立した一つのゲームの中心に据えようと決めたのです。私たちには、すでにこの非常に満足度が高く中毒性の高いコアとなるシステムが手元にあったのです。
とは言え、『リ・ストーリー: 思い出修理屋』を本当に特別な作品にしているのは、懐かしさと古き良きテクノロジーに対する私たちの並々ならぬ愛です。スライド式携帯電話や折りたたみ携帯電話が、その人の個性やアイデンティティの一部だったあの時代が、私たちは今でも恋しく思うのです。当時の私たちは若く、幸せでした。そしてどうやら、多くの方々が私たちと同じような感覚を抱いてくれているようです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Eugeneゲームシステム面においては、『I Am Future: Cozy Apocalypse Survival』『Assemble with Care』『PC Building Simulator』『PowerWash Simulator』のようなタイトルからインスピレーションを受けました。
雰囲気作りにおいては、2000年代の古いビデオ取材映像…例えば秋葉原のPCオタクの方たちを追ったドキュメンタリーなどを参考にしています。そうした映像が、当時の空気感を再現するのに非常に役立ちました。
キャラクターやストーリーに関しては、開発を進めていく中でより自然発生的に作られていったため、参考にした作品を一つ特定するのは難しいです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Eugene開発初期段階でデモ版を作っていた頃、本作は今よりもアドベンチャーゲーム寄りでした。お客さんがデバイスを持ち込み、店に用意されたパーツを使って修理し、返却するという流れです。
楽しいゲームではあったものの、経営シミュレーションとしてもクリエイティブな体験としても、まだどこか物足りなさを抱えていました。そこで私たちは、メールで届く自由度の高い修理依頼を追加し、安価なデバイスを買って部品取り用に分解できるフリーマーケット要素を取り入れたのです。
それこそが、まさに「魔法」が起きた瞬間でした。自分でプレイしてみて「ついに思い描いていた通りの形になった」と確信できたのです。そこからは、開発が一気にスムーズになりましたね。
本作の発表直後にはプレイ可能なテスト版を公開し、プレイヤーの皆さんから膨大な量のフィードバックを即座にいただくことができたため、「自分たちの判断は間違っていなかった」と言う自信がさらに高まりました。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Eugene私たちが最も驚いたのは、本作の「懐かしさ」に対する反響の大きさでした。『リ・ストーリー: 思い出修理屋』に関する話のほとんどは、「若い頃に自分が使っていた携帯電話」や「昔持っていたゲーム機」と言った、思い出話から始まるのです。
世界中からレトロガジェットの愛好家たちが私たちに連絡をくれるようになりました。そこには、私たちと思いを同じくする素晴らしいコミュニティが広がっていたのです。これほど多くの人々が同じ思い出や感情を共有してくれていると知れたことは、私たちにとって何よりも意味のある出来事でした。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Eugeneもっとたくさんのデバイスですね!すでに最適化や快適性の向上、バグ修正、その他の調整を含めた複数のアップデートを配信してきました。
そして現在は、大量の新規コンテンツの制作に取り組んでいる最中です。プレイヤーの皆さんからは「もっと多くのデバイスが欲しい」「もっとストーリーが欲しい」「とにかくもっと長く遊べる要素が欲しい」と言う声をたくさんいただいています。私たちは今後もその方向で本作の拡張を続けていく予定です。
――本作の日本語対応状況について教えてください。実装の内容や大変だった点、日本からの反応はどうでしたか?
Eugene『リ・ストーリー: 思い出修理屋』では、発売当初から日本語をサポートしています。日本のプレイヤーの皆さんからは非常に高い評価をいただいており、私たちも本当に嬉しく思っています。私たちはこれからも日本語版のサポートを継続していきます。日本のプレイヤーの皆さんには心からの感謝を申し上げます。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Eugeneもちろんです。プレイヤーの皆さんが『リ・ストーリー: 思い出修理屋』の実況動画を作成したり、配信を行ったりするにあたって、私たちの許諾を得る必要はまったくありません。収益化を含め、私たちから制限を設けることも一切ありません。皆さんが本作での体験を共有してくれることを、心から嬉しく思っています。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Eugene日本と言う国は、ゲーマーとしての私たちに計り知れない影響を与えてくれました。それはゲームデザインへのアプローチだけでなく、私たちが幼少期に楽しんだ数々の素晴らしいゲームやゲーム機を通じても同様です。
また、私たちは日本を、テクノロジーや電子機器におけるクリエイティビティとイノベーションを通じて世界に絶大なインパクトを与えてきた国としても捉えています。それこそが、私たちが『リ・ストーリー: 思い出修理屋』の舞台を日本に決めた大きな理由のひとつなのです。
私たちのゲームを楽しみ、多くのフィードバックを寄せてくださる日本のプレイヤーの皆さんに、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








