そんな動画コンテンツを任されている筆者ですが、動画配信や配信に求められるPCに関する知識はほぼ皆無。これまで幾度かの配信トラブルに見舞われましたが、その大きな原因としては、やはり配信時に使用するパソコンのスペック。負荷が大きくなり、PCが悲鳴をあげ、結果的に配信事故に繋がっていました。
度重なるトラブルを踏まえ、本気で機材を用意しよう！という結論に至り、PCメーカーのTSUKUMOさんに相談してみたところ、「げむすぱ放送部用のPCをプロデュースしましょう！」との心強いお言葉が！ということで、げむすぱ放送部でおなじみえれ子さんにも同席してもらい、げむすぱ放送部用PCとは？そもそもどんなゲームプレイ、ゲーム配信にはどんなPCが適しているのか？といった点を、株式会社Project White（TSUKUMO）で「G-GEAR」シリーズの責任者をつとめる森秀範さんに聴いてみました。
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ハンゾウ・えれ子：本日はよろしくお願いします！
森：よろしくお願いします。
ハンゾウ：早速ですが、げむすぱ放送部用にPCを作ってくれるということで…本当にありがとうございます！会社で使っているPCだと、どうしても映像がカクついたり、止まったり、となかなかうまく配信ができないんですが、そこがスムーズに流せるようなPCはどうやって選べばいいのでしょうか？
森：なるほど、わかりました。グラフィックに関しては、たぶん今はCPUを使ってエンコードをしてると思うので、そこをGPUでエンコードして配信するとよいかもしれませんね。CPUに頼らず、グラフィックボードでエンコードすることでスムーズに映像が流れると思いますよ！
■CPUについて
ハンゾウ：そもそもCPUってどんな役割を持ってるんですか？
えれ子：CPUってパソコンの頭脳部分で、Core i5とかCore i7みたいなものがそれに当たりますよね。
森：パソコンを買う際、CPUに関しては用途に限らず良いものを選んだほうが良いですね。一般的には今だとCore i7が一番良いと思います。PCのパーツごとでアップグレードをする方であっても、CPUを替えるってのはそこそこハードルが高いですからね。
えれ子：配信する場合でも、やはりCore i5ではなくCore i7が求められますか？
森：そうですね。配信先によっても異なってきますが、エンコードにCPUパワーを使うことが多いためCore i7であれば間違いないかと思います。
ハンゾウ：配信先というと、ニコニコ生放送やYouTube Live、Twitchみたいなサービスのことですよね？
森：はい。今の例で言うと、ニコニコ生放送は高い解像度が求められないので、コンシューマー機を使った配信の場合はCore i5でもよいかもしれません。ただしYouTube LiveやTwitchなどはフルHDに対応しているので、Core i7でないと厳しいと思います。
ハンゾウ：「げむすぱ放送部」の場合、ニコニコ生放送とFRESH! by Abema TVを並行して放送していることが多いですし、 Core i7がいいですね。
■グラフィックボード（GPU）について
ハンゾウ：さっきも少し説明してもらいましたが、GPUについて教えてください。何となくは理解してるのですが、いまいちちゃんとわかってないんですよね……。
森：GPUを簡単に説明すると、パソコンが行う画像とか映像の処理を一手に担ってるところですね。グラフィックボードというのは、メーカーさんによっていろんな機能がありますが、ここではそのGPUが乗ってるPCのパーツ、といった程度で覚えておいてもらえると。
ハンゾウ：なるほど……。CPUはなんとなくわかったってたけど、GPUとかグラフィックボードって言われてピンとこなかったんですが、NVIDIA GeForceとかAMD RADEONって言われるとわかります！SteamとかPCゲーム購入サイトを見てると、要求スペックの中に項目としてありますもんね。グラフィックにこだわるって人はPCを選択する人多いんでしょうね。
えれ子：CPUだけに頼っちゃうと、それこそ配信中のゲーム画面がカクついたりしちゃうので、その辺の処理をGPUに任せちゃうのがベストですね。
ハンゾウ：パソコンへの負荷を分散させるってことか！
森：そういうことですね！
■HDD・SSD
ハンゾウ：HDDとかSSDってあるじゃないですか。HDDはデータを保存しておくのに使うってのはわかるんですけど、SSDがよくわからず。詳しい人ってその辺も意識してるって印象はあるんですけど。
森：ゲーミングPCにおいてSSDは重要な要素だと思います。
えれ子：簡単に言うと、ハードディスクドライブ（HDD）と同じようなものと考えていいんじゃないですか？
森：そうですね。ただHDDに比べてSSDは高速でデータの読み書きができる、って点があります。
えれ子：あとHDDに比べて音が静かってのも特徴ですよね。
ハンゾウ：え？じゃあHDDじゃなくて記憶媒体全部SSDでいいんじゃないですか？
