2025年9月26日、須田剛一(SUDA51)氏とSWERY氏のコラボレーションでも話題を呼んだスラッシャーアクション『ホテル・バルセロナ』が発売されました

新人保安官ジャスティーンが心の中に眠る殺人鬼の力で爽快アクションを繰り広げるロールライト作品で、周回プレイ時には前回までの自分のプレイが「スラッシャーファントム」となって共闘してくれるシステムも大きな特徴です。
先月開催された東京ゲームショウにて、そんなホテルが舞台の最新作チェックイン記念としてSWERY氏にインタビューを実施。須田氏とのコラボレーションだからこそ生まれたゲームの魅力や、長期に渡る開発の裏側を聞きました。
6年の開発を経て、個性光る作品が完成

――本日(取材日)が『ホテル・バルセロナ』発売日ということで、あらためて発売おめでとうございます!今の心境から教えていただけますか。
SWERY氏(以下、敬称略):このゲームの話が立ち上がったのが2019年の須田さんとのトークイベント(※)でして、合計6年ぐらいかけて仕上げたゲームになっています。僕は最終的に禁酒をしてまでゲームを調整しました。SNKでアクションゲームを作っていたキャリアの始まりの時期を思い出す気持ちで、お酒を断って挑戦した作品なので、発売を迎えられて本当に嬉しいです。
――作品も実際にプレイさせていただいたのですが、須田さんとSWERYさんのカラーが出つつも、遊びやすい作品という印象を受けました。作品の仕上がりへの印象はいかがでしょうか。
SWERY:よく僕と須田さんの作風は似ていると言われるんですが、今回のコラボレーションにあたってそれぞれの特徴をじっくり分析してみたところ、須田さんの作品はやっぱりスタートダッシュがすごいんですよね。導入にパンチ力があるんです。対して、僕の作品はどんでん返しに特徴があるんじゃないかと。
『ホテル・バルセロナ』では、この2つの特徴を上手くミックスできているんじゃないかと自分では思っています。最初のその手触りの良さや掴みのストーリーから入って、最後まで遊ぶと「SWERYらしく締めたな」と感じていただけたら嬉しいですね。
――「SUDA51で入ってSWERYで締める」ような、お互いの魅力を発揮できた作品になっているのですね。
SWERY:特にアクションの手触りについては体験版やBitSummitなどの出展などでたくさんの方の意見を聞くチャンスがありましたので、その声を元にガードを早くできるようにしたり、モーションから変えたりと、どんどん改修していきました。
僕たちは手触りが完璧と思っていても、ユーザーさんにとっては遅く感じるようなこともあるので、そこは真摯に受け止めて変えてきました。
――モーションひとつでも遅くすると派手になる一方で、速い方がアクション性が高まりますので、バランスが難しいところですね。そして主人公のジャスティーンをはじめ、ボスも含めたキャラクターの立ち方も魅力のひとつです。
SWERY:実は須田さんから明確な“お題”が出て生み出された要素もありました。例えばオープニングでは超法規的な存在の捜査官が出てきて、すぐに死んじゃいますよね。あれは須田さんが「(シルベスター・)スタローンくらい強そうなやつが出てきて、すぐに死ぬようにしてくれ」と(笑)。『エグゼクティブデシジョン』のセガールみたいなやつが欲しいんだと具体的に仰っていただいたので、僕が受け止めて(ゲームに)入れました。

それ以外にも、今回メインイラストも担当してくれているのが『鉄拳』や『KING OF FIGHTERS』シリーズもやっているHIROAKIくん(@super_hiroaki)で、大学の後輩と言うこともあって付き合いが深いんですよ。彼にボスのラフなデザインを一度書いてもらって、その絵をベースにアイデアを膨らませていくこともありました。いろんなアプローチで組み上げていった感じですね。
――どうしても須田さん&SWERYさんのところをピックアップしてしまいますが、クリエイターさんの個性が集まった作品になっているのですね。
SWERY:ですね。須田さんからは、ジャスティーンには「返り血を浴びるほど強くなる」要素があるんですが、そこに「返り血ゲージに比例してマフラーが伸びていく」というシステムの発案もありました。
僕はマフラーが揺れているだけでかっこいいと思っちゃうんですけど、須田さんはライダーものが好きなのもあってマフラーを使った一段とヒロイックな演出をアドバイスいただいて、「流石やな~!」と思いました。単純な足し算ではなく、持っているものを掛け算で開発できたんじゃないでしょうか。

