【Indie Japan Rising】国内インディーシーンのディープゾーン!現役大学生が制作したハードコアSTG『∀kashicverse』 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【Indie Japan Rising】国内インディーシーンのディープゾーン!現役大学生が制作したハードコアSTG『∀kashicverse』

今回、インタビューした エンドレスシラフ の『 ∀kashicverse-Malicious Wake- 』は2012年のコミックマーケット83(12月31日)にリリースされた縦スクロール型のSTG。敵弾の進行を遅くする「抗体領域」、攻守のリソース管理する「ウイング」など複雑なシステムを持つ。

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国内のインディーゲーム開発者にインタビューを行う本企画。今回はおそらく日本でもっともディープなインディーゲームシーンである同人シューティングゲームに焦点を当てたい。

「日本のインディーゲームとは何か?」という疑問には様々な応えがあると思うが、同人ゲームもその重要な一つであることは確かだろう。コミックマーケットや同人ショップで流通する同人ゲームと呼ばれる作品には、ゲーム業界のメインストリームでは「死んだ」とされるジャンルのゲームが多数リリースされる。同人の世界では、ビジュアルノベルや格闘ゲームは未だに人気ジャンルであるし、クオリティが高いものも多くある。

そしてシューティングゲーム(以下STG)だ。同人STGには、超人気作品の東方ProjectやNESiCAxLiveで配信され、アーケードに進出した『Crimzon Clover』など有名な作品も多い。だが、まだまだ知られていないこの領域には、非常に斬新なアイデアを持つゲームが数多く存在する。

今回、インタビューしたエンドレスシラフの『∀kashicverse-Malicious Wake-』は2012年のコミックマーケット83(12月31日)にリリースされた縦スクロール型のSTG。敵弾の進行を遅くする「抗体領域」、攻守のリソース管理する「ウイング」など複雑なシステムを持つ。

多種多様な攻撃で圧倒的な弾幕をねじ伏せていく異色STG。


極めつけは格闘ゲームのようなコマンド入力で発動する10種類以上の「メソッド」と呼ばれる攻撃手段。コマンド入力で多様な技が発動するというアイデア自体は誰でも思いつくかもしれないが、本作はそれを十分に有効なゲームメカニクスとして昇華しきっている。結果として、最初は非常にとっつきにくいが、一度、操作やルールに慣れてしまえば比較的簡単に圧倒的な弾幕と戦える爽快なゲームに仕上がっている。

さらに今年6月にリリースされた『style:∀sterism』と題されたパッチでは、新たなゲームモードや実績、文章資料、音楽室などが追加された。ゲームデザインだけではなく、その世界観や音楽もかなり個性の強く、同人STGの世界でも突き抜けた印象を受ける本作。

しかしながら、そこで表現されているものは、大好きなゲームへのスタッフたちの愛情だ。普段、STGをプレイしない方にも本インタビューでその片鱗に触れてもらえると幸いだ。


大学の研究会から同人ゲームサークルへ


Game*Spark:
今回、取り上げるエンドレスシラフの『∀kashicverse -Malicious Wake-』(以下『∀kashicverse』)は、斬新なゲームシステムながらも、近年の同人STGの中ではかなり完成度が高いものであると思います。とはいえ、まだまだ知らない人は多いので、ひとりずつ簡単な自己紹介をしていただけますか?


エンドレスシラフの3人。左からLuCKさん、hartさん、Nicolaiさん。


Nicolai:
エンドレスシラフのNicolaiと申します。担当はサブプログラムやドット絵、音楽、効果音、ゲームバランスの調整など。また、道中の弾幕のパターンや敵のパターンなども行いました。ゲーム全体のバランスの調整をメインにしながら、目に映るゲーム内の素材は、大体作っています。

hart:
hartと言います。担当はメインプログラムです。後は道中を作るためのツール作成やボスの弾幕を担当しています。

Game*Spark:
ゲームの世界観や設定などはどなたが手がけているのですか?

Nicolai:
設定や企画面は基本的にサークル代表のLuCKです。でも、いろいろとサークルで話し合いながら作っています。

Game*Spark:
なるほど。それで、LuCKさんがサークル代表ということですか?

LuCK:
LuCK.ver2です。

Game*Spark:
ver.1の頃があったのですか(笑)?

LuCK:
中学生頃はver.1でした(笑)。そうとう昔ですが。一応、サークル代表でマスコット的存在です。企画や世界観をメインで担当しています。キャラクターやボスデザインと、一部楽曲や画像といった素材を作っています。

Game*Spark:
一応、普通のゲーム会社でいうと、LuCKさんがプランナー、hartさんがメインプログラマー、Nicolaiさんがアーティストという感じですか?

Nicolai:
おおまかに分けるとそういう感じですね。結構、重複して作業している部分はあります。

Game*Spark:
あとサークル以外では皆さんどういった活動をしているのですか?

Nicolai:
全員、千葉大学の学生です。

Game*Spark:
全員、現在も在籍中の学生なのですか!


ゲーム開発以外でも仲が良い3人。LuCKさんは都合により顔を見せることができません。


Nicolai:
僕が工学部、hartは大学院生。LuCKさんは園芸?

