人生とは、かつて誰かが選んだ道の先に成り立ったものでもあります。先人が残したもの、作り上げたもの、もしかしたらちょっとした人間関係まで、きっと誰かの影響を受けているものだと思います。しかし、それを受け入れるだけでなく自分で変えられるのだとしたら、また違う運命が待っていることでしょう。
パブリッシャーTHQ Nordicは、フランスを拠点とするゲーム開発スタジオDigixartの手がける新作サバイバルアドベンチャー『Tides of Tomorrow』をPC（Steam）/PS5/Xbox Series X|S向けに2026年2月24日にリリース予定です。現在「Steam Nextフェス」に合わせた体験版も配信しています。
本作は、高評価ロードトリップアドベンチャー『Road 96』の開発による新作です。舞台となるのは、大洪水によって多くの文明が崩壊した後の海洋惑星エリンド。生命が“プラスチック化”する病気によって世界が脅かされている中で、プレイヤーは数百年ぶりに目を覚ました人間「タイドウォーカー」として生きていきます。
本稿では、期待の新作サバイバル『Tides of Tomorrow』について、配信中の体験版を通じてその魅力やゲーム性を紹介していきます！
「タイドウォーカー」は繋がる存在
本作でプレイヤーが操作するタイドウォーカーは、数百年前の大洪水で死の海へと辿り着いた存在。物語は主人公が何者かの声によって目を覚ますシーンから始まり、やがて地上に点在するコミュニティとの交流の中で、自分の生きる道を発見しながら、エリンドの直面する問題へと立ち向かっていきます。
この世界は生命がプラスチック化する恐るべき病気「プラステミア」によって蝕まれています。主人公も”プラステミア”によってプラスチック化していたはずなのですが、数百年の時を経て何故か再び動けるようになりましたが、すぐに治療薬を発見しなければ、再びプラスチックに戻ってしまう可能性があるようです。
タイドウォーカーは主人公1人ではなく同じように世界に存在しています。ゲーム内では他のプレイヤー（タイドウォーカー）をフォローすることで、そのプレイヤーが残した行動で“変化した世界”を冒険することになります。その中でプレイヤーがどのような行動を取るかで、新しいプレイヤーがフォローする世界が生まれるのです。
例えばフォローしたプレイヤーが悪事をすれば、島の住人はタイドウォーカーを警戒するようになります。フォローしたプレイヤーのそのプレイでの重要な行動は、プレイヤーの「幻視」によって視ることが可能で、その結果をヒントに問題の解決や新たな道の提示などもできるようになるのです。
この”非同期ビジョン”システムによって『Tides of Tomorrow』ではプレイヤーの数だけ新しい物語が生まれます。『Road 96』の開発チームらしい個性的なキャラクターとの出会いや交流の先に、少しずつ世界の姿や隠された謎が明らかになっていくのです。
体験版では1つの島の物語を体験
配信されている体験版では、ゲームの導入部と、本編で最初に訪れることになる島・マーケットランドでのイベントをプレイする事ができます。もちろん本作の醍醐味であるほかプレイヤーのフォローも可能で、新しい世界を体験し、そして作り出す体験を楽しむことができます。
ゲーム開始時には主人公であるタイドウォーカーの設定と、今回のゲームで誰をフォローするかを選択します。フォローするプレイヤーは「サバイバリスト」「人類志向」などの特性が表示されているので、ある程度はプレイの方向性を知ることもできます。筆者の初プレイは「サバイバリスト」「協力的」なプレイヤーを選択しました。
まずはゲームの導入として、主人公がナーエという女性に海中から引き上げられるシーンから始まります。彼女との会話の中で“フォロワーに関連する選択肢”が表示されたり、空間の裂け目（時流）を「幻視」することで、“前のプレイヤーがこのプレイでどんな行動を取ったか”を見るなど、ゲームの基本的な要素を学んでいきます。
ナーエは過去にもタイドウォーカー（フォロワー）を助けた経験があるようです。会話中にプレイヤーの視界が揺れますが、これはプラステミアの症状が出ている状態で、発作を抑える薬「オーゼン」を摂取しなければなりません。なるほどここでナーエが薬をくれるんだな……と思ったところで、目の前には時流が表示されます。
幻視で映ったのは、フォロワーが最後のオーゼンを使い切った様子でした。それをナーエに伝えると、驚きつつも「あなたも助けたかった」との悲しいコメント。嘘だろ俺死ぬの！？と、これ以上ない形でフォロワーの与えた世界の影響を実感しました。体験版ではここで場面が変わり、少し先のイベントが始まります。
フォロワーの変えた世界でどう生きるか
次のイベントの舞台は、さまざまな住民が暮らしているマーケットランド。プレイヤーの目的はこの島でできる限りオーゼンを入手することなのですが、島に向かう途中でナーエから「フォロワーが随分騒ぎを起こしたみたいだから気をつけて」との連絡が。またアイツの仕業か！
その影響は島についてすぐ、警備に入口で止められるという形で現れました。途方に暮れていると、近くにいた島の住民が裏から侵入する方法と「君ならフォロワーの起こした騒動を直せるかもね」というアドバイスをくれました。もちろん裏口も警戒が厳しく、そこら中に警備が巡回しているので、ステルスして進んでいきます。
道中は重要なNPC2人との交流、フォロワーが盗んで隠したオーゼンの発見、組織のリーダーとの話し合いなどのイベントを経て無事に目的を達成。ユニークだと思ったのが“幻視で見ないと提示できない選択肢”があることで、しっかり調査したことが自分の身を守ってくれました。ありがとうフォロワー。騒動はだいたいお前のせいだけど。
ゲームの最後には、プレイヤーがこの世界に及ぼした影響がリザルトとして表示されます。今回はなるべく穏やかなプレイを心がけたのですが、結果として「警備が緩くなって侵入する必要がなくなる」「NPC2人が最初から揃っている」「プラステミアに罹患したNPCの症状が緩和」という3つの影響を残しました。
これで次回自分をフォロワーに選んだプレイヤーは、この影響を受けた上でプレイできます。今回は穏やかに生きましたが、やり方次第ではさらにカオスな状況にもできたのかな……と考えると、本当に遊ぶごとに違う展開や結果が待ち受けていそうです！
他のプレイヤーが影響を与えた世界でどう生きるか、そして、自分自身がどのような影響を残すか。『Tides of Tomorrow』の”非同期ビジョン”システムは一見複雑なようですが、実際に遊んでみると「誰かが残した世界」を直感的に体感できるものでした。もちろん『Road 96』の開発元らしい、魅力的な世界観の構築やキャラクターの個性も抜群です。
今回は初回プレイの様子を通じてゲームの説明を行いましたが、導入部の「フォロワーが使ったから治療薬がない」というのは、これ以上ないくらい本作のシステムを説明する絶望的な展開だと感心しました。フォロワーの数だけ選択があるので、何度もプレイしてその影響を見ていくのも楽しみです。
『Tides of Tomorrow』はPC（Steam）/PS5/Xbox Series X|S向けに2026年2月24日のリリースを予定。また、Steamストアページでは体験版も公開中です。2026年10月14日から開催中の「Steam Nextフェス：2025年10月エディション」では、本作だけでなく『REANIMAL』『スポンジ・ボブ：海の荒神たち』などのTHQ Nordic作品の体験版も配信中です！