「須田ゲーのコピー」ではなく「新しいローグライト」に
――そうした作家性が魅力に繋がっていますが、アートやアイデアからシステムまで変更するのは大変な開発でもありますよね。
SWERY:1番最初はWhite Owls(SWERY氏が代表を務める開発スタジオ)で開発を全部やろうと決めて、須田さんにも「お任せいただけますか」と話して持ち帰ったんですが、スタッフは混乱してましたね。急に“須田ゲーの分析ノート”とかを作って「ギャンブル要素ありきだぞ」とか騒いでいたくらいでした(笑)。
スタッフには「須田ゲーをコピーするんじゃなくて、新しいものを作るんだ」というところから入って、プリプロの時点ではアクションゲーム、バトルの軸だけをまず作って須田さんにも見ていただいて「こんなに気持ちいいアクションが作れるなら、これでやっていこうか」となりました。
ただ、この時点では僕は「前回までの自分のプレイが幻影として一緒に戦ってくれる」という「スラッシャーファントム」のシステムを隠し持っていたんですよ。
――そうだったんですか!目玉となるシステムなので、むしろ軸になっていたのかと思っていました。
SWERY:ローグライクを作るにあたって「ゲームプレイを持ち越したい」と考えていたんですが、最初からスタッフに言っても反対されると思ったんですよ。なのでしばらく隠した後、プリプロが出来上がって須田さんのオッケーも出たよと盛り上がった後に「でも、なんか足らんと思わへん?」と切りだしたんですよ(笑)。
コロナ禍だったのでチームは皆VRヘッドセットをつけて、デスクトップ共有しながらのバーチャルでミーティングをしていたんですが、その時点では誰も「いや、完璧だと思います」なんて言えないですよね(笑)。みんな僕の策略にはまって、スラッシャーファントムを導入することになりました。
――スラッシャーファントムのシステムは見た目にインパクトがあるだけではなく、ルートが変わるといなくなってしまうので「このルートに進みたいけどファントムが消えてもったいないな」と感じるなど、周回の楽しさにも繋がっています。
SWERY:今回は僕自身ローグライトに挑戦するのは初めてでしたが、ジャンルとしてプレイした経験をもとに「素材や経験値を持ち帰る」「何度も遊ぶ」だけでなく、プレイヤーが「ゲームに使った時間を持っていくことができる」と良いなと考えていました。
僕は今の時代で一番貴重なものが「時間」だと思っていて、ソーシャルメディアなど色々なものに時間を取られる中で、せっかくゲームに使った時間を経験として蓄積するだけではなく、ファントムとしてまるごと持っていけるローグライトになりました。

ただ、そうなると「やればやるほど(ファントムが増えて)簡単」になるので作業のようなプレイになってしまい、当初求めていたアクションゲームとの相性が悪くなるんですよ。このバランスを取るために色々と調整を繰り返しました。
――最終的に「過去4回のプレイまで」がファントムとして登場するシステムになりました。
SWERY:そうですね。あとは開発当初に試してみると、みんなファントムが大好きで別のルートを試そうとしないんですよ。なので回復手段を扉のみに、強化に必要な鍵も扉に入ることでしかもらえないようにして「ファントムを残すか、欲しい報酬の扉に入るか」を選ぶように調整しました。
――どの仕組みもすごく狙いを持って作られているのですね。このシステムがあることで“弱いファントム”にならないようなプレイをしたくなりますし、プレイの度に余剰分の強化素材がロストするので「育ててから頑張ればいいや」ともなりづらいですよね。
SWERY:まさにその通りで、何回も遊ぶとついサボりがちになってしまうじゃないですか。なので、サボると結果が良くなくなるように、それでいて納得度の高い仕組みをものすごく考えました。

――そもそも繰り返し遊ぶローグライトで行こうと決めたきっかけのようなものはあったのでしょうか。
SWERY:先ほども須田さんからの“お題”がいくつかあったと説明しましたが、そのうちの1つが「横スクロールのアクションゲームであること」だったので、ここは決まっていたんですよ。
なので最初はアクションアドベンチャーのような企画をプレゼンしたんですが、「これだと2人の良さよりもストーリーの比重が強くなるから、もっとアクションにしましょうよ」って言われたんです。ならば横スクロールのアクションであまりなかったローグライトがハマるかな?という経緯でしたね。
――特に企画がスタートした頃では横スクロール&ローグライトは珍しかったのではないでしょうか。
SWERY:そうですね。もちろん『Dead Cells』などはありましたが、“ザ・ローグライク”って感じでしたよね。探索ではなくバトルに軸を置いて繰り返しプレイをさせたいっていうところから、ソウルライク要素もあるかなと考えています。
僕はスタッフに「このゲームは常に希望があるんだ」とよく言っていました。プレイヤーが負けてもファントムがあるし、やり直せる再入場チケットもある。そして新しいところまで進めた嬉しさに繋がっていくように、常に希望があるんだっていうのは言い続けてましたね。