LuCK:
はい。植物関係です。

Game*Spark:
意外な回答が返ってきましたね。予想外ですね(笑)。大学でプラグラミングなどをやっている方はいないのですか?

Nicolai:
やっていないですね。

Game*Spark:
では、完全に趣味ですか?

hart:
エンドレスシラフは、そもそも大学のパソコン系のサークルから派生した同人サークルなのです。プログラミングも大学入って始めました。プログラミング歴もまだ4年とちょっと位で、『∀kashicverse』自体は、完成した作品としては二作目にあたります。二作目でこんなに評価を頂いてしまったのは、嬉しい限りです。

Game*Spark:
それはすごいですね!学生というだけでも驚きましたが、プログラミング自体もパソコン研究会に入ってから始めたのですか?

hart:
もともとゲームが作りたかったので、プログラミングもやってみたかったのです。だけど、なかなか良い機会がなかったのです。そんな時、大学にそういうところがあったので、では入ってみようと。

Game*Spark:
三人が知り合ったのはそのサークルですか?

Nicolai:
そうですね。CCSという名前の千葉大学電子計算機研究会。Chiba university Computer researching Societyの略です。です。40年以上の歴史があるサークルです。

Game*Spark:
40年はすごいですね。本当にパーソナル・コンピュータが登場したばかりにできたサークルですね。

LuCK:
そのサークルの上の代の人がコミケに初めて出したのですね。それを見習って自分たちの代からもコミケに出そうということになり、エンドレスシラフで最初に作ったのが『雪のしずく』というノベルゲームと『グスタフ』というSTGゲームでした。


コマンド入力と一撃死というコアコンセプト


Game*Spark:
なるほど。ではなぜ、この三人で同人サークルとしてゲームを制作しようと思ったのですか?

hart:
僕がLuCKさんの企画が面白そうだと思ったので、それをゲームにしようという形で始まりました。その段階で、十字キーでコマンドを使うとか……

LuCK:
一撃死とか、ウィンドウを開閉してゲージを回収するといったアイデアは既にありました。

hart:
たぶん誰か思いついた案ではあるけど、ちゃんと完成させた人はいないだろうと。本当にこれがゲームとして面白いのか分からなかったので、誰も作らなかったのかなと思っています。実際にあんまり見かけたこともなかったので。


インストカードには複雑なシステムが一枚にまとめられている。


Nicolai:
その企画がある程度進行していたときに、私が「面白そうだからってちょっと仲間に入れて」と言ったのです。ちょうど前の企画のノベルゲーム『Alone』の第一章が終わったところであったし、STGゲームが好きで、コンセプト的にも面白そうだと思いました。そこで私が素材やるからと仲間に入ったのです。

Game*Spark:
ところで、どうしてSTGを作ろうと思ったのですか?

LuCK:
もともと『Alone』が始まる前から、作る予定だったのです。クオリティの高いSTGゲームを一本、力試しというか……

Nicolai:
自分たちの力をつけるために作ってみたかったのです。その前のノベルゲーム『雪のしずく』は、スクリプトエンジンなどを使わず、全部C言語で作ったのです。

hart:
しかもあの時はプログラミングを始めてほんとうに数ヶ月位でした。

LuCK:
自分の場合は、力をつけるためにモノを作るという行動原理でわりと動いています。

Game*Spark:
「力をつけるために」といいますが、最終的に何か目標があるんですか?ゲームを作る力をつけるのか、それともプログラミングの力をつけるのか、いろいろあると思いますが。

Nicolai:
表現の手段がゲーム……らしいのですよ(笑)。

LuCK:
そうですね。やりたいものというか、色々な考えや表現したいものがあるんです。それを手段として確立できていないんで作りながら力を付けていこうと。

Game*Spark:
それでSTGゲームを作ろうと思ったきっかけが「力をつける」ためなんですか?

hartNicolai:
まあ、この人の場合は(笑)。

Game*Spark:
では他の人たちは?


ボスや弾幕のデザインからSTGへの愛情はヒシヒシと伝わる。


Nicolai:
他の人たちは真逆なんですね。私の場合はもともとSTGゲーム大好きでした。アーケードのSTGから、もちろん同人のSTGも大好きです。一見してわかるとおり、『Hellsinker.』や『RefRain~prism memories~』の影響をめちゃくちゃ受けまくっていて、そういう作品をオマージュしつつ、作りました。

hart:
私もプログラミングもゲームを作るために覚えています。

Game*Spark:
ちなみにNicolaiさん以外のお二人はどんなゲームが好きなんですか?

hart:
僕は基本的に動的ゲームと呼ばれるものなら全般好きですが、もともと遊んでいたのはRPGが多いですね。あとはアクションも結構好きなんですけど、自分のウデが結構下手なんでクリアできなかったりします(笑)。

LuCK:
僕は『風来のシレン』が一番好きです。ローグライクゲームがとても好きで、作るのも興味があるのですが、ちょっと面倒くさそうだなと思って、今回は特にアイデアがなかったので作りませんでした。あと自分は『beatmania』が大好きで、たぶんその影響が『∀kashicverse』には出ていると思います。

Game*Spark:
音ゲーですね!それは『∀kashicverse』を語る上では重要ですよね。音ゲーは全般好きですか?