森：理論的にはそうなんですけど、同じ容量でもSSDは値段がかなり張ります。なので、例えばOSや配信ソフトを入れるドライブはSSDにしつつ、プレイ動画などを保存するような場合は容量単価の安いHDDを追加するというのが賢い選択だと思います。
えれ子：わたしも動画を保存しておくのはHDDですね。あとゲームによっては、SSDの性能が良いほど、プレイを有利に進められることもあるんで、意識しますね。
ハンゾウ：というと？
えれ子：『Battlefield 3』なんかもそうだったんですけど、SSDが良いとゲームのスタートが早くなるんですよね（笑）
森：あーそうですね（笑）あと、オフラインの作品であっても、単純にゲーム内のローディング自体がSSDによってスピードが変わってきます。SSDであれば素早くローディングが終わって、いち早くゲームを始めることができます。
ハンゾウ：おお、なるほど！ローディングが長いってときのストレス、作品によってはありますもんね。その辺の処理をSSDが担ってる、ってことか。
えれ子：そうそう。
森：今回用意したPCのSSDは240GBのSanDisk UltraIIシリーズですが、配信の場合はこれで充分だと思います。配信に焦点を置いていて、動画などのデータ保存は必要ないこともあり、HDDは敢えてなくしています。
お客様が購入される際も、ご予算が限られている中で、どの点を重視してゆくか、でこだわるパーツが変わってきます。あまり詳しくない方は店頭スタッフに聞いてもらえればアドバイスもできます。
■最近の人気PCは？
えれ子：最近だとどういったPCが売れ筋なんですか？
森：この時期（4月）だと新生活が始まることもあってか、このG-GEAR miniやノートPCといった手軽さ重視のものの人気が高いですね。ノートはもちろんですが、G-GEAR miniのようにコンパクトなPCは、狭い部屋で一人暮らしを始めた新社会人の方などからは好評ですね。
ハンゾウ：G-GEARシリーズを購入する人って、どういった層の方が多いんですか？
森：やっぱりゲームをプレイしたい方ってのが一番多いですね。
ハンゾウ：まあそうですよね。どういったタイトルを遊びたい、といった声もあるんですか？
森：MMORPG、『League of Legends』を遊びたいといった方は多いです。あとは『World of Tanks』、『World of Warship』をプレイしたいといった方は増えましたね。コンシューマー機でリリースされていたタイトルをPCで遊びたい、って方も多くなりました。
ハンゾウ：他にはどういった目的って購入するのが多いですか？ゲーム実況、配信をしたいって方は増えました？
森：間違いなく増えましたね。最近は気軽にストリーミングできるスペックを購入される方も多いです。ただ、限られたご予算のなかでご購入頂くので、予算内では収まらない場合は、お客様の一番の目的である「ゲームを遊ぶ」って点をクリアできるスペックのものを提案させて頂いて、「追ってこの部分をアップグレードすればいいですよ」といったアドバイスをさせて頂く場合もあります。
ハンゾウ：各パーツを買い換える方とPC丸ごと買うって方、TSUKUMOさんではどっちのお客さんが多いんですか？
森：半々ですかね。先ほど説明した各パーツをグレードアップしたいといった方もいれば、PCでゲームを遊びたいって方はもちろん、コンシューマー機を使ってゲーム配信をしたい、PCゲームで配信したいって方が、パソコンを丸ごと購入しにご来店されることもあります。
ハンゾウ：自分なんかは丸ごとお願いしちゃいそうですね……。調べてもわからないことが多いですし。
森：その辺は気兼ねなく店頭スタッフに相談してほしいところでもありますね。スタッフ自身がゲームプレイ、配信をやっている場合もあるんで、リアルなアドバイスができると思います。
えれ子・ハンゾウ：ありがとうございます！早速使用させて頂きます！
G-GEAR mini 「げむすぱ放送部モデル」
- OS: Windows 10 Home 64-bit
プロセッサー: Intel Core i7-6700
メモリー: 16GB DDR4 RAM
マザーボード：Intel H110 Express （ASUS H110I-PLUS）
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 960
ストレージ: 240GB（SanDisk Ultrall Series / SATA 6Gbps）
電源：HEC製 500W （80PLUS BRONZE対応）
その他: 12cm冷却ファン / G-GEAR mini ITXゲーミングケース（ブラック/8M05）
「まさかげむすぱ放送部に機材を貸してくれるところがあるとは…」と感動とともにしばらくこのPCを抱いていましたが、後ろで編集長より「もうトラブルは起きないね」とのお言葉が、今後の大きなプレッシャーにもなりました。
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