――ちなみにデスせずにクリアすることは可能なのでしょうか。
SWERY:ストーリー上の強制の部分を除けば理論上可能です。実はつい先日もそれについてプログラマーと話をしていまして、初めてファントムを見た時の会話があるじゃないですか。あれを最初のステージで見る人ばかりとは限らないので、最終ステージで見るパターンまで作られていました。
――なるほど!これは死ななければ発動しないスラッシャーファントムならではの対応ですね。結構プログラマーさん泣かせのシステムになっているんじゃないかなとも。
SWERY:本当に苦労しました。最初はただのレコードでいいじゃんって思っていましたけど、実際に動かしてみるとファントムが壊しちゃダメな設置物や足場を壊してしまうことがありましたし、ファントムが先に行きすぎたらまだポップしていないはずの敵がもう死ななきゃならない現象も発生していて、全部プログラマーが頑張って対応してくれました。処理負荷の解決も大変でしたね。
須田さんからの熱い一言
――ありがとうございます。いくつか須田さんからの“お題”があったとのことですが、一番大変だったのはどんなものか、覚えていますか?
SWERY:「来る」というJホラー映画があるんですが、須田さんは本当にあの作品がお好きで「サブジャンルで『来る』が出てこなかったらダメですよ」とは、めちゃくちゃ言われましたね。
――各ステージごとにホラー作品のパロディーのようなサブジャンルが入っているんですよね。
SWERY:そうですね。ホラー映画のサブジャンルが入っていて、例えば「サマーキャンプホラー」とか「レストランホラー」とか、他にも「エイリアンホラー」ってあるじゃないですか。それを順番に入れて、横串で遊べるゲームを目指しています。
――なるほど。最初のボスはサマーキャンプホラーですよね。
SWERY:そうです。予算の都合もあって7個のステージになっていますが、サブジャンルがある限りネタ出しは困らないので、お金さえあれば何個でもステージやりたかったですね。
――逆に「やろうと思ったけどやらなかったこと」のような、引き算したものはあったのでしょうか。
SWERY:ハッキリ引き算したものとしては「スロットマシーン」ですね。最初はカジノで遊べたんですが、どうしてもスロットに入り浸ってお金を増やすプレイヤーが出てきちゃうので、アクションゲームの本懐とズレてしまうなと。
『ホテル・バルセロナ』のアクションも上手くなってほしいですし、普段はゲームをやらない方もファントムと協力しながら挑戦していたらいつの間にか上手くなる体験が出来ますよね。やっぱりアクションを好きになってほしいので、スロットマシーンは作った後でボツにしました。
――ギャンブル要素としては、ステージ中に武器強化ゲームにチャレンジできます。5枚のカードから1枚を選んで当たりを引けば強化できるのですが、1度の入場で2回しか挑戦できないので、成功するとかなり嬉しいですよね。


SWERY:カジノで武器強化できるようにしようと決めてからもバランスをたくさん変えて調整しましたね。(強化が)簡単すぎると、敵を倒すことよりもカジノに行って強化することがメインになってしまうじゃないですか。かといって1回あたりの費用が高いと他の武器を買うときに負担になってしまう。
色々考えた結果、本物のギャンブルは小銭勝負でも負け続けると大変で、取り戻そうと思えば思うほどさらに負けていくも……というイメージがあったので「小銭でチャレンジできるのになかなか勝てない」バランスにたどり着きました。
ちなみに、ジャスティーンのスキルの中には武器強化ゲームの挑戦回数を増やせるものなど、強化を補助するスキルがあるので、ぜひスキルツリーを伸ばしていってみてください。
――そうだったんですね!やってみます。武器は種類も多く、プレイ感もかなり変わりますよね。ここもゲームの奥行きを出す要素としてじっくりデザインされたのでしょうか。
SWERY:最初は「なんとなく違う手触りの武器は欲しいよね」くらいから始まっていて、単発のハンドガンがあるから、他にも相手を吹っ飛ばして距離を取るのに便利なショットガンにしよう、みたいに機能を分けていきました。
近接武器も斧は一撃の威力が高いので敵を倒しやすく、アーマーを持つ相手もねじ伏せやすいんですが、その分切る回数が少なくなるので返り血を得るチャンスは減るんですよ。逆に丸ノコギリはダメージは低めなんですけどヒット数が多いので返り血がめちゃくちゃ集まりやすくて……と、ゲームシステムが出来上がってから武器を選びました。最終的には全武器を買ってマックスに育てるほど遊んでほしいと思ってます。