LuCK:
特に好きなのは『beatmania』ですね。今思い返してみると、大学入ってからはローグライクをあんまりプレイしていない。最初のうちはアーケードでずっとビーマニをやっていましたね。音楽も好きで、その影響で音楽の趣味がハードコアテクノとかになってしまいました。

Game*Spark:
音ゲーからハードコアテクノに入っていく人は結構多いですね。さて、ゲームの内容についてもうちょっと突っ込んだ事を聞きたいと思います。格闘ゲームのようなコマンド入力という発想は単純でわかりますが、一撃死というのは何かに着想を得たのですか?

Nicolai:
代表がどうも「残機」という概念が嫌いらしくて(笑)。

LuCK:
そうですね。撃墜されても戻ってくるというのが、ものすごく納得いかないのです。その代わりに体力多めに設定しました。後はウイングの展開というアイデアも当時からありました。ウイング閉じているときはガードができて体力が温存できて、ウイングが開いているときは一撃死するリスクが多いけど、その分ゲージが回収できる。そのリスク管理が楽しそうで、プレイヤーに味わってもらいたかった。

Game*Spark:
確かにそれらのリスク管理が本作の味噌ですね。「抗体領域」という弾速を遅くするという発想は、これまでのSTGにもありましたよね。例えば、『エスプガルーダ』の「覚聖」など。


「抗体領域」と呼ばれるオーラを発動すると周囲の弾速が低下。この間にコマンドの受付が行われる。


LuCK:
そうですね。弾速を遅くするのとコマンド入力を組み合わせるのはアリだと思ったのです。今のところそういうコンセプトのものは見当たらなかったですし。むしろ「抗体領域」があればコマンド入力というシステムも成り立つと思ったのです。

Game*Spark:
なるほど!逆に弾速を遅くしないままプレイヤーにコマンド入力を求めるのはキツイですからね。

Nicolai:
そうですね、弾速を遅くするというシステムがあるからこそコマンド入力が成り立ちました。あと格闘ゲームをプレイする人ならわかると思いますが、自機を操る楽しみ、自分の使っているキャラをうまく使いこなせるようになる楽しみっていうのが絶対あると思います。それをSTGゲームでやりたかったのです。

LuCK:
そうですね、格闘ゲームは得意ではないのですが、コンボ練習をするのは大好きなんです。コンボ練習を延々とするのですが、対戦では負けるんです(笑)。

Game*Spark:
それはなんだかビーマニをやるのと同じ感覚で格闘ゲームをやっているからでは(笑)。

LuCK:
そうですね!それはビーマニと近いかもしれない。コマンド入力も簡単なものにすることもできたのですが、敢えて強いメソッドほど昇竜拳コマンドや一回転など難しいものにしました。コアコンセプトはもともとありましたが、そこでNicolaiさんが入って、メソッドごとの倍率を変えるとかスコアリングのシステムを作りました。


多様な攻撃手段の元ネタたち


Game*Spark:
普通に考えて、あれだけの攻撃技があるSTGは、『レイディアントシルバーガン』とぐらいですよね。『シルバーガン』は8種類攻撃技がありましたが、『∀kashicverse』も基本の8個のメソッドがありますよね。派生もふくめれば10以上。それらのメソッドのアイデアはどのように考えたんですか?

各メソッドを説明した動画。派生を含めると10以上の攻撃手段がある。


Nicolaihart:
ぽんぽん出てきました(笑)。

LuCK:
これとこれを組み合わせて一つとか、近接のブレードは必ず入れたいとか。ブレード、ボム、ハイパーといったお馴染みのものから、あと高速移動攻撃は欲しい。

Nicolaihart:
欲しい欲しい(笑)。

Game*Spark:
高速移動攻撃は一番STGらしくないと思うんですが(笑)。

hart:
あれは『ZONE OF THE ENDERS』の「ゼロシフト」ですね。

Nicolai:
あと『アーマード・コア フォーアンサー』の「アサルトアーマー」。

Game*Spark:
あとデコイを出すという【Attractant Other】もSTGとしてはかなり珍しいシステムですよね。デコイは最初「こんなの出すのめんどくさいや」と思いましたけど、意外と使えましたよね。


STGでまさかの昇竜拳コマンドを要求される【Attractant Other】はデコイで敵を引き付けるメソッド。


hart:
デバッグの段階で、知り合いの人たちには「デコイゲーだ」って言われていて。デコイ出しとけばとりあえずなんとかなるみたいな(笑)。

Nicolai:
あと【Eliminator】ですね。最初の頃から、自機もボスモードになってやりたい放題やろうと思っていました。

Game*Spark:
最終的にバランスの調整は、どうやって煮詰めていきましたか?

