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記野直子の『北米ゲーム市場分析』2014年9月号―ソフトがハードを牽引する!

こんにちは。10月になり第4四半期(Q4)となりましたが、北米では9月から年末商戦の真っ只中です。新ハード2年目の年末商戦を迎える北米では新規発売タイトルのラインナップも充実しており、12月までの売上データの推移が楽しみですね!

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こんにちは。10月になり第4四半期(Q4)となりましたが、北米では9月から年末商戦の真っ只中です。新ハード2年目の年末商戦を迎える北米では新規発売タイトルのラインナップも充実しており、12月までの売上データの推移が楽しみですね!

さて、NPD Groupによる9月の北米セールスデータの速報を報告します。

■市場全体動向

9月の北米市場規模は総額で11億ドル(約1,180億円)前年比2%アップです。ハードウェア売上に注目すると、前年比136%アップ!の4億3,270万ドル(約460億円)。ハードウェア売上の85%は新ハード(PS4とXbox One)と言われていますから北米では新ハードへの移行がスムーズに加速していると言えましょう。

一方、ソフトウェアは前年の7億5,400万ドル(約807億円)から4億8,120万ドル(約515億円)へ36%ダウンとのこと、詳しくはソフト動向のところで説明します。

■ハード動向: PS4の好調続く

9月のXbox One、かなり頑張っていたのですが、やはりPS4の9カ月連続首位を動かすことはできませんでした。差はそれほどないと言われていますが、9月単月でこの2機種が100万台前後を売り上げたことは確かなようです。

一方、任天堂のWii Uは前月(8月)から比べて台数を増やしているものの、PS4、Xbox Oneの勢いにはなかなかか追いつけないようで、これから発売される年末のタイトルラインナップがどこまでハードを押し上げるか。PS4やXbox Oneの話ばかり取り沙汰される今日この頃、Wii U正念場の年末商戦です。

3DSは9月発売『Super Smash Bros. for 3DS』に牽引され販売好調のようです。日本で好調なNew 3DSは北米では来年まで発売されないようです。新しい3DSでもリージョンコードが採用されているという点で論議を呼んでいます。業界的にはリージョンコードを排除してワールドワイドであらゆるコンテンツが遊べる世界を実現しようというトレンドなのですが、ユーザーから見るとやっかいな機能かもしれません。ソフトメーカーからするとコンテンツの販売エリアを保全できると言う意味では悪いことだけではないんですけどね。

■ソフト動向: 『Destiny』発売!それでも『GTA V』がすごかったというお話


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早速9月度のソフトウェアランキングを見てみます。

    1. Destiny (PS3/PS4/X360/X1) - Activision Blizzard
    2. Madden NFL 15 (PS3/PS4/X360/X1) - Electronic Arts
    3. FIFA 15 (PS3/PS4/360/X1/Wii/3DS/PSV) - Electronic Arts
    4. Super Smash Bros. for 3DS (3DS) - Nintendo
    5. Middle-earth: Shadow of Mordor (PC/PS4/X1) - Warner Bros. Interactive
    6. NHL 15 (PS3/PS4/X360/X1) - Electronic Arts
    7. Minecraft (X360/PS3) - Microsoft/ Sony Computer Entertainment
    8. The Sims 4 (PC) - Electronic Arts
    9. Disney Infinity 2.0 (S3/PS4/360/X1/Wii U) - Disney Interactive
    10. Diablo III: Reaper of Souls (PC/PS3/PS4/360/X1/) - Activision Blizzard

上述しましたがソフト売上は前年比36%ダウンとのこと、話題の『Destiny』が発売されたのに数字だけ見ると「北米もそんなに景気が良くないのか?」と勘違いしてしまいそうですが、実はこれ、比べている先の2013年9月のソフトランキング1位が『Grand Theft Auto V』だからなのです。

当時、発売3日で全世界10億ドル(約1,070億円)を売り上げたソフトとしてニュースサイトで取り上げられていました。それが去年の9月度だったので、このソフト1本のインパクトが与える今年度との差はあまり比較にならないかもしれません。『Destiny』も頑張りましたが、シリーズブランドを見せつけた『Grand Theft Auto V』の威力は等々の物位だったのですね。