――効率だけを考えると1つの武器をずっと強化していくスタイルが良いのかもしれませんが、やっぱり違う武器を使ってみたくなりますし、異なる武器のファントムがいると楽しいですよね。
SWERY:僕なんか後半に「歩いて火炎瓶を投げ続けるだけ」のファントムとか生み出してましたよ(笑)。基本は弱いですけど、意外と助かる瞬間もあるんですよね。
――そんな『ホテル・バルセロナ』は冒頭でも開発に6年を費やしたというお話もありました。 元々の関係もある中で、これだけ長い期間一緒にゲームを作ったことで見えてきた須田さんの意外だった一面が見られることはありましたか?
SWERY:先輩後輩でお食事もする仲だったので僕にとって意外という訳ではないんですが、須田さんは本当にお優しいんですよ。というのも『killer7』の開発において、プロデューサーの三上(真司)さんが須田さんのやりたいように開発をやらせてくれたという経験があり、だからこそあの作品は世に残ったんだと感じているそうなんですね。
なので今回は「僕はあの時の三上さんになるから、SWERYさんがやりたいことをぶつけてくれ」と。これめちゃくちゃ熱いなと感じて、頑張るしかないと思わされましたね。
――では、いずれSWERYさんが三上さん側になる将来もあるのかも知れませんね。
SWERY:そうですね。そういう相棒が出てきたら嬉しいです。
――逆に、今回の開発で見えてきた、あるいは引き出された自身の意外な面はありましたか?
SWERY:今回は自分のキャリアのスタートでもあったアクションゲームを作るということで、最近知ってもらった皆さんの中に「SWERYのゲームと言えばストーリーだ」というイメージも強いと思いますので、改めてアクションゲームで理解してもらいたいという気持ちがありました。
そこで当時の若かりし頃、尖がっていた頃の自分に立ち返ろうと思って、ギラギラした感じでうちの若いスタッフに「俺、ボスはよそ見してても倒せるけど」なんてマウント取り合ったりしました(笑)。あの頃はお互いにライバルみたいな感じでしたからね。

――昔のSWERYさんはそういう面があったと(笑)。
SWERY:そうですね。『月華の剣士』という格闘ゲームを作っていた時で、3人のプランナーで16体のキャラクターを作っていたんですよ。それぞれ自分の持ちキャラクターをいかにかっこよくするか、いかにゲームセンターで人気にするかっていう意識はありましたね。リリース後もめちゃくちゃそこは気になっていました。
スペイン出張を機に文化保存のためカタルーニャ語対応
――今回のTGSでの来場者の方の反響はご覧になりましたか?
SWERY:結構海外の方が来てくださっていて、皆さんパネルで写真を撮ってくれていました。僕が声優で出演した『プロミス・マスコットエージェンシー』の開発者の方などクリエイター仲間も来てくれていましたし、「もう発売なのは分かっているけど、はやくゲームを触りたくて」と来てくれるファンの方もいて、めちゃくちゃ嬉しかったです。