Nicolai:
苦労しましたね。特に【Annihilator:Chase】と【Jaunted Driver】と【Danger Prognosis】あたりは苦労しました。

LuCK:
【Danger Prognosis】は、最初『ロックマンX2』の「クリスタルハンター」のチャージショットのFPSを強制的に遅くするというアイデアでした。だけど、このゲームは最初から曲はゲームの動きに同期させる気が満々で作っていたので、FPSを遅くするのは諦めました。


敵弾を遅めて軌道予測を行う【Danger Prognosis】。扱いが難しい上級者向けのメソッドだ。


hart:
【Danger Prognosis】は当初は抗体領域を巨大化して弾道が遅くなって見えるというただの防御手段でした。弾道予測だけではメチャクチャ弱いんで、その後は毎回、強化されて、打ち返し弾などが追加されました。

Game*Spark:
実際に僕がプレイした感覚で言うと、大体、【Annihilator:Chaser】と【Menace Rejector】を使用していけば先に進めたと思います。あとは緊急回避ボム的な【Banish Blast】。

hart:
【Banish Blast】は緊急回避のものとして用意したので、その使われ方で良かったのですが、最初の頃もっと無敵時間が長かったりして、ボムだけ撃ってりゃ勝てるみたいな……。

Game*Spark:
なるほど、今度はボムゲーになると(笑)。

LuCK:
ボムを撃って近接で通常ショットを根本で当てれば勝てるみたいなことになってしまいまいた。

Game*Spark:
しかし、これだけ多数の攻撃手段があったら、どれかを弱くしたらどれかが強くなったり、結構泥沼にならないですか?

LuCKNicolaihart:
ありましたねー(声を揃えて)!

Nicolai:
最初は【Annihilator:Chaser】や【Menace Rejector】もメチャクチャ強かったんです。だから、発動中はゲージの回復量を落とすことにしました。あと強いメソッドはスコアの倍率下げたりして、調整をとっています。

Game*Spark:
なるほど。あといくつかのメソッドは明らかなオマージュがありますよね。そのあたりはNicolaiさんの趣味ですか?


3段階までの派生攻撃が可能な【Annihilator】には同人STGの影響が色濃い。


Nicolai:
そうですね。【Annihilator:Chaser】とかは、まんま『RefRain』のミューズですし、【Menace Rejector】、は『怒首領蜂大復活』のハイパーカウンターモードですね。しかも、開発途上版で弾を打ち返さずに跳ね返していくタイプのものです。

Game*Spark:
ああ、あれは『怒首領蜂大復活』の開発途上版だったんですね。最初は「なんだこれ、気持ち悪い動きだなー」みたいに思っていました(笑)。

Nicolai:
あと【Banish Blast】は『超連射68K』のボム。

Game*Spark:
それは懐かしい(笑)。

Nicolai:
あのボムが結構好きなので。単純に見た目で取り入れました。あと【Eliminator】は言わずもがなですが『旋光の輪舞』の「B.O.S.Sモード」。

LuCK:
あとアーマードコアシリーズというかフロム・ソフトウェアの世界観に影響を受けています。

hart:
散々「フロム脳」って言っていましたよね(笑)。

Game*Spark:
なるほど。まあ、いろんなオマージュみたいなのが詰まっているのですね。

LuCK:
あとオマージュと言えば5面ですね。

hart:
5面の【Eliminator】が出てくる前の小さな本体の攻撃は、いろんな指示を受けましたね。

LuCK:
今までの弾幕ゲーとかのボスの動きをオマージュしたものを取り入れました。

Nicolai:
「グラディウスのレーザーみたいにしろ!」とか。あとは滅亡の「滅」が降ってくるのが、『あっぱれウサッピー!』というゲームです。

hart:
その後に光るリングが飛んでくるのは『サイヴァリア』だったり、その後のレーザーが『R-TYPE』だったり、『Project[RepLiser]』だったり、

Nicolai:
あと『ダライアス』のウェーブとか、『鳥竜』の「ぴょんぴょん弾」というのがあって……。

hart:
結構オマージュ元は果てしなく多いです。

LuCK:
ところでにあの青い太いレーザーはなんですか?

Game*Spark:
この話をするとキリがないので、ここらへんで割愛させて頂きます(笑)。


個性的なデザインと世界観


Game*Spark:
メソッド以外に道中のデザインとボスについてもお聞きかせください。基本的にはステージ1から5にプラスEXTRAステージの全6面ですよね。

hart:
ボスの弾幕は基本的に僕です。ただし5面などは、特にNicolaiさんがこういうのを作ってくれというときはその指示に合わせて実装して、調整しました。特に指定がない場合は僕が弾幕を作って、Nicolaiさんの要望にできるだけ沿ったかたちで発狂しながら実装する(笑)


終始ハイテンションなボス戦だが、演出上倒せないボスなども存在する。


Nicolai:
そうですね。音楽のBPMと弾幕が同期するところなど細かいところは自分ですね

LuCK:
ボスのデザインはキャラクターも最初に自分で描いて、グラフィックスを作っています。ボスには共通したモチーフがあるのです。そこから派生した動植物のイメージで出来上がっています。蜂や蜘蛛、船や翼竜やドラゴンなどで。

Game*Spark:
なるほど。そのボスデザインのコンセプトはLuCKさんが決めて、弾幕はhartさんにお願いするという形ですね。

hart:
画像も基本的にLuCKさんが作って、「ここに砲台があるから、こういう攻撃できるから、あとよろしく」みたいな。

Game*Spark:
ボスデザインのコンセプトの元になる全体の世界観はあるのですか?

