“インディーゲームドリーム”を体現した「ポケットペアパブリッシング」は、どんなゲームを支援していく?事業責任者に訊く“ビジョン”と“ハードル”【BitSummit the 13th】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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“インディーゲームドリーム”を体現した「ポケットペアパブリッシング」は、どんなゲームを支援していく?事業責任者に訊く“ビジョン”と“ハードル”【BitSummit the 13th】

『クラフトピア』『パルワールド』リリース前からポケットペアと関わり、「Pocketpair Publishing」の責任者を務めるジョン・バッキー氏へインタビューを実施しました。

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“インディーゲームドリーム”を体現した「ポケットペアパブリッシング」は、どんなゲームを支援していく?事業責任者に訊く“ビジョン”と“ハードル”【BitSummit the 13th】
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『パルワールド』の開発・販売などで知られる「ポケットペア」は、2025年7月18日~20日にかけ、京都・みやこめっせで開催された「BitSummit the 13th(以下、BitSummit)」にて、同タイトルの大型アップデートコンテンツ『パルワールド:テラリアの鼓動』のほか、パブリッシングレーベル「Pocketpair Publishing(ポケットペアパブリッシング)」が手掛ける『Never Grave: The Witch and The Curse』『Truckful / トラックフル 』『Dead Take / デッドテイク』にフォーカスしたブースを出展しました。

リリースからわずか1ヶ月でユーザー数は2,500万人、最大同時接続者数は200万人を記録した『パルワールド』を中心に、言わば“インディーゲームドリーム”を体現するポケットペア。そんな同社は、どのような狙いをもって、日本最大級のインディーゲームイベントでパブリッシング事業をアピールしているのでしょうか?

本稿では、そのキーマンとなるジョン・バッキー氏にインタビューを敢行。世界中のさまざまなゲームタイトルのパブリッシングサポートを手掛けるポケットペアパブリッシングの現在の運営体制や今後のビジョンなどを赤裸々に語ってもらいました。

・ジョン・バッキー(John "Bucky" Buckley)

ポケットペアのコミュニケーションディレクター兼パブリッシングマネージャー。同社が『クラフトピア』をリリースする前の2020年頃から、ローカライズや海外でのコミュニティ形成、マーケティングのサポートをしている。現在は、インディーゲーム開発者や小規模スタジオを対象に、資金提供・開発支援・マーケティングサポートを行うパブリッシングレーベル「ポケットペアパブリッシング」の責任者を務める。

ーーどうぞよろしくお願いします。まずは今回の出展タイトルについて、それぞれご紹介をいただけますか?

バッキー氏:もちろんです。『Never Grave』は、最大4人で遊べるメトロイドヴァニアにローグライトとビルディングの要素をミックスした日本製タイトル。イギリス発の『デッドテイク』は、メディアミックス要素のあるサイコホラーです。『トラックフル』はポーランド生まれの物理シミュレーションドライビングゲームで、ひねりが効いたゲーム性を備えています。そして最後は、満を持して発表した『パルワールド』と『テラリア』とのコラボレーションです。

その『パルワールド:テラリアの鼓動』はすでにリリースされていて、たくさんのファンに喜んでもらえているので、いまは7月31日にリリースされる『デッドテイク』をプレイしてもらえることを楽しみにしています。『トラックフル』は来年明けのリリースに向けて準備を進めています。

ーーポケットペアパブリッシングは、どのように各デベロッパーと連携されているのでしょうか?

バッキー氏:私たちは、言うなれば“ブティック・パブリッシャー”です。ほとんどのパブリッシャーは、どのタイトルに対しても標準的な契約を交わすものですが、私たちは自身がデベロッパーでもあることから、彼らとよりフレンドリーであろうと努めており、ご一緒するタイトルごとに異なる取り組みをしています。

具体的には『Never Grave』は、元々ポケットペア社内の独立スタジオとして開発されていて、それに私達が全てのマーケティング支援を提供するという形式をとっています。

一方で『デッドテイク』は企画の段階で資金提供を決め、開発・マーケティングを一緒に伴走しながら進めています。

『トラックフル』には資金提供をしているものの、マーケティングプランはすべて彼ら自身が手掛けていて、私達は主にアジア向けにマーケティングサポートをおこなっています。

ーー今回パブリッシングを手掛けるタイトルは、それぞれ全く異なるジャンル・ゲーム性を備えていますよね。支援先タイトルの選定基準はどういったものなのでしょうか。

バッキー氏:ひとつの得意ジャンルに集中するパブリッシャーは多いのですが、私たちが重視するのは“楽しいゲーム”と“楽しいチーム”を見つけることです。そうであればジャンルは問いません。近年では世界中のゲーム開発コストが肥大化していて、多くの会社が資金繰りに苦労しています。そんななかで本当に楽しいアイデアを持っている、小さくても特別なチームを支援したいと考えています。