――海外といえば、今作のローカライズ言語には日英中、そしてスペイン語とカタルーニャ語が入っていますよね。これはやはり「バルセロナ」だからなのでしょうか。
SWERY:『ホテル・バルセロナ』というタイトルは最初に須田さんがイベントで発表して「まだゲームの内容も決まってないけどかっこいいからオッケー!」になったんですよ。そのイベント中に須田さんは冗談で「このタイトルならバルセロナに出張できるかもしれないじゃないですか」っておっしゃったんですが、去年なんとそれが見事に叶いまして「IndieDevDay」というイベントに参加してきました。
そこで『ホテル・バルセロナ』を展示していたら現地のNPOの方からお声がけいただいたんですよ。なんでもバルセロナというのはスペインの中でもカタルーニャ州にある都市で、「古代カタルーニャ語」という言葉が話されていたそうなんですが、若い人たちはスペイン標準語を喋るようになってきて、語り手が無くなってなくなっていきかけてると。
僕は大阪出身なんですが、みんなYouTubeなどのSNSで標準語に触れるので関西弁を使う若い人が減ってきているというのを聞いていたので、その事情と重なるものも感じました。NPOの方が「ゲームという若者に人気のコンテンツがインフルエンサーしてくれたら、カタルーニャ語にも光が当たるかもしれないので組みませんか」と言ってくださったので、じゃあ是非やりましょうということで。
――そんな文化的に意義のある背景があったんですね!
SWERY:実はちょっとだけ文化保存の一環になっているんですよ。
――ちなみに『ホテル・バルセロナ』というタイトルはかっこいい反面、検索するとホテル予約サイトばかりが出てきてしまうという側面もありますよね。
SWERY:そうですね。ただ、最初に須田さんから聞いた時にかっこいいと感じましたし、このプロジェクトをやると決めた時にはもう商標を取っていたんですよ。なので検索性は悪いのですが、このタイトルで行くと心に決めました。
昨日も初めて会うインディークリエイターの人に「どんなゲームを作ってるの」と聞かれたので「『ホテル・バルセロナ』だよ」と返事したんですが、検索してもホテルしか出てこなくて困っていました(笑)。
――それはそれで面白いエピソードではありますね。海外と言えば、タイトルに対する海外からの反響はどうでしょうか。
SWERY:問い合わせの多さがワールドワイドに広がっているというか、多分これはイタリア語なんだろうな、こっちはアラビア語かな?という感じで読めない言葉のメールがめっちゃ来ています。海外もたくさん回ってきましたし、色々と時間かけたこともあって海外の人に届いているのかなと実感があって、嬉しいですね。
――そうして海外にも広まっていけば、いずれは検索しても上の方に出てくるかもしれませんね。
SWERY:バルセロナは世界トップ10に入るくらいの観光都市なのでなかなか厳しいですけど、ちょろっと(検索候補に)出てくるだけでも面白いですよね。
――バルセロナのイベントではやはり反響が大きかったのでしょうか。
SWERY:すごかったですね。全く事前情報なしにタイトルを見て並んでる方もいらっしゃいましたし、「なんでバルセロナなの?」って質問をめちゃくちゃされました。バルセロナが舞台でもないですし、通訳の人が同じ説明を何回も何回もしなければいけなくて。
――確かに現地の人からすると不思議な部分が多いですね(笑)。私たちもタイトルに「TOKYO」と入っているとちょっと気になってしまうものですし。
SWERY:他にも印象的だったのは、私が今着ている『ホテル・バルセロナ』Tシャツに使われているホテルの写真は、須田さんが撮ってきたカナダのホテルなんです。

元々はお城で当主が自殺をしたといういわくつきの「幽霊ホテル」と言われる有名なホテルなんですが、ここにカンファレンスで行くことがあって、ゲームを深く作り込むことができたロケーションなんです。
シャツの背中にはゲームのストーリーが英語で「ペンシルベニア州でなんちゃらかんちゃら~」と書いてあるんですが、先日の出張でこれを着て実際にペンシルベニアを歩いていたら美術館の人が「このストーリーはなんだ」といきなり呼び止められて、僕の作ってるゲームのストーリーなんだよと応えたら「お前面白いな」って無料で美術館に入れてくれました。やっぱりゲームで扱われるっていうことが地元の人には刺さるんですね。

――そんな各国からも注目の集まる『ホテル・バルセロナ』ですが、タイトルとして今後の予定や考えていることがあれば教えてください。
SWERY:まず決まっているのがリテール版で、日本での発売はまだ分からないのですが、ワールドワイド向けにはちゃんとパッケージが出ます。Nighthawk Interactiveがパブリッシャーで、めちゃくちゃかっこいいコレクターズボックスも出るので、ぜひ見てほしいですね。
――これは凝ってますね!ちょっと配送業者の方へのプレッシャーがありそうですが。
SWERY:確かにそうですね(笑)。あとはもちろん細かなアップデートもしていきますし、発売日は調整中ですが、リテール版が出るタイミングで、もう1度デジタル版のユーザーさんも遊びたくなるような仕掛けはやりたいなとは思っています。

――たくさんの裏側が聞けてめちゃくちゃ面白かったです!最後に、読者の方にメッセージをお願いいたします。
SWERY:冗談のように始まったゲームですが、実はしっかりきっちり作り込んでいました。途中コロナ禍で大変な時期もあったんですが、それも乗り越え、6年かけてようやく発売することができましたので、この世界に1つだけの“殺人鬼が集まるホテル”に、ぜひチェックイン&デストロイをお願いいたします!

シリアルキラーたちが集まるホテルを舞台に、過去の自分と共闘するローグライトスラッシャーアクション『ホテル・バルセロナ』は、PC(Steam)/PlayStation 5/Xbox Series X|S向けに発売中です。