Nicolai:
結構、中二病というか、すごく深いところまで一応設定は考えてはある。

Game*Spark:
いわゆる「設定厨」ですか?

Nicolai:
マジそうですよ。設定厨ですよ(笑)。

LuCK:
どこまで作品の中で出すかまだ決まってないので難しいですが。

Game*Spark:
つまり、まだまだ未公開資料はあるわけですね。なるほど、おおまかなイメージは理解しました。具体的な敵の出現パターンや弾幕のパターンはどういう調整をしましたか?

Nicolai:
そうですね。最初にあったのが、とにかくたくさん技が使えるんだから敵が少しずつ登場するのはつまらない。だからもう画面一杯に登場させる。また当時、『ダライアスバーストAC』が近所のゲームセンターで稼働していたので、敵が魚群のようにワラワラ出てくるのがかっこいいと思って影響受けましたね。なので、一面のからかなり激しい攻撃を受けますよね。激しい攻撃で最初の5秒で死んでもらって、プレイヤーにこのゲームはメソッドをうまく使わないと生き残れないというのを思い知ってもらうつもりで作りました。

Game*Spark:
たしかに序盤から殺しにかかった感じですよね。あと演出面でも凝ったことをやっていますよね。例えば、二面では背景の植物の模様が回転して消えたりしますが、あれはどういった演出なんでしょうか?

Nicolai:
背景が変わるところですね。最初は葉っぱなどの植物が流れてくるんですけど、そこから文字の羅列が流れてきます。あれが一応意味の無いデータの羅列という意味で砂漠を表しています。基本的に情報世界という設定なので。


4面での蜂の群体。パターン化してしまえば簡単。


Game*Spark:
なるほど。個人的に道中のパターンで好きな部分は他にもありますね。特に音楽との同期している部分ですが、例えば、4面の蜂の出現の連続は大好きですね。あのパターンの何が楽しいかというと、近接攻撃で殺すのが楽しい。

Nicolai:
あの道中もまたオマージュで『怒首領蜂大復活』のビット地帯です。

LuCK:
あーたしかに動きそんな感じだわ。

Game*Spark:
怒首領蜂大復活』のビット地帯よりは避けやすいですよね。

Nicolai:
というのもあのビット地帯で不満なのは、ビットを倒せないことなんです。それで『Hellsinker.』にあった「マスター」を倒すと「スレイブ」が消えるというシステムを応用して作りました。普通に避けるのは無理な弾幕だけど、真ん中にいる親玉のマスターだけを狙いに行って倒すと抜けられるという。

Game*Spark:
なるほど。やばり、あの状況では近接攻撃を使うのが最適解なんですね。僕も途中で気づきました。

Nicolai:
シーンごとに一番適切なメソッドを数個用意しています。あくまでもクリアのためにで、ハイスコアを狙うと変わってきますが。

hart:
あと、わかりやすいのは四面ボスで最初にでてくるグルグル回るレーザーですが、あそこは【Danger Prognosis】を使うと簡単に避けられます。


同人STGにおける音楽の重要性


Game*Spark:
何度か出てきましたが、ゲームの進行を音楽との同期させることに力を注いでいるそうですね。

LuCK:
ゲームは音楽が命ですよ!本当に。ゲームは音楽と進行の組み合わせです。音楽を作っていて思うんですが、音楽だけだとあんまり評価されないのです。


音楽へのこだわりはチュートリアルにも表れている。各メソッドの進行と共に音楽のフレーズが同期する。


Nicolai:
コミティアなどで音楽CDも過去に出したのですけど、音楽単体だとほとんど見向きもされないのです。

LuCK:
お客さんに「動画とかつけないの?」って言われまして。せっかくジャケットも可愛いのだから、動画も付けてもっと付加価値を高めたほうがいいみたいなことを言われまして。それで音楽だけでは厳しいので、ゲームと相乗効果で。

Game*Spark:
それはZUNさんが東方Projectでやっている事とほとんど一緒ですよね。音楽を聴いて欲しいからゲーム作る。そうなるとSTGという選択になりますよね。

NicolaiLuCK:
そうです。

Game*Spark:
個人的にSTGゲームが音楽に関して特権的なのは、ゲームの進行にあわせてフル尺で聴かせることができるという点ですね。RPGだとループさせるからコントロールできない。

Nicolai:
確かにゲームの展開にシームレスに同期するには、STGみたいな強制スクロールのゲームが一番やりやすい。ただ道中で曲を合わせるというのは、完全にこっちのわがままでやっていますね。そもそも道中は先に楽曲があってそれに背景をつけ、それに同期するような敵を配置しています。

Game*Spark:
音楽が先だったのですか?

