気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、ChaosForge開発、PC向けに8月14日に早期アクセスが開始された伝統的ローグライク『Jupiter Hell Classic』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、遠距離戦闘に重点を置いた見下ろし視点のローグライク。本作の大本となったのは2002年に公開されたテキストベースの伝統的ローグライク『DRL』で、これはFPSである『DOOM』『DOOM II』を伝統的ローグライクとして再構築しようとしたゲームでした。その『DRL』をベースにして、画面の3D化などを行った『Jupiter Hell』が2021年に登場。本作はそのデメイク作という位置付けです。記事執筆時点では日本語未対応。
『Jupiter Hell Classic』は、1,700円で早期アクセス配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Kornel私の名前はKornel Kisielewiczで、ChaosForgeの創設者兼リードデベロッパーです。私は20年以上にわたりローグライクを作っており、最初は趣味のプログラマーとして始め、徐々にフルタイムのインディー開発へと移ってきました。お気に入りのゲームを選ぶのは難しいのですが、どちらかというと今ではあまり知られていない古いDOSや初期のWindows時代のゲームを好む傾向があります!例えば、古い『X-Com』作品、『ADOM』や『Angband』といった伝統的なローグライクです。比較的最近のゲームでは、間違いなく『The Elder Scrolls V: Skyrim』が好きですね。最近は『The Elder Scrolls: Arena』を再プレイし、その後『The Elder Scrolls II: Daggerfall』をクリアし、現在は『The Elder Scrolls III: Morrowind』をプレイ中です。(笑)
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Kornel本作は伝統的なターン制ローグライクです(『ADOM』『Angband』『NetHack』、あるいは現代的な作品の『Caves of Qud』『ToME』『不思議のダンジョン』シリーズを思い浮かべてください)。ただし、本作は遠距離戦闘に重点を置き、アクションゲームのようなスピード感と緊張感でプレイできます。
本作には20年以上にわたる長い開発の歴史があります。最初は『DOOM』へのファンメイドのトリビュート作品(『DRL』)として始まり、その後「トリビュートへのトリビュート」である完全独立作品『Jupiter Hell』へと発展しました。そして今、その古いファンゲームがモダン化され、後継作の世界観に持ち込まれたのです。現在ではこれら3つのゲームが同時に存在しており、それぞれ異なるゲームプレイを提供しつつも、「伝統的ローグライク×遠距離戦闘」という共通のスタイルを持っています。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Kornel言うまでもなく、『DOOM』ですね。(笑)

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Kornelすべてが一つにまとまった瞬間だと思います。私たちは『DRL』と『Jupiter Hell』の二つの世界を統合して一つの新しいゲームにすると決め、『DRL』は本作のワークショップModとして永遠に残ることになりました。それがこうしてうまく形になり、今では「1本で2本分」の体験を楽しめるようになったのは、私が本当に誇りに思っていることです!
――早期アクセス開始後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Kornelフィードバックは素晴らしいものばかりです(この文章を書いている時点で98%の高評価をいただいています)。すでに何百時間もプレイしてくださっている方がこんなにいるのには驚いていますし、しかもこれはまだ始まりにすぎません。これから本格的なコンテンツ追加を段階的に行っていく予定ですからね。(笑)
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Kornel前作同様、私たちはコミュニティ…特にDiscord上において、非常にオープンです。定期的にベータ版を公開してフィードバックを募っており、多くのバランス調整や機能追加は、直接的・間接的にそのフィードバックの結果です。
現在、私たちはバージョン1.0までの(計画された)1年間の旅のスタート地点にいます。予定されているのは、新クラス、新しいゲームモード、新しいレベル分岐やレベルジェネレーター、さらにアイテム・敵・タイルセットなどの標準的な追加コンテンツです。
この質問への答えを書いている時点では、最初のアップデート(バージョン0.6)が 9月29日にリリース予定で、これが私たちが目指す開発テンポを示すものになるでしょう。
そして、私たちのこれまでの作品同様、バージョン1.0で終わるわけではありません。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Kornel本作というゲームがプレイヤーに情報を伝える仕組み上、戦闘ログ内で、その場で生成されるメッセージが多数あるため、単純に翻訳文のリストを用意するだけでは対応できません。翻訳作業が実現可能かどうか、まずは調査する必要がありますが、もし実現できるとすれば、日本語は優先して翻訳したい言語のトップ3に入ります。
親作品である『Jupiter Hell』では日本語翻訳が行われましたが、その品質には満足できず、私たちは再翻訳作業を行いました。新しい日本語訳は間もなく一般公開予定ですが、Steamではすでに「lang_beta branch」を通して試すことができます(スイッチ版ではすでに反映されています)。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Kornelもちろんです!私たちは配信、YouTube動画、収益化を全面的にサポートしています。コンテンツクリエイターはコミュニティの重要な一員であり、作品を広める大きな力になってくれると考えています。特別な許可は不要で、本作、『Jupiter Hell』、その他私たちのゲームを自由に配信・録画していただいて大丈夫です。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Kornel前作『Jupiter Hell』の最初の翻訳が不十分だったことをお詫びしたいと思います!現在はより良い日本語訳を準備中であり、さらに本作を日本の幅広いプレイヤーに届けることについても検討しています!
日本は常に昔ながらのローグライク体験を力強く支えてきてくれました。人生の半分を、伝統的なターン制ローグライクが忘れられないようにと戦ってきた者として、今度は私の方から何かをお返ししたいと強く思っています!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