今月9日に発売された『Destiny』は過去のHaloシリーズを制作したBungie社の最新タイトルです。E3でもかなり脚光を浴び、トリプルAタイトルとして市場の期待が高まっていました。先月の記事でも触れましたが、発売初日の売上が全世界で5億ドル(約535億円)を超え、一気にメガタイトルの仲間入りをしました。

『Call of Duty』シリーズや『Grand Theft Auto V』シリーズなどの大きなタイトルに比べればまだまだと思うかもしれません。しかしながら、新規のオリジナルIPとして発売した初月にここまでの本数を稼いだタイトルはないそうです。現在大きなフランチャイズとなっているタイトルシリーズも最初から市場にバカ受けしていた訳ではなく、口コミやマーケティングによって浸透していったのです。『Destiny』のお話は下記「ソフトがハードを牽引する!」でも語っていきます。

任天堂の3DSというシングルプラットフォームだけに向けた『Super Smash Bros. for 3DS』がマルチプラットフォームに向けたタイトルを押さえて4位というのはあっぱれです!9月いっぱいで705,000本(うち135,000はデジタル版)の売上をレコードしました。

また、好調と言われていた『Mario Kart 8』は9月に60,000本を販売し、北米のみで120万本を達成したとのことですが、北米だけで1,500万本売り上げた『Mario Kart Wii』の実績を見ると任天堂はまだまだ頑張ってほしいところです。

■ソフトがハードを牽引する!


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「ハードが売れるか否かはソフトラインナップ次第」という話は耳にタコができるほど良く聞く話です。ハードがいかにクールでも動かすソフトウェアがなければただのカッコいい箱だからです。

実は、この数字が出る前に「9月のXbox Oneの販売台数はPS4を上回った!」という噂が流れていたのですが、ふたを開けてみればPS4の連続首位がもう一月重ねられたことになりました。この噂の源泉は、Xbox Oneが『Destiny』のバンドル版をPS4版より50ドル安く売ったからとか、無料ゲームパッケージがPS4より充実しているなどなどでしたが、PS4のイケてる感には追いつかなかったようです。

やはりハードローンチ時に「PS4に比べて100ドル高かったことが売れない原因?」と言われていたので、マイクロソフトが年末商戦のバンドルやパッケージに対する値付けにかなり気を遣っていた様子が見受けられます。

値段についてはシビアな北米ユーザーですが、必ずしもそれだけではなかったようです。

問題は『Destiny』でした。日本でも同タイトルはソニーのみの独占販売になっていますが、アメリカではActivisionが同タイトルの独占広告権をソニーに付与、つまりハードウェア側として『Destiny』の広告宣伝は独占的にソニー陣営からしかできないのです。PS4、PS3のみならずXbox 360、Xbox Oneに向けて発売されているにも関わらず、マイクロソフトは大きな宣伝がさせてもらえません。

ユーザーが待ちに待った『Destiny』を買おうと思った時にソニーの露出が大きければ必然的にソニーハードで遊ぶ人が増えるでしょう。元『Halo』シリーズ、つまりマイクロソフト独占で開発していたBungieのタイトルがPS4で売れているというのも皮肉な話です。マーケティングでソニーが先んじていたということでしょうか。

ただ、言うほどPS4と差がつかなかったというところも特記しておきます。両プラットフォームともに北米市場のみで同タイトルを100万本以上ずつ売り上げています。

いかに優良ソフトを取り込んでいくかということがハード側の戦略の軸になるのです。1ハード独占ソフトというのはファーストパーティでない限り難しいため、マルチプラットフォームで開発されたタイトルをいかにマーケティング的に有利に取り込めるか、ソフトによってハードが稼働する以上ハードメーカーはソフトメーカーを無視することはできないのです。

さて、年末商戦はまだ始まったばかり。追いかけていきましょう。それでは、また来月!
《記野直子》
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