Nicolai:
ほとんどそうです。

Game*Spark:
それは凄いですね。

hart:
ボスのパターンも、大体、曲が先にあって曲のこのあたりで弾幕を切り替えてくれという指示はありました。

Game*Spark:
なるほど。ではやはり音楽が先にありきで作っているのですね。実際にSTGゲームにとって音楽の重要性は他のゲーム以上だと思いますね。「STGの面白さはゲーム進行と共に音楽が同期すること」というのは、STG好きにとっては当然だと思います。しかしながら、この楽しみは普通の人にはあまり理解されていないように思います。


激しい音楽と共に演出面も非常に派手だ。


Nicolai:
そうですね。だから、STGをやらない人はそもそも狙っていません。そうではなく、例えば『Hellsinker.』や『RefRain』などの同人STGの尖ったゲームをやっている人が「なんかこれは似ているけど、やってみたら全然違う。」みたいなのを想定して作っています(笑)。

Game*Spark:
それこそ2000年代の同人STGやってきた人間には「あーっわかる!」となりますが、そんな奴そんなにいないですから(笑)。ただ個人的には『∀kashicverse』をきっかけに2000年代の同人STGを再評価してほしいところですね。本当に面白いものがぼんぼん出てきた時代だったと思うのです。

Nicolai:
それはありますね。むしろ本作の元ネタを「もっとお前らやれよ!」と思っています。

LuCK:
そのわりにはいろんな方向に広くオマージュを入れたので、もしかしたらより広い層に届くかなとも思っていますが。STGしているうえでも、ゲームを広くやっている人。そういった人にオマージュを見つけてもらって感動してもらえばいいかなと。


多様なプレイスタイルを受け入れるシステム


Game*Spark:
全体を通して、コマンド入力、ウイング、曲の同期などのアイデアを保ったまま、ここまで完成度が高い作品を作れたのは、驚異的だと思います。抜本的にシステムを変更することはなく、初期のコンセプトのままで完成まで行けたのでしょうか?


開発時を楽しげに振り返る3人。取材は吉祥寺のピコピコカフェで行った。


hart:
そうですね。ただ一箇所だけ一撃死のコンセプト部分は窓口を広くするために、難易度ごとに分けました。なので一番簡単なモードでは一撃死になっていませんね。コマンド入力などのシステムに関しては、最初から突き放す感じだと思います。あと本作は、プレイヤーによって使うメソッドが変わるのが面白かったです。人によっては【Jaunted Driver】ばかり使う人がいたり、デコイばかりの人もいたり。

LuCK:
稼ぎプレイをやっている人は【Danger Prognosis】の連射が基本になっています。発動して打ち返すのを連射してやるプレイスタイルで。

Nicolai:
そうですね。あえてスコア倍率高く設定したので、この4ゲージ技に関しては、絶対に稼ぎに使えると思って作りました。後は【Eliminator】が一番倍率高いのですが、それをどこに持ってくるかが重要になってきます。難しいボスの弾幕ではなくて、あえて雑魚ラッシュのところで【Eliminator】を使用するのが稼ぎプレイの中心的課題になります。

LuCK:
今のところスコアアタックでとんでもない点数が出ましたね。トップレベルは既に制作者陣の上を行っています。スコアアタックを含めると、一応死んでいるメソッドは無いと思います。クリアだけを考えれば2つだけでもなんとかなりますが。このゲームの当初のコンセプトはなるべく楽しみ方を固定しないようにしています。自分にとってゲームは道具であり、手段であると思っているのです。なのでプレイする人が自由に楽しめるように作っています。メソッドをたくさん用意して、クリアするのもスコアアタックするのも縛りプレイするも楽しみです。そして、全然クリアできなくても、世界観を感じてもらえると良いと思いコンセプトを練りました。

Game*Spark:
まあクリアするだけなら簡単ですからね。

LuCK:
そうですね。かっこつけなければ大丈夫です。無駄にカッコつけたくなるのがこのゲームの特徴でして……。

Game*Spark:
それは格闘ゲームなどと一緒でロマンコンボみたいなものはあってもいいと思うんです。

Nicolai:
ロマンを求めるのは同じですね。全体的にコンセプトも中二病で、とりあえずメソッドを出すだけでかっこいいのが重要です。

LuCK:
メソッドの名前も中二病にありがちな名前を使おうと思って、このような形になっています。あと最初の案だとカットインとかも入れたい演出だったんですが。

Game*Spark:
【Eliminator】の登場シーンだけはカットイン演出ありますよね。あとメソッドによっては、自機以外にメカが登場するやつは全部かっこいいですね。特に【Doom Bringer】は最後のステージにならないと使用できないですが、極太なレーザーが出て非常にかっこいい。また最初のうちは攻撃的なメソッドが強いと感じますが、やりこむと防御的なメソッドが効果的に機能するのも良いですね。


個性的なグラフィックス、音楽、世界観


Game*Spark:
全体の世界観は未だ不明の部分が多いんですが、ゲームやったことない人にこういう世界観でこういうストーリーなんだということを簡単に説明していただけますか?


ボスにもそれぞれ背景となる設定があるという。



Nicolai:
簡単に説明すると……愛は勝つ(笑)!