『トラックフル』はポケットペアパブリッシングを発表した際にオープンした相談フォームへ初期に連絡があったタイトルで、開発メンバーは3人と小規模なのですが、そのクオリティの高さに衝撃を受けたのを覚えています。

『デッドテイク』のチームとは「Golden Joystick Awards 2024」の会場で接点を持ったのですが、ユニークなアイデアがたくさん詰まっていて興味を惹かれました。今後もジャンルではなく面白さでゲームタイトルを選ぶつもりです。

デベロッパーが求める支援に合わせて流動的にチーム構築

ーー次にポケットペアパブリッシング自体の質問へシフトしたく。専任スタッフの数など、現在の運営体制について教えてください。

バッキー氏:フルコミットしているのは私だけです。

ーーええ、ひとりですか!?

バッキー氏:必要な支援内容に応じて、ポケットペア本体の適切な人材を都度アサインしています。

例えば、トレーラーを制作する場合はアーティストやマーケターが担当し、中国でプロモーションを行う場合は中国マーケティングチームがサポートします。

固定チームではなく、タイトルごとに求められる支援の深さ――資金協力のみからストア登録のフルサポートまで、あらゆる社内のエキスパートが機動的に結集します。そのため、常に最適なスキルセットを持つスタッフがプロジェクトをリードし、状況に応じたきめ細やかなサポートを提供しています。

ーーつまりバッキーさんの裁量がとても大きいのですね。日々、支援先のリサーチに奔走されていると思うのですが、それには主にどのような手段を取られているのでしょうか。

バッキー氏:リサーチに関しては、(ポジティブな意味で)非常にストレスがかかっていますね(笑)。

Steam上の最新情報をキャッチアップしたり、紹介を受けることもありますが、Webサイト上のご相談フォームの確認に最も時間をかけています。非常に沢山のピッチをいただいており、ときには4~5時間かけてすべて目を通し、細かくチェックしています。

そこで興味深いものを見つければ「ポケットペアです」と声をかけるのですが、他のパブリッシャーも同じようなアプローチをしていると話していたので、彼らに先を越されるのが怖いですね。

ーー昨年の『パルワールド』リリースをきっかけに、ポケットペアは知名度を拡大しました。そのような意思決定に関わる立場にいるなかで、取り巻く環境の変化をどう捉えていますか?

バッキー氏:ありがたいことに、会社としても私個人としてもチャレンジできることは増えましたが、“会社の文化”は変わっていません。私たちは誰を仲間に加えるかを慎重に判断しており、選考基準のひとつとしてSteamのプレイ履歴を確認して、本当にゲームが好きな仲間を採用しています。なので、社風については5年前とあまり変わっていないかもしれません。

ーーそのポケットペアの変わらない“会社の文化”を、一言で表すなら何でしょうか?

バッキー氏:“FREE(自由)”ですね。個人がやりたいことを尊重してくれるので。

ーー確かに言い得ていますね。とはいえフルコミットしているのはバッキーさんだけという話なので、ポケットペアパブリッシングが抱える課題も少なくないと思います。

バッキー氏:ゲームパブリッシャーはたくさん存在していますが、ポケットペアパブリッシングは出自がデベロッパーということもあり、支援先の意向を尊重し、敬意を持って協力していきたいと考えています。

先ほどもお話したように、ポケットペアパブリッシングは専任部門は存在しません。しかし、マーケティングや事業開発などの各種専門的な業務に対しては、ポケットペア社内の中でも最も経験豊富で適任なメンバーが案件ごとに最適にアサインされ、力強くサポートを行っています。この柔軟な体制こそが、プロジェクトごとの個別ニーズに応じた高品質な支援を可能にしています。

強力なサポートをより多くのタイトルに対して提供できる体制づくりが今後の大きな課題であり、目標でもあります。

そのために私たちは常にスタッフを募集しているのですが、支援先は海外のタイトルが中心で英語・中国語・日本語を話せるような人材が望ましく、さまざまな国籍のメンバーが在籍しています。より多くのタイトルをサポートしていくために、もっともっと仲間が欲しいですね。積極採用中です!(笑)

ーー詳しくお話をいただきありがとうございます。最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。

バッキー氏:最後まで読んでいただきありがとうございます。皆さんが私たちの手掛けるゲームに興味を持ってくれて、そしてプレイし続けてくれるように願っています。ゲーム開発者であろうとなかろうと、もし面白いゲームを知っている人がいたら、ぜひ連絡してください。


デベロッパーであるからこそ、開発者の視点に寄り添ったサポートを強みとするポケットペアパブリッシング。ポケットペアという組織が急拡大を遂げるに従って運営体制が整備されることで、今後どのような“楽しいゲーム”と連携を図っていくのか要注目です。


ライター:矢尾 新之介,編集:宮崎 紘輔




編集/タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

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