気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Jayhyeon Studio開発、PC向けに8月29日にリリースされた韓国産の心理ホラーゲーム『Sasaeng』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、K-POPアイドルをテーマにした一人称視点の心理ホラーゲーム。高級マンション、韓国の街、そして芸能事務所を探索しながら、次第に明らかになる不穏な真実と向き合うことになります。プレイ時間の目安は、初回プレイで1時間~1時間半ほど。エンディングは2種類あります。日本語にも対応済み。
『Sasaeng』は、470円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Jayhyeonこんにちは!Jayhyeonと申します。ホラーゲームである本作を作っているソロ開発者です。韓国のインディー開発者として、物語性のあるホラー体験を世界中のプレイヤーに届けたいと言う情熱を込めて開発しています。
私自身が特に好きで、影響を受けたのは、Chilla’s Artのような開発陣が生み出すホラー作品です。日常的な舞台と雰囲気づくりに焦点を当てた、シンプルでありながら非常に効果的なホラー表現がとても気に入っています。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Jayhyeon本作の最大の特徴は、プレイヤーの心に強く残るようデザインされた、奥深く複雑な物語性に重点を置いている点です。ゲーム内の雰囲気は、微妙で心理的な不安感を演出することで、ジャンプスケアには頼らず、プレイヤーを主人公の不穏な状況へと誘います。
本作のアイデアは、常にホラーコンテンツを幅広く取り入れていることから生まれました。私は韓国や日本をはじめ、世界中のインディーホラーゲームを、人気作に限らず積極的にプレイしたり観たりしています。そうした継続的な刺激が、クラシックなホラーテーマに対して独自の視点や新しい解釈を見つける助けになっているのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Jayhyeonもちろんです。本作の根本的なインスピレーションは、Chilla’s Artスタイルのホラーゲームから来ています。彼らがローファイスタイルで、不穏な物語を巧みに作り上げる手腕には強く惹かれます。
それに加えて、私はホラージャンル全般の熱烈なファンでもあり、本作は日本と韓国、両国のホラー文化から受けた数えきれないほどの細かな影響の融合でもあります。影響を受けたのは有名なゲームや映画だけでなく、小規模なインディーホラー作品の独創性からもです。私がプレイするもの、観るものすべての作品が、本作というゲームの持つ独自の感情的・テーマ的な核心を磨き上げる糧になっているのです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Jayhyeon最も印象に残っているのは、本作の中心となる物語や感情の核心部分を練り上げていく過程でした。特に、物語の重要なポイントや演出の方向性を決める際に、妻と何度も熱い「議論」を交わしたのをよく覚えています。どのようにすればシーンの感情的なインパクトを最大限に引き出せるか、細かい部分まで意見をぶつけ合うこともありました。
当時はなかなか激しいやりとりでしたが、正直なところ、最終的には妻の意見が正しかったことが多かったです!本作の核となる感情表現について、作品の「心」を共有できる人と一緒に作り上げていく時間は、何ものにも代えがたい貴重な体験でした。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Jayhyeonリリース後、様々なフィードバックをいただきました。残念ながら最も多かった批評は、初期バージョンでの最適化不足に関するものでした。これは今後のプロジェクトで最も重視していく点であり、開発初期から最適化を意識して進めるようにします。
一方で、とても嬉しかったのは、物語とその結末に関する圧倒的に好意的な感想でした。序盤が少しゆっくりしている、あるいはわかりにくいと感じたプレイヤーの方々も、「最後までプレイしたらすべてが報われた」「エンディングで感動した」と言ったメッセージを多く送ってくださいました。私が最も力を注いだ物語部分が、プレイヤーの心に強く響いたという事実は、本当に大きな励みになりました。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Jayhyeonいただいたフィードバックを踏まえ、今後の短期的・長期的な計画は、パフォーマンス向上とプレイヤー体験の向上に重点を置いています。本作については、引き続き最適化の問題を徹底的に調査・改善し、すべてのプレイヤーがより快適にプレイできる環境を整えていく予定です。
また、次回作以降の新しいゲームでは、開発初期の段階から最適化の基盤をしっかりと作り込むことに時間をかけ、物語や雰囲気づくりと同じくらい重要な柱として位置づけていきます。プレイヤーの皆さんからの批評は真摯に受け止めており、今後のホラー作品では技術的な完成度をより高めることを目標にしています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Jayhyeonもちろんです!本作の配信や収益化は全面的に許可しており、むしろ大歓迎です。プレイヤーの皆さんが本作の物語を体験し、特にエンディングでどのように反応してくれるのかを見るのが本当に楽しみなんです。
YouTubeやTwitchなど、どのプラットフォームでも自由にプレイ動画を投稿・収益化していただいて構いません。特別な許可を取る必要もありません。私の作品を皆さんの視聴者と共有していただき、ありがとうございます!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Jayhyeon日本の読者の皆さま、そしてホラーゲームを愛する皆さま、本作に関心をお寄せいただき、本当にありがとうございます!この作品には、私の情熱と魂を込めて制作した独自の物語と、不穏で心に残る恐怖を詰め込みました。日本のホラー文化に深く影響を受けながら、心理的な恐怖の本質を表現できたと思っています。
皆さんがこの神秘的で感情的な旅を楽しんでくださることを心から願っています。ぜひプレイした感想を聞かせてください。そして今後の新作にもご期待いただけると嬉しいです。これからも、皆さんにゾッとするような体験をお届けしていきますよ!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