LuCK:
最終的には愛は勝つなんですが、まだ全容が出ていません。実は続編のこと考えています。もし続編を作る場合、シナリオを補完していく感じになります。現状は穴抜けが多いです。

Nicolai:
脳内補完をして楽しんでいただけると。

hart:
フロム脳で(笑)。

LuCK:
設定はあるけど語らない。そこはプレイヤーの想像をもって完成させるみたいな感じですね。全体の世界観としては、もともと地球に近い世界の生命体がいろいろあって情報世界に移住したような話です。

Game*Spark:
その点で園芸との関係はあるんですか?

Nicolai:
あっ!園芸とこれ超関係があります。

Game*Spark:
では、良いとこ突いたということですね(笑)。

Nicolai:
彼は遺伝子系の事を大学でやっていますので、それに関係します。ぶっちゃけ、システムの根幹は園芸だよね。ウイングのシステムとかも含めて。

LuCK:
そうですね。あれは実は光合成をイメージしています。

Game*Spark:
なるほど。ウイングを開いてエネルギーを貯めるのが光合成というわけですね。あとはメインビジュアルのジャケットが植物をモチーフとしていますよね。

Nicolai:
ジャケットはすごいネタバレです。あのジャケットは制作二ヶ月位前に勝手に描きましたが、いろいろなものが詰まっています。ジャケットで世界観を表現したかったのです。

Game*Spark:
ゲーム全体のビジュアルからしても、意外と珍しいデザインですよね。例えば、2Dのグラフィックスですが、色がマットですよね。

Nicolai:
あれは私の作風と言えばそれまでですが、洋楽のPVや3Dの作品を観て、色々と影響を受けています。あと水口哲也さんの『REZ』や『Child Of Eden』に影響を受けています。

Game*Spark:
なるほど。どちらかと言うとSF的な世界観のSTGゲームだと、メタリックなデザインが多いですよね。だけど本作はアブストラクトでフラットでパキッとしたデザインはモダンなデザインだと思いました。またインストカードのフォントなども自作でしょうか?


印象的なフォントも自作。


Nicolai:
そうですね。自作のフォントを一から作りました。私の独自の美学というわけではないのですが、ゲームの統一感を際立たせるにはフォントが重要だと思っています。

Game*Spark:
STGが好きな人にはそれは伝わりますよね。シューターにとってフォントほど重要なものはない。

Nicolai:
フォントがひとつのゲームで統一されていると、それだけで世界観になります。また『Hellsinker.』の話題で恐縮ですが、あのフォントもすごく独特ですよね。あのフォント見れば、知っている人だとひと目で『Hellsinker.』だとわかる。

Game*Spark:
その通りですね。そういったフォントも含めて、UIデザインもNicolaiさんが携わったのですね。音楽もNicolaiさんが担当ということですが。

Nicolai:
ミクスチャー系とドラムンベース系をよく聴いていたので、そういった雰囲気になっています。あとは暗めな雰囲気なのですが、キャッチーなサウンドを打ち出しています。

LuCK:
自分が作った曲も入れているんですが、そうするとハードコアテクノになってしまいます。5面のBPM250のやつとか。

Nicolai:
1面と2面のボスも私とLuCKの合作ですね。

Game*Spark:
個人的には最初にインパクト受けたのは二面ボスの最終形態ですね。あの弾幕がBPMに合わせて止まるという演出が非常に斬新でかっこいい。あれはLuCKさんの楽曲なんですか?

LuCK:
二面ボスはBGM担当で協力している人がもうひとりいます。その人と三人で缶詰めになって作りました。弾幕の止まる演出を入れるのが前提で、がんばって楽曲を作りました。いわゆる音ゲーの「ソフラン」をSTGゲームに取り入れたいと思っていました。音楽のBPMの変化に合わせて敵弾の動きを変化させています。


序盤の演出面での最大のハイライトである2面ボスの「ソフラン」のシーン。音楽のBPMと弾幕が同期する。



hart:
あの部分は音楽のフレームに合わせて描画しているので、画面が処理落ちしても完全に同期します。その音楽と弾幕を同期するために、結局、リプレイ機能の実装ができなくなったり、色々と大変でした(笑)。楽曲の同期のところまでちゃんと記録しないとリプレイがずれるんですよね。

Game*Spark:
2面であの派手な演出が観られると、ゲームとしてかなり期待が高まるのでいいですよね。


若手同人ゲームサークルとしての今後


Game*Spark:
私、個人にとっては2000年代の同人STGのムーブメントみたいなものを体感できたのが本作では一番面白かったです。大学のサークルから登場したということなんですけど、途中でコミケに参加して、同人ゲームのサークルとの交流もあったと思いますが、その辺はどうですか?


サークルでは一番、年長のNicolaiさん。サウンドやグラフィックスを担当。


Nicolai:
コミケ終わったあとに、同人STG系サークルの飲み会みたいなのがありまして、そういうところに呼ばれて、参加させていただいています。いろいろなお話が聞けて、刺激にもなり、面白いです。ただ話が濃すぎて、私らのような若輩者にはついていけない(笑)。90年代くらいの同人ゲームの話もありまして。

Game*Spark:
ちなみに今年の夏のコミックマーケットで注目している作品とかありますか?

hart:
まだチェックしきれていないですが、完成版が出るのであれば、僕は『天壌のテンペスト』です。東方の二次創作のアクションゲームで『天壌のテンペスト』というのがありまして。LION HEARTという10年くらいやっている老舗サークルさんの作品です。

Nicolai:
アクションゲームですがエフェクトがすごく格好良い。超スタイリッシュ。

LuCK:
自分もチェックしていないんですが、絵描きさんの方を注目していますね。ゲームとかはまだチェックしていませんね。

hart:
そんな感じですね。あと今回は東方Projectの二次創作も含めて三日目に同人ソフトが全部集まったのが嬉しいですね。東方の二次創作の中にも結構、面白いものあるのですが、これまで二日目と三日目に分断されていたり、東館と西館に分断されたりしていて。同人ゲームを片っ端からやってく身としては、東方もチェックしたい。

Nicolai:
シマの端から片っ端、体験版を買っていくので。

hart:
毎回恒例になっていますよね。シマ端からシマ端まで買って、一日かけて同人ゲームで遊ぶ会みたいなことをしています。

Game*Spark:
つまりエンドレスシラフは同人ゲームサークルでもあり、同人ゲームをやりまくるサークルですね。

Nicolai:
あと「だらだらと 同人ゲームで あそぶ会」や「東京ゲームロケテショウ」などにも参加して、他のゲームを見て「3Dスゲー!」とか刺激にはなりますね。


メインプログラマのhartさん。プログラミング経験はまだ4年というから驚きだ。


hart:
それでテンションあげすぎて、つい一日か二日くらいでこもって開発したりしています(笑)。

Game*Spark:
あとBitSummitにも参加していましたね。もともと参加したきっかけっていうのは、誰かからのお誘い?

Nicolai:
そうですね。Q-Gamesのジェームズ・ミルキーさんから、メールいただきまして「なんかすごいイベント来ちゃったけど大丈夫?」みたいな感じで。

Game*Spark:
ミルキーさんが『∀kashicverse』をプレイしたんですかね?

Nicolai:
多分プレイして「よく出来ている」ということでお誘い頂いたみたいなようです。

Game*Spark:
なるほど。今後、海外でリリースする予定はないのですか?

Nicolai:
そうですね、英語版は考えています。できればやりたいです。文章実績などはかなりテキスト量が多いですが、結構エゴサーチしますと、がんばって解読している英語圏の人が多いので。

Game*Spark:
STGゲームというジャンルで見た場合、英語圏の方がユーザーも多いと思います。そして、彼らは本当に熱心にプレイしていて、同人STGも当然やっています。

LuCK:
利益はあんまり考えていないので、より多くの人に遊んでもらえるならば、ぜひともリリースしたいですね。

hart:
できるだけ多くの人にプレイして頂ければ、制作者側としては冥利に尽きる。

Nicolai:
気の長い話になりますが、たとえば次回作とか作るうえでもプロモーションになりますし。

LuCK:
ファンが一番のプロモーションですね。

Game*Spark:
では、最終的に今後の話になると思うんですが、今年の夏コミでリリースするものは?

LuCK:
サントラと公式ファンディスクですね。サントラとアレンジCDとミニゲーム。あと『∀kashicverse』 の特別版です。少しセッティングをいじったもの。

hart:
もっとバランス崩壊しそうな気もしますけど。それは特別版ということで。どうなるか。まだ作ってないので分からないけど。

Nicolai:
公式二次創作と思っていいのかな。

hart:
最近はミニゲームの作成で発狂していますけど。ミニゲームなんですかねあれ。

Game*Spark:
で、そういった形で夏コミでは派生作品をリリースするということで、今後は続編をつくるかも、という形ですね。

LuCK:
そうですね。

Nicolai:
とりあえず、ただちに続編というのは考えていないですね。うちのサークルといたしましては、個々人でちょっと小さめのミニゲームを作ってリリースしたりはしたい。その後ににまた大作という感じを考えています。

Game*Spark:
続編自体は基本的にSTG?


代表のLuCKさん。他のメンバーから「フロム脳」、「設定厨」と呼ばれる企画担当。


LuCK:
あれはSTGなのか?

hart:
彼の脳内にしかない。

Game*Spark:
(笑)。

LuCK:
さらにボタンが増えるだけです。

hartNicolai:
おい(笑)。

Game*Spark:
私としては『∀kashicverse-Malicious Wake-』がとてもよく出来ていたので、これからも面白いゲームを作っていくことを期待しております。今日は長い時間ありがとうございました。

■著者 今井晋(いまい しん)

1981年石川県生まれ。東京大学大学院博士課程でポピュラー音楽と美学について研究、非常勤講師をつとめるかたわら、音楽やゲームなどの様々なコンテンツに関して執筆しているフリーランスライター。現在の関心は、ゲームに限らずコンテンツのインディペンデントでコラボレーティブな創作実践について。Facebookはこちら